マヴィックが誇るレーシングホイールCOSMIC SLR 45がモデルチェンジ。リムの内幅が23mmへとワイド化を果たし乗り心地、エアロを高めた一本を、COSMICシリーズを愛用するアルディナサイクラリーの成毛千尋がテストした。



マヴィック Cosmic SLR 45 Disc 23mm

マヴィックが誇るレーシングホイールのCOSMICシリーズが2025年にモデルチェンジを果たす。全方位に進化を遂げたラインアップから今回ピックアップするのは上位グレードのCOSMIC SLR 45。これまで以上に戦闘力を高めたオールラウンドホイールを紹介しよう。

新型COSMIC SLR 45で進化した大きなポイントはリムの内幅が23mmにワイド化している点。近年トップレースで使用されるタイヤ幅が拡幅している状況に合わせ、トレンドとなっているワイドタイヤの性能を100%発揮させられるホイールへと進化を遂げている。

ワイドリム&タイヤの組み合わせによるメリットは、路面からの衝撃吸収性が高まること。同一タイヤ幅と空気圧に設定した19mm幅のリムよりも約12%もの衝撃吸収性が向上しており、路面のギャップに対して高い走破性を発揮することでレースに集中することが可能だ。

内幅23mmに拡幅したCOSMIC SLR 45

ワイドリムによって装着したタイヤの断面形状がより丸みを帯びた形状になり、コーナリング時の安定性やコントロール性が高まる。テストでは23mm内幅のリムは19mm幅よりも横方向のグリップ力が約10%向上するとマヴィックは説明する。

また幅広のリムはエアロダイナミクスの向上にも貢献する。斜め方向からリムに当たった風は乱流とはならず綺麗に流れるため、新型リムは空力性能を最大15%向上させた。リムとタイヤとの段差が小さくなることで空気抵抗が発生しにくくなっていることもポイントだ。さらに特許を取得した形状のスポークも時速50km走行時に5Wの抵抗低減を果している。

スポークは特許取得のエアロ形状が採用されている

インスタントドライブ360によって高い反応性を実現している
Infinity Hub Platformが採用される



このスポークはマヴィックが誇るFORE CARBONテクノロジーでリムに組み付けられる。FORE CARBONとはリム成形時にあらかじめ外ネジ式ニップルを装着するインサートをリム内側に固定する設計のこと。これによって一般的なリムよりも約10%軽量に仕上がり、かつ高い剛性、耐久性のホイールを実現する。また、リムベッドにスポークホールが設けられないため、チューブレスタイヤの運用も行いやすいことが大きな魅力だ。

Infinity Hubは左右のスポークテンションと長さを統一できるように設計されており、パワー伝達、耐久性、メンテナンス性向上に寄与。ノッチ数40で細かい反応を示すフリーや、自動ベアリングプリロード機構なども特徴だ。マヴィックは1000kmに一回のメンテナンスを推奨しており、フリーボディは工具なし(スプロケット装着したまま)で脱着可能という作業性でメンテナンスのハードルを下げている。

マヴィック Cosmic SLR 45 Disc SSC SMU

前後セットの重量は1,482g。価格は363,000円(税込)だ。そのCOSMIC SLR 45をマヴィックのホイールを愛用するアルディナサイクラリーの成毛千尋がテスト。早速インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「走りがさらに軽くなり、レースでも戦えるホイールだ」成毛千尋(アルディナサイクラリー)

このホイールは言うまでもなく絶好調ですね。 前モデルのCOSMIC SLRもリムの軽さが感じられる良いホイールでしたが、そこからリム自体もワイドに進化しつつ30gも軽量化が実現したことで、完成度が高まっています。

リムが軽いおかげでスペック上の1,482gという重量も、その数字から受けるような重い印象は感じられません。恐らくスポークの本数が多いことやハブがセット重量に反映されていると思うのですが、ハブは回転の中心にあるので走りの軽さにはほとんど影響していないです。この印象は乗ってみて実感してみないと中々わかりにