暑さの中にも吹く風涼しくなりし秋口、北陸新幹線に乗り込んだ筆者は、我が郷里・長野を通過して福井競輪場へとGII・共同通信社杯競輪の取材に向かった。9月14日(日)、15日(月祝)と、前回のオールスター競輪に続き2日間の取材日程。本場の様子を決勝レース開催日を中心にお伝えしていく。
福井県は一般的には北陸地方だが、競輪における区分は近畿。今年グランプリスラムを達成した脇本雄太選手や、先日オールスター競輪でGIを初制覇した寺崎浩平選手と言ったトップレーサーも所属しているため、当記事をご覧になっている読者の皆さんにとっては、言わずもがなかもしれない。

福井駅西口。壁面には大きな恐竜壁画が描かれている photo: Yuichiro Hosoda

福井駅構内にはフクイラプトルの全身骨格が photo: Yuichiro Hosoda 
駅西口を出ると、スコミムスの恐竜ロボットが見える photo: Yuichiro Hosoda
国内の恐竜化石の約8割が発掘されており、恐竜王国の名が付く福井。多くの恐竜たちが出迎えるJR福井駅から路線バスやタクシーに乗ると、10分前後で本場へ到着する。今年で開設70周年を迎える福井競輪場の周長は400m。日本競輪選手養成所のバンクをモデルにして作られており、見なし直線の距離は52.8m。逃げ、差し、捲りのどの決まり手も展開次第で決めやすいとされる。
なお現在、福井競輪場は開催日程を調整しながら大規模改修工事を実施しており、本年7月14日には1コーナー付近にあるサイクルシアターが改修され、リニューアルオープンしている。この後は、9月の開催終了後にバンクや有料観覧席のある中央スタンドなどの改修工事に入る予定だ。

共同通信社杯競輪 決勝開催日、快晴の福井競輪場 photo: Yuichiro Hosoda

福井競輪場正門。厚みがあり、せり出した屋根が特徴 photo: Yuichiro Hosoda 
地元・福井の脇本雄太選手のグランプリスラム達成や寺崎浩平選手のオールスター競輪優勝を祝うタペストリーが下がる中央コンコース photo: Yuichiro Hosoda

恐竜射的や恐竜輪投げなどに夢中になっていた子供達 photo: Yuichiro Hosoda 
恐竜バッテリーカーも大人気 photo: Yuichiro Hosoda

全長4mの恐竜が登場!歩く恐竜を子供達が追いかけた photo: Yuichiro Hosoda
正門を入って右手の屋外ステージ横には、恐竜射的に恐竜輪投げ、レプリカを用いた化石発掘体験と、恐竜ブースが立ち並ぶ。決勝開催日の15日に至っては、なんと全長4mの恐竜までもが登場。場内を練り歩き、それに子供と親御さん達がはしゃぎながら追いかけると言う光景が繰り広げられた。恐竜パワー、まさに恐るべし。
恐竜以外も抜かりがない。いまだ30度を超える気候に、競輪場ではおなじみのチャリ氷が控える。競輪選手会福井支部の皆さんが、涼を提供していた。このかき氷システムについては「自分が来る以前からあるので、どなたが作ったのかわからなくて。壊れたら直せない気がします…」と福井支部長の鷲田幸司選手。でも、自転車メンテナンスの知識豊富な競輪選手やビルダーさんが協力したら、きっと直せます!

