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2026年GI戦線開幕!寒さが緩み、花粉が宙に舞い踊る2月22日(日)の早朝、我々は羽田から飛行機に乗り込み、「第41回読売新聞社杯全日本選抜競輪」取材のため九州へ。施設リニューアル後初のGI開催となった熊本競輪場へと向かった。

震災を乗り越え、不死鳥のごとく蘇った熊本けいりん

熊本競輪場は、2016年4月14日に発生した熊本地震で被災。直後には駐車場が地域の避難施設として活用されるも、建物やバンクへのダメージが著しく、休催を余儀なくされた。しかしコロナ禍も経ながら、多くの人達による再建へ向けた想いと尽力が実り、2024年7月20日より一部再開。そこからさらに残る施設の改修を進め、直近の2026年1月27日、ついにグランドオープンを果たした。

500mから400mバンクに生まれ変わった熊本競輪場 photo: Yuichiro Hosoda

被災からの再建を機に、日本一長い69.5mもの直線から「滑走路」とも称された周長500mのバンクは、真新しい400mバンクへと生まれ変わった。みなし直線は60.3mとなったが、現在でも400バンクで全国6番目の長さ。カントは34°15′29″と、400バンクの平均32度よりもキツめ。逃げの選手には厳しく、追い込みや捲りが決まりやすいのが特徴だ。地震を教訓に、地域の防災施設としての役割を担う設備も整えられている。

今回、編集部からは高木三千成が取材に参加。編集部の仕事と並行してレース活動を行う彼も、開催中の競輪場訪問は初めて。唐突に熊本まで連れて来られた彼が見た競輪場は、どんなものだったのか。今回も楽をさせてもらおうと企み、場内レポートを書き綴ってもらった。

1センターの向こう側には、500mバンクのコーナーの一部が残されている photo: Yuichiro Hosoda
街なかには全日本選抜競輪ラッピング路面電車も走っていた。最寄りの水前寺公園駅から競輪場へは徒歩15分ほど photo: Yuichiro Hosoda


熊本競輪場の正門へ向かう道。手前は地元発祥の人気ラーメンチェーン「味千拉麺」の競輪場前店 photo: Yuichiro Hosoda

みっちーが行く、久しぶりの競輪場と初めての競輪開催で、新たな発見

場内を巡る前に、まずは「みっちー」こと私・高木の自己紹介から。私は高校から自転車競技を始め、大学、実業団でトラック競技をやっていたため、全国各地の競輪場や自転車競技場にはレース参戦のために訪れていた。トラック競技とロードレースでインターハイに出場し、実業団東日本トラックのポイントレースとチームパシュートで優勝した経験もあり、本格的にトラック競技に打ち込んでいる時期もあった。

しかし、現在は国内最高峰のJプロツアーのロードレースとJCXシリーズのシクロクロスだけに集中して参加しているため、ここ5年ほど久しく競輪場に足を運んでいない。最後にバンクに訪れたのは、東京五輪のオムニアムに出場した同期の橋本英也選手(岐阜)の応援のために、伊豆ベロドロームで観戦したのが最後かもしれない。

開催中の競輪場にやってくるのは初めて photo:Michinari TAKAGI

発走機を見るとトラック競技の歴戦の記憶が頭に蘇ります photo:Michinari TAKAGI

そして九州にある競輪場と言えば、2014年の長崎国体に埼玉県代表選手として参加していたため、佐世保競輪場に訪れた事はあるが、熊本競輪場には初めて。

開催中の競輪場にも初めて訪れたのだが、カップルや子供連れの家族、老夫婦などが楽しんでいる景色がそこにはあった。「競輪=ギャンブル」というイメージもあったが、実際はそれとは異なり、まるでテーマパークのよう。

エンタメステージではコロッケのものまねショー、テツandトモと小島よしおのお笑いショーなどが行われ、観覧エリアは爆笑の渦に。さらに、仮面ライダーゼッツのヒーローショーがあり、敵と戦う仮面ライダーを応援する子どもの声援が飛び交って、会場は盛り上がっていた。

エンタメステージではコロッケのものまねショー、テツandトモと小島よしおのお笑いショーなどが行われ、イベント盛り沢山だった photo:Michinari TAKAGI

場内の駐車場を開放して設置されたアトラクションゾーンには、熊本県の大人気キャラクターのくまモンのバルーン遊具が2つもあり、滑り台やトランポリンで多くの子どもが楽しんでいる様子も印象的だった。

