2021/03/15(月) - 13:32
7日目 高知市〜江川崎 走行距離:130.54 km、獲得標高: 844m
四国一周サイクリングも7日目。ついに一週間が経つ。ホントは一週間ぐらいで帰るつもりでいたけど、間に合うように帰ろうと決めていたビジネスショーがコロナの影響で中止との連絡がメールで届いた。また予定が無くなってしまった。なのでもう1週間ぐらい旅を続けてもいいですかね?(笑)昨夜は早く休もうと思っていたけど、ブログ代わりのフェイスブックに旅日記を書いたり、色々な仕事のメールが入ったりで、また夜更かししてしまった。やはり日常の仕事がなかなか切り離せない。旅日記を書くのは楽しいけど、毎日疲れているし、夜はビールを飲んで気持ち良く酔っ払っているからぜんぜん余裕が無い。疲れで書きながら寝落ちしてしまう。その日何があったか忘れないように旅日記を書いておくのは大事なのだけど...。
ホテルで朝食をすませ、高知市街を離れて海へ向けて南下。昨日桂浜から北上した道を逆にたどって太平洋に出て、桂浜花街道を西へと向かう。今日も今夜の宿は未定の「なんとかなるさ旅」。自由と引き換えにスリル有り。今日も天気が良くてあったかい。
須崎へと向かう。海沿いの横波黒潮ラインはアップダウンが多いのと、今までに何度か走っているので、敢えて内海沿いのルートをとることに。海岸線はクネクネと回り込み、直線距離方向には進みが悪いけど、のどかな景色が楽しめる。
道沿いにぽんかんや文旦(ぶんたん)の無人スタンドがいっぱいあるが、安くても一人で買える量じゃないのが惜しいところ。段々畑では収穫に活躍するモノラックを見つける。モノラックとは、みかんを運搬するモノレール式の業務用運搬コンテナ。小学生の頃、愛媛ではTVコマーシャルをやってたなぁ。高知でも使われているんですね。
海沿いの河口の町、須崎ではゆるキャラの「カワウソのしんじょう君」がローソンの屋根にデデンと鎮座していた。ちゃんとローソンの縦縞の制服を着ていたけど、CI的にローソンはそれでいいのかな?(笑)。
須崎市を流れる新荘川では2012年に最後のニホンカワウソが目撃されたことでの「しんじょう君」。しかし残念ながら発見のその翌月、ニホンカワウソは絶滅してしまう。しんじょう君はそんなニホンカワウソをモチーフにゆるキャラとして誕生した。それ以来、しんじょう君は友だちのカワウソを探し続けているそうだ。
ほっこりしていた時、東京の友人からメッセージで、ツール・ド・おきなわの本島一周サイクリングで知り合った自転車仲間の訃報が入る。なんてことだ。一気に気持ちが重くなった。悲しいが今は何もできない。太平洋の眺められるところで自転車を停め、沖縄方向に向かって合掌した。
海を眺める高台にあるJR安和駅は、目の前が安和海岸と海という四国屈指の絶景駅だ。平安時代に安和(あんな、あんわ)年間(968年~970年)があったことから、元号と同じ駅というマニアックな鉄道ファンに注目される駅にもなっているそうだ。誰も居ない、列車も来ない駅のホームでしばし海を眺めて和む。インスタスポットとしてはまだ有名にはなってないようだけど、愛媛の下灘駅みたいに今後ブレイクするかもしれない。
お昼は国道沿いの食堂 遊ゆう安和で須崎名物の鍋焼きラーメンをいただく。すでに汗ばむ暖かさになったので昨日までの寒さで食べたかったところだが、土鍋で煮たラーメンはなかなか美味かった。地元の人で賑わう素朴な食堂は正解だった。
高知の友人から「安和から先は海岸線の細道(320号線)を行くのが雰囲気が良い」と勧められてローカル道を走ることを楽しみにしていたが、崩落の復旧工事で3月下旬まで通行止め。仕方なく56号線でトンネルの峠越えの道を行くことに。
