2021/03/04(木) - 14:04
思い立って四国一周サイクリング1,000kmに挑戦することにした。コロナでサイクルイベントもレースも無くなり、時間ができたこともある。いや、それ以上に何かをしたかった。したいことが思うようにできない不満か、息詰まりにも似た閉塞感か。離れた人とさえ満足に会えない日々。何もできないわけじゃない。でも、今できることをしよう。そんな思いが発端だった。
仕事の予定もキャンセルが相次いでいたことで、まとまった時間が取れる気がした。何年も仕事優先で長い休みをとっていなかったこともあり、職場の仲間にはワガママを聞いてもらい、ひとり旅に出ることにした。自分を見直すいいきっかけと時間になればいいと思って。1,000kmへの挑戦というより、気ままな一人旅がしたかった。
輪行バッグを抱えて松山空港に飛んだ。帰路の予約は入れていない。帰る日も決めず、仕事上帰る必要が出るまで旅を続けられればと思った。一度に一周できなくても、何回かに分けてできればと。
旅の始点に愛媛県を選んだのは、愛媛が県をあげて四国一周サイクリングのプロモーションに取り組んでいるから。それだけにサイクリストへの応援は手厚く、松山空港では輪行を解く専用スペースとしてポンプを備えたサイクルステーションやおもてなしコーナーがあり、畳敷きの部屋でサイクルウェアに着替えられ、輪行に使用した輪行バッグやダンボール箱などを無料で預かってくれるサービス(7日間)まである。
そして何より四国一周チャレンジの特設サイトでエントリーすればサイクルジャージがもらえ、四国一周を完走した暁には証明書や記念メダルも発行してくれるのだ(詳しくは記事下部で)。
実は筆者、高校1年生のときに友だちと3人で夏休みに四国一周サイクリングにチャレンジして、行程の半分の高知で熱中症で倒れ、断念した苦い思い出がある。数えればじつに37年ぶり。再び四国一周に挑戦してみようか。
最近はバイクパッキングという手法が主流になり、ツーリング専用自転車でなくてもキャリア無しでバッグ類を取り付けることができるようになった。つまりロードバイクに荷物を積んで旅をすることができるようになり、泊りがけツーリングのハードルは一気に下がった。そうしたバッグ類は4年前に購入して持ってはいたが、使う機会がずっと無かった。いや、仕事があることを理由にまとまった日数の休みを作ろうとしてこなかったのだ。
しかし思い立ったが吉日。我ながら旅を実行に移すまでのスピードは驚くほど早かった。出発日を決めてネットで格安航空券を購入。予定を決めず、宿の予約も無し。荷造りだけは念入りに。行ってしまえばなんとかなるさ! である。
羽田から松山までの朝のフライトの機上からは、さっそく日差しにきらめくしなまみ海道と来島海峡大橋など、瀬戸内海の素晴らしい風景が楽しめた。
松山空港のサイクルステーションで輪行を解いて自転車を組み立て、「おもてなしコーナー」の畳敷きの更衣室でサイクルウェアに着替え、インフォメーションカウンターで輪行バッグを預かってもらう。そんな用意があることが嬉しい。
松山市内に向かい、その日は市中心部のビジネスホテル「松山ニューグランドホテル」に投宿することに。
ホテルのレンタサイクル(ママチャリ)でぶらり街ポタを楽しみ、松山城にリフトで登った。えひめ観光物産館を訪ねて、愛媛と四国各県の観光パンフレットなどをもらって情報収集。お約束の「蛇口からみかんジュース」を楽しんだ。
その夜はタオルだけ持って路面電車に乗って道後温泉に行き、入浴。現在は本館の改築工事が進んでいるが、入浴は可能。日本最古の歴史あるお風呂を楽しんだ。
3千年の歴史があるといわれる道後温泉。明治の改築から125年を超える本館は今、保存修理のための工事が進んでいる。重要文化財の公衆浴場を営業しながら保存修理をするのは日本初のこと。工事期間は本館西面に漫画家・手塚治虫の「火の鳥」を描いた日除け幕がかけられ、夜はライトアップが施されるなどの 道後REBORNプロジェクトが実施されている。本館の裏側には巨大なラッピングアートも施されているから、ぜひ裏までぐるりと回ってみることをおススメします。
夜は大街道近くの郷土料理 五志喜で鯛めしや五色素麺、鶏の唐揚げ「せんざんき」をいただき、その美味しさに舌鼓。「この旅はグルメも毎日追求するぞ!」と気分を盛り上げた。
翌朝、スタート前にしまなみ海道サイクリングや四国一周サイクリングを推進する愛媛県自転車新文化推進協会を訪ねて愛媛県庁に立ち寄ると、担当の河上さん、山中さんらに迎えられ、なんと特製看板でスタート前の記念撮影もさせてもらった。行政がサイクリストを応援するのが愛媛県。県庁の正面での記念撮影はちょっと気恥ずかしかったが、これからの孤独なひとり旅を前にして盛大なスタートになった。
初日は松山からしまなみ海道は大三島まで。つまりさっそく四国一周推奨ルートを外れての寄り道だ。松山市街を抜ける道路にはさっそくブルーラインが引かれ、四国一周ルート表示が現れる。この路面ピクトには要所までの区間距離と方向が示され、頼もしい道案内となる。
ひとつめの道の駅「風早の郷 風和里(ふわり)」で四国一周スタンプカードに押印。このカードにスタンプを集めることで四国一周の証明データとして提出することもできるのだ(私はGPSサイコンの走行ログデータの提出を選びました)。
196号線が海沿いになると、さっそく私が四国でもっとも好きな風景になる。しけることのない穏やかな海に、島々が浮かぶのどかな瀬戸内の風景は平和そのもの。菊間町は瓦の町で、道沿いの瓦工場を走り抜けるだけで面白い。
今治に入ってプロサイクリストの門田基志さん(ジャイアント)が合流してくれた。今治在住で、かつて台湾一周サイクリングも走った仲。愛媛のサイクリング文化発展のために尽力する、南海放送で人気のサイクリング番組のメインキャストとして知らない人は居ない地元スターだ。今日は途中までボクに合わせてMTBで一緒に走ってくれると言う(笑)。
寒さが続いた愛媛もこの日から本来の温暖さに戻り、「ぬくい(暖かい)」サイクリング日和に。造船所エリアを抜けてしまなみ海道の入り口、サンライズ糸山サイクリングターミナルにできた新しいSHIMANAMIモニュメントの前で記念写真。「クラウンブリッジ(王冠のような橋)」を臨む「風のレストラン」でパノラマを楽しみながらレベルの高い洋食ランチを楽しむ。
しまなみ海道の寄り道は、明日の昼までに大島、伯方島、大三島と巡って戻ってくる予定。門田さんにはまず来島海峡大橋が望める亀老山展望台への案内をお願いした。この展望台から来島海峡を眺めるパノラマは素晴らしいが、頂上への勾配は厳しく、標高308mまで登るので行きたい人は覚悟してください。この日は風があり、黄砂の影響で海に架かる橋は少し霞んで見えた。
ブルーラインを外れて走る島の外周路はクルマが少なく、海をすぐ横に感じる島の道。陽光に煌めく穏やかな海を眺めながら走れば、しまなみ海道の人気の高さはすぐに分かる。なんというのどかさ。心が軽くなる。
のどかな旅が楽しめる島めぐりのサイクリング。大島では人気のカフェCAFE SHOZANに立ち寄る。海を眺めるテラスとワーケーションさえ可能な書斎やブックスペースのある手造り一軒家のカフェでカフェラテをいただく。海を眺めながら時間の流れをゆっくりと楽しめる。
日没時刻が近づいたので門田さんとは伯方島でお別れ。ボクは一路、大三島を目指した。島と島をつなぐ橋はいずれも自転車の通行料は無料になっていて、サイクリストを歓迎してくれる。ブルーラインに沿って走るのもいいが、外周路を回ればよりひなびた島の素顔に触れられる。
大三島には古来日本総鎮守の大山祇神社がある。境内には大楠があり、いつも参拝の人が絶えない。でもすでに夕刻のため今回の参拝は見送り。宿に行く前に付近の散策をすることに。
神社の近くにある参道エリアの、元法務局を改修したカフェ大三島みんなの家を訪問。島の食材を使ったスイーツやコーヒー、大三島産ワインを楽しめる、島の人とお話ができる寛ぎスペースで、地元のフレンドリーな奥さん方の雑談に混ぜてもらい、井戸端会議のような楽しい時間を過ごした。ここはカフェと言うより居心地のいい歓談場かな?(笑)。しまなみ海道周辺のオススメスポットをいくつも教えてもらった。やっぱり地元の人のアンテナに適うモノ無し。
ところでこの大三島みんなの家のカフェは2021年3月いっぱいで営業を終了し、今後は「大三島みんなのワイナリー」のオフィス、ワイン販売所、イベントスペースとして利用されるという。それもまた楽しみだ。
お次はそのすぐ近くの小さなビール工場、大三島ブリュワリーを訪問。地元の美味しい素材を利用した大三島ならではのビールが楽しめることで評判。サイクリストへのアルコール提供は飲酒運転になるため行っていないが、お持ち帰り用のペットボトルでの購入サービスがあるのが嬉しいところ。今日のお宿はすぐ近くなので、オミシマエール500mlを940円でお持ち帰り。晩酌でゆっくり味わうことにした。
初日のお宿は旅館さわきに投宿。お魚料理で人気の宿として知られる超人気旅館だが、じつは以前からtwitterで旅館さわきの若旦那が、サイクリストに対するおもてなしについて投稿していることに興味を持ち、いつか泊まりたいと思っていた宿だったのだ。
到着して案内されたのがその自転車部屋。愛車を安心して置ける保管スペースには、バイクラックや修理のための専用工具やメンテナンス用品が揃えられ、まさにサイクリストウェルカムな用意が整っていた。このバイク保管スペースこそが若旦那がtwitterで呼びかけ、サイクリストの声を聞いて整えたものだ。
また、チェックインの際には四国一周サイクリング事務局が配布しているマスクと除菌アルコールスプレーのセットをいただいた。1,000kmチャレンジに賛同する「おもてなしサポーター」の宿でサイクリストにプレゼントされるようだ。
夜は卓いっぱいに並ぶ海の幸に大仰天。少し奮発して舟盛りつきプランをお願いしたのだが、来島鯛や高級魚アコウ(ハタ)、オコゼ、サザエなど、次々に運ばれてくる瀬戸内海の魚料理の数々に、まさに文字通り「挑んだ」(笑)。そのどれもが美味しく、本当にお腹がはち切れそうになりながら平らげた。若旦那は「今日は大きすぎる鯛しか手に入らなくって」と笑っていた。美人でフレンドリーな若女将は「わぁ、ぜんぶ完食されたんですね!すごい!」と驚いていた(なんでやねん!笑)。それぐらいのすごい量なんです...。つくづく瀬戸内の魚文化は侮れない。
夜はあったかい布団で気持ちよく眠りについた、と言いたいところだけど、お腹いっぱいで苦しくて、しばらく寝付けなかった。さわきに泊まる際には空腹ぺこぺこで臨むこと。そして若旦那自ら行う魚の仕入れの関係上、早めの予約が吉です。
ちなみにしまなみ海道の情報収集にはポータルサイトのしまなみJAPANなどを参照することがオススメ。明日は島の裏側ルートを回ってみるつもり。そして今治からは時計回りに四国一周を気ままに走ります。
この旅の写真はすべてスマホ(iPhone12pro)で撮影しています。
このサイクルジャージを着て走れば、旅先で四国一周サイクリングに挑戦中であることが分かるし、ジャージでの認識や公式チャレンジパスの提示により提携施設では割引が受けられるなどの特典が用意されている。そしてエントリーから3年以内に四国一周を無事達成すると、愛媛県自転車新文化推進協会から「完走証」と「バックル」がプレゼントされる。
「完走証」のプレゼントを受け取るには、完走した証明として公式チャレンジパスに四国内29カ所の道の駅に備え付けのスタンプを指定数以上押したものか、GPS付きサイクルコンピューターで記録した走行データを送る2つの方法で申請する必要がある。いずれの場合もチャレンジキットに同封される案内に沿って、四国一周サイクリング公式サイトからの申請となる。申請が受理されれば、走行データを記した「走行証」と「完走証」、そしてバックル式の記念メダルが郵送によってプレゼント(無料)される。詳しくは公式サイトのエントリーページで確認を。
仕事の予定もキャンセルが相次いでいたことで、まとまった時間が取れる気がした。何年も仕事優先で長い休みをとっていなかったこともあり、職場の仲間にはワガママを聞いてもらい、ひとり旅に出ることにした。自分を見直すいいきっかけと時間になればいいと思って。1,000kmへの挑戦というより、気ままな一人旅がしたかった。
輪行バッグを抱えて松山空港に飛んだ。帰路の予約は入れていない。帰る日も決めず、仕事上帰る必要が出るまで旅を続けられればと思った。一度に一周できなくても、何回かに分けてできればと。
旅の始点に愛媛県を選んだのは、愛媛が県をあげて四国一周サイクリングのプロモーションに取り組んでいるから。それだけにサイクリストへの応援は手厚く、松山空港では輪行を解く専用スペースとしてポンプを備えたサイクルステーションやおもてなしコーナーがあり、畳敷きの部屋でサイクルウェアに着替えられ、輪行に使用した輪行バッグやダンボール箱などを無料で預かってくれるサービス(7日間)まである。
そして何より四国一周チャレンジの特設サイトでエントリーすればサイクルジャージがもらえ、四国一周を完走した暁には証明書や記念メダルも発行してくれるのだ(詳しくは記事下部で)。
実は筆者、高校1年生のときに友だちと3人で夏休みに四国一周サイクリングにチャレンジして、行程の半分の高知で熱中症で倒れ、断念した苦い思い出がある。数えればじつに37年ぶり。再び四国一周に挑戦してみようか。
最近はバイクパッキングという手法が主流になり、ツーリング専用自転車でなくてもキャリア無しでバッグ類を取り付けることができるようになった。つまりロードバイクに荷物を積んで旅をすることができるようになり、泊りがけツーリングのハードルは一気に下がった。そうしたバッグ類は4年前に購入して持ってはいたが、使う機会がずっと無かった。いや、仕事があることを理由にまとまった日数の休みを作ろうとしてこなかったのだ。
しかし思い立ったが吉日。我ながら旅を実行に移すまでのスピードは驚くほど早かった。出発日を決めてネットで格安航空券を購入。予定を決めず、宿の予約も無し。荷造りだけは念入りに。行ってしまえばなんとかなるさ! である。
羽田から松山までの朝のフライトの機上からは、さっそく日差しにきらめくしなまみ海道と来島海峡大橋など、瀬戸内海の素晴らしい風景が楽しめた。
松山空港のサイクルステーションで輪行を解いて自転車を組み立て、「おもてなしコーナー」の畳敷きの更衣室でサイクルウェアに着替え、インフォメーションカウンターで輪行バッグを預かってもらう。そんな用意があることが嬉しい。
松山市内に向かい、その日は市中心部のビジネスホテル「松山ニューグランドホテル」に投宿することに。
ホテルのレンタサイクル(ママチャリ)でぶらり街ポタを楽しみ、松山城にリフトで登った。えひめ観光物産館を訪ねて、愛媛と四国各県の観光パンフレットなどをもらって情報収集。お約束の「蛇口からみかんジュース」を楽しんだ。
その夜はタオルだけ持って路面電車に乗って道後温泉に行き、入浴。現在は本館の改築工事が進んでいるが、入浴は可能。日本最古の歴史あるお風呂を楽しんだ。
3千年の歴史があるといわれる道後温泉。明治の改築から125年を超える本館は今、保存修理のための工事が進んでいる。重要文化財の公衆浴場を営業しながら保存修理をするのは日本初のこと。工事期間は本館西面に漫画家・手塚治虫の「火の鳥」を描いた日除け幕がかけられ、夜はライトアップが施されるなどの 道後REBORNプロジェクトが実施されている。本館の裏側には巨大なラッピングアートも施されているから、ぜひ裏までぐるりと回ってみることをおススメします。
夜は大街道近くの郷土料理 五志喜で鯛めしや五色素麺、鶏の唐揚げ「せんざんき」をいただき、その美味しさに舌鼓。「この旅はグルメも毎日追求するぞ!」と気分を盛り上げた。
1日目 松山〜大三島 走行距離:108.52km、獲得標高:917m
翌朝、スタート前にしまなみ海道サイクリングや四国一周サイクリングを推進する愛媛県自転車新文化推進協会を訪ねて愛媛県庁に立ち寄ると、担当の河上さん、山中さんらに迎えられ、なんと特製看板でスタート前の記念撮影もさせてもらった。行政がサイクリストを応援するのが愛媛県。県庁の正面での記念撮影はちょっと気恥ずかしかったが、これからの孤独なひとり旅を前にして盛大なスタートになった。
初日は松山からしまなみ海道は大三島まで。つまりさっそく四国一周推奨ルートを外れての寄り道だ。松山市街を抜ける道路にはさっそくブルーラインが引かれ、四国一周ルート表示が現れる。この路面ピクトには要所までの区間距離と方向が示され、頼もしい道案内となる。
ひとつめの道の駅「風早の郷 風和里(ふわり)」で四国一周スタンプカードに押印。このカードにスタンプを集めることで四国一周の証明データとして提出することもできるのだ(私はGPSサイコンの走行ログデータの提出を選びました)。
196号線が海沿いになると、さっそく私が四国でもっとも好きな風景になる。しけることのない穏やかな海に、島々が浮かぶのどかな瀬戸内の風景は平和そのもの。菊間町は瓦の町で、道沿いの瓦工場を走り抜けるだけで面白い。
今治に入ってプロサイクリストの門田基志さん(ジャイアント)が合流してくれた。今治在住で、かつて台湾一周サイクリングも走った仲。愛媛のサイクリング文化発展のために尽力する、南海放送で人気のサイクリング番組のメインキャストとして知らない人は居ない地元スターだ。今日は途中までボクに合わせてMTBで一緒に走ってくれると言う(笑)。
寒さが続いた愛媛もこの日から本来の温暖さに戻り、「ぬくい(暖かい)」サイクリング日和に。造船所エリアを抜けてしまなみ海道の入り口、サンライズ糸山サイクリングターミナルにできた新しいSHIMANAMIモニュメントの前で記念写真。「クラウンブリッジ(王冠のような橋)」を臨む「風のレストラン」でパノラマを楽しみながらレベルの高い洋食ランチを楽しむ。
しまなみ海道の寄り道は、明日の昼までに大島、伯方島、大三島と巡って戻ってくる予定。門田さんにはまず来島海峡大橋が望める亀老山展望台への案内をお願いした。この展望台から来島海峡を眺めるパノラマは素晴らしいが、頂上への勾配は厳しく、標高308mまで登るので行きたい人は覚悟してください。この日は風があり、黄砂の影響で海に架かる橋は少し霞んで見えた。
ブルーラインを外れて走る島の外周路はクルマが少なく、海をすぐ横に感じる島の道。陽光に煌めく穏やかな海を眺めながら走れば、しまなみ海道の人気の高さはすぐに分かる。なんというのどかさ。心が軽くなる。
のどかな旅が楽しめる島めぐりのサイクリング。大島では人気のカフェCAFE SHOZANに立ち寄る。海を眺めるテラスとワーケーションさえ可能な書斎やブックスペースのある手造り一軒家のカフェでカフェラテをいただく。海を眺めながら時間の流れをゆっくりと楽しめる。
日没時刻が近づいたので門田さんとは伯方島でお別れ。ボクは一路、大三島を目指した。島と島をつなぐ橋はいずれも自転車の通行料は無料になっていて、サイクリストを歓迎してくれる。ブルーラインに沿って走るのもいいが、外周路を回ればよりひなびた島の素顔に触れられる。
大三島には古来日本総鎮守の大山祇神社がある。境内には大楠があり、いつも参拝の人が絶えない。でもすでに夕刻のため今回の参拝は見送り。宿に行く前に付近の散策をすることに。
神社の近くにある参道エリアの、元法務局を改修したカフェ大三島みんなの家を訪問。島の食材を使ったスイーツやコーヒー、大三島産ワインを楽しめる、島の人とお話ができる寛ぎスペースで、地元のフレンドリーな奥さん方の雑談に混ぜてもらい、井戸端会議のような楽しい時間を過ごした。ここはカフェと言うより居心地のいい歓談場かな?(笑)。しまなみ海道周辺のオススメスポットをいくつも教えてもらった。やっぱり地元の人のアンテナに適うモノ無し。
ところでこの大三島みんなの家のカフェは2021年3月いっぱいで営業を終了し、今後は「大三島みんなのワイナリー」のオフィス、ワイン販売所、イベントスペースとして利用されるという。それもまた楽しみだ。
お次はそのすぐ近くの小さなビール工場、大三島ブリュワリーを訪問。地元の美味しい素材を利用した大三島ならではのビールが楽しめることで評判。サイクリストへのアルコール提供は飲酒運転になるため行っていないが、お持ち帰り用のペットボトルでの購入サービスがあるのが嬉しいところ。今日のお宿はすぐ近くなので、オミシマエール500mlを940円でお持ち帰り。晩酌でゆっくり味わうことにした。