その隣には、子供向けの3人乗り3輪車やバイクのサイドカーのような2人乗りの自転車に乗れるエリアも。元ガールズケイリンの高木真備さんによる「わんにゃんフェスティバル」も開催され、犬好き、猫好きも楽しめるエリアとなっていた。

熊本県の大人気キャラクターであるくまモンの滑り台やトランポリンが用意された photo:Michinari TAKAGI

様々な自転車に乗って楽しむ子供たち photo:Michinari TAKAGI
多くの方が訪れていた「わんにゃんフェスティバル」 photo:Michinari TAKAGI


元ガールズケイリンの高木真備さんによる動物保護活動のトークショーが実施された photo:Michinari TAKAGI

このエリアの一角では、競輪場ならではの「ふとももチャレンジ」も実施。エアロバイクを漕ぎ、競輪選手と対決できるゲームだ。現役レーサーとして私も早速、対戦相手を選び挑戦。悩んだ末に、パリオリンピックに出場したS級1班の太田海也選手と対戦することに。

レースではないが、スタートまでは手に汗握り緊張してしまう。4秒先にスタートし、全力でスプリントする中、後ろからは太田選手が迫ってくる。4コーナーを抜けて、最終ストレートでももがいて、なんとか太田選手から逃げ切り、僅差で先着することが出来た。ハンデを貰いながらも勝つとやっぱり嬉しいもんですね。細田さんは古性優作選手に挑戦し、惜しくも敗れてしまったが、セミプロ級のスプリントを披露していた。

一方、メインスタンドを挟んで逆にある西側イベント広場では、競輪レジェンドの山口幸二さん、内林久徳さん、村上義弘さん、緒方浩一さんらによるトークショーなどが開催。日本競輪選手会熊本支部によるチャリティーオークションもあり、都度多くの競輪ファンが集結し、賑わいを見せていた。

ふとももライドに挑戦。遊びとわかっていつつも全力でもがいてしまう photo: Yuichiro Hosoda
当日4位のタイムでランクイン。よく見ると、全日でトップタイムの11秒035は曽我圭佑選手(熊本)。さすが! photo: Yuichiro Hosoda


ふとももチャレンジで戦った太田海也選手 photo:Michinari TAKAGI
西側広場の予想会ステージではチャリティーオークションも開催され、多くの競輪ファンが集結 photo:Michinari TAKAGI


多くの出展ブースが立ち並ぶ東側のイベント広場を歩いていると「みっちーさん、お久しぶりです!」と競輪選手に声をかけられ、振り返るとそこには曽我圭佑選手(熊本)の姿があった。大学は違ったが学連時代の後輩で、当時からトラック競技の短距離種目で大活躍だったのを覚えている。

そんな曽我選手が所属する日本競輪選手会熊本支部では、地元選手のタオルを販売。地元選手達と記念撮影をしに、ファンの方も多く訪れていた。そのブース内ではスピードチャレンジも行われ、子供から大人まで分け隔てなく参加。ピストバイクに跨り、苦しくも楽しそうにもがく姿が見られた。

曽我圭佑選手(右端)が所属する競輪選手会熊本支部の皆さん photo:Michinari TAKAGI

競輪選手会熊本支部ではスピードチャレンジを実施 photo:Michinari TAKAGI

ひとしきり場内を回り終えると、空腹に誘われグルメゾーンへ。唐揚げや赤牛串、トルネードポテト、ケバブサンド、ハンバーガー、佐世保バーガー、焼きそばなどのお店が一堂に並び、食欲をそそられる匂いが立ち込める。どれも美味しそうだったが、自分はレース遠征などでもご当地ものを食べてしまう性格。

そこで今回は、熊本空港のすぐ近くにある阿蘇山で放牧されている赤牛を使用した、LINK UPさんのあか牛串を頂くことに。しっかりと焼かれ、こんがりとした見た目とは裏腹に、中身はしっとりと肉汁が溢れ出すようなジューシーさ。とても美味でした。

阿蘇あか牛串を販売するLINK UPさん photo:Michinari TAKAGI
美味しそうな牛串やソーセージが並ぶ photo:Michinari TAKAGI


