ガーミンジャパンのアンバサダーを務める竹谷賢二さんに、新世代RALLYについて詳しく話を聞いた。Vector時代から使い続けてきた竹谷さんが「見違えるほど進化した」と語る新モデル。最大の特徴は「フォース(力)データ」の取得が可能になった点だ。加えて90時間駆動の充電式バッテリーを搭載し、パワーメーターの新時代を切り開いている。

ガーミン RALLY 210 photo: Kenta Onoguchi
ガーミンが展開するペダル型パワーメーターのRallyシリーズ。2011年に発表されたVectorからスタートし、世代を経るごとに通信用ポッドの廃止や精度向上を実現し続け、2021年にRallyという名前に変更されて、現在までラインアップされている。そんなRallyが4年ぶりにモデルチェンジを果たした。
新型の大きな特徴はパワーメーター内蔵スピンドルユニットと、シマノSPD、シマノSPD-SL、ルックKEOという3タイプのペダルボディが組み替えられる点だ。ロードバイクとマウンテンバイク、グラベルで使い回すこともできれば、クリートシステムの変更にも柔軟に対応、メンテナンスも行いやすい設計となっている。
従来の電池交換式から充電式バッテリーを採用したことも大きなトピック。フル充電で約90時間の稼働が可能で、これは週末ライダーであれば数ヶ月間使い続けられるバッテリーライフを実現している。また急速充電にも対応しており、わずか15分の充電で約12時間の稼働が可能だ。
ジャイロセンサー搭載も新型の特徴。これによりオーバルチェーンリング使用時でも確かなパワー計測が可能となった。さらにパワーとケイデンスの関係を可視化する「フォースデータ」も相まって、効率的なペダリングパターンの分析に役立てられる。新機能「Pedal IQ」により、温度変化や自転車の付け替え、取り付け角度の変化などを自動で検出し、キャリブレーションが必要なタイミングを知らせてくれるようになったのも嬉しいアップデートだ。
Vectorから続く歴史の中で、新世代RALLYはどう進化したのか。ガーミンアンバサダーの竹谷賢二さんに詳しく話を聞いた。

「今のRALLYは隔世の感があります」と進化に驚く竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
フルタイムワーカーとしてMTBレースに参戦。2000年に全日本選手権優勝を経てプロライダーへ。2004年にはMTB XCOの日本代表としてアテネオリンピックに出場、同年のアジア選手権で優勝を遂げる。2009年の全日本選手権を最後に現役を引退。その後トライアスロンに挑戦し、アイアンマンでもエイジ世界4位を獲得。
現在は自ら立ち上げたエンデュアライフをベースにフィッティングやコーチングを行い、エンデュランススポーツを「生涯現役」で楽しめるアスリートをサポートしている。ガーミンのアンバサダーとしてトレーニングの有用性を広くレクチャーする活動も行っている。

「ペダリングに関する分析が一歩先までできるようになった」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
新世代RALLYの最大の特徴は、フォースデータが取得できるようになった点だ。
フォースとは、ペダルにかかる力そのものを指す。これにケイデンスなどを掛け合わせることで、よく知られるパワーが導き出される。つまり、フォースが明らかになればパワーにまつわる一歩進んだ分析ができる、新たな指標だ。
「パワーはライダーが発揮したパフォーマンスの結果です。これまでパワーとケイデンスを記録していましたが、フォースが明らかになることで高いパワーを出せる、もしくはパワーが低下している原因を検討することができます」と竹谷さんは言う。

アクティビティからフォースのデータをチェックできる 
アクティビティ全体のデータも確認できる
フォースデータの価値は、自分のパワー出力の特性を理解できることにある。パワーはフォースとケイデンスのどちらを上げることによっても数値が向上するが、やがて一方がボトルネックとなる。
竹谷さんは回転数には頭打ちがあるという。軽いギアでケイデンスを上げていけば、呼吸が間に合わなくなる可能性もあれば、長時間のペダリングでは腸腰筋の疲労が現れる可能性もある。「ケイデンスを上げていこうと思っても、どこかでフォースとのバランスを考えなければなりません。それはライダーごとに特性が異なるため、自分にあったペダリングを見つける必要があります」。
またケイデンスについて竹谷さんは「回転を上げる能力や保つ能力は、キャリアを積むと、極端に落ちることはありません。もし、ケイデンスが変わらないのであれば、フォースに何らかの課題があると考えることができます。それが数値として表現されることで、問題を特定し、トレーニング指針の検討につながります」という。
またペダリングが一定にならないオフロード競技における活用の可能性も秘めている。「シクロクロスの濡れた芝生など重馬場で踏み負けるのはフォースが足りていない可能性があります。その状況でのフォースを検証できれば、練習で路面を再現しなくとも、レースに必要なフォースにターゲットを絞ったトレーニングが行えます」。さらに、急斜面であと一歩踏み切れない場合も、フォースを振り返ることで得られるものがあるという。