おなじみ競輪選手会のチャリ氷。涼を求めてここにも子供達が詰めかけた photo: Yuichiro Hosoda 
お相手をしてくださった、競輪選手会福井支部長の鷲田幸司選手 photo: Yuichiro Hosoda

両切りのリアハブが仲介して、かき氷機に動力を伝えている photo: Yuichiro Hosoda 
クランクの付いたかき氷機でガリガリと氷を削っていく photo: Yuichiro Hosoda
食事は中央コンコースの隣にある食堂へ。ここは古き良き競輪場の雰囲気そのままの場所だ。取材で場内を歩き回って空腹につき、しっかり食べたかった筆者は、2件あるうちの丼物のある店舗へ。ご高齢の女性店員さん達が切り盛りするこの店舗、選んだのは玉子カツ丼。まずは注文、と奥に見えた女将さんに声をかけるも、どうやら声が届かなかった模様。隣に居た方が「ここはね、ノンビリ待つのがいいんだよ。それも味でね」と教えてくれた。「ここは改修されたらどうなりますかねえ」「優先的に新しい所に入れるんじゃないかなあ」と会話しながら待つこと数分。女将さんが近くに来たタイミングで再び声掛けトライ。お代を渡しながら注文出来た。
ここから他の皆さんの注文が届くのを見ながら腕時計に目をやる。あと10分で撮影したいレースの発走時刻だ…。唐突に焦りが出てきた。丁度その時、店員さんから「忘れてないよ」と目配せ。さらに待つこと数分、空腹と時間に支配された私の目の前についにカツ丼が現れた。ご飯にも出汁がしっかり染みていて美味しい!美味しいけど、じっくり味わう時間がない(笑)。出汁とお茶の勢いを借り、腹にご飯を叩き込む。店員の皆さんに「ごちそうさまでした!ここにお椀置いときます!」と挨拶をして足早にバンクへと向かった。

正門から中央コンコースに入らずに右の広場を抜けるとたどり着く、昔ながらの雰囲気漂う食堂 photo: Yuichiro Hosoda

「もうすぐだからね」と言いながらご飯をよそう女将さん photo: Yuichiro Hosoda 
ついにやって来た玉子カツ丼をマッハでいただく photo: Yuichiro Hosoda
地元県勢は脇本雄太(福井)が準決勝で敗れるも、先日オールスター競輪でGI初制覇を決めた寺崎浩平(福井)に加え、小森貴大(福井)が勝ち上がり3番車と6番車に。

決勝レーススタートに向け、旗が振られる photo: Yuichiro Hosoda 
スモークに包まれながら、決勝出場選手達が敢闘門から登場 photo: Yuichiro Hosoda

5レース後の選手紹介では、決勝進出選手達が乗ってきたバイクも並んだ photo: Yuichiro Hosoda
近畿は「(前日の)12レースを終えた後は(福井勢と)100:0で別線のつもりだった」と1番車に入った古性優作(大阪)が悩ましい胸中を語るも、最終的に古性とともに9番車の南修二(大阪)と4番車の三谷将太(奈良)が福井勢に加わり5車結束。中でも人気は、初の特別競輪優勝を狙う南修二からの車券に。
対する他地域4名は、それぞれが単騎を選択。2番車・嘉永泰斗(熊本)、5番車・太田海也(岡山)、7番車・深谷知広(静岡)、8番車・野田源一(福岡)が近畿の牙城をいかに崩すか。決戦直前までファンの頭を悩ませることとなった。
福井県は一般的には北陸地方だが、競輪における区分は近畿。今年グランプリスラムを達成した脇本雄太選手や、先日オールスター競輪でGIを初制覇した寺崎浩平選手と言ったトップレーサーも所属しているため、当記事をご覧になっている読者の皆さんにとっては、言わずもがなかもしれない。



国内の恐竜化石の約8割が発掘されており、恐竜王国の名が付く福井。多くの恐竜たちが出迎えるJR福井駅から路線バスやタクシーに乗ると、10分前後で本場へ到着する。今年で開設70周年を迎える福井競輪場の周長は400m。日本競輪選手養成所のバンクをモデルにして作られており、見なし直線の距離は52.8m。逃げ、差し、捲りのどの決まり手も展開次第で決めやすいとされる。
なお現在、福井競輪場は開催日程を調整しながら大規模改修工事を実施しており、本年7月14日には1コーナー付近にあるサイクルシアターが改修され、リニューアルオープンしている。この後は、9月の開催終了後にバンクや有料観覧席のある中央スタンドなどの改修工事に入る予定だ。