阿蘇あか牛串を頬張る! photo: Yuichiro Hosoda

2025年6月10日にグランドオープンしたばかりの食堂「GO吾食堂」 photo:Michinari TAKAGI
食堂「GO吾食堂」の豊富なメニュー photo:Michinari TAKAGI


細田さんは砂ズリチリソース炒め定食 photo:Michinari TAKAGI
高木は看板メニューである「GO吾バターチキンカレー」を注文 photo:Michinari TAKAGI


グルメと言えば、場内には常設店舗もある。2025年6月10日にグランドオープンしたばかりの「GO吾食堂」がそれ。ここではカレーや定食、生ビールなど、豊富なメニューが取り揃えられている。面白かったのは、その日の的中車券がほとんどなくズタボロに負けた方のために「ボロ負けセット」が用意されていたこと。ご飯と味噌汁、漬物というシンプル構成で税込み200円。格安!

店内に入り、細田さんは砂ズリチリソース炒め定食を。私、高木は「GO吾食堂」の看板メニューである「GO吾バターチキンカレー」を注文。バターチキンカレーの上にこんがり焼かれたチキンがトッピングされ、カレーはクリーミーでありながらスパイスがふんだんに使われ、ピリッとウマ辛い。カレーマニアも楽しめる一品でした。

決勝に進出した同期の寺崎浩平選手 photo:Michinari TAKAGI
六大学の先輩、佐々木龍選手と約10年ぶりに再会 photo:Michinari TAKAGI


久しぶりの競輪場は、自分の過去のイメージを大きく上書きしてくれた。そして、当記事後半の「あなたの自転車見せてください」に登場する佐々木龍選手や、同期の寺崎浩平選手、後輩の曽我圭佑選手、大学時代に戦った戦友と大学卒業ぶりに会えて、楽しみながら取材をすることが出来た。これからも陰ながら応援しています。現場からは以上です!

近畿がレースを支配し、脇本雄太が連覇 全日本選抜競輪[GI]

昨年は豊橋で、脇本雄太(福井)による史上初のグランプリスラム達成に沸いたこのレース。今年もその脇本を含む9名の選手が準決勝を勝ち上がり、決勝へと駒を進めた。

特別選手紹介に並んだ決勝メンバー photo: Yuichiro Hosoda

当開催での勝ち星こそないものの、郡司浩平(神奈川)は、2-5-2着と安定の走りで決勝に上がってきた。前年のグランプリ覇者として今年は1番車に収まる権利を得ているため、もちろんここもそこからの発走となる。その郡司の後ろに付くのは、地元九州から唯一決勝入りした2番車の荒井崇博(長崎)。昨年の競輪祭決勝2着の雪辱を晴らしに行く。

近畿は4車連携。前で風を切るのは、5番車の寺崎浩平(福井)。昨年のオールスター競輪を制して、今年はS級S班としてGI優勝を目指す。ディフェンディングチャンピオンの脇本は3番車。昨年から続く肘の怪我の影響が今も残ると話しながらも、今年すでに2つの記念GIIIで優勝、今回も準決勝1着で勝ち上がり、寺崎の番手に付く。

決勝レースを前に、背中から自身への声援を浴びる、先頭誘導員の中川誠一郎(熊本)。2019年にこの全日本選抜競輪にも優勝している地元のスター選手だ photo: Yuichiro Hosoda

近畿3番手には9番車の古性優作(大阪)。初日は3着でその走りを0点としながらも、2日目のスタールビー賞で1着、準決勝は脇本に次ぐ2着に入り「以前の良い状態に戻った」と自身を評して決勝へ。6番車の三谷将太(奈良)も4番手として後ろを固め、近畿ラインが盤石の体制を築いた。

一方の中四国ラインは、8番車の犬伏湧也(徳島)と4番車の松浦悠士(広島)。犬伏は今年S級S班から1班に戻るも、自慢の先行力をアピールしながら準決勝1着で勝ち上がり。昨年末に地元・広島の開設記念GIIIを優勝し、以降も勝ち星を重ねて復調気配を見せる松浦が番手を固めた。7番車の山口拳矢は単騎だが、自在に走った時の切れ味こそが彼の持ち味。侮れない存在として印が打たれた。
全日本選抜競輪[GI]出走表
車番 選手名 級班
1 郡司浩平(神奈川) 99期 SS
2 荒井崇博(長崎) 82期 S1
3 脇本雄太(福井) 94期 SS
4 松浦悠士(広島) 98期 S1
5 寺崎浩平(福井) 117期 SS
6 三谷将太(奈良) 92期 S1
7 山口拳矢(岐阜) 117期 S1
8 犬伏湧也(徳島) 119期 S1
9 古性優作(大阪) 100期 SS
連日20度前後に上がった春めいた日差しの名残を受けながら、決勝レースが発走。気合充分に駆け出したのは、大外の古性優作。1番車の郡司と7番車の山口を抑えて先頭に立つと、近畿勢の上がりを待ちながら先頭誘導員の後ろを取った。

