キャットアイがリリースしたNETWORKシリーズがついに販売開始となった。ライト同士でペアリングするだけで前後のライトを同時点灯することができ、スマホと連携させればモードカスタマイズも行えるスマートなライトを紹介しよう。



VOLT800NEO、400NEO、KINETIC AUTOにNETWORKモデルが登場した

キャットアイのスマートライトといえば2019年にデビューしたSyncシリーズだ。ライトとスマホをペアリングすることで、スマホとライト本体から同期中のライトを一括で操作できるという便利なモデルだった。

そんなSyncシリーズから6年経過した2025年秋、キャットアイは新たなスマートライトとしてNETWORKシリーズをローンチした。Syncで可能だったスマホとの連携はもちろんのこと、ライト同士でペアリングが行えるということが大きなトピックだ。


スマートデバイスの多くはスマホをプラットフォームとすることが多く、画面を持たないライト同士がペアリングすることに明瞭なイメージを持てなかったのが正直なところ。具体的にいえばペアリングの状況がライト単体で確認できないうえ、どのように作業するのかわからなく不安を覚えていた。

電源ボタンの前方にNETWORKロゴが記載されている

しかし、その心配は実際にペアリングする段階で消え去った。まず、ペアリング作業はキャットアイWEBサイトの各製品ページに作業方法の動画が掲載されており、動画を見ながら作業を行えたので、躓くことなくペアリング作業が完了したためだ。(ライト同士だと、スマホの画面を見ながらできるのも嬉しい点。スマホアプリの場合は動画とアプリ画面を切り替えながらやる必要がある。)

そしてペアリング状況はライト単体では確認できないものの、一つのライトを点灯させると素早くペアリングしたライトの点灯が始まるため、ペアリングできているかどうか不安に感じることもない。そして、実際にライドしている時も点灯タイムラグがなく、リアライトが点灯しているかの不安もない。

KINETIC AUTOにもNETWORKモデルが登場した

前後のライトが同時に点灯することの一番大きなメリットは、ライド中にフロントライトだけの操作でリアライトも点灯できること。自転車に乗り慣れている方であれば、シートポストに装着したリアライトを操作するのは造作もないことだが、初心者やカジュアルライダーにとっては走行中にリアライトを確認したり操作したりするのは意外とハードルが高いもの。NETWORKシリーズなら、フロントライトのスイッチひとつでリアライトの点灯・消灯・モード切り替えまで完結するため、安全性が格段に向上する。

また、ライドを終えて駐輪する際も、フロントライトを消せば自動的にリアライトも消灯するので、消し忘れによるバッテリー消耗の心配がない。これは地味ながら実用性の高い機能だ。

キャットアイ NETWORK VOLT800 NEO

キャットアイ NETWORK VOLT400 NEO

KINETIC AUTOにもNETWORKモデルが登場した

NETWORKシリーズの機能はライト同士のペアリングだけにとどまらない。専用アプリ「CATEYE NETWORK」を使えば、さらに詳細なカスタマイズが可能になる。

アプリでできることは多岐にわたる。まず基本となるのが点灯モードの選択と順番の変更だ。例えばNETWORK VOLT800 NEOとNETWORK VOLT400 NEOのヘッドライトには、ハイ・ミドル・ロー・デイタイムハイパーコンスタント・点滅という5つのモードが用意されているが、この順番を自分の使用頻度に合わせて並び替えることができる。普段ミドルモードを多用するなら、それを1番目に設定しておけばスイッチ操作の手間が減る。

ペアリングしているライトが表示される(ここで電源のオン・オフも行える)
ライト一つずつの設定も変更可能



モードのオン・オフも個別に切り替えられるため、ユーザーが必要とするモードのみに限定することも可能。例えば、点灯はハイ、ロー、点滅はデイタイムハイパーコンスタントの3種類のみオンとすることで、ボタンクリックによるモードローテーションの手間を減らせるため、更に使い勝手を高められる。

さらに興味深いのがカスタムモードの存在だ。各ライトには3つのカスタムスロットが用意されており、明るさを6段階で調整できる。例えば「カスタム1は明るさ5で常時点灯」「カスタム2は明るさ3で点滅」といった具合に、自分だけの点灯パターンを作ることができる。これにより、街乗り用・峠用・グループライド用など、シーンに応じた最適な設定を事前に用意しておくことが可能だ。

NETWORKシリーズの真骨頂ともいえるのが「スマートオート機能」だ。これを利用するにはNETWORK KINETIC AUTOというリアライトが必要になるが、その機能は非常に実用的である。

スマートオートは周囲の明るさを自動検知し、昼間と夜間で点灯モードを自動的に切り替えてくれる。例えば「昼間はデイタイムハイパーコンスタント、夜間はミドルモード」といった設定をしておけば、トンネルに入ったときや日没時に自動でモードが切り替わる。これまでのライトでは手動で切り替える必要があったが、NETWORKなら意識することなく最適な明るさで走行できる。