フォースデータをグラフ上で確認可能だ
それではフォースを向上するにはどうすればよいか。竹谷さんはフォースに作用する要素を3つ挙げる。1つは直感的にもわかる筋力だ。2つ目はボディポジション。どのような体勢で力をかけるかによって、発揮されるパフォーマンスが変わる。そして3つ目はペダリングスキル。これは自転車特有の要素で、効率的な力の掛け方も重要な要素だ。
この視点でフォースデータを分析すれば、具体的なトレーニング方針を示してくれる。
「例えば筋力はあるけどフォースの数値が伸び悩むのであれば、ペダリングスキルがボトルネックになっているんでしょう。ペダリング効率や、パワーのピークポイント、ペダルセンターオフセットなどを振り返る必要があります。そして、ペダリングの練習が必要です」と竹谷さんは解説する。一方、筋力そのものが問題であれば、筋力トレーニングの検討が必要だ。

パワーをオーバレイすると、フォースとの関連性がわかりやすい

ケイデンスとの関係もチェックし、ペダリング改善に役立てられる
竹谷さんが示したように、フォースデータはガーミンが従来から用意しているサイクリングダイナミクスと組み合わせることで、より深い理解が得られる。例えば、力がかかりやすい前乗りポジションに設定したトライアスロンバイクで、トルクのピークが悪くない位置を示しているのであれば、純粋に筋力の強化が求められる。もし、筋力に自信があって、トルクピークも悪くないのであれば、ポジションの検討に移るということだ。
フォース向上を目的としたトレーニングも有効だ。「フォースというデータが取得できることで、ペダルにかかる力の数値にアプローチするトレーニングが生まれました」。これまでのパワートレーニングに加え、フォースに着目することで新たなアプローチでのパフォーマンス向上を狙えるのだ。

インターバルトレーニングなどでもフォースデータは活用できる
竹谷さんはこうしたトレーニング時には、スマートローラーのエルゴモードを活用している。エルゴモードは予め設定したターゲットパワーを出力できるようにローラー自体が自動的に負荷を調整する機能だ。
例えばインターバルトレーニングのターゲットパワーを300Wに設定した場合、ハイケイデンスで目標パワーに到達した場合はローラー台の負荷は低く、必要なフォースも少ない状態となる。対して、ローケイデンスではローラー台が自動的に高い負荷に調整され、高いフォースが求められる。この時、フォース数値にも任意の目標を設定しておけば、狙ったフォースを出すトレーニングが行える。

「データは蓄積するだけでも価値がある」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
フォースデータを記録することで、パワーに関連する指標を一つずつ検証可能となる。それぞれの関係性を総合的に見ることで最適なケイデンスや、ペダリングのスタイルを見つけることもできる。
しかし、フォースデータが示唆する内容は幅広く専門性が高い。実際にフォースデータを検証しトレーニング内容へ活用する場合、知識と経験が求められるのは事実だ。では、アマチュアにとってフォースデータは宝の持ち腐れとなってしまうのだろうか。
この疑問に対し、竹谷さんは現時点でフォースデータを活用せずとも蓄積することが大切だと答えてくれた。「データがガーミンコネクトに蓄積されると、ガーミンはその人の情報をわかりやすい形で示してくれます。例えば、サイクリング能力では、データを元にサイクリストとしてのパフォーマンス特性が提示されます」と竹谷さんは言う。つまり、現時点でフォースデータを100%使いきれなくても、将来的にガーミンのエコシステムで活用されることが期待できる。