恐竜たちがキッズを沸かす 食事は昔ながらの常設食堂へ
前述の通り、福井は恐竜王国としてその名を馳せる。そして、子供は恐竜が好きだ。昔に比べると家族連れが増えた競輪場。しかしここは規模が違った。恐竜を活かしたアトラクションをふんだんに用いて、親に、と言うよりはキッズに引っ張られて?家族連れが場内にどっと押し寄せていた。


正門を入って右手の屋外ステージ横には、恐竜射的に恐竜輪投げ、レプリカを用いた化石発掘体験と、恐竜ブースが立ち並ぶ。決勝開催日の15日に至っては、なんと全長4mの恐竜までもが登場。場内を練り歩き、それに子供と親御さん達がはしゃぎながら追いかけると言う光景が繰り広げられた。恐竜パワー、まさに恐るべし。
恐竜以外も抜かりがない。いまだ30度を超える気候に、競輪場ではおなじみのチャリ氷が控える。競輪選手会福井支部の皆さんが、涼を提供していた。このかき氷システムについては「自分が来る以前からあるので、どなたが作ったのかわからなくて。壊れたら直せない気がします…」と福井支部長の鷲田幸司選手。でも、自転車メンテナンスの知識豊富な競輪選手やビルダーさんが協力したら、きっと直せます!




食事は中央コンコースの隣にある食堂へ。ここは古き良き競輪場の雰囲気そのままの場所だ。取材で場内を歩き回って空腹につき、しっかり食べたかった筆者は、2件あるうちの丼物のある店舗へ。ご高齢の女性店員さん達が切り盛りするこの店舗、選んだのは玉子カツ丼。まずは注文、と奥に見えた女将さんに声をかけるも、どうやら声が届かなかった模様。隣に居た方が「ここはね、ノンビリ待つのがいいんだよ。それも味でね」と教えてくれた。「ここは改修されたらどうなりますかねえ」「優先的に新しい所に入れるんじゃないかなあ」と会話しながら待つこと数分。女将さんが近くに来たタイミングで再び声掛けトライ。お代を渡しながら注文出来た。
ここから他の皆さんの注文が届くのを見ながら腕時計に目をやる。あと10分で撮影したいレースの発走時刻だ…。唐突に焦りが出てきた。丁度その時、店員さんから「忘れてないよ」と目配せ。さらに待つこと数分、空腹と時間に支配された私の目の前についにカツ丼が現れた。ご飯にも出汁がしっかり染みていて美味しい!美味しいけど、じっくり味わう時間がない(笑)。出汁とお茶の勢いを借り、腹にご飯を叩き込む。店員の皆さんに「ごちそうさまでした!ここにお椀置いときます!」と挨拶をして足早にバンクへと向かった。



ベテラン南修二がビッグ初制覇 共同通信社杯競輪[GII]決勝
雨が降ったり止んだりを繰り返して高湿度だった前日の空模様を経て、快晴となった決勝開催日の福井。スタンドには場内のファンが集結し、決勝となる第11レースのスタートを待った。地元県勢は脇本雄太(福井)が準決勝で敗れるも、先日オールスター競輪でGI初制覇を決めた寺崎浩平(福井)に加え、小森貴大(福井)が勝ち上がり3番車と6番車に。



近畿は「(前日の)12レースを終えた後は(福井勢と)100:0で別線のつもりだった」と1番車に入った古性優作(大阪)が悩ましい胸中を語るも、最終的に古性とともに9番車の南修二(大阪)と4番車の三谷将太(奈良)が福井勢に加わり5車結束。中でも人気は、初の特別競輪優勝を狙う南修二からの車券に。
対する他地域4名は、それぞれが単騎を選択。2番車・嘉永泰斗(熊本)、5番車・太田海也(岡山)、7番車・深谷知広(静岡)、8番車・野田源一(福岡)が近畿の牙城をいかに崩すか。決戦直前までファンの頭を悩ませることとなった。
出走表
車番 | 選手名 | 期別 | 級班 |
---|---|---|---|
1 | 古性優作(大阪) | 100期 | SS |
2 | 嘉永泰斗(熊本) | 113期 | S1 |
3 | 寺崎浩平(福井) | 117期 | S1 |
4 | 三谷将太(奈良) | 92期 | S1 |
5 | 太田海也(岡山) | 121期 | S1 |
6 | 小森貴大(福井) | 111期 | S2 |
7 | 深谷知広(静岡) | 96期 | S1 |
8 | 野田源一(福岡) | 81期 | S1 |
9 | 南修二(大阪) | 88期 | S1 |
号砲鳴って駆け出したのは、1番車の古性と5番車の太田。外と内で1コーナー入口付近まで競り合うも。古性が前に出て、Sを取った。
1周目を走るうちに近畿の三谷、小森、南が上昇。南が古性の後ろを伺ううちに、さらに外から寺崎が上がり、2周目1センター過ぎには古性が寺崎を前に、南を後ろへと迎え入れた。これにより寺崎、古性、南、三谷、小森の近畿ラインが完成。その後ろに太田、野田、深谷、嘉永の単騎勢が着いた。

古性優作(大阪)と太田海也(岡山)がSを獲るべく競り合う photo: Yuichiro Hosoda 
Sを獲ったのは古性優作(大阪)。近畿勢の上がりを待つ photo: Yuichiro Hosoda

2周目の1センター付近で並びが一列に落ち着く photo: Yuichiro Hosoda
3周目の2コーナーまでこの態勢が続くも、ここから動いたのは深谷知広。これに連れて嘉永泰斗、さらには野田源一も上げていく。そして3コーナーに入る頃には、深谷が先頭の寺崎の横に到達。しかしここで寺崎、古性、南ら近畿ラインが順に外への牽制を入れる。
ホームストレッチで互いを見合いながら寺崎と深谷が共に加速するが、赤板・残り2周の1コーナーに入って寺崎が深谷をブロック。怯んだ深谷の前に被せるように古性が外へやや持ち出すと、深谷は一旦後退していく。後続の嘉永と野田もすでに最後方に引いており、この時点で近畿5車の隊列を崩すには至らず。

青板の2センターへと差し掛かる頃に深谷知広(静岡)が先頭の寺崎浩平(福井)に並びかける photo: Yuichiro Hosoda 
先頭誘導員がコースから離れる中、深谷知広(静岡)と寺崎浩平(福井)が先頭で競り合う photo: Yuichiro Hosoda

1コーナーを抜け、深谷知広(静岡)が一旦番手を下げていく photo: Yuichiro Hosoda 
近畿5車が前のまま、最終周回へと向かう直線に差し掛かる photo: Yuichiro Hosoda
この近畿勢の支配は2センターを過ぎるまで続くも、4コーナーを立ち上がるタイミングで満を持して太田が加速を開始。最終周回の1コーナーで南と三谷の牽制を受けるも、それを諸共せずに番手を上げていく。
しかし、古性は太田が並びかけた瞬間にこの進出をブロック。一旦は外に弾き出された太田だが、踏み直して食い下がる。古性は太田とその後ろに迫る嘉永の動きを見て、3コーナーに入ったところで、再び外への牽制を見せると、太田が前輪をこれに取られて落車。これを避けきれず、後方にいた野田が巻き込まれて落車を喫した。

寺崎浩平(福井)が先頭で最終周回へ。古性優作(大阪)が外から来る太田海也(岡山)を警戒する photo: Yuichiro Hosoda 
2コーナーで古性優作(大阪)が太田海也(岡山)をブロックし、進出を阻む photo: Yuichiro Hosoda