海を離れて七子峠(標高287m)の長い6kmの登りへ。「四国のみち」に指定されている歩道の遍路道が別ルートで山の中についているけど、56号から見る限りは険しそうだった。峠からは遥か遠くに須崎と太平洋が見渡せる。この七子峠が海沿いに回る四国一周の最難所だろうか。
七子峠を下って四万十町(=旧窪川)へ向かう。JR仁井田駅は高1生のときの初の四国一周サイクリングで駅寝をした思い出の駅舎。宿が少ないこのエリアで、友人3人と駅構内のベンチで寝た。そのベンチを懐かしく再訪。駅舎は白く塗り替えられてたけど、なにもかもが当時のまま。
夏なのに涼しかったけど、マットを持ってなかったから木のベンチは背中が痛くてよく眠れなかったという思い出。あの頃は「ステーションホテル」とか言って駅のホームで寝るのが旅チャリダーの一種の通過儀礼だった。思えば無茶したもんだ。
道の駅あぐり窪川では名産のゆずを使ったマフィン、ドリンク、豆乳プリンでおやつタイム。コンビニでパンでも食べれば安上がりなんだけど、やはり地元産の美味しいスウィーツで小腹を満たせば、体の芯からその土地を味わうことができる気がする。
窪川からいよいよ「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川への旅が始まる。
海沿いを離れ、ここからは四万十川沿いの381号線を遡上する。下流域はクネクネと蛇行を繰り返す大河で、四万十らしくなるのは中流域の先から。下流の平らに近くてスピードに乗ってクネクネをこなして走るのは気持ち良い。平均30km/hで高速走行。信号もなく、道も広い。きれいな川を眺めながら飛ばせる。ここが四国じゅうでもっとも気持ちよく走りに集中できる区間かもしれない。勾配はほとんど無い。
次々と現れる沈下橋。雨や嵐で増水したとしても流れにあらがわないように欄干を配した簡素な橋がこのエリアのシンボル的存在。四万十川全域で47ある沈下橋のうちの11橋くらいを見ただろうか。
今日の宿は江川崎にあるホテル星羅四万十(せいらしまんと)。お遍路サイクリングの時はふさわしくないと素通りしてきた憧れのホテルだが、「今日こそは星羅四万十に泊まろう」と頑張って飛ばした。時間ギリギリだったけど日暮れ寸前で到着できて良かった。
ここ江川崎は支流の広見川との合流点であり、上流の集落や下流の中村(四万十市)への拠点の 小さな町。海からは遠いが、四国一周サイクリングでは「ぜひ訪れて欲しいエリア」として推奨ルートに組み込まれている。
今日は高知を発って以来、ずっと海沿いにクネクネ、川沿いにクネクネと、一日中クネクネ道を走った。訃報を受けた亡き友を想って走っていたから、おちゃらけセルフィーはゼロ。追悼の気持ちを込めて走らせてもらった。
ホテルのチェックイン時に四国一周サイクリング事務局からの配布物である感染防止キットとしてマスクと消毒スプレーのセット、そしてホテルからスポーツドリンクのプレゼントをいただいたのが嬉しかった。
川の眺められる温泉で身体と心の疲れを癒やし、夕食は鮎や青さ海苔、鰹のタタキなどが満載の四万十御膳をいただく。白ご飯が弾力があってあまりに美味くて、パクパクと3杯もおかわりしてしまった。今日立ち寄った仁井田で穫れる米は全国に誇れるブランド米になっているし、高知のお米は一味違う。
明日は四万十市にかけて下るごとに風景が素朴になる四万十らしいエリアへ。四万十市でアウトドアガイドをやっている友人に案内してもらう予定だ。連絡してみると、四万十川中流の沈下橋のたもとで待ち合わせようとなった。なんだか面白い遊びを考えてくれているようだ。
この旅の写真はすべてスマホ(iPhone12pro)で撮影しています。
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写真と文:綾野 真、取材協力:愛媛県自転車新文化推進協会