4コーナーを通過する間に三谷が古性の後ろへ、寺崎が前へと入り、直線を抜ける頃には脇本が寺崎と古性の間に入った。その後方では郡司の後ろに荒井が、最後方の中四国勢は犬伏が松浦の前に収まり、2周目の1コーナーには全体の並びが決まった。

古性優作(大阪)が郡司浩平(神奈川)と山口拳矢(岐阜)に先んじてSを取る photo: Yuichiro Hosoda
寺崎浩平(福井)が古性優作(大阪)の前に、三谷将太(奈良)が後ろに入る photo: Yuichiro Hosoda


9車が1列に並び終わり、周回を重ねる photo: Yuichiro Hosoda

⑤寺崎、③脇本、⑨古性、⑥三谷、①郡司、②荒井、⑦山口、⑧犬伏、④松浦と並んだまま周回が進み、残り3周の3コーナーにかかった辺りで寺崎が後ろを振り返りながら誘導員との車間を空けた。後方からは犬伏と松浦が動きを見せ、イエローライン付近を上昇、直線で中段まで上げて行く。しかし犬伏はここで踏み上げを止め、残り2周目の1センターで再び最後方へと番手を下げる。

それを見て、2コーナーを抜けながら寺崎が腰を上げて加速をスタート、頭を低く下げて脇本がそれに付いて行く。ジャンが鳴り終わり最終周回に入っても当初の並びから順番変わらず、1コーナー、2コーナーも寺崎先頭、1列棒状のままレースは展開。バックストレッチに入ったところで寺崎が脚を使い切ると、満を持して番手の脇本が発進。続く古性優作と共に後続を引き離していく。

残り2周回の1コーナー、中段まで位置を上げた犬伏湧也(徳島)と松浦悠士(広島)が再び車を下げていく photo: Yuichiro Hosoda
2コーナーを抜け、寺崎浩平(福井)がペースを上げる photo:Michinari TAKAGI


寺崎浩平(福井)が先頭で近畿3車を牽引しながら最終周回へ photo: Yuichiro Hosoda
最終周回のバックストレッチ、脚を使い切った寺崎浩平(福井)が下がる中、脇本雄太(福井)が加速を開始 photo: Yuichiro Hosoda


脇本雄太(福井)と古性優作(大阪)の近畿勢がバックストレッチでリードを広げる photo:Michinari TAKAGI

後方では郡司が外から捲ってくるも、近畿4番手を固めた三谷が3コーナーでこれを阻んで勢いを止める。4コーナーから直線に向けては、単騎の山口がその外から、内に進路を切り替えた荒井が追い込むも差は縮まらず、後続は横一線に。

最終的に、2車で突き抜けた脇本と古性が6車身差を付けて近畿勢がワンツーフィニッシュ、脇本雄太が先着して優勝を決めた。郡司と三谷をゴール直前にかわした山口が3着、後方で仕事をして見せた三谷が4着、タイヤ差で郡司が5着に入った。

脇本雄太(福井)と古性優作(大阪)が先行する中、後方で三谷将太(奈良)が郡司浩平(神奈川)の捲りを阻む photo:Michinari TAKAGI
最終4コーナーを立ち上がり、脇本雄太(福井)が先頭でホームストレートを駆け抜ける photo:Michinari TAKAGI


後ろが横並びになる中、脇本雄太(福井)と古性優作(大阪)が後続に6車身差を付けてワンツーフィニッシュ photo: Yuichiro Hosoda

脇本は昨年に続き、全日本選抜競輪を連覇。表彰式で先行した寺崎について聞かれると「優秀戦(2日目のスタールビー賞)ではお互い失敗したところもあって、それも踏まえたレースもしてくれたので、本当に嬉しかった」と称えた。古性とは「ゴール勝負出来ればなと思っていたので、そう出来て良かった」三谷の動きについても「しっかりラインで決めたいという意識が見えたので、それが実現出来て良かった」と話し、近畿の仲間に助けられたことを強調しつつ、自身の優勝を喜んだ。

