2021/03/18(木) - 07:17
朝から雨。しかも明日にかけて2日間は降水確率100%で降り続くという。関東も雪らしい。まだ春には遠い冬の雨。気温も低く、走り出せる状況にないのでホテル連泊の停滞を決める。ここからのルートは海が特別美しいルートだから、雨の日にただ通過するだけになるのはあまりにもったいない。
昨夜泊まったビジネスホテルは高倉君おすすめの新ロイヤルホテル四万十。結婚式も挙げられる中村随一のこのホテルは、昨年、東京五輪ロードレースの事前合宿にきたオランダナショナルチームを迎え入れたことがあり、サイクリスト受け入れに柔軟で、自転車の部屋への持ち込みもOKしてくれた。大浴場もあってのびのびできるし、ブッフェ朝食も素晴らしい。それでいてお値段はビジネスホテル同等のリーズナブルさ。1階にはモンベルショップが有って旅先で必要なアパレルやグッズを買い足すこともできる。
朝から天気予報通りの雨が降っていた。しかも寒い。春ならいいけど、冬だと走るにはあまりに厳しい。すぐに停滞を決めた。さて、一日どうしようか。でも実はうってつけプランはあった。
ちょうど中村市で自転車冒険家の西川昌徳(にしかわまさのり)さんの講演会があることを知っていたので、高倉君を誘って観に行くことにする。西川さんは何年もかけて世界中を自転車で旅してきた冒険家で、最近は旅行く先々で出会う人に無料でコーヒーを淹れながら旅したり、つい先日は四国八十八ヶ所を歩く53日間の遍路旅を結願したばかり。歩きへんろの様子は毎日Facebookとnoteで公開してくれて、楽しく愛読していたのだ(上のリンクから読めます。とても面白いです)。
自転車旅のプロというか、旅を続けるために、それを仕事にもしている面白い人。ちょうど1年ほど前に東京で西川さんのトークショーを聴いたことがあり、つい先日まで(自分が興味がある)お遍路さんとして四国を旅した、今いちばん会いたい人だった。しかも講演会の会場の文化センターはホテルからすぐ近く。
講習会の参加対象は「小中学生の親子」で、演題は「自分で良かったと思える人生の歩み方」。西川さんの講演は単なる冒険旅の報告や発表会ではなくて、旅を続ける意味や人生の歩み方を、旅や冒険と絡めて楽しく指南してくれるトークが魅力だ。
37歳になっても自分探しの旅を続けて、悩みながらもがきながら、とにかく前に進んでいる自分の生き様を例にしながら「悔いの無いよう生きよう!」と励ましてくれる素晴らしいトークショーなのだ。(←うまく説明できてないし、西川さんに「ちょっと違う」と言われそうだけど、多感な子供たちにはこれからの生き方のヒントをいっぱいくれる元気の出る講演会です。おとなにもかなり効きます)
市街在住の私と高倉くんの「大人の男たち」は参加対象者じゃないけど、友人枠で参加させてもらった。
集まったのはおもに中村市内に住む小中学生の親子。過去のスライドや、テントの張り方やコンロでの調理の実演を織り交ぜながら、子供たち参加型で楽しませていた西川さん。レールに乗る人生を否定するわけでも無く、でも「自分が本当にやりたいこと」「今しかできないこと」を実現するためのきっかけや、背中を押すようにパワーと行動力を与えてくれる話は、とても勇気がもらえる。
通りすがりの旅人なのに、こうして人との接点を保ちつつ、公演を聞いた人に生き方のヒントをくれる西川さん。旅好きな自分には教わることがとても多かった。今回も2時間たっぷり笑って感動した講演会だった。雨にもらった休息日に、ちょうど会いたかった西川さんの講演に思いがけず参観できたのはラッキーな巡り合わせでした。
夜はまた高倉君に付き合ってもらい、四万十料理の店季節料理 たにぐちで一杯。市役所近くの70年の歴史がある郷土料理の老舗で、青さ海苔の天ぷらの発祥の店だとか。ゴリの唐揚げ、天然の川うなぎを肴に、土佐の酒の「司牡丹(つかさぼたん)」の熱燗をいただく。飾らないお店で、地産の食材を使った料理の数々が味わえる。値段もリーズナブルで、飲んべぇにはたまらない。
四万十川特産の「ゴリ」はハゼに似た、川の石にへばりついている小さな魚。見た目が悪いからそんなに美味くはないだろうと思って頼んだが、素揚げに塩をふっただけなのにビールにも日本酒にも合う合う。川で採れたあおさ海苔の天ぷらは、ザクザク、しっとりとした食感で、味も濃い。他店だと小麦粉が邪魔をして美味しくないことがあるけど、たにぐちはさすが発祥の店とあって美味い。そして高知ではどこでも出てくるウツボは土佐のソウルフード。噛みごたえがあって「食べる筋肉」そのものだ。焼き、唐揚げともにイケる。
待望の天然うなぎはさすがに値段が高かったので「1匹を蒲焼きと白焼きの2分割にしてくれませんか?」と無茶な注文をしたら、高倉君の顔なじみの特別サービスで快くやってくれた(たにぐちの大将、ありがとう!)。
見た目も野生そのもので顔がちょっとコワイ四万十の天然うなぎは、弾力があって噛みごたえたっぷり。肉の味が濃くて、野性味たっぷり。「ウナギにふっくらふわふわの味を求める人はアナゴでも食ってりゃええんよ!」と言い放つ高倉君の意見に納得。ちなみにふたりとも好みは蒲焼きのほうだった。
好きな肴をあてに酒を飲み、あーだこーだとダベり続けるおっさんふたり。酔っ払って夜の中村の商店街をそぞろ歩く。この町はなんだか味わいがあって、写真館や喫茶店など古い商売の店舗がいい感じで残っている。なかでも「ヤラカスヤ」って名前の創業90年のクリーニング店には笑ってしまった。クリーニング店なのに「やらかす」ってナニを?(笑)。
考えてみれば停滞のできる旅は贅沢だ。翌日も100%雨の予報は変わらない。となると、明日も中村に沈没だろうか? まぁ急ぐ旅じゃないし、それもいいか...。
昨夜泊まったビジネスホテルは高倉君おすすめの新ロイヤルホテル四万十。結婚式も挙げられる中村随一のこのホテルは、昨年、東京五輪ロードレースの事前合宿にきたオランダナショナルチームを迎え入れたことがあり、サイクリスト受け入れに柔軟で、自転車の部屋への持ち込みもOKしてくれた。大浴場もあってのびのびできるし、ブッフェ朝食も素晴らしい。それでいてお値段はビジネスホテル同等のリーズナブルさ。1階にはモンベルショップが有って旅先で必要なアパレルやグッズを買い足すこともできる。
朝から天気予報通りの雨が降っていた。しかも寒い。春ならいいけど、冬だと走るにはあまりに厳しい。すぐに停滞を決めた。さて、一日どうしようか。でも実はうってつけプランはあった。
ちょうど中村市で自転車冒険家の西川昌徳(にしかわまさのり)さんの講演会があることを知っていたので、高倉君を誘って観に行くことにする。西川さんは何年もかけて世界中を自転車で旅してきた冒険家で、最近は旅行く先々で出会う人に無料でコーヒーを淹れながら旅したり、つい先日は四国八十八ヶ所を歩く53日間の遍路旅を結願したばかり。歩きへんろの様子は毎日Facebookとnoteで公開してくれて、楽しく愛読していたのだ(上のリンクから読めます。とても面白いです)。
自転車旅のプロというか、旅を続けるために、それを仕事にもしている面白い人。ちょうど1年ほど前に東京で西川さんのトークショーを聴いたことがあり、つい先日まで(自分が興味がある)お遍路さんとして四国を旅した、今いちばん会いたい人だった。しかも講演会の会場の文化センターはホテルからすぐ近く。
講習会の参加対象は「小中学生の親子」で、演題は「自分で良かったと思える人生の歩み方」。西川さんの講演は単なる冒険旅の報告や発表会ではなくて、旅を続ける意味や人生の歩み方を、旅や冒険と絡めて楽しく指南してくれるトークが魅力だ。
37歳になっても自分探しの旅を続けて、悩みながらもがきながら、とにかく前に進んでいる自分の生き様を例にしながら「悔いの無いよう生きよう!」と励ましてくれる素晴らしいトークショーなのだ。(←うまく説明できてないし、西川さんに「ちょっと違う」と言われそうだけど、多感な子供たちにはこれからの生き方のヒントをいっぱいくれる元気の出る講演会です。おとなにもかなり効きます)
市街在住の私と高倉くんの「大人の男たち」は参加対象者じゃないけど、友人枠で参加させてもらった。
集まったのはおもに中村市内に住む小中学生の親子。過去のスライドや、テントの張り方やコンロでの調理の実演を織り交ぜながら、子供たち参加型で楽しませていた西川さん。レールに乗る人生を否定するわけでも無く、でも「自分が本当にやりたいこと」「今しかできないこと」を実現するためのきっかけや、背中を押すようにパワーと行動力を与えてくれる話は、とても勇気がもらえる。
通りすがりの旅人なのに、こうして人との接点を保ちつつ、公演を聞いた人に生き方のヒントをくれる西川さん。旅好きな自分には教わることがとても多かった。今回も2時間たっぷり笑って感動した講演会だった。雨にもらった休息日に、ちょうど会いたかった西川さんの講演に思いがけず参観できたのはラッキーな巡り合わせでした。
夜はまた高倉君に付き合ってもらい、四万十料理の店季節料理 たにぐちで一杯。市役所近くの70年の歴史がある郷土料理の老舗で、青さ海苔の天ぷらの発祥の店だとか。ゴリの唐揚げ、天然の川うなぎを肴に、土佐の酒の「司牡丹(つかさぼたん)」の熱燗をいただく。飾らないお店で、地産の食材を使った料理の数々が味わえる。値段もリーズナブルで、飲んべぇにはたまらない。
四万十川特産の「ゴリ」はハゼに似た、川の石にへばりついている小さな魚。見た目が悪いからそんなに美味くはないだろうと思って頼んだが、素揚げに塩をふっただけなのにビールにも日本酒にも合う合う。川で採れたあおさ海苔の天ぷらは、ザクザク、しっとりとした食感で、味も濃い。他店だと小麦粉が邪魔をして美味しくないことがあるけど、たにぐちはさすが発祥の店とあって美味い。そして高知ではどこでも出てくるウツボは土佐のソウルフード。噛みごたえがあって「食べる筋肉」そのものだ。焼き、唐揚げともにイケる。
待望の天然うなぎはさすがに値段が高かったので「1匹を蒲焼きと白焼きの2分割にしてくれませんか?」と無茶な注文をしたら、高倉君の顔なじみの特別サービスで快くやってくれた(たにぐちの大将、ありがとう!)。
見た目も野生そのもので顔がちょっとコワイ四万十の天然うなぎは、弾力があって噛みごたえたっぷり。肉の味が濃くて、野性味たっぷり。「ウナギにふっくらふわふわの味を求める人はアナゴでも食ってりゃええんよ!」と言い放つ高倉君の意見に納得。ちなみにふたりとも好みは蒲焼きのほうだった。
好きな肴をあてに酒を飲み、あーだこーだとダベり続けるおっさんふたり。酔っ払って夜の中村の商店街をそぞろ歩く。この町はなんだか味わいがあって、写真館や喫茶店など古い商売の店舗がいい感じで残っている。なかでも「ヤラカスヤ」って名前の創業90年のクリーニング店には笑ってしまった。クリーニング店なのに「やらかす」ってナニを?(笑)。
考えてみれば停滞のできる旅は贅沢だ。翌日も100%雨の予報は変わらない。となると、明日も中村に沈没だろうか? まぁ急ぐ旅じゃないし、それもいいか...。
四国一周サイクリング 記事一覧
写真と文:綾野 真、取材協力:愛媛県自転車新文化推進協会