初日のお宿は旅館さわきに投宿。お魚料理で人気の宿として知られる超人気旅館だが、じつは以前からtwitterで旅館さわきの若旦那が、サイクリストに対するおもてなしについて投稿していることに興味を持ち、いつか泊まりたいと思っていた宿だったのだ。
到着して案内されたのがその自転車部屋。愛車を安心して置ける保管スペースには、バイクラックや修理のための専用工具やメンテナンス用品が揃えられ、まさにサイクリストウェルカムな用意が整っていた。このバイク保管スペースこそが若旦那がtwitterで呼びかけ、サイクリストの声を聞いて整えたものだ。
また、チェックインの際には四国一周サイクリング事務局が配布しているマスクと除菌アルコールスプレーのセットをいただいた。1,000kmチャレンジに賛同する「おもてなしサポーター」の宿でサイクリストにプレゼントされるようだ。
夜は卓いっぱいに並ぶ海の幸に大仰天。少し奮発して舟盛りつきプランをお願いしたのだが、来島鯛や高級魚アコウ(ハタ)、オコゼ、サザエなど、次々に運ばれてくる瀬戸内海の魚料理の数々に、まさに文字通り「挑んだ」(笑)。そのどれもが美味しく、本当にお腹がはち切れそうになりながら平らげた。若旦那は「今日は大きすぎる鯛しか手に入らなくって」と笑っていた。美人でフレンドリーな若女将は「わぁ、ぜんぶ完食されたんですね!すごい!」と驚いていた(なんでやねん!笑)。それぐらいのすごい量なんです...。つくづく瀬戸内の魚文化は侮れない。
夜はあったかい布団で気持ちよく眠りについた、と言いたいところだけど、お腹いっぱいで苦しくて、しばらく寝付けなかった。さわきに泊まる際には空腹ぺこぺこで臨むこと。そして若旦那自ら行う魚の仕入れの関係上、早めの予約が吉です。
ちなみにしまなみ海道の情報収集にはポータルサイトのしまなみJAPANなどを参照することがオススメ。明日は島の裏側ルートを回ってみるつもり。そして今治からは時計回りに四国一周を気ままに走ります。
この旅の写真はすべてスマホ(iPhone12pro)で撮影しています。
四国一周サイクリング CHALLENGE1,000kmプロジェクトへのエントリー
この旅にあたっては愛媛県自転車新文化推進協会が主催する「四国一周サイクリング CHALLENGE1,000Kmプロジェクト」にエントリーしたうえで出発した。WEBサイトから申し込むことができ、参加申込みすると「チャレンジキット」として、四国一周サイクリングオリジナルのサイクルジャージと、四国内29カ所の道の駅をチェックポイントにしたオリジナルスタンプラリーシート「公式チャレンジパス」が送付されてくる。エントリー料金は8,000円。このサイクルジャージを着て走れば、旅先で四国一周サイクリングに挑戦中であることが分かるし、ジャージでの認識や公式チャレンジパスの提示により提携施設では割引が受けられるなどの特典が用意されている。そしてエントリーから3年以内に四国一周を無事達成すると、愛媛県自転車新文化推進協会から「完走証」と「バックル」がプレゼントされる。
「完走証」のプレゼントを受け取るには、完走した証明として公式チャレンジパスに四国内29カ所の道の駅に備え付けのスタンプを指定数以上押したものか、GPS付きサイクルコンピューターで記録した走行データを送る2つの方法で申請する必要がある。いずれの場合もチャレンジキットに同封される案内に沿って、四国一周サイクリング公式サイトからの申請となる。申請が受理されれば、走行データを記した「走行証」と「完走証」、そしてバックル式の記念メダルが郵送によってプレゼント(無料)される。詳しくは公式サイトのエントリーページで確認を。
SNS投稿で仲間とつながろう!
フェイスブックやツィッターへの投稿の際には #四国一周サイクリング #cyclingshikoku のハッシュタグ(#)を、インスタグラムには加えて @cycling_island_shikoku をつけて投稿することが推奨されている。#や@(メンション)付き投稿は四国一周サイクリング公式サイトのフォトギャラリー内に表示されるし、シーズン中なら同じタイミングで旅をしている仲間が見つかるはずだ。四国一周サイクリング 記事一覧
写真と文:綾野 真、取材協力:愛媛県自転車新文化推進協会