3コーナー入ってすぐ、古性優作(大阪)の外への動きを受けて太田海也(岡山)と野田源一(福岡)が落車。煽りを受けた嘉永泰斗(熊本)、深谷知広(静岡)が大きく外へ膨らむ photo: Yuichiro Hosoda 
直線に入り、南修二(大阪)が寺崎浩平(福井)の横から伸びてくる photo: Yuichiro Hosoda
古性も同時に南の横まで後退し、先頭の寺崎と南との車間が空く。ここから南が「これ以上待つと(勝ちが)なくなるかなと思って、インから行かせてもらった」と、4コーナーから徐々に寺崎の後ろに迫ると、直線で外に持ち出して寺崎の横へ。フィニッシュライン直前に寺崎を差し切り、1着でフィニッシュ。当開催の優勝を決めた。
3着にもその後ろから外へ持ち出した三谷が入り、近畿勢が確定板を独占。落車の煽りを受けて大外を回ることとなった嘉永が単騎勢では最先着し4着、さらに外から来た深谷が5着。6着には古性が入線したものの、審議後に落車の原因を作ったとされ失格となり、7着の小森が繰り上がり6着。落車後に再乗して入線した野田と太田がそれぞれ7、8着となった。

フィニッシュライン直前で南修二(大阪)が寺崎浩平(福井)を差し切り、ビッグレース初制覇を遂げた photo: Yuichiro Hosoda
44歳にしてビッグタイトルを獲った南、「ラインとしては5車を活かして、もうちょっと僕とか動けたら良かったのかなと思います。海也が来た時にちょっと抵抗出来たのかな」と道中の動きについて振り返るも「怪我もあったりしたけれど、苦労という風に感じたことはありません」とここまでの道のりについて表情を崩さず語った。
南は、今回の優勝で賞金を大きく上積みして9300万円台に。これにより賞金ランキングが8位から7位へと浮上。自身初のKEIRINグランプリ出場に向け視界が開けてきた。

微かに表情を緩めつつ勝利者インタビューに応える南修二(大阪) photo: Yuichiro Hosoda 
南修二(大阪)が賞金ボードを受け取り、掲げる photo: Yuichiro Hosoda

ガッツポーズをしながら敢闘門へと向かう南修二(大阪) photo: Yuichiro Hosoda

仲間たちに胴上げされる南修二(大阪) photo: Yuichiro Hosoda 
祝福に訪れた村上義弘さんとともにガッツポーズで写真に収まる南修二(大阪) photo: Yuichiro Hosoda
1周目を走るうちに近畿の三谷、小森、南が上昇。南が古性の後ろを伺ううちに、さらに外から寺崎が上がり、2周目1センター過ぎには古性が寺崎を前に、南を後ろへと迎え入れた。これにより寺崎、古性、南、三谷、小森の近畿ラインが完成。その後ろに太田、野田、深谷、嘉永の単騎勢が着いた。



3周目の2コーナーまでこの態勢が続くも、ここから動いたのは深谷知広。これに連れて嘉永泰斗、さらには野田源一も上げていく。そして3コーナーに入る頃には、深谷が先頭の寺崎の横に到達。しかしここで寺崎、古性、南ら近畿ラインが順に外への牽制を入れる。
ホームストレッチで互いを見合いながら寺崎と深谷が共に加速するが、赤板・残り2周の1コーナーに入って寺崎が深谷をブロック。怯んだ深谷の前に被せるように古性が外へやや持ち出すと、深谷は一旦後退していく。後続の嘉永と野田もすでに最後方に引いており、この時点で近畿5車の隊列を崩すには至らず。




この近畿勢の支配は2センターを過ぎるまで続くも、4コーナーを立ち上がるタイミングで満を持して太田が加速を開始。最終周回の1コーナーで南と三谷の牽制を受けるも、それを諸共せずに番手を上げていく。
しかし、古性は太田が並びかけた瞬間にこの進出をブロック。一旦は外に弾き出された太田だが、踏み直して食い下がる。古性は太田とその後ろに迫る嘉永の動きを見て、3コーナーに入ったところで、再び外への牽制を見せると、太田が前輪をこれに取られて落車。これを避けきれず、後方にいた野田が巻き込まれて落車を喫した。




