2024/12/20(金) - 18:45
競輪場を訪ねて会場とレースの模様をお伝えする当シリーズ、今回は競輪場ではなく伊豆ベロドロームへ。トラック競技・日本ナショナルチームの拠点でもあるバンク内にて、競輪・トラック競技の太田海也選手と、日本ロードレース界が誇るトップレーサー・新城幸也選手との特別対談を行わせていただいた。
両名の共通点は、日の丸を背負う日本ナショナルチームのメンバーとして世界選手権やオリンピックで活躍しているということ。自転車と言う共通項を接点に、トラックとロードレース、2つの競技の違いに触れつつ、2人が歩んできた歴史も紐解いてもらった。太田選手が新城選手のサイン会に並んだというファーストコンタクトに始まり、種目によるトレーニングの違いや五輪への準備など、取材班の想像を遥かに超えて盛り上がった対談トークの模様を、前後編に分けて余すことなくお届けしたい。
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2人のオリンピアン、太田海也と新城幸也 photo: Yuichiro Hosoda
太田海也(25歳、121期、岡山)
競輪界若手の有望株筆頭。2022年1月20日、小倉競輪場でデビューし、初戦で完全優勝を飾ると、順調に戦績を伸ばし2023年にはヤンググランプリ優勝。デビュー当初よりトラックナショナルチームにも所属し、2024UCIネーションズカップ第1戦と第2戦でケイリン金メダル、同年の世界選手権ではケイリン銅メダルを獲得するなど活躍を見せている。
新城幸也(40歳、バーレーン・ヴィクトリアス[2024])
アンカー・エスポワール、チームバンを経てエキップアサダに所属し、国内・欧州問わず活躍。2009年のブイグテレコム所属以来グランツールに16度出場し全て完走、ツール敢闘賞2回。世界選手権に18度出場し2010年日本人史上最高位の9位獲得、五輪4大会連続出場、全日本選手権ロードレース男子エリート3度優勝など、数多の実績を誇る。2025年トスカーナファクトリー・ヴィーニファンティーニへ移籍。
新城:はい、(宿舎の)部屋の前です。そこへ入る日が同じだったんです。ちょっと早くトラックが入ってたんですよね。トラックが午前中、僕らロードはその1時間か2時間後くらい。
CW:新城選手から見た太田選手の印象はどうでした?
新城:インターネット上では見ていたのですが、思ったよりは筋肉あるなあと。色々見てて大体は想像つくんですけど、もっとしっかりしてるなと。
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伊豆ベロドロームで行われた今回の特別対談 photo: Yuichiro Hosoda
CW:選手として、あるいは人としての強みのようなものが滲み出ていたのかもしれませんんね。でも、実はそれ以前に、太田選手が新城選手のサイン会に並んだことがあると言う話を聞いたのですが...?
太田:去年の全日本選手権ロードで最後にサインしてもらいました。(新城選手を)ずっと見ていて、いちファンとして。
新城:全然気づいてなかったです(笑)。あの時はランダムのドーピング(検査)に選ばれてしまって。それで「早く行かないと」って、目の前にいる人は確認できてなかったですね(笑)。
CW:太田選手はそれが新城選手に接した最初の機会だったのですね。昔からどういう印象で新城選手を見ていたのでしょうか?
太田:競輪選手になる前から、アマチュアの時からずっとです。以前働いていたサイクルショップのテレビでチャリダー(NHKの自転車番組)が流れていて、新城さんのことを「すげえな」と思っていて。本当に憧れの選手の一人で、ちょっと近づきたいな、同じ土俵で戦いたいなと思うくらい尊敬してる選手です。
競輪選手になったのは2021年で、その前はロード選手になりたいと思ってロードの練習をやっていたんですけど、才能ないなと思って、短距離だったら良いんじゃないかと。スプリントが得意だったので、いけるかもしれないと、競輪にしました。
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太田「去年の全日本でサインもらいに行きました」新城「全然気づいてなかった(笑)」 photo: Yuichiro Hosoda
新城:それまでは普通にショップ店員からの?
太田:そうです、コロナで変わったんです。コロナで仕事に行ったりするのが全部自転車になっていたので、通勤で毎日(行き帰り)1時間ずつ乗って、プラス1日3時間ぐらいロード乗っていたんです。仕事前と後に。「1日4〜5時間くらい乗ってるんだったら、プロになったら良くない?」と思って、結果的に日本競輪選手養成所を受けました。
新城:それで1発で受かるんだからすごい。才能あるなあ。
CW:(養成所の記録会で)ゴールデンキャップを取ってますよね。
新城:(成績が良いと)ちょっと早く(養成所を)卒業できるんですよね。どれくらい早く ?
太田:普通約11ヶ月のところ、8ヶ月で出られます。
新城:それは頑張りますね(笑)
太田:近づけたって感情は全くないんですけど、同じオリンピックという、新城さんが戦う舞台で僕も戦えると言うことは大きいですし、(パリの)会場に着いて新城さんに会って、改めて今までやってきて良かったなとは思いました。本当に僕の中の指標にさせてもらってきてるので「自分が成長すれば近付いていける」と言う風にはなっています。
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太田「パリの会場で新城さんに会って、改めて今までやってきて良かったなと」 photo: Yuichiro Hosoda
CW:太田選手や、あらゆる若手選手の目標になってきた新城選手もキャリアがだいぶ長くなってきました。太田選手のように新城選手に憧れて、という若手を多く見てきたのではないでしょうか?
新城:そうですね。中でも印象的だったのは、東京に住んでいる子が一人、なぜか知らないけど、僕の出身校の八重山高校に入学しに来たんです。両親は東京に居たまま、その子一人だけ石垣に来て、僕と同じ学校に入りたいって。自転車部ないのに。ちゃんと調べてこいよと(笑)。だって僕、中高はハンドボール部で、自転車始めたの高校卒業した18歳からなんですよ。
でも僕の父がそこで(自転車を)教えていたんです。ロードで言うと新城雄大(キナンレーシングチーム)も父が教えていた一人。僕の父は農林高校の教員やってたんです。実習教員としてそこで雄大も教えていたんですけど、でも「入るところ農林高校だから」って(笑)。そういう子もいましたね。
太田:(自転車で強くなるのに)すごい環境だと思って行ったのかもしれませんね(笑)
CW:でも、そこまで目標にされているということは凄まじいことですね。若手の目標であり続ける自負は、新城選手の中で大きいのでしょうか?
新城:自負と言うよりかは、なんだろう。僕が自転車始めた時に、兄ちゃん(福島晋一さん)に誘ってもらって、まず近い目標として彼より強くなりたいとなって、その先にはまた遠い目標のツール・ド・フランスがあって(ここまで来た)。それで一つ「あそこまで行きたい」と言ってもらえるのは、やってて良かったなと思います。
スポーツって、1日の目標、1週間の目標だとか、自分の中で目標設定や自分の計画と言うのがしっかりしている必要がある。(自転車も)ただ走ってるだけじゃ強くならないんですよね。そういう部分でも、道標の一つになれたことはすごく光栄だと思います。
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新城「道標の一つになれたことはすごく光栄」 photo: Yuichiro Hosoda
新城:多分トラックの方がもっと一気にギュッときていますよね?