さらに優れているのが自動消灯機能だ。自転車が停止してから設定時間(50秒または100秒)が経過すると、周囲の明るさに関わらず自動で消灯する。信号待ちで無駄にバッテリーを消費することもなく、ライド終了後の消し忘れも防げる。走行を再開すれば自動で点灯するため、ユーザーは何も意識する必要がない。

スマートオート機能でどのモードを使うかも選べる
ライトのモードをカスタマイズすることもできる



アプリではこのスマートオート機能の設定も細かく調整できる。フロントライトの場合は「最後に使用したモード」を選ぶこともでき、スマートオート中でもダブルクリック操作でハイモードに一時的に切り替えることも可能だ。リアライトに関しては自動消灯時間を選択できるなど、ユーザーの使用スタイルに合わせたカスタマイズができる。

アプリにはグループ機能も搭載されている。1つのグループには最大4台のライトをペアリングでき、グループ自体は最大5つまで作成可能だ。これは複数の自転車を使い分けているサイクリストにとって便利な機能で、例えばロードバイク用グループ、グラベルバイク用グループ、通勤用グループといった形で管理できる。

KINETICではブレーキモードのオン・オフも切り替えられる
KINETICのオートモードでは自動消灯も選択可能だ



各グループ内のライトは一括で電源のオン・オフができるほか、バッテリー残量も一目で確認でき、充電タイミングを把握しやすい。また、無線オフ時間の設定も可能で、約3日間使用しなかった場合に自動で無線をオフにしてバッテリーを節約する機能も備わっている。

アプリではファームウェアのアップデートも行える。新機能の追加やバグ修正があった際、アプリ経由で簡単に最新版へ更新できるのは、長く使い続ける上で重要なポイントだ。

ライトを横向きにも装着することができる

VOLT800 NEOのハイモードでは満遍なく光が広がる
VOLT400 NEOの光は進行方向に強く届く


自然に地面を照らし出してくれる

NETWORKシリーズのラインナップは、フロントライトのNETWORK VOLT800 NEO(800ルーメン)とNETWORK VOLT400 NEO(400ルーメン)、そしてリアライトのNETWORK KINETIC AUTO。いずれもUSB-Cでの充電式で、現代のガジェットとの親和性も高い。

実用面での工夫も随所に見られる。例えばペアリングの際、ライトが点滅して視覚的に確認できるようになっているし、アプリの設定画面からは「動作チェック」ボタンで実際にライトを点灯させながら設定を確認できる。細かい配慮だが、こうした使いやすさの積み重ねがストレスフリーな体験につながる。

フロントライトの配光は対向車に配慮している

気になる点があるとすれば、スマートオートがオンの際はライト本体のスイッチ操作で点灯モードを変更できないことだろう。ただしフロントライトはダブルクリックでハイモードへの切り替えができるため、とっさの明るさ調整には対応できる。この仕様も慣れてしまえば特に問題にはならないはずだ。

Syncシリーズから6年を経て登場したNETWORKシリーズは、ライト同士のペアリングという新機軸とスマートオート機能によって、自転車用ライトの使い勝手を大きく前進させた。特にライト操作の簡便さと安全性の向上は、すべてのサイクリストにとって恩恵があるだろう。

サイドからも視認が可能



キャットアイ NETWORK VOLT800 NEO
サイズ:36 x 131.5 x 45 mm
重量:176g(カートリッジバッテリーを含む)
光源:LED 1個
使用電池:Li-ion 3.6V 4800mAh
使用時間:
点灯(ハイ):約3時間
点灯(ミドル):約5時間
点灯(ロー):約12時間
デイタイムハイパーコンスタント:約7.5時間
点滅:約100時間
標準充電時間:約4時間(2A)
繰返し充放電回数:標準300回(定格容量の70%の容量低下まで)
防水性能:IPX4
価格:20,900円(税込)

キャットアイ NETWORK VOLT400 NEO
サイズ: 36 x 121 x 45 mm
重量:143g(カートリッジバッテリーを含む)
光源:LED 1個
使用電池:Li-ion 3.6V 2200mAh
使用時間:
点灯(ハイ):約3時間
点灯(ミドル):約8時間
点灯(ロー):約18時間
デイタイムハイパーコンスタント:約11時間
点滅:約60時間
標準充電時間:約3.5時間(1A)
繰返し充放電回数:標準300回(定格容量の70%の容量低下まで)
防水性能:IPX4
価格:13,200円(税込)

キャットアイ NETWORK KINETIC AUTO
サイズ:22 x 71 x 35 mm
重量:34g(本体)
光源:LED 2個
電源:Li-ion3.7v 500mAh(標準充電時間:約3時間)
使用時間:
点灯(ハイ):約3.5時間
点灯(ロー):約10時間
点滅:約70時間
グループライド:約22時間
デイタイムハイパーフラッシュ:約30時間
ブレーキモードオンリー:約15時間
取付バンド径:SP-11(約ø12〜32.0mm)
防水性能:IPX4
価格:7,700円(税込)


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