古性も同時に南の横まで後退し、先頭の寺崎と南との車間が空く。ここから南が「これ以上待つと(勝ちが)なくなるかなと思って、インから行かせてもらった」と、4コーナーから徐々に寺崎の後ろに迫ると、直線で外に持ち出して寺崎の横へ。フィニッシュライン直前に寺崎を差し切り、1着でフィニッシュ。当開催の優勝を決めた。
3着にもその後ろから外へ持ち出した三谷が入り、近畿勢が確定板を独占。落車の煽りを受けて大外を回ることとなった嘉永が単騎勢では最先着し4着、さらに外から来た深谷が5着。6着には古性が入線したものの、審議後に落車の原因を作ったとされ失格となり、7着の小森が繰り上がり6着。落車後に再乗して入線した野田と太田がそれぞれ7、8着となった。

44歳にしてビッグタイトルを獲った南、「ラインとしては5車を活かして、もうちょっと僕とか動けたら良かったのかなと思います。海也が来た時にちょっと抵抗出来たのかな」と道中の動きについて振り返るも「怪我もあったりしたけれど、苦労という風に感じたことはありません」とここまでの道のりについて表情を崩さず語った。
南は、今回の優勝で賞金を大きく上積みして9300万円台に。これにより賞金ランキングが8位から7位へと浮上。自身初のKEIRINグランプリ出場に向け視界が開けてきた。





共同通信社杯競輪[GII] 結果
着 | 車番 | 選手名 | 級班 | 着差 | 上りタイム |
---|---|---|---|---|---|
1着 | 9 | 南修二(大阪) | S1 | 11.2秒 | |
2着 | 3 | 寺崎浩平(福井) | S1 | 3/4車身 | 11.5秒 |
3着 | 4 | 三谷将太(奈良) | S1 | 微差 | 11.2秒 |
4着 | 2 | 嘉永泰斗(熊本) | S1 | 3/4車身 | 11.2秒 |
5着 | 7 | 深谷知広(静岡) | S1 | 1/2車身 | 11.1秒 |
6着 | 6 | 小森貴大(福井) | S2 | 2車身 | 11.3秒 |
7着 | 8 | 野田源一(福岡) | S1 | 落車再乗 | |
8着 | 5 | 太田海也(岡山) | S1 | 落車再乗 | |
失格 | 1 | 古性優作(大阪) | SS | 失格押上げ(入線順位:6) |
あなたの自転車見せてください 〜GI&GII計6勝、S級S班・郡司浩平編〜
ついに競輪界の頂点に君臨するS級S班の選手が初登場!神奈川所属のナイスガイ・郡司浩平選手にバイクをご紹介頂いた。S級S班は2100人以上いる男子競輪選手のうち、毎年9人しか所属することが出来ない、競輪界のトップカテゴリー。その中で郡司選手は、全日本選抜競輪を2度、競輪祭を1度制し、GIを計3回優勝。GIIもこの共同通信社杯競輪を過去2度優勝し、ウィナーズカップと合わせ計3回の優勝を遂げている、紛うことなきトップスターだ。

そんな郡司選手が当開催で駆ったフレームはマキノ。実は、昨年全日本選抜競輪を優勝した頃は、同じカラーリングのブリヂストンに乗っていた。フレームごとに塗装を変更する選手も多い中、統一されたカラーリングを続けている。まずはこれらについて、その理由を尋ねてみた。
郡司選手によると、元々はマキノ製のフレームを長年使っており、ブリヂストンも定期的に作って乗ってみたりと、何台も制作した上で試しながら、と言うのが現実のようだ。