太田:そうですね。どんどん進歩していってると思います。トレーニングの組み立ては全部コーチが科学的に見て良いかどうかで判断してくれています。本当は個人でやらないといけないようなことも見てくれるのは、日本トラックチームの強さかなと感じますね。
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トレーニングやチームスタッフについて、真剣に語る2人 photo: Yuichiro Hosoda
CW:トラック競技では日本・世界記録がどんどん更新されていっていますが、そうした積み重ねがあってこそでしょうか?
太田:チームの総合的な強さが現れているところだと思います。それに加えて選手一人一人が愚直に取り組んでいる成果だと思います。
オーストラリアやオランダなど、トラックで強い世界のチームはこういう事をすでに5年前、10年前から初めていて、日本は出来ていなかった。そこに日本が今やっと追いつきかけているのですが、世界の人達もどんどん新しいことを取り入れている。(彼らが)どういう事をしているのか、もっといいトレーニングがあるのか、僕たちも探す必要があると感じてます。
新城:(選手やチーム)みんな何か新しいことを見つけてくるんですよ。トレーニングや機材、ニュートリション(栄養学)……何かしらどこかから情報を引っ張ってくる。トラック競技から引っ張ってきたりもありますよ。例えばバーレーン・ヴィクトリアスではイギリスの中・長距離トラックチームで働いていたトレーナーと契約していますしね。
ロード選手ではスプリンターしかしなかった筋トレですが、今は全メンバーが比較的年間を通して(指導を受ける)。シーズン後半に向けて重さを上げる回数をどうするとか、そういう事を色々説明されました。そうやって全てが日々進化しているので、心拍計とサイコンだけで走っていた10年前が信じられないです。
CW:その流れについていき、積極的に吸収してきた柔軟性も、新城選手が長くキャリアを続けられてきている理由の一つなのでしょうか?
新城:僕、どっちでもいいことはどっちでもいいんです。何食べる?と言われて「どっちでもいいよー」みたいな(笑)。チームに言われればそれに従う。良い意味で好き嫌いがない。食べ物の好き嫌いもないんですが、それはトレーニングも共通ですね。
トレーニングに関してはコーチとの出会いが重要なんです。コーチによって練習のアプローチや内容って全く違いますし、どれだけコミュニケーションを取れるかもある。僕はチームからフランス語を話すコーチをつけられるので問題ありません。僕は英語よりフランス語の方が良いので。やりとりはもう毎日毎週、3日に1回は必ずです。練習内容も変わってきているけど、強くなる上ではどれだけコーチと良い関係を持って、信用して、レベルアップしていけるかも鍵だと思います。
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太田「最先端を行く人達はどういう事をしているのか、もっといいトレーニングがあるのか、探す必要がある」 photo: Yuichiro Hosoda 
新城「どれだけコーチと関係を持って信用してレベルアップしていけるかも鍵」 photo: Yuichiro Hosoda
CW:トラックの日本ナショナルチームでも有能なコーチ陣、監督が揃っています。その辺りはいかがですか?
太田:僕は3年前にこのチームに所属して、今のコーチ、ジェイソンにしか教わってないんですけど、信頼感がすごく高い。チームに入った時から育ててもらっているというがあるので、最初の頃のインタビュー記事とかで、その信頼感を元に「もうラジコンのように動いています」って答えていたくらいです。
ジェイソンが指示したレースの、指示されたポイントで、指示されたパーセンテージで踏んで走る、みたいなのに全て従ううちに勝てる回数が増えてきた。「あ、勝てるってすごいな」となって、それが積み重なって信頼度が増して、きついトレーニングをする時にも何か意味があるのだろうなと(思えるようになった)。
CW:信じるものがあるから頑張れるわけですね。
太田:そうです。ただただきつい練習って出来ないと思うんですけど、しっかり勝てると信じているので、3年間乗り越えてこれた。だからコーチへの信頼はすごく感じてますね。
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短距離ヘッドコーチのジェイソン・ニブレット氏 photo:Satoru Kato 
世界選手権2024男子スプリント3位決定戦にて、スタート前に祈る太田海也 photo: 公益財団法人 JKA
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このレースに勝利し、太田海也は銅メダルを獲得 photo: 公益財団法人 JKA 
太田「しっかり勝てると信じているので、3年間乗り越えてこられた」 photo: Yuichiro Hosoda
新城:チームには栄養士とドクターがいるんですよね?
太田:そうですね。マッサージャーに理学療法士、コーチ、栄養士さんがいます。あとメカニックも。
新城:なるほど。それはロードと一緒ですね。
太田:(バーレーン・ヴィクトリアスでは)他に何かの専門家はいますか?
新城:例えば空力の専門家もいて。その人が合宿の際にベロドローム行き、ポジションいじったりして、何ワットか、とやったり。
僕らはチームに5、6人、ドクター、監督、コーチがいて、選手それぞれの専属になるんですよ。何かあったら自分のドクターに言ったり、レースに行く飛行機の調整などもコーチと一緒にやっていく。練習プログラムを、いつ移動するのか、移動して(いつ自転車に)乗るのかで変えていく。そう言う短期的な部分もコーチと密にやってます。
CW:今の新城選手の話もそうですし、さっきのコーチの指示もそうですし、本当に一般の人からは想像できないぐらい細かい指示がある印象です。
新城:だって、どこ走るか(トラックの)どこを走るか30cmズレたくらいで全然違うよね、選手は。
太田:そうですね。3年前初めて来た時は、このバンクに乗ることすらままならない状態だった。なのにすぐレースに出されたので、よくわからず、ただ強い人の後ろについてゴール、みたいなこともよくありました。
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和やかな雰囲気で対談は進んだ photo: Yuichiro Hosoda
太田:ええ〜、新城さんでも怖いんですね。
新城:バンクの半分までしか上がれなかった。その時はもちろんトラックバイクで。宮澤(崇史)さんと兄ちゃん(福島晋一さん)と、あと土井(雪広)さんもいた気がする。ロード選手でケイリンやった(笑)。勝ったのは宮澤さんか、兄ちゃんかな。僕はスプリントじゃ勝てないんで、最後にアタックしました。
太田:その時から色とかも変わってますよね、バンクの表面とかの...。
新城:もっと白かったですね。
太田:みんなが走って汗を流した証拠ですね。タイヤや落車の跡も...。
CW:当時のトラックパーティーは、海外の6日間レースみたいなことを模してやったんですよね。中で食事したりして。
太田:記事では見ました。本当にパーティーみたいになってましたね。レーザーとか使いながら。
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2011年、伊豆ベロドロームで行われたトラックパーティー photo: Yuichiro Hosoda 
中野浩一さん、マリオ・チポッリーニ、ジローラモさんも来場。後ろに写るバンクの色が白い photo: Yuichiro Hosoda
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ケイリンを走ったロード選手たち (c)Makoto.AYANO
CW:250mバンクは(日本競輪選手)養成所の中にもありますね。
太田:そうです。ただ、養成所の中にある250mバンクは難しいバンク。形が全然違って、(伊豆)ベロドロームって一定の間隔でずっと走れるんですが、養成所のやつはコーナーに入る前に一回落ちるんですよ。感覚的にフワッと落ちてバンて上がるので、コーナーのライン取りが難しいんです。黒いラインで走っていても、気づいたら赤いラインにいたり、ブルーバンドの場所まで落ちていたりとか。世界でも珍しいバンクですね。
CW:好きなバンクはありますか?
太田:やっぱり伊豆ベロ(ドローム)が世界でも走りやすくて好き。ここよりも走りやすいとなると、パリオリンピックで走ったバンクですね。一番タイムが出るし、走りやすいバンクです。
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パリで4度目の五輪出場となった新城幸也 photo:CorVos
新城:パリは期待してた結果ではなかった。手応え的にはもう少しいけるかなとは思ってたんですけど、まあしょうがないのかなと。でも一番楽しんだオリンピックでした。
過去出場したのは、ロンドンとリオ、東京。東京は母国開催のオリンピックなのに、(何もファンサービスできずに)ごめんなさいっていう印象がありましたね。空港に着いてそのまま隔離されて、どこも行けずに、そのままレース終わってまた空港に。ホテルは5階だったんですけど、エレベーターを使うと他のお客さんと会うから毎日裏階段。足使いましたね。ご飯は2階だったのでとにかく歩きました。リオはリオで色々あって、ファベーラって言うんですか、危ない地域もあって。行ったら分かるけど、本当にヤバかったですね。
太田:銃声も聞こえると言いますね…。
新城:奥さん(新城美和さん)の同僚のフォトグラファーも銃で撃たれて亡くなってしまった。カメラ渡さないからバーン!…て。それを考えると、パリはすごい楽しむことができました。
CW:それは、最後のオリンピックと公言していたこと、それにフランスが第2の故郷だからということでしょうか?
新城:そうですね。もう日本に住んでいるより、ヨーロッパに住んでいる方が長くなってしまいましたし。あと、パリ市内の名所をコースが通っていたので、知っている、走ったことがある所を走ると言うのはすごく(良かった)。最後にツール走ったのが2017年で、それぶりの街中だったので、走っていて、それはもう楽しかったですね。
CW:オリンピックで走ったパリの街の中は、ツールとどう違いましたか?
新城:全然違いましたね。ツールより人が多いんです。あの(モンマルトルの坂の)石畳の上りって狭いじゃないですか。だから歓声がハウリングしていて、声にモワンモワンと包まれてる感じでした。あれは久しく経験してなかったなと。誰もが経験できることじゃないですから、その時はやっぱり苦しみも忘れて、頑張れましたね。
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新城「(パリ五輪のコースを走るのは)誰もが経験できることじゃないので、その時はやっぱり苦しみも忘れて、頑張れた」 photo: Yuichiro Hosoda
CW:太田選手はパリが初めてのオリンピックでした。印象はいかがでしたか?
太田:養成所を卒業して日本代表に入った時、「お前はロサンゼルスオリンピックを目指して頑張れ」と言ってもらっていたんですけど、心の中では「絶対僕がパリ出てやる」とコッソリ思ってて。みんなよりだいぶ遅れてナショナルチームに入ったので、毎日ずっとそこだけを目指して集中していました。
本番前までに身体は最高の状態に出来上がってましたし、脚も経験値も不足しているような感覚はなくて「戦える」と思ってパリの会場入り。でもいざレースをしてみたら、3種目出場した最初の(種目であった)チームスプリントがうまく噛み合わなくて、メダルが取れそうなところで取れなかった。
最初(の種目)で取れるか取れないかは、精神的にも身体的にもすごく影響があるんです。その時はすごいポジティブな心境でレースを走っていたのですが、次が一番実力の差がわかるスプリントだった。誰が一番速いか、ハロン(200mタイムトライアル)を競うんですけど、そこで世界のトップが9秒0を出して、僕のタイムが9秒3。今までそこまでタイム差が出るとは思ってなくて、ショックが大きかった。
その動揺をずっと引きずってしまって、普段なら攻められるところを攻められなかったりして、そのままオリンピックを終えてしまった感触があります。自分としては最高の出来だったのに、精神的な部分で殻に閉じこもってしまった。
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パリ五輪男子ケイリンでの太田海也 photo:JCF
CW:その悔しさは次、でしょうか。
太田:(パリオリンピック前は)正直、次の(ロサンゼルス)オリンピックは目指さず、パリが終わった後は日本の競輪で頑張っていきたいと思ってました。でも今の感情としては、あのライバル達への恐怖感みたいなものがある状態では(ナショナルチームを)引退できない、もっと差を詰めて勝って終わりたいなって。それはやっぱりロサンゼルスの舞台でしか出来ないのかなと考えています。
CW:一瞬で決着がつく短距離種目だけに、そういった精神的な負荷は結果に出てしまうのでしょうか?
太田:そうですね。目の前に数字でパンパンって出てしまうので。(スプリントの予選の200mTTで)正直タイムが0.2秒以上を超えると絶望的なんですよね。ライバルに対して0.1秒差ならテクニック次第や相手の体調次第で勝てるんですけど、0.2秒以上開くとかなり難しい。自分は0.1秒差に収めていたかったところ、0.3秒開いてしまった。そこにショックを受けて、いつもの自分のレースができなくて…。新城さんに聞きたいんですけど、そのライバルの選手に対する絶望的な感じ、ロードでも感じますか?
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太田「今の感情としては、あのライバル達への恐怖感みたいなものがある状態では引退できない」 photo: Yuichiro Hosoda
新城:もうそんな奴しかいませんよ(笑)。だたしロードの場合はチームメイトがいる。1対1になったら、どれだけ遊び心があるか、ですかね。
まだ(太田選手は)最初のオリンピックですよね。僕も実は最初のロンドンで失敗したんです。と言うのも、もう絶対スプリント決着だと決め込んで集団待機していたんですが、結局は20人の逃げが行ってしまって、それでもうレースが終わっちゃった。それは自分が挑戦しなかったっていうのが(良くなかった)。オリンピックという特殊な環境だったこともありますね。
特に最初のオリンピックは、行ってみないと、部屋やご飯がどうなっているかわからない。でも一回経験すると、その次は全然楽になる。
次(ロサンゼルス五輪)はアメリカだからもっと生活環境は良くなると思うし、パリみたいに(会場が)小さくないはず。そういう部分では、今経験したことを忘れないことが重要です。行って「ああそうだった」じゃなく、「他の海外遠征行った時もそういう感じだったなあ」みたいな。
場数を踏んでいけば、どんな状況にあっても…まあ絶望もあるかもしれないけど、「もしかしたら」とプラスに考えることが大事だと思っていて。「これ今やばいな」と思っても「もしかしたらこいつのこれ、まぐれだったんじゃないのか?」とか「今すごいアタックしたけど、もう一回できるのかな?」とかプラスに考えて遊ぶんです。ロードの場合、力はもちろんだけど、色々テクニックでどうにでもなる。付いていったり、アタックされないよう先にアタックしてペースを作ったり、ペーシングとかで色々相手をコントロールしていける。
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新城「どんな状況にあってもプラスに考えて遊ぶ」 photo: Yuichiro Hosoda
ローテーションしてても微妙に綺麗に回らないでちょっとペースを上げたり。そしたら相手がつかなきゃいけない、やめたら相手が出なきゃいけないみたいな嫌なことをして、もう嫌がらせ大会、自分の方が弱いと。そうやって色々な技を使いながら戦っていく。ロードに関して言えば、強い者が絶対勝つわけじゃないから。
ライバルが明らかに強い数値を出していたとしても、それはその人の特定時間の強さだったりする。日本国内でも5秒、10秒、30秒、1分、3分、5分とかなら僕より強い選手はいっぱいいると思います。でも3時間走ったら、たぶん僕の方が上。だからみんなに1発の力はあっても、そういうレースをするとうまくコントロールできちゃう。
太田:やっぱり、それって経験の成せる技なのでしょうか?