今回で、脇本のGI優勝は11回目を数える。年間5つのGIを2回制しており、すでに1勝している競輪祭とKEIRINグランプリを再度制すれば、2度目のグランドスラムとグランプリスラムにも手が届く。近畿勢のグランプリ出場権獲得にも注力しながら、自身の次なる偉業達成も目指して駆け抜ける1年となりそうだ。

寺崎浩平(福井)の背中に手をやり、その働きを讃えながら退場していく脇本雄太(福井) photo: Yuichiro Hosoda
ラインへの感謝を交えて優勝の喜びを語った脇本雄太(福井) photo: Yuichiro Hosoda


熊本出身のコロッケさんから花束を贈られ、一緒に写真に収まる脇本雄太(福井) photo: Yuichiro Hosoda
トロフィーを手に、笑顔の脇本雄太(福井) photo: Yuichiro Hosoda


脇本雄太(福井)がガッツポーズをしながら敢闘門へと戻っていく photo: Yuichiro Hosoda
全日本選抜競輪[GI]結果
車番 選手名 級班 着差 上りタイム
1着 3 脇本雄太(福井) SS 10.8秒
2着 9 古性優作(大阪) SS 3/4車身 10.8秒
3着 7 山口拳矢(岐阜) S1 6車身 10.9秒
4着 6 三谷将太(奈良) S1 1/4車輪 11.3秒
5着 1 郡司浩平(神奈川) SS タイヤ 11.2秒
6着 2 荒井崇博(長崎) S1 1車輪 11.1秒
7着 8 犬伏湧也(徳島) S1 1/2車輪 10.7秒
8着 4 松浦悠士(広島) S1 3車身 11.0秒
9着 5 寺崎浩平(福井) SS 9車身 12.7秒

あなたの自転車見せてください 〜レジェンドの系譜・リンセイラボを駆る佐々木龍編〜

第19回目となる今回ご登場頂いたのは、佐々木龍選手(神奈川、109期)。競輪選手だった父・佐々木龍也さん(57期)を師匠とし、3兄弟とも競輪選手として活躍する佐々木家の長男だ。2009年入学の早稲田大学時代には、トラック中距離の日本代表選手として、アジア選手権のオムニアムやマディソン等で銅メダルを獲得している。

栃木のビルダーRINSEI LABのフレームを駆る佐々木選手選手(神奈川) photo: Yuichiro Hosoda

佐々木選手が駆るフレームは、レッド&シルバーのリンセイラボ。元々赤一色だったそうだが「何か変えたいなと思った時に、やってみたいカラーではあったので」と3年ほど前から2色構成にしたそう。

これはビルダーの井田倫正さんと何度か試しながら辿り着いた色で、特にシルバー部分は当初暗めのガンメタ調だったそうだが、塗装業者が途中で変わった事で今の色味になったと言い、実際見たところ「お、これいいじゃん!」と気に入ったそうだ。散りばめられたラメが異なる色同士を繋ぎ、統一感を演出しながら華やかな印象も与えている。

シルバーラメのパイプにポリッシュされたロゴが光る photo: Yuichiro Hosoda
他の所有フレームと見分けるため、シートステイブリッジにアクセントの赤を差している photo: Yuichiro Hosoda


また、佐々木選手は色をあまり変えずにフレームを作っており、そのままだと見分けが付かなくなるため「これは(シートステイ)ブリッジだけ赤にしたり、BB下の刻印を見なくてもパッとわかるように変えています」と教えてくれた。ジオメトリーは、デビュー当時に乗っていたフレームを元に徐々に変えてきているそうだが、そこまで大きく変えたところはなく、競輪用としては割とノーマルな寸法だと言う。

ふと思い出して「神山雄一郎さんと同じビルダーさんですね」と話すと、実は佐々木選手、神山さんの現役時代にそのバイクに乗らせて頂き「これいいですね」となり、「同じ寸法で作っていいですかと聞いて、素材も真似させてもらって(フレーム制作を)お願いしました」と、意外な繋がりも教えてもらった。

片切りタイプのリアハブ photo: Yuichiro Hosoda
フロントはラージフランジのハブ。スポークを結線してある photo: Yuichiro Hosoda