フレームを変えて乗るのは、調子よりも感覚の部分が大きいと言う。「フレームごと、メーカーさんごとに特色も全然違うので、一緒で作ったつもりでも全く別の乗り物なので、そこはレースで乗りながら、より良い方へと選択しています。トップのレースではスピードレースが多いので、スピード域が高い所からでももうひと加速出来るようなイメージで、フレームを作っているつもりですね」
マキノに注文する際は、以前乗っていたフレームの寸法等を基調として「もうちょっとこうしたい、もっとこうしようとかで判断したり、あとは質問して、専門的なアドバイスを頂いて、自分なりに考えて作っています」とのこと。

フレームのベースカラーは、プロになる前は青系統だったそうで、それはかつて競輪選手であった父・盛夫さん(元50期、神奈川)のカラーリングの影響もあって、と言う。最初に赤系のフレームを作った時は「自分のオリジナリティとして赤のフレームに乗ってみたい」と言う想いがあり、盛夫さんの色違い的な存在として、こうしたと言う。
他の色について聞くと「作ったことはあるんですけど、出来上がってきて箱を開けた時にあまりテンション上がらなくて。だったらずっとこのカラーリングでいいやと(笑)」なったのだそう。
そのシルバーからレッドへのグラデーションも加えた美しいカラーリングは「メッキ調で、ラメも少し多めに入れて、ナイターではキラキラした感じになるので、気に入っています」決して拘りなしに完成したものではない事が、言葉からも伝わってきた。
サドルは年季が入ったカシマックスのファイブゴールド。「僕は新品のサドルの感覚があまり得意ではなくて、自分のお尻とか脚の形に馴染んだサドルが良くて。もうこのサドルは完全にその形状になっていて、正直なかなか変えられない、というのが現状ですね」


ハンドルにはソーヨー ハイグリップ ソフトを装着。その名の通り通常より柔らかい握りの製品だが「僕はその方がより力が入ると言うか、力が絞れるので。他にはなかなかないので、気に入っています」
ドライブトレインに目をやると、ギアは47✕12Tの組み合わせ。これを長い間使っていると言う。以前に大きい55T(✕14T)や、51T(✕13T)を使った上で、「これより小さいギア倍数を使っていた時も、前が小さい方が自分のペダリングと言うか、踏んだ時と進んだ時の感覚がかなり合っているので」とその理由を教えてくれた。
クランク長はスタンダードな165mmをチョイス。より大きなギアをかけていた頃は伸ばした事もあったそうだが、現時点の走りであれば、伸ばす必要はないと感じているようだ。




最後に注目したのはハブ。前がダイアコンペ グランコンペ プロ、後ろがシマノ デュラエースと前後変えてある。これも色々試した中で、「前はこれ、後ろはこれ」とより良い選択を行った結果と言う。「スポークテンションの硬さも車輪によって変えています。現状だとこれが一番自分に合っているなと言う感覚です」
郡司選手は前日のS級選抜を1着で終えると、この日の第7レース・S級特選は、岩本俊介選手(千葉)、近藤保選手(千葉)と南関東ラインを組み、岩本選手1着、郡司選手2着とワンツーフィニッシュで当開催を締めくくった。そのレース直後で汗もまだ滴る中、郡司選手は爽やかな表情で質問にお答え下さった。ありがとうございました。



JKA協賛プレゼントキャンペーン第15弾
共同通信社杯競輪 優勝選手サイン入りクオカード
公益財団法人 JKA協賛によるプレゼントキャンペーン。応募フォームにあるアンケートにお答えいただいた方の中から、 大会オリジナルクオカード1枚(500円分)を抽選で5名様にプレゼント。今回の共同通信社杯競輪を制し、GII初優勝を遂げた南修二選手の直筆サイン入りです。奮ってご応募ください!
※ご応募は、お一人様1回限りとさせていただきます。複数回ご応募された場合は、抽選対象から除外となりますので、ご注意ください。
※当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。電話やメールでの当選結果のご質問にはお答えできませんので、ご了承ください。
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