新城:そう。若い頃は力で全部してやろうってなる。2013年の全日本ロードもスタートから逃げて(レースを)全部作った。ラップ15分だったかな?それをスタートからやった。「俺が一番強い」と思ったから。そういう時もあります。今は自分より強い人がいる中で、いかに上手く走るか。
自分の強みをしっかり認識していれば、負けても自分の中でプラスに考えられる。あと100mだから負けたけど、もしかしたら90mだったら勝てたかもしれない、とか。ロードであれば、そう考えるかな。
太田:ありがとうございます。めっちゃ参考にさせてもらいます。
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新城「自分の強みをしっかり認識していれば、今回負けても、自分の中でプラスに考えられる」 photo: Yuichiro Hosoda
新城:色々パターンがあります。ロンドンはツールが終わって1週間後、リオは2週間後だったんですよ、確か。東京の時は山の上で合宿してて、飛騨の上にある(飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア)。いろんな競技がそこに行っていて、陸上のトラックとかもある。そこが標高1800mで、僕らはそこよりちょっと上の温泉宿、貸切でやったんだけど、3週間合宿をして1週間前に降りてきて、で、東京へ出た。
今回(のパリ)はアンドラの自宅で、穴田(悠吾)マッサーと(市川貴大)メカニックに10日ぐらい来てもらって、しっかりメンテナンスしてパリでした。6〜7時間、270kmのレースになるので、乗り込む時間は4-5-6、4-5-6(時間)って感じだったと思います。見てみないと分からないですけど。
しっかり3〜4日練習して1日休むと言う感じなんで、1週間だと3日で1日休んで、4日やって1日休んで。3-4-5、3-5-5(時間)とかそんな感じでした。
太田:僕らは基本的にはトレーニングのメニューをチームに決めてもらって、自分で微調整しながらやる。内容としては大体1ヶ月前くらいからウエイトトレーニング。レップが少ない回数で、3回以下ぐらいになる。そのかわりにすごい高重量になっていきます。
3回でやる週があって次に2回の週、1回だけのマックスを上げる週がある。レースの2週間前ぐらいになるとウエイトはなくなって、トラックに集中する時間になります。トラックで1週間、普段の70%ぐらいのボリュームのトレーニングをこなして、最後の1週間は普段の40%ぐらい。ダッシュの本数で言えば1日2本とか。普段なら4本5本とやるのを2本で終わらせたり、選手によっては1本で終わせたりする人もいて。前日は乗る人もいればローラーだけの人もいて、この辺りは個人差があるんですけど、ダッシュした時の体の感じを見ながらコーチと話して組み立てています。
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ヤンググランプリ2023スタート前、ウォーミングアップする太田海也 photo: More CADENCE / Shutaro Mochizuki
新城:(ウォーミング)アップのメニューはあるんですか?
太田:レース前のですか?あります、20分ローラー。最初の5分ゆっくり脚回して、そうすると体が温まってくるので、15分間ぐらいちょっと強めに踏んで。踏むと心拍数が150〜160ぐらいになってきて、最後に20秒ダッシュ入れて20分休む。
その次は単発のダッシュを入れて、6秒を重たいギアで2本。また20分休んで、最後10〜12秒ぐらいのダッシュを全力で入れてレースに入ります。コミコミで大体1時間半くらいやります。レースの時間が短いので、そこでグッと入るようにやっていきます。
新城:すごい、僕らからしたら、いきなりもがいて休んだら次乗った時に足パンパンです。全開でもがいて20分止まってから乗ったら、絶対脚回らない(笑)。
太田:うわ〜、そんな感じですか。違うんですね。
新城:休むと心拍数が圧倒的に低くなるから、乳酸が除去されないで脚にまだ残ったままなんです。それで動いてよければ乳酸が一気に流れて脚パンパンになる。
太田:アップはどんな感じでやるんですか?
新城:僕らはもうTTの時しかアップしないので、ロードの時はバスから降りて、(自転車)乗ってそのままスタート。
太田:そうなんですか。怖っ!それでダッシュしてスタートしてるんですね。それは知らなかった。スタートがアップみたいな?アマチュアのレースとかだとアップして行きますけど、プロはアップしないんですね。
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全日本選手権タイムトライアル2024を走る新城幸也 photo: Yuichiro Hosoda
新城:しないです。ジャパンカップもいきなり登りだけど、あれぐらいだったら絶対に遅れないから。いきなり5kmとか10km超えるような登りだったらアップしますが、1km、2kmだったら決して遅れないからアップはしない。
でもTTの時はちゃんと20分のアップがあって、大体40分前ぐらいに乗って3分150ワット、その後メディオで3分、で最後の1分ストレスだから、ゾーン4?(160〜170くらい)やって休んで。それを3回やって、で、ゆっくりだったかな。でもレースによって違うので、それに合わせてやります。
太田:それは自分でコントロールしているんですか?
新城:いや、もうローラーにまたがったらここ(ステムやトップチューブの辺りを指して)にアップのメニューが書いてある(笑)。
太田:ええー、すごいですね!それは誰が決めてるんですか?
新城:コーチが全部決めてくれます。コースの距離とアップの時間も。何時に自転車にまたがって何時にバイクを降りるかまで書いてある。僕ら選手はそのタイムスケジュール通りに動くだけ。でも、それがいいかどうかはわかんないですよね。だって自分で考えなくなるから。携帯に来たやつを見て、何時に起きてご飯を食べて、何時に自転車に跨って…。
太田:わかります。このメニューが良いかどうか分からないっていう葛藤はいつもあります。これ、コーチから言われたことをやっているだけだけど、いいのかな?でもレースだから何も考えなくていいのかな?みたいな...。
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話尽きぬ様子の太田海也と新城幸也 photo: Yuichiro Hosoda
新城:そう。それはストレスを減らすためにはいいことだけど、ちゃんと自分でも管理できないといけない。例えばもしコーチと連絡を取れなくなったら、自分でメニューを組まなきゃいけないから。
太田:確かに。今の環境がなくなったりしたら自分でイチから作っていかないといけない。すごく今の自分には課題です。
前編はここまで。後編では、五輪に出場した後の気持ちの変化や、他競技から自転車競技へ入っていった時の事、世界選手権や日の丸を背負うことへの想いなどを聞いていきます。
JKA協賛プレゼントキャンペーン第5弾
毎回、応募フォームにあるアンケートにお答えいただいた方の中から抽選でプレゼントを行っている、公益財団法人 JKA協賛によるプレゼントキャンペーン。今回は、太田海也選手&新城幸也選手、2人の直筆サインが1枚に収められた色紙(中サイズ)を抽選でプレゼントします。
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太田海也選手と新城幸也選手、2人のサインが入った色紙をプレゼント photo: Yuichiro Hosoda
※ご応募は、お一人様1回限りとさせていただきます。複数回ご応募された場合は、抽選対象から除外となりますので、ご注意ください。
※当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。電話やメールでの当選結果のご質問にはお答えできませんので、ご了承ください。
※当サイトにおける個人情報の取り扱いについて、ご応募される前に下記のリンク先にある文章をお読みください。応募と同時に当方針に同意したものとみなされます。
→プライバシーポリシー
両名の共通点は、日の丸を背負う日本ナショナルチームのメンバーとして世界選手権やオリンピックで活躍しているということ。自転車と言う共通項を接点に、トラックとロードレース、2つの競技の違いに触れつつ、2人が歩んできた歴史も紐解いてもらった。太田選手が新城選手のサイン会に並んだというファーストコンタクトに始まり、種目によるトレーニングの違いや五輪への準備など、取材班の想像を遥かに超えて盛り上がった対談トークの模様を、前後編に分けて余すことなくお届けしたい。
選手プロフィール
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太田海也(25歳、121期、岡山)
競輪界若手の有望株筆頭。2022年1月20日、小倉競輪場でデビューし、初戦で完全優勝を飾ると、順調に戦績を伸ばし2023年にはヤンググランプリ優勝。デビュー当初よりトラックナショナルチームにも所属し、2024UCIネーションズカップ第1戦と第2戦でケイリン金メダル、同年の世界選手権ではケイリン銅メダルを獲得するなど活躍を見せている。
新城幸也(40歳、バーレーン・ヴィクトリアス[2024])
アンカー・エスポワール、チームバンを経てエキップアサダに所属し、国内・欧州問わず活躍。2009年のブイグテレコム所属以来グランツールに16度出場し全て完走、ツール敢闘賞2回。世界選手権に18度出場し2010年日本人史上最高位の9位獲得、五輪4大会連続出場、全日本選手権ロードレース男子エリート3度優勝など、数多の実績を誇る。2025年トスカーナファクトリー・ヴィーニファンティーニへ移籍。
2人の出会い
CW:本日はよろしくお願いします。まず、出会いのお話から。先ほど少し太田選手にお伺いしたのですが、二人が一緒になったのはパリ五輪が初めてだそうですね。新城:はい、(宿舎の)部屋の前です。そこへ入る日が同じだったんです。ちょっと早くトラックが入ってたんですよね。トラックが午前中、僕らロードはその1時間か2時間後くらい。
CW:新城選手から見た太田選手の印象はどうでした?
新城:インターネット上では見ていたのですが、思ったよりは筋肉あるなあと。色々見てて大体は想像つくんですけど、もっとしっかりしてるなと。
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CW:選手として、あるいは人としての強みのようなものが滲み出ていたのかもしれませんんね。でも、実はそれ以前に、太田選手が新城選手のサイン会に並んだことがあると言う話を聞いたのですが...?
太田:去年の全日本選手権ロードで最後にサインしてもらいました。(新城選手を)ずっと見ていて、いちファンとして。
新城:全然気づいてなかったです(笑)。あの時はランダムのドーピング(検査)に選ばれてしまって。それで「早く行かないと」って、目の前にいる人は確認できてなかったですね(笑)。
CW:太田選手はそれが新城選手に接した最初の機会だったのですね。昔からどういう印象で新城選手を見ていたのでしょうか?
太田:競輪選手になる前から、アマチュアの時からずっとです。以前働いていたサイクルショップのテレビでチャリダー(NHKの自転車番組)が流れていて、新城さんのことを「すげえな」と思っていて。本当に憧れの選手の一人で、ちょっと近づきたいな、同じ土俵で戦いたいなと思うくらい尊敬してる選手です。
競輪選手になったのは2021年で、その前はロード選手になりたいと思ってロードの練習をやっていたんですけど、才能ないなと思って、短距離だったら良いんじゃないかと。スプリントが得意だったので、いけるかもしれないと、競輪にしました。
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新城:それまでは普通にショップ店員からの?
太田:そうです、コロナで変わったんです。コロナで仕事に行ったりするのが全部自転車になっていたので、通勤で毎日(行き帰り)1時間ずつ乗って、プラス1日3時間ぐらいロード乗っていたんです。仕事前と後に。「1日4〜5時間くらい乗ってるんだったら、プロになったら良くない?」と思って、結果的に日本競輪選手養成所を受けました。
新城:それで1発で受かるんだからすごい。才能あるなあ。
CW:(養成所の記録会で)ゴールデンキャップを取ってますよね。
新城:(成績が良いと)ちょっと早く(養成所を)卒業できるんですよね。どれくらい早く ?
太田:普通約11ヶ月のところ、8ヶ月で出られます。
新城:それは頑張りますね(笑)
追いかけられる存在として
CW:そんな憧れの存在だった新城選手に対して、今、大きく見れば同じ日本ナショナルチームのメンバーになりました。近づけたな、という感触はありますか?太田:近づけたって感情は全くないんですけど、同じオリンピックという、新城さんが戦う舞台で僕も戦えると言うことは大きいですし、(パリの)会場に着いて新城さんに会って、改めて今までやってきて良かったなとは思いました。本当に僕の中の指標にさせてもらってきてるので「自分が成長すれば近付いていける」と言う風にはなっています。
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CW:太田選手や、あらゆる若手選手の目標になってきた新城選手もキャリアがだいぶ長くなってきました。太田選手のように新城選手に憧れて、という若手を多く見てきたのではないでしょうか?
新城:そうですね。中でも印象的だったのは、東京に住んでいる子が一人、なぜか知らないけど、僕の出身校の八重山高校に入学しに来たんです。両親は東京に居たまま、その子一人だけ石垣に来て、僕と同じ学校に入りたいって。自転車部ないのに。ちゃんと調べてこいよと(笑)。だって僕、中高はハンドボール部で、自転車始めたの高校卒業した18歳からなんですよ。
でも僕の父がそこで(自転車を)教えていたんです。ロードで言うと新城雄大(キナンレーシングチーム)も父が教えていた一人。僕の父は農林高校の教員やってたんです。実習教員としてそこで雄大も教えていたんですけど、でも「入るところ農林高校だから」って(笑)。そういう子もいましたね。
太田:(自転車で強くなるのに)すごい環境だと思って行ったのかもしれませんね(笑)
CW:でも、そこまで目標にされているということは凄まじいことですね。若手の目標であり続ける自負は、新城選手の中で大きいのでしょうか?