「インターバルトレーニングでフォースを確認することで、自分が次にどうすればよいのかわかる」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
重要なのは、このデータ活用が専門家だけのものではないという点だ。「本当にそうなのかという疑問を挟む余地はいくらでもあるからこそ、蓄積したデータをどう使うかが重要」と竹谷さん。プロレベルのデータ分析が必要ならば、アナリストによる精度の高いレポートとコーチングが求められる。しかし、数多くの人が理解できる形で情報を提供することに意味があると竹谷さんは言う。
「データをどの程度の精度で活用するかは、アスリートのレベルによって異なります。アナリストもアスリートに伝えるときは理解しやすいように伝えます。例えば、円周率を3で計算するか、3.14で計算するかで、得られる答えの正確さは異なりますよね。だからこそ、ガーミンは多くの人が使えるレベルに『翻訳』してデータを提供していると言えるでしょう」。
竹谷さんが推奨するのは、段階的なアプローチだ。「一番最初のステップは、パフォーマンス統計のサイクリング能力を参照して、パフォーマンス向上を目指してみてはいかがでしょうか。そのうちに改善スピードが鈍化していくので、そこでペダリングの解析をしてみてもいいはずです」。

「ガーミンは取得したデータをわかりやすい形に加工して提供してくれる」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
大きなところから小さく見ていく。「フォースデータの活用もその先にあるとも言えます」。つまり、詳細なペダリング解析は、基本的なデータ活用ができるようになってから取り組めば良いのだ。そして、活用できるレベルに達したときに蓄積したデータがあれば、必ず役に立ってくれる。データ活用とパフォーマンス改善とはユーザーの行動を変容させることであり、その一歩としてシステムが提示する情報を受け入れてみても良いと竹谷さんは言う。
フォースデータという革新的な機能を支えるのが、大幅に進化したハードウェアだ。

ガーミン Rally RS210
「Vectorから使っていると、今のRALLYは隔世の感があります」と竹谷賢二さんが評価するのはガーミンのペダル型パワーメーターのRALLYシリーズだ。シマノSPD-SL、ルックKEO、シマノSPDのクリートに対応し、かつ全てのモデルに左右センサー、片側センサーが揃う充実のラインアップが特徴。そして前世代のボタン電池式から充電式への変更は、使い勝手を大きく向上させたという。
新世代RALLYは90時間という驚異的なバッテリー持続時間を誇る。「前世代のボタン電池式も困ることはありませんでしたが、冬場だと消耗が激しくなることがあって、交換頻度が高くなっていました。専用クレードルで簡単に充電できるのも実用的です」と竹谷さんは評価する。
実際に使用した印象としても電池の減りは少なく、「当たり前だけど印象的」という。90時間という数値は週末ライダーであれば数ヶ月間は充電不要になる計算で、バッテリー管理のストレスから解放される。万が一、充電を忘れても「15分の急速充電で12時間稼働」という仕様がライダーを救ってくれる。
竹谷さんはモバイルバッテリーからの給電もテストしたところ問題なく行えたという。「大容量のバッテリーを使ったのですが、モバイルバッテリーから充電できるのはとても便利だと思いました。ケーブルもUSB Type-Cとなっていて、他のデバイスと共有できるのもユーザー視点の設計だと感じます」。

ペダルレンチをかける面が4つに増え、作業性が増した
「私的に嬉しいのはペダルレンチを掛ける部分が4カ所になっているところです」と竹谷さんは言う。従来は1カ所(表と裏の2面)のみだったため、クランクとの位置関係によっては工具が入りにくいことがあった。「飛行機輪行を頻繁に行うため、その度にペダルを外しています。だから、この改良のおかげで作業のストレスが減りました」と新型の設計を高評価する。
ペダル型パワーメーターで重要なのが、脱着時のトルクコントロールだ。きちんと規定トルクで締め上げる必要があるため、竹谷さんは遠征時も柄の長いペダルレンチを携行しているという。便利になった一方で、正しい取り付けがパワーメーターの精度を保つために必要であることは覚えておきたい。

「分解できるということは、信頼性が増している証明でしょう」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
新世代RALLYはソフトウェア面でも大きく進化している。自動的にキャリブレーションを促すポップアップが出現するため、ユーザーが何も意識しなくても、システムが自動的に最適な状態を維持してくれる。竹谷さん自身もユーザビリティが進化していると太鼓判を押す。
「RALLYはガーミンコネクトアプリとも連携するため、設定や管理をアプリからも行えるようになっていたり、更には自動化されたりと、高機能化が進むことでライダーの手間が知らないうちに解消されています。ユーザーは新型RALLYを使うだけで、その恩恵を享受できますね」。
ハードウェア面ではセンサー部分を保持したままペダルボディを交換できる設計も大きな特徴だ。一つのパワーメーターを様々なタイプの自転車に使いまわすようなユースケースに対応できるだけでなく、「ユーザーが分解しても大丈夫な設計になっているということは、それだけ製品の堅牢性と信頼性が高まっている」ことの証明だと竹谷さんはいう。

シャープな形状となって、スポーティな雰囲気が増した
「実際のペダリングでもガタつきなどを感じず、ペダルとしての完成度が向上していると実感します」。そして、竹谷さんはシャープな形状となったペダルボディについてもスポーティーなルックスになったと評価する。

「ガーミンコネクトによるデータ活用で、誰もがパワーデータの恩恵を受けられるようになった」竹谷賢二さん photo: Kenta Onoguchi
新世代RALLYは、誰でも扱いやすいパワーメーターへと進化した製品だといえる。バッテリー性能の向上、メンテナンス性の改善、そして何よりガーミンコネクトによるデータ活用で、専門知識がなくても誰もがパワーデータの恩恵を受けられるようになった。
一般のサイクリストにもパワー、そしてフォースデータは価値がある。データに基づいた科学的なトレーニングは、もはやプロやエキスパートだけのものではない。新世代RALLYとEDGEの組み合わせは、ライドの可能性を広げてくれるだろう。
4年ぶりに全面刷新されたガーミンRallyシリーズ

ガーミンが展開するペダル型パワーメーターのRallyシリーズ。2011年に発表されたVectorからスタートし、世代を経るごとに通信用ポッドの廃止や精度向上を実現し続け、2021年にRallyという名前に変更されて、現在までラインアップされている。そんなRallyが4年ぶりにモデルチェンジを果たした。
新型の大きな特徴はパワーメーター内蔵スピンドルユニットと、シマノSPD、シマノSPD-SL、ルックKEOという3タイプのペダルボディが組み替えられる点だ。ロードバイクとマウンテンバイク、グラベルで使い回すこともできれば、クリートシステムの変更にも柔軟に対応、メンテナンスも行いやすい設計となっている。
従来の電池交換式から充電式バッテリーを採用したことも大きなトピック。フル充電で約90時間の稼働が可能で、これは週末ライダーであれば数ヶ月間使い続けられるバッテリーライフを実現している。また急速充電にも対応しており、わずか15分の充電で約12時間の稼働が可能だ。
ジャイロセンサー搭載も新型の特徴。これによりオーバルチェーンリング使用時でも確かなパワー計測が可能となった。さらにパワーとケイデンスの関係を可視化する「フォースデータ」も相まって、効率的なペダリングパターンの分析に役立てられる。新機能「Pedal IQ」により、温度変化や自転車の付け替え、取り付け角度の変化などを自動で検出し、キャリブレーションが必要なタイミングを知らせてくれるようになったのも嬉しいアップデートだ。
Vectorから続く歴史の中で、新世代RALLYはどう進化したのか。ガーミンアンバサダーの竹谷賢二さんに詳しく話を聞いた。
ガーミンアンバサダー:竹谷賢二さん(エンデュアライフ)

フルタイムワーカーとしてMTBレースに参戦。2000年に全日本選手権優勝を経てプロライダーへ。2004年にはMTB XCOの日本代表としてアテネオリンピックに出場、同年のアジア選手権で優勝を遂げる。2009年の全日本選手権を最後に現役を引退。その後トライアスロンに挑戦し、アイアンマンでもエイジ世界4位を獲得。
現在は自ら立ち上げたエンデュアライフをベースにフィッティングやコーチングを行い、エンデュランススポーツを「生涯現役」で楽しめるアスリートをサポートしている。ガーミンのアンバサダーとしてトレーニングの有用性を広くレクチャーする活動も行っている。
これがRALLYの真骨頂:フォースデータ徹底解説
パワーを構成する新しい変数

新世代RALLYの最大の特徴は、フォースデータが取得できるようになった点だ。
フォースとは、ペダルにかかる力そのものを指す。これにケイデンスなどを掛け合わせることで、よく知られるパワーが導き出される。つまり、フォースが明らかになればパワーにまつわる一歩進んだ分析ができる、新たな指標だ。
「パワーはライダーが発揮したパフォーマンスの結果です。これまでパワーとケイデンスを記録していましたが、フォースが明らかになることで高いパワーを出せる、もしくはパワーが低下している原因を検討することができます」と竹谷さんは言う。
自分の特性が見えてくる


フォースデータの価値は、自分のパワー出力の特性を理解できることにある。パワーはフォースとケイデンスのどちらを上げることによっても数値が向上するが、やがて一方がボトルネックとなる。
竹谷さんは回転数には頭打ちがあるという。軽いギアでケイデンスを上げていけば、呼吸が間に合わなくなる可能性もあれば、長時間のペダリングでは腸腰筋の疲労が現れる可能性もある。「ケイデンスを上げていこうと思っても、どこかでフォースとのバランスを考えなければなりません。それはライダーごとに特性が異なるため、自分にあったペダリングを見つける必要があります」。
またケイデンスについて竹谷さんは「回転を上げる能力や保つ能力は、キャリアを積むと、極端に落ちることはありません。もし、ケイデンスが変わらないのであれば、フォースに何らかの課題があると考えることができます。それが数値として表現されることで、問題を特定し、トレーニング指針の検討につながります」という。
またペダリングが一定にならないオフロード競技における活用の可能性も秘めている。「シクロクロスの濡れた芝生など重馬場で踏み負けるのはフォースが足りていない可能性があります。その状況でのフォースを検証できれば、練習で路面を再現しなくとも、レースに必要なフォースにターゲットを絞ったトレーニングが行えます」。さらに、急斜面であと一歩踏み切れない場合も、フォースを振り返ることで得られるものがあるという。
フォースに影響する3つの要素

それではフォースを向上するにはどうすればよいか。竹谷さんはフォースに作用する要素を3つ挙げる。1つは直感的にもわかる筋力だ。2つ目はボディポジション。どのような体勢で力をかけるかによって、発揮されるパフォーマンスが変わる。そして3つ目はペダリングスキル。これは自転車特有の要素で、効率的な力の掛け方も重要な要素だ。
この視点でフォースデータを分析すれば、具体的なトレーニング方針を示してくれる。
「例えば筋力はあるけどフォースの数値が伸び悩むのであれば、ペダリングスキルがボトルネックになっているんでしょう。ペダリング効率や、パワーのピークポイント、ペダルセンターオフセットなどを振り返る必要があります。そして、ペダリングの練習が必要です」と竹谷さんは解説する。一方、筋力そのものが問題であれば、筋力トレーニングの検討が必要だ。


竹谷さんが示したように、フォースデータはガーミンが従来から用意しているサイクリングダイナミクスと組み合わせることで、より深い理解が得られる。例えば、力がかかりやすい前乗りポジションに設定したトライアスロンバイクで、トルクのピークが悪くない位置を示しているのであれば、純粋に筋力の強化が求められる。もし、筋力に自信があって、トルクピークも悪くないのであれば、ポジションの検討に移るということだ。
フォース向上を目的としたトレーニングも有効だ。「フォースというデータが取得できることで、ペダルにかかる力の数値にアプローチするトレーニングが生まれました」。これまでのパワートレーニングに加え、フォースに着目することで新たなアプローチでのパフォーマンス向上を狙えるのだ。

竹谷さんはこうしたトレーニング時には、スマートローラーのエルゴモードを活用している。エルゴモードは予め設定したターゲットパワーを出力できるようにローラー自体が自動的に負荷を調整する機能だ。
例えばインターバルトレーニングのターゲットパワーを300Wに設定した場合、ハイケイデンスで目標パワーに到達した場合はローラー台の負荷は低く、必要なフォースも少ない状態となる。対して、ローケイデンスではローラー台が自動的に高い負荷に調整され、高いフォースが求められる。この時、フォース数値にも任意の目標を設定しておけば、狙ったフォースを出すトレーニングが行える。
データは蓄積するだけでも価値がある

フォースデータを記録することで、パワーに関連する指標を一つずつ検証可能となる。それぞれの関係性を総合的に見ることで最適なケイデンスや、ペダリングのスタイルを見つけることもできる。
しかし、フォースデータが示唆する内容は幅広く専門性が高い。実際にフォースデータを検証しトレーニング内容へ活用する場合、知識と経験が求められるのは事実だ。では、アマチュアにとってフォースデータは宝の持ち腐れとなってしまうのだろうか。
この疑問に対し、竹谷さんは現時点でフォースデータを活用せずとも蓄積することが大切だと答えてくれた。「データがガーミンコネクトに蓄積されると、ガーミンはその人の情報をわかりやすい形で示してくれます。例えば、サイクリング能力では、データを元にサイクリストとしてのパフォーマンス特性が提示されます」と竹谷さんは言う。つまり、現時点でフォースデータを100%使いきれなくても、将来的にガーミンのエコシステムで活用されることが期待できる。

重要なのは、このデータ活用が専門家だけのものではないという点だ。「本当にそうなのかという疑問を挟む余地はいくらでもあるからこそ、蓄積したデータをどう使うかが重要」と竹谷さん。プロレベルのデータ分析が必要ならば、アナリストによる精度の高いレポートとコーチングが求められる。しかし、数多くの人が理解できる形で情報を提供することに意味があると竹谷さんは言う。
「データをどの程度の精度で活用するかは、アスリートのレベルによって異なります。アナリストもアスリートに伝えるときは理解しやすいように伝えます。例えば、円周率を3で計算するか、3.14で計算するかで、得られる答えの正確さは異なりますよね。だからこそ、ガーミンは多くの人が使えるレベルに『翻訳』してデータを提供していると言えるでしょう」。
竹谷さんが推奨するのは、段階的なアプローチだ。「一番最初のステップは、パフォーマンス統計のサイクリング能力を参照して、パフォーマンス向上を目指してみてはいかがでしょうか。そのうちに改善スピードが鈍化していくので、そこでペダリングの解析をしてみてもいいはずです」。

大きなところから小さく見ていく。「フォースデータの活用もその先にあるとも言えます」。つまり、詳細なペダリング解析は、基本的なデータ活用ができるようになってから取り組めば良いのだ。そして、活用できるレベルに達したときに蓄積したデータがあれば、必ず役に立ってくれる。データ活用とパフォーマンス改善とはユーザーの行動を変容させることであり、その一歩としてシステムが提示する情報を受け入れてみても良いと竹谷さんは言う。
フォースデータという革新的な機能を支えるのが、大幅に進化したハードウェアだ。
90時間駆動と充電式バッテリー

「Vectorから使っていると、今のRALLYは隔世の感があります」と竹谷賢二さんが評価するのはガーミンのペダル型パワーメーターのRALLYシリーズだ。シマノSPD-SL、ルックKEO、シマノSPDのクリートに対応し、かつ全てのモデルに左右センサー、片側センサーが揃う充実のラインアップが特徴。そして前世代のボタン電池式から充電式への変更は、使い勝手を大きく向上させたという。
新世代RALLYは90時間という驚異的なバッテリー持続時間を誇る。「前世代のボタン電池式も困ることはありませんでしたが、冬場だと消耗が激しくなることがあって、交換頻度が高くなっていました。専用クレードルで簡単に充電できるのも実用的です」と竹谷さんは評価する。
実際に使用した印象としても電池の減りは少なく、「当たり前だけど印象的」という。90時間という数値は週末ライダーであれば数ヶ月間は充電不要になる計算で、バッテリー管理のストレスから解放される。万が一、充電を忘れても「15分の急速充電で12時間稼働」という仕様がライダーを救ってくれる。
竹谷さんはモバイルバッテリーからの給電もテストしたところ問題なく行えたという。「大容量のバッテリーを使ったのですが、モバイルバッテリーから充電できるのはとても便利だと思いました。ケーブルもUSB Type-Cとなっていて、他のデバイスと共有できるのもユーザー視点の設計だと感じます」。
使い勝手を高める細部の改良

「私的に嬉しいのはペダルレンチを掛ける部分が4カ所になっているところです」と竹谷さんは言う。従来は1カ所(表と裏の2面)のみだったため、クランクとの位置関係によっては工具が入りにくいことがあった。「飛行機輪行を頻繁に行うため、その度にペダルを外しています。だから、この改良のおかげで作業のストレスが減りました」と新型の設計を高評価する。
ペダル型パワーメーターで重要なのが、脱着時のトルクコントロールだ。きちんと規定トルクで締め上げる必要があるため、竹谷さんは遠征時も柄の長いペダルレンチを携行しているという。便利になった一方で、正しい取り付けがパワーメーターの精度を保つために必要であることは覚えておきたい。

新世代RALLYはソフトウェア面でも大きく進化している。自動的にキャリブレーションを促すポップアップが出現するため、ユーザーが何も意識しなくても、システムが自動的に最適な状態を維持してくれる。竹谷さん自身もユーザビリティが進化していると太鼓判を押す。
「RALLYはガーミンコネクトアプリとも連携するため、設定や管理をアプリからも行えるようになっていたり、更には自動化されたりと、高機能化が進むことでライダーの手間が知らないうちに解消されています。ユーザーは新型RALLYを使うだけで、その恩恵を享受できますね」。
ハードウェア面ではセンサー部分を保持したままペダルボディを交換できる設計も大きな特徴だ。一つのパワーメーターを様々なタイプの自転車に使いまわすようなユースケースに対応できるだけでなく、「ユーザーが分解しても大丈夫な設計になっているということは、それだけ製品の堅牢性と信頼性が高まっている」ことの証明だと竹谷さんはいう。

「実際のペダリングでもガタつきなどを感じず、ペダルとしての完成度が向上していると実感します」。そして、竹谷さんはシャープな形状となったペダルボディについてもスポーティーなルックスになったと評価する。
誰でも扱えるパワーメーターへと進化

新世代RALLYは、誰でも扱いやすいパワーメーターへと進化した製品だといえる。バッテリー性能の向上、メンテナンス性の改善、そして何よりガーミンコネクトによるデータ活用で、専門知識がなくても誰もがパワーデータの恩恵を受けられるようになった。
一般のサイクリストにもパワー、そしてフォースデータは価値がある。データに基づいた科学的なトレーニングは、もはやプロやエキスパートだけのものではない。新世代RALLYとEDGEの組み合わせは、ライドの可能性を広げてくれるだろう。
| モデル | Rally RS210 | Rally RS110 | Rally RK210 | Rally RK110 | Rally XC210 | Rally XC110 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応クリート | SHIMANO SPD-SL | SHIMANO SPD-SL | Look KeO | Look KeO | SHIMANO SPD | SHIMANO SPD |
| パワーメーター | 両側 | 片側 | 両側 | 片側 | 両側 | 片側 |
| 重量 | 312 g | 320 g | 312 g | 320 g | 436 g | 444 g |
| スタックハイト | 12.2 mm | 11.5 mm | ||||
| 防水等級 | IPX7 | |||||
| 耐荷重量 | 105 kg | |||||
| Qファクター | 53mm(2mmワッシャー付きで55mm) | |||||
| ペダル本体のクイック交換 | すべてのRally 110/210ペダル本体と互換性あり 4つのレンチフラット | |||||
| ペダル本体素材 | カーボン素材をベースにした設計 | オールメタル | ||||
| フォースデータ | ◯ | |||||
| バッテリータイプ | 充電式 | |||||
| 急速充電 | 15分の充電で約12時間稼働 (要USB-C) | |||||
| 測度精度 (+/-) | 1% | |||||
| 稼働時間 * | 約90時間 | |||||
| 温度補正 | ◯ | |||||
| オーバルチェーンリング対応 | ◯ | |||||
| 測定位置 | スピンドル | |||||
| 校正機能 | ◯ | |||||
| 通信 | ANT+、BLUETOOTH、USB(USB-C準拠) | |||||
| Pedal IQ スマート校正 | ◯ | |||||
| トラベルモード | ◯ | |||||
| サイクリングダイナミクス | ◯ | |||||
| Garmin Connect 対応 | ◯ | |||||
| 税込価格 | 174,900円 | 107,800円 | 174,900円 | 107,800円 | 189,800円 | 115,800円 |
提供:ガーミン 制作:シクロワイアード編集部 写真:小野口健太