数年前からプロトタイプがレース現場で確認されていたスペシャライズドのダウンヒルバイクがついにデビュー。HighGearドライブトレインとOBBリンケージを組み合わせ、路面クリアランスを30mm拡大しつつ、ペダルキックバックを排除。セルフアライニング・シャシーにより、高速域でリアホイールの追従性を高めている。



スペシャライズド S-Works Demo 11 (c)スペシャライズド

3年の開発期間を経たスペシャライズドの新型ダウンヒルバイク"Demo 11"がデビュー。Demo 11のプロトタイプは数年前からレースに投入済みであり、スペシャライズド・グラビティチームと共に性能を鍛え上げ続けてきており、そのプロトタイプがついに販売開始となる。

Demo 11のフレーム素材はハイエンドのFACT 11mカーボン。フロントトラベル200mm、リアトラベル200mmというダウンヒル専用のディメンションを持ち、サイズはS3とS4の2サイズ展開となっている。

開発のベースとなっているのは、「信頼できる挙動がスピードを生む」というスペシャライズド・グラビティチームの考え方だ。どんな路面でもバイクが予測可能な反応を返してくれれば、ライダーは修正動作に意識を割く必要がなくなり、ラインに集中できる。結果としてブレーキングを遅らせ、より攻めた走りができるようになる。

チェーンリングとクランクが別軸に設計されている (c)スペシャライズド

信頼できる挙動を実現するために生み出されたものの一つが、Demo 11の外観上もっとも目を引くボトムブラケットエリア。これはスラムと共同開発されたHighGearドライブトレインで、クランクとチェーンリングを分離する構造だ。HighGearのボックス内にクランクとチェーンリングに接続されるコンパクトコグを配置しており、それをチェーンで駆動させるというもの。クランクに直接備えられるコグはアイドラープーリーとしての役割を持つ。

ドライブトレインを分離させた狙いは、サスペンション挙動でうけるチェーンの影響を最小限に留めることだ。リアサスペンションの稼働によって発生するキックバックが発生しないため、サスペンションのストロークが全域で狙った性能が発揮できるようになっている。

HighGearによって地面とのクリアランスが+30mm広がった (c)スペシャライズド

またこの仕組みによって、チェーンリングをフレーム内の高い位置に配置でき、路面クリアランスが従来比で30mm向上。岩や段差への接触リスクを抑えつつ、これまで通れなかったラインを選択できるようになる。

もう一つの要となるのが、OBB(オーバーボトムブラケット)と呼ばれるサスペンションリンケージだ。Demo 11のリンケージはダウンチューブで挟み込むように配置されており、それがクランクのシャフトとボトムブラケットの直上に位置する。

低めでなだらかなレバレッジレシオは24%プログレッシブ設計となっている (c)スペシャライズド

OBBリンケージの設計上のメリットは、アクスルパス、レバレッジレシオ、ブレーキング時の挙動をそれぞれ独立してチューニングできる点にある。従来は各性能がトレードオフとなっていたが、HighGearとの組み合わせによって、各種性能を切り離して最適化が可能となった。特にハードブレーキング時でもサスペンションが動作し続けるため、タイヤグリップなどを活かし切れる。

レバレッジレシオは低めかつフラットなカーブを描くプログレッシブな設計。ストローク全域でサスペンションの応答性が一貫しており、序盤の細かい入力から大きなヒットまで安定した挙動が得られる。

アクスルパスはストローク序盤は後方に移動するようになっている (c)スペシャライズド

スペシャライズド S-Works Demo 11 Frameset (c)スペシャライズド

アクスルパスはストローク初期段階では後方に動き、後半で前方に戻る軌道を描く。これにより角の立った障害物に引っかかりにくく、同時にホイールベースと安定性を維持する設計となっている。またストローク序盤はショックが伸びる方向に働くリンケージ設計「セルフアライニング・シャシー」が採用されている。

ショックが引かれる方向に動くことで、スイングアームの構造全体にねじれの力が入りにくく、各パーツが一直線上に保たれようとする力が働くという。これによってサスペンションの動き全域にわたって、バイクは落ち着きのある、予測しやすい挙動を保つとスペシャライズドは説明する。またスピードが上がったり、路面が荒れるほど効果が発揮されやすく、まさにダウンヒルレースにぴったりの設計といえよう。

ジオメトリーはスペシャライズド・グラビティチームとの協業によって決定された。フロントセンターはヘッドパーツの入れ替えによって±6mmの範囲で調整可能で、リーチを変えてもヘッドチューブアングルには影響しない設計となっている。

スペシャライズド・グラビティチームと共に開発されたDemo11 (c)スペシャライズド

BBハイトはプルリンクのフリップチップを入れ替えることで標準設定からさらに7mm下げることが可能。コースのレイアウトや路面状況、ライダーの好みに応じて、重心位置を細かく調整できる。

また、リアセンター長はフレームサイズごとに最適化されている。S3とS4のどちらを選んでも、ハンドリングバランスが崩れないよう配慮されているのは、ワールドカップで複数のライダーが同じ仕様を使う前提のグラビティチームらしい設計思想と言える。完成車価格は1,760,000円(税込)、フレームセットでも880,000円(税込)だ。



スペシャライズド S-Works Demo 11
フレーム:FACT 11mカーボン(OBBリンケージ、HighGearドライブトレイン)
フォーク:RockShox BoXXer Ultimate(200mmトラベル)
リアショック:RockShox Vivid Coil Ultimate DH(200mmトラベル)
ドライブトレイン:SRAM XX DH トランスミッション
ブレーキ:SRAM Maven Ultimate(ローター220mm / 200mm)
ホイール:Roval Traverse Gravity リム / DT Swiss 350 ハブ
サイズ:S3、S4
カラー:GLOSS CHARCOAL / DOLOMITE METALLIC / WHITE
価格:1,760,000円(税込)

スペシャライズド S-Works Demo 11 Frameset
フレーム:FACT 11mカーボン(OBBリンケージ、HighGearドライブトレイン)
リアショック:RockShox Vivid Coil Ultimate DH(200mmトラベル)
サイズ:S3、S4
カラー:GLOSS AGAVE GREY / METALLIC WHITE SILVER
価格:880,000円(税込)