2021/03/13(土) - 14:50
6日目 室戸岬〜高知 走行距離:96.24km、獲得標高:378m
四国一周サイクリング6日目。昨夜のMUROTO base 55でのグランピング初体験はなかなか楽しかった。お一人様バーベキューは肉も食材も大量でびびったけど、結局ペロリと完食。海鮮が続いていたところで肉補給もできたし、流行りの宿泊スタイルのグランピングを経験できたし。なにより夜の丑三つ時にトイレに行こうと外に出ると夜空は満天の星で、四国の南端の大自然のご褒美をもらった気分だ。朝は日の出も満喫しようと、ちゃんと日昇時刻をチェックして朝の7時前からダウンジャケットを着て外で太陽が昇るのを待ち構えていた。するとお隣のキャビンの女子大生3人組も起き出してきて、さっそくインスタ映えしてる。東方向は森が邪魔して朝日が昇る瞬間は拝めなかった。それでも朝焼けはじゅうぶん楽しめた。
自転車の荷造りをしていたら女子大生3人組から「自転車でここまで登ってきたんですか? すっごい!! 」とキャピキャピ☆いただきましたが、それすごくない(笑)し、世代が大きく離れていると話が盛り上がらない...。君らとはメルアド交換しても進展は無いなぁ。でも一緒に写真ぐらい撮っとくんだったな...。おじさんちょっと後悔(笑)。
高知市を目指して走り出す。紺碧の晴天だが、空気は冷たい。昨夜は温水シャワーのみだったのが堪えたか、身体の芯がいまだ解凍されてない感じでいまいち調子が出ず、ノロノロ走行。やっぱり疲れが溜まっているのかな? いや、モーニングコーヒーを飲んでいないからだ。
ボクは習慣的に「おめざ」としての朝のコーヒーが欠かせないので、奈半利(なはり)駅に近い国道沿いに見つけた古民家カフェ高田屋に立ち寄る。この蔵をギャラリーにした古民家カフェは、築140年前の歴史ある名家をそのまま保存・維持しているのだけど、やってるのはおばあちゃんとおじいちゃんの2人。すぐ近くにコンビニがあったので迷ったけど、立ち寄って正解だった。
コーヒーを頼んだらモーニングにしてくれたけど、これが最高。品のあるカップとお皿、バター香るトーストに蜂蜜、甘い甘い蜜柑とちゃんと塩水にさらしたリンゴ。懐かしの家屋の居間でいただく正しいモーニングに小さな感動。
お隣の部屋で老夫婦がTVを観ているという、田舎に帰ったような錯覚を味わえるカフェ。老夫婦2人で維持するのは大変だそうだが、隅々まで手入れと掃除が行き届いた古民家はそれだけでほっとする空間。極上のカフェ体験だった。最近はコンビニでそれなりに美味しいコーヒーが飲めるから喫茶店を選ぶ理由が見つけにくいけど、やっぱりいいもんだ。
ここ奈半利は高知市とつなぐ土佐くろしお鉄道・ごめん・なはり線の終着駅がある町。国道55号線沿いを走っていたら、高架を一両だけのディーゼル列車が軽快に走っていった。車両の側面には可愛いイラスト。それにしても四国では1両きりの列車が走っているのを見ることが多い。
備長炭で栄えた吉良川の街並み保存地区に立ち寄る。道沿いにある看板が目印で、国道55号から一本内陸側に入った路地沿いに懐かしい古民家群の旧市街が連なっている。明治期から昭和期に建てられた、伝統的家屋が約134軒あるという。台風銀座と言われる室戸周辺。強い雨や風に対して土佐漆喰や水切り瓦、軒の低い民家などを代々の職人達が知恵を絞って造り上げてきたのだ。何度か旅した四国なのに、知らないイイとこはいくらでもあるもんだ。
国道55号線沿いには並行して自転車道がある。あるというより、造っている途中のようで、ところどころ工事中で途切れるものの、ときどき海沿いの道に分岐したり、国道に戻らされたりしながらも走ることができる。安全にはいいけど、進みは遅くなる。でも海が眺められるのでいい感じ。細いロードタイヤではちょっとつらい路面の荒れ具合だけれど。
クルマを避けて走れるサイクリングロードは歓迎だが、走ろうと思って進むと、すぐに工事中になって通行禁止になったり、途切れたりを繰り返す。走るうちに「あぁ、この一帯は台風銀座だから、工事中が多いのか」と気づくようになる。そのたびに車道に戻ったりしながらロスを重ねる。