ステムからハンドルまで淀みなくラインが流れるセッティング photo: Yuichiro Hosoda
ソーヨーハイグリップはソフトタイプで太さはノーマル。ステム長135mm photo: Yuichiro Hosoda


ハンドル周りは深曲がりの135mmステムをハンドルと合わせ、深く遠く、フォークや前輪に体重が載るように意識してセッティング。ホワイトのソーヨーハイグリップは「最初は細いのが好きだったんですけど、気付いたら今の太さに。硬さはソフトで普通の厚み。白は手に張り付く感じが好きで使っていますが、その分すぐ乾いちゃって」と2場所くらいで交換しているそうで、「練習でも同じの使ってるとすぐ汚れちゃうので。写真撮ってもらうには汚くって…次替えようと思ってたんですけど(笑)」と、はにかんだ。

サドルのファイブゴールド7は、セッティング次第で何箇所か座れる場所を作れる点が気に入っているそう。足回りに目を移すと、前後でタイヤを変えている。前はヤスリ目パターンのソーヨーRED RIIでグリップを確保し、後ろは転がり抵抗の低減を意識してスリックタイプの同社ゴールドスターに。実際、後輪の路面に張り付く感じが、ゴールドスターの方がより少なく、当たりが軽いとのこと。

サドルはファイブゴールド7。セッティングの幅広さがポイント photo: Yuichiro Hosoda
スピードを感じさせるフォーククラウン photo: Yuichiro Hosoda


現在のクランク長は167.5mm。チェーンリングはスギノ禅51T photo: Yuichiro Hosoda
超軽量コグ、スギノ ギガス13TにD.I.Dシルバーチェーンを合わせる photo: Yuichiro Hosoda


クランク長は167.5mm。チェーンリングは、「デュラエースよりカッチリしている」と剛性高めのスギノ禅51T。D.I.D製シルバーチェーンとの組み合わせも踏み心地が良いと気に入っている。コグには「脚がないんで、とにかく軽くしたくて」と冗談交じりも拘った、スギノのギガス13T。ギガス合金を用いたそれは13Tで13gの軽さを誇る。デュラエース13Tが31gと言えば、その軽さがわかるだろう。

そしてペダルはなんと、前日からMKS ROYAL NUEVOにしたばかりだと言う。ベアリングの滑らかさには定評ある三ヶ島製作所のペダルだが、Qファクターの違いなども影響してか「デビューしてからずっと(同社の)RX-1しか使ってなかったんですけど、試してみたら好感触で。今の自分のペダリングとタイミングが合ってるなと。すごい発見です、今回」と驚きを隠さなかった。

爽やかなルックスとラインを大切にする走りでファンを魅了する佐々木選手。当開催は二次予選での敗退を悔やみながらも、「リュウ〜!」と大きな声援が飛ぶ中、ペダル交換効果も実感しながら3日目のS級選抜を1着、4日目のS級特選を2着と好成績で駆け抜けた。佐々木選手、快く取材に応じてくださり、ありがとうございました。

前日にMKS RX-1から交換したばかりと言うMKS ROYAL NUEVOを見せてくれた photo: Yuichiro Hosoda
佐々木龍選手(神奈川)は、3日目の第6レースS級選抜を1着(黒・2番車)。最終日のS級特選も2着で締めた photo: Yuichiro Hosoda


シクロワイアード撮りにも快く応じてくださった佐々木龍選手(神奈川) photo: Yuichiro Hosoda



次回は再び西へ。3月19日(木)〜22日(日)開催のGII「ウィナーズカップ」を観戦に。開催場となる山口県の防府競輪場も、2024年10月にリニューアルしたばかり。天神山の麓で繰り広げられる勝者達の闘いとともに、パンプトラックやカフェを備えた施設にも注目したい。

JKA協賛プレゼントキャンペーン第19弾
優勝選手サイン入りクオカード

公益財団法人 JKA協賛によるプレゼントキャンペーン。応募フォームにあるアンケートにお答えいただいた方の中から抽選で、大会オリジナルクオカード1枚(500円分)が5名様に当たります。今回も全日本選抜競輪を制した脇本雄太選手の直筆サインと日付が入っています。奮ってご応募ください!

サインを入れたQUOカードを手にして撮影に応じてくださった脇本雄太選手(福井) photo: Yuichiro Hosoda

応募締切:2026年3月11日(水)

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