新城:自負と言うよりかは、なんだろう。僕が自転車始めた時に、兄ちゃん(福島晋一さん)に誘ってもらって、まず近い目標として彼より強くなりたいとなって、その先にはまた遠い目標のツール・ド・フランスがあって(ここまで来た)。それで一つ「あそこまで行きたい」と言ってもらえるのは、やってて良かったなと思います。
スポーツって、1日の目標、1週間の目標だとか、自分の中で目標設定や自分の計画と言うのがしっかりしている必要がある。(自転車も)ただ走ってるだけじゃ強くならないんですよね。そういう部分でも、道標の一つになれたことはすごく光栄だと思います。
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トレーニングの進歩、選手を支えるチームスタッフについて
CW:ただ走ってるだけでは強くならないとおっしゃいました。トレーニングの進化も10年前、15年前とは大きく異なりますよね。トレーニングの内容や補給もシステマチックに、科学的になってきていますが、その最前線に立ってきた新城選手はどう感じているのでしょうか?新城:多分トラックの方がもっと一気にギュッときていますよね?
太田:そうですね。どんどん進歩していってると思います。トレーニングの組み立ては全部コーチが科学的に見て良いかどうかで判断してくれています。本当は個人でやらないといけないようなことも見てくれるのは、日本トラックチームの強さかなと感じますね。
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CW:トラック競技では日本・世界記録がどんどん更新されていっていますが、そうした積み重ねがあってこそでしょうか?
太田:チームの総合的な強さが現れているところだと思います。それに加えて選手一人一人が愚直に取り組んでいる成果だと思います。
オーストラリアやオランダなど、トラックで強い世界のチームはこういう事をすでに5年前、10年前から初めていて、日本は出来ていなかった。そこに日本が今やっと追いつきかけているのですが、世界の人達もどんどん新しいことを取り入れている。(彼らが)どういう事をしているのか、もっといいトレーニングがあるのか、僕たちも探す必要があると感じてます。
新城:(選手やチーム)みんな何か新しいことを見つけてくるんですよ。トレーニングや機材、ニュートリション(栄養学)……何かしらどこかから情報を引っ張ってくる。トラック競技から引っ張ってきたりもありますよ。例えばバーレーン・ヴィクトリアスではイギリスの中・長距離トラックチームで働いていたトレーナーと契約していますしね。
ロード選手ではスプリンターしかしなかった筋トレですが、今は全メンバーが比較的年間を通して(指導を受ける)。シーズン後半に向けて重さを上げる回数をどうするとか、そういう事を色々説明されました。そうやって全てが日々進化しているので、心拍計とサイコンだけで走っていた10年前が信じられないです。
CW:その流れについていき、積極的に吸収してきた柔軟性も、新城選手が長くキャリアを続けられてきている理由の一つなのでしょうか?
新城:僕、どっちでもいいことはどっちでもいいんです。何食べる?と言われて「どっちでもいいよー」みたいな(笑)。チームに言われればそれに従う。良い意味で好き嫌いがない。食べ物の好き嫌いもないんですが、それはトレーニングも共通ですね。
トレーニングに関してはコーチとの出会いが重要なんです。コーチによって練習のアプローチや内容って全く違いますし、どれだけコミュニケーションを取れるかもある。僕はチームからフランス語を話すコーチをつけられるので問題ありません。僕は英語よりフランス語の方が良いので。やりとりはもう毎日毎週、3日に1回は必ずです。練習内容も変わってきているけど、強くなる上ではどれだけコーチと良い関係を持って、信用して、レベルアップしていけるかも鍵だと思います。
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CW:トラックの日本ナショナルチームでも有能なコーチ陣、監督が揃っています。その辺りはいかがですか?
太田:僕は3年前にこのチームに所属して、今のコーチ、ジェイソンにしか教わってないんですけど、信頼感がすごく高い。チームに入った時から育ててもらっているというがあるので、最初の頃のインタビュー記事とかで、その信頼感を元に「もうラジコンのように動いています」って答えていたくらいです。
ジェイソンが指示したレースの、指示されたポイントで、指示されたパーセンテージで踏んで走る、みたいなのに全て従ううちに勝てる回数が増えてきた。「あ、勝てるってすごいな」となって、それが積み重なって信頼度が増して、きついトレーニングをする時にも何か意味があるのだろうなと(思えるようになった)。
CW:信じるものがあるから頑張れるわけですね。
太田:そうです。ただただきつい練習って出来ないと思うんですけど、しっかり勝てると信じているので、3年間乗り越えてこれた。だからコーチへの信頼はすごく感じてますね。
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新城:チームには栄養士とドクターがいるんですよね?
太田:そうですね。マッサージャーに理学療法士、コーチ、栄養士さんがいます。あとメカニックも。
新城:なるほど。それはロードと一緒ですね。
太田:(バーレーン・ヴィクトリアスでは)他に何かの専門家はいますか?
新城:例えば空力の専門家もいて。その人が合宿の際にベロドローム行き、ポジションいじったりして、何ワットか、とやったり。
僕らはチームに5、6人、ドクター、監督、コーチがいて、選手それぞれの専属になるんですよ。何かあったら自分のドクターに言ったり、レースに行く飛行機の調整などもコーチと一緒にやっていく。練習プログラムを、いつ移動するのか、移動して(いつ自転車に)乗るのかで変えていく。そう言う短期的な部分もコーチと密にやってます。
CW:今の新城選手の話もそうですし、さっきのコーチの指示もそうですし、本当に一般の人からは想像できないぐらい細かい指示がある印象です。
新城:だって、どこ走るか(トラックの)どこを走るか30cmズレたくらいで全然違うよね、選手は。
太田:そうですね。3年前初めて来た時は、このバンクに乗ることすらままならない状態だった。なのにすぐレースに出されたので、よくわからず、ただ強い人の後ろについてゴール、みたいなこともよくありました。
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はじめてのバンク/同じようで違う250バンク
新城:僕がバンク走ったのは、ここ(伊豆ベロドローム)のこけら落としです。そう、トラックパーティー。2011年でしたね。チポリーニが来た時。あれが最初で最後です。めっちゃ怖かったですね。太田:ええ〜、新城さんでも怖いんですね。
新城:バンクの半分までしか上がれなかった。その時はもちろんトラックバイクで。宮澤(崇史)さんと兄ちゃん(福島晋一さん)と、あと土井(雪広)さんもいた気がする。ロード選手でケイリンやった(笑)。勝ったのは宮澤さんか、兄ちゃんかな。僕はスプリントじゃ勝てないんで、最後にアタックしました。
太田:その時から色とかも変わってますよね、バンクの表面とかの...。
新城:もっと白かったですね。
太田:みんなが走って汗を流した証拠ですね。タイヤや落車の跡も...。
CW:当時のトラックパーティーは、海外の6日間レースみたいなことを模してやったんですよね。中で食事したりして。
太田:記事では見ました。本当にパーティーみたいになってましたね。レーザーとか使いながら。
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CW:250mバンクは(日本競輪選手)養成所の中にもありますね。
太田:そうです。ただ、養成所の中にある250mバンクは難しいバンク。形が全然違って、(伊豆)ベロドロームって一定の間隔でずっと走れるんですが、養成所のやつはコーナーに入る前に一回落ちるんですよ。感覚的にフワッと落ちてバンて上がるので、コーナーのライン取りが難しいんです。黒いラインで走っていても、気づいたら赤いラインにいたり、ブルーバンドの場所まで落ちていたりとか。世界でも珍しいバンクですね。
CW:好きなバンクはありますか?
太田:やっぱり伊豆ベロ(ドローム)が世界でも走りやすくて好き。ここよりも走りやすいとなると、パリオリンピックで走ったバンクですね。一番タイムが出るし、走りやすいバンクです。
オリンピックを振り返って
CW:お二人に共通の事と言えば、やはり五輪代表という点。過去の五輪を振り返ってみて、それぞれの大会のことを教えてもらいたいのですが。
新城:パリは期待してた結果ではなかった。手応え的にはもう少しいけるかなとは思ってたんですけど、まあしょうがないのかなと。でも一番楽しんだオリンピックでした。
過去出場したのは、ロンドンとリオ、東京。東京は母国開催のオリンピックなのに、(何もファンサービスできずに)ごめんなさいっていう印象がありましたね。空港に着いてそのまま隔離されて、どこも行けずに、そのままレース終わってまた空港に。ホテルは5階だったんですけど、エレベーターを使うと他のお客さんと会うから毎日裏階段。足使いましたね。ご飯は2階だったのでとにかく歩きました。リオはリオで色々あって、ファベーラって言うんですか、危ない地域もあって。行ったら分かるけど、本当にヤバかったですね。
太田:銃声も聞こえると言いますね…。
新城:奥さん(新城美和さん)の同僚のフォトグラファーも銃で撃たれて亡くなってしまった。カメラ渡さないからバーン!…て。それを考えると、パリはすごい楽しむことができました。
CW:それは、最後のオリンピックと公言していたこと、それにフランスが第2の故郷だからということでしょうか?
新城:そうですね。もう日本に住んでいるより、ヨーロッパに住んでいる方が長くなってしまいましたし。あと、パリ市内の名所をコースが通っていたので、知っている、走ったことがある所を走ると言うのはすごく(良かった)。最後にツール走ったのが2017年で、それぶりの街中だったので、走っていて、それはもう楽しかったですね。
CW:オリンピックで走ったパリの街の中は、ツールとどう違いましたか?
新城:全然違いましたね。ツールより人が多いんです。あの(モンマルトルの坂の)石畳の上りって狭いじゃないですか。だから歓声がハウリングしていて、声にモワンモワンと包まれてる感じでした。あれは久しく経験してなかったなと。誰もが経験できることじゃないですから、その時はやっぱり苦しみも忘れて、頑張れましたね。
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CW:太田選手はパリが初めてのオリンピックでした。印象はいかがでしたか?
太田:養成所を卒業して日本代表に入った時、「お前はロサンゼルスオリンピックを目指して頑張れ」と言ってもらっていたんですけど、心の中では「絶対僕がパリ出てやる」とコッソリ思ってて。みんなよりだいぶ遅れてナショナルチームに入ったので、毎日ずっとそこだけを目指して集中していました。
本番前までに身体は最高の状態に出来上がってましたし、脚も経験値も不足しているような感覚はなくて「戦える」と思ってパリの会場入り。でもいざレースをしてみたら、3種目出場した最初の(種目であった)チームスプリントがうまく噛み合わなくて、メダルが取れそうなところで取れなかった。
最初(の種目)で取れるか取れないかは、精神的にも身体的にもすごく影響があるんです。その時はすごいポジティブな心境でレースを走っていたのですが、次が一番実力の差がわかるスプリントだった。誰が一番速いか、ハロン(200mタイムトライアル)を競うんですけど、そこで世界のトップが9秒0を出して、僕のタイムが9秒3。今までそこまでタイム差が出るとは思ってなくて、ショックが大きかった。
その動揺をずっと引きずってしまって、普段なら攻められるところを攻められなかったりして、そのままオリンピックを終えてしまった感触があります。自分としては最高の出来だったのに、精神的な部分で殻に閉じこもってしまった。
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CW:その悔しさは次、でしょうか。
太田:(パリオリンピック前は)正直、次の(ロサンゼルス)オリンピックは目指さず、パリが終わった後は日本の競輪で頑張っていきたいと思ってました。でも今の感情としては、あのライバル達への恐怖感みたいなものがある状態では(ナショナルチームを)引退できない、もっと差を詰めて勝って終わりたいなって。それはやっぱりロサンゼルスの舞台でしか出来ないのかなと考えています。
CW:一瞬で決着がつく短距離種目だけに、そういった精神的な負荷は結果に出てしまうのでしょうか?
太田:そうですね。目の前に数字でパンパンって出てしまうので。(スプリントの予選の200mTTで)正直タイムが0.2秒以上を超えると絶望的なんですよね。ライバルに対して0.1秒差ならテクニック次第や相手の体調次第で勝てるんですけど、0.2秒以上開くとかなり難しい。自分は0.1秒差に収めていたかったところ、0.3秒開いてしまった。そこにショックを受けて、いつもの自分のレースができなくて…。新城さんに聞きたいんですけど、そのライバルの選手に対する絶望的な感じ、ロードでも感じますか?
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新城:もうそんな奴しかいませんよ(笑)。だたしロードの場合はチームメイトがいる。1対1になったら、どれだけ遊び心があるか、ですかね。
まだ(太田選手は)最初のオリンピックですよね。僕も実は最初のロンドンで失敗したんです。と言うのも、もう絶対スプリント決着だと決め込んで集団待機していたんですが、結局は20人の逃げが行ってしまって、それでもうレースが終わっちゃった。それは自分が挑戦しなかったっていうのが(良くなかった)。オリンピックという特殊な環境だったこともありますね。
特に最初のオリンピックは、行ってみないと、部屋やご飯がどうなっているかわからない。でも一回経験すると、その次は全然楽になる。
次(ロサンゼルス五輪)はアメリカだからもっと生活環境は良くなると思うし、パリみたいに(会場が)小さくないはず。そういう部分では、今経験したことを忘れないことが重要です。行って「ああそうだった」じゃなく、「他の海外遠征行った時もそういう感じだったなあ」みたいな。
場数を踏んでいけば、どんな状況にあっても…まあ絶望もあるかもしれないけど、「もしかしたら」とプラスに考えることが大事だと思っていて。「これ今やばいな」と思っても「もしかしたらこいつのこれ、まぐれだったんじゃないのか?」とか「今すごいアタックしたけど、もう一回できるのかな?」とかプラスに考えて遊ぶんです。ロードの場合、力はもちろんだけど、色々テクニックでどうにでもなる。付いていったり、アタックされないよう先にアタックしてペースを作ったり、ペーシングとかで色々相手をコントロールしていける。
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ローテーションしてても微妙に綺麗に回らないでちょっとペースを上げたり。そしたら相手がつかなきゃいけない、やめたら相手が出なきゃいけないみたいな嫌なことをして、もう嫌がらせ大会、自分の方が弱いと。そうやって色々な技を使いながら戦っていく。ロードに関して言えば、強い者が絶対勝つわけじゃないから。
ライバルが明らかに強い数値を出していたとしても、それはその人の特定時間の強さだったりする。日本国内でも5秒、10秒、30秒、1分、3分、5分とかなら僕より強い選手はいっぱいいると思います。でも3時間走ったら、たぶん僕の方が上。だからみんなに1発の力はあっても、そういうレースをするとうまくコントロールできちゃう。
太田:やっぱり、それって経験の成せる技なのでしょうか?
新城:そう。若い頃は力で全部してやろうってなる。2013年の全日本ロードもスタートから逃げて(レースを)全部作った。ラップ15分だったかな?それをスタートからやった。「俺が一番強い」と思ったから。そういう時もあります。今は自分より強い人がいる中で、いかに上手く走るか。
自分の強みをしっかり認識していれば、負けても自分の中でプラスに考えられる。あと100mだから負けたけど、もしかしたら90mだったら勝てたかもしれない、とか。ロードであれば、そう考えるかな。
太田:ありがとうございます。めっちゃ参考にさせてもらいます。
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オリンピック前やレース前の準備について
CW:準備段階はどうですか?五輪や世界選に入っていく前の準備で、どういう組み立てをして入ってきたのか、と言うのはなかなか聞かないので、お聞かせ頂ければと。新城:色々パターンがあります。ロンドンはツールが終わって1週間後、リオは2週間後だったんですよ、確か。東京の時は山の上で合宿してて、飛騨の上にある(飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア)。いろんな競技がそこに行っていて、陸上のトラックとかもある。そこが標高1800mで、僕らはそこよりちょっと上の温泉宿、貸切でやったんだけど、3週間合宿をして1週間前に降りてきて、で、東京へ出た。
今回(のパリ)はアンドラの自宅で、穴田(悠吾)マッサーと(市川貴大)メカニックに10日ぐらい来てもらって、しっかりメンテナンスしてパリでした。6〜7時間、270kmのレースになるので、乗り込む時間は4-5-6、4-5-6(時間)って感じだったと思います。見てみないと分からないですけど。
しっかり3〜4日練習して1日休むと言う感じなんで、1週間だと3日で1日休んで、4日やって1日休んで。3-4-5、3-5-5(時間)とかそんな感じでした。
太田:僕らは基本的にはトレーニングのメニューをチームに決めてもらって、自分で微調整しながらやる。内容としては大体1ヶ月前くらいからウエイトトレーニング。レップが少ない回数で、3回以下ぐらいになる。そのかわりにすごい高重量になっていきます。
3回でやる週があって次に2回の週、1回だけのマックスを上げる週がある。レースの2週間前ぐらいになるとウエイトはなくなって、トラックに集中する時間になります。トラックで1週間、普段の70%ぐらいのボリュームのトレーニングをこなして、最後の1週間は普段の40%ぐらい。ダッシュの本数で言えば1日2本とか。普段なら4本5本とやるのを2本で終わらせたり、選手によっては1本で終わせたりする人もいて。前日は乗る人もいればローラーだけの人もいて、この辺りは個人差があるんですけど、ダッシュした時の体の感じを見ながらコーチと話して組み立てています。
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新城:(ウォーミング)アップのメニューはあるんですか?
太田:レース前のですか?あります、20分ローラー。最初の5分ゆっくり脚回して、そうすると体が温まってくるので、15分間ぐらいちょっと強めに踏んで。踏むと心拍数が150〜160ぐらいになってきて、最後に20秒ダッシュ入れて20分休む。
その次は単発のダッシュを入れて、6秒を重たいギアで2本。また20分休んで、最後10〜12秒ぐらいのダッシュを全力で入れてレースに入ります。コミコミで大体1時間半くらいやります。レースの時間が短いので、そこでグッと入るようにやっていきます。
新城:すごい、僕らからしたら、いきなりもがいて休んだら次乗った時に足パンパンです。全開でもがいて20分止まってから乗ったら、絶対脚回らない(笑)。
太田:うわ〜、そんな感じですか。違うんですね。
新城:休むと心拍数が圧倒的に低くなるから、乳酸が除去されないで脚にまだ残ったままなんです。それで動いてよければ乳酸が一気に流れて脚パンパンになる。
太田:アップはどんな感じでやるんですか?
新城:僕らはもうTTの時しかアップしないので、ロードの時はバスから降りて、(自転車)乗ってそのままスタート。
太田:そうなんですか。怖っ!それでダッシュしてスタートしてるんですね。それは知らなかった。スタートがアップみたいな?アマチュアのレースとかだとアップして行きますけど、プロはアップしないんですね。
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新城:しないです。ジャパンカップもいきなり登りだけど、あれぐらいだったら絶対に遅れないから。いきなり5kmとか10km超えるような登りだったらアップしますが、1km、2kmだったら決して遅れないからアップはしない。
でもTTの時はちゃんと20分のアップがあって、大体40分前ぐらいに乗って3分150ワット、その後メディオで3分、で最後の1分ストレスだから、ゾーン4?(160〜170くらい)やって休んで。それを3回やって、で、ゆっくりだったかな。でもレースによって違うので、それに合わせてやります。
太田:それは自分でコントロールしているんですか?
新城:いや、もうローラーにまたがったらここ(ステムやトップチューブの辺りを指して)にアップのメニューが書いてある(笑)。
太田:ええー、すごいですね!それは誰が決めてるんですか?
新城:コーチが全部決めてくれます。コースの距離とアップの時間も。何時に自転車にまたがって何時にバイクを降りるかまで書いてある。僕ら選手はそのタイムスケジュール通りに動くだけ。でも、それがいいかどうかはわかんないですよね。だって自分で考えなくなるから。携帯に来たやつを見て、何時に起きてご飯を食べて、何時に自転車に跨って…。
太田:わかります。このメニューが良いかどうか分からないっていう葛藤はいつもあります。これ、コーチから言われたことをやっているだけだけど、いいのかな?でもレースだから何も考えなくていいのかな?みたいな...。
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新城:そう。それはストレスを減らすためにはいいことだけど、ちゃんと自分でも管理できないといけない。例えばもしコーチと連絡を取れなくなったら、自分でメニューを組まなきゃいけないから。
太田:確かに。今の環境がなくなったりしたら自分でイチから作っていかないといけない。すごく今の自分には課題です。
前編はここまで。後編では、五輪に出場した後の気持ちの変化や、他競技から自転車競技へ入っていった時の事、世界選手権や日の丸を背負うことへの想いなどを聞いていきます。
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提供:公益財団法人 JKA 聞き手:So Isobe text&photo: Yuichiro Hosoda