昼が近くなり、国道55号沿いにセルフうどん屋 いおき家を見つけて入ることに。お米が美味しい反面、うどんがイマイチな高知だけど、この店は讃岐仕込みということで、手打ちなのに値段も讃岐のセルフうどん並みに安い。おぼろ昆布うどんとチクワ天をいただく。ちゃんと手打ちの実演も見ることができたし、やっぱりうどんはライドの昼メシに良いですね。
夜須駅の隣りにある道の駅やす/ヤ・シィパークのジューススタンド VEGE FRUTTAでマスクメロンの生搾りジュースと手作りパンでおやつタイム。テラスから海を眺めながら頂くメロンジュースはフルーティで激ウマでした。このお店ではサイクリスト向けに20%割引きサービスを実施している。「#メロンジュースでカンパイ」でSNS拡散してね、が割引の条件です。
そしてCYCLE AID(サイクルエイド)としてスペアチューブの販売やポンプや工具の貸し出しサービス、自走不能になった際の輪行バッグや、ビーチを散歩する人へのサンダル貸し出しなど、サイクリスト想いのサービスがいろいろ用意してあるのが嬉しい。
やはり太平洋沿いとあって、国道も防波堤が高くてあまり景観は楽しめない。海沿いのまま高知入りし、高1生以来の訪問となる桂浜へ。高低差がちょっとした山のようにある浦戸大橋を登るのだけど、自転車レーンが無くて怖い思いをした。この橋は初心者サイクリストには鬼門かもしれない。
訪れた桂浜は昔のままだった。桂浜水族館は幻の巨魚アカメが居るお気に入りなんだけど、今回はパス。次に来るのは何時かな? そして坂本龍馬像とくれば、皆さんもこのポーズをやりますよね?
時刻は15時半。高知市内に向かうか、35km先の須崎まで走るか、日が短く夕刻冷え込みが厳しい時期なので迷いどころ。大三島で会ったマダム3人組には「高知のひろめ市場で塩カツオたたきと馬刺の美味い店に絶対行くこと」とアドバイスを受けていたので、高知市中心部を目指すことに。あと、桂浜の観光案内所のおばちゃんに偶然にもひろめ市場の飲み歩きマップをもらったのも決め手になった。このときは「高知を目指せ」という天の声だと思っていたのだけど、後でそうじゃなかったことが分かるのだった...。
高知市内に入ってすぐ、とさでん交通の操車場に路面電車がたくさん並んでいた。撮り鉄趣味は無いけれど、コレは可愛いすぎますね。場所は高知市街の南端だ。ちなみにもちろん展示用ではなく、あくまで本社の操車場なので、観るときは稼働中の車両の出入りに気をつけて。「ごめん=御免」行きの車両はホントに謝ってるような顔をしていた。
鏡川を渡り、はりまや橋へ。市内に入って目的のひろめ市場にまず立ち寄ってみると、なんと今日と明日は市場全体のクリーニングデイで全店がお休みとか。がっくり。このコロナ状況だと仕方ないですね。行く前にちゃんとHPでチェックするべきでした。「高知に行ったらひろめ市場に必ず行け」「○○の店で塩タタキとウツボの唐揚げを食え」などとアチコチで言われていたので、またここに来る理由が残ってしまった。
気を取り直して宿探し。検索したネット予約限定でリッチモンドホテルがタイムセール4,600円だったので、フロントで受け付け手続きしながらその場でネット予約。相談(交渉)して自転車も部屋入れの許可をいただく。広めの17平米ならスペースも余裕。高級ホテルなのになんだかワガママ言ってすみません。
ビジネスホテルの良いところはコインランドリーがあること。5日目を終えて、時間も早いのですべてのウェアを洗濯するビッグウォッシュを敢行。洗剤もオート投入してくれ、200円也とは安い。サイクルジャージは即乾性なので、脱水さえすれば部屋干しでも朝までに必ず乾きます。
晩メシはひろめ市場近くの裏通りのおびや町小路にある居酒屋 駱駝(らくだ)で、カツオの塩たたきと刺身、馬刺し。高知を代表するお酒の司牡丹(つかさぼたん)も呑んで満足。十分に美味しかったけど、ひろめ市場ならもっと美味しいのだろうか...?
今日は走った距離が約96kmと短かったけど、6日連続ライドの疲れも溜まってきていたので、小休止の一日にできた。セミダブルの広々としたベッドで、のびのびと寝た。オヤジになると自転車旅行でもホテル泊を否定することは無いです。やっぱり快適なのはいいですね。
この旅の写真はすべてスマホ(iPhone12pro)で撮影しています。
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写真と文:綾野 真、取材協力:愛媛県自転車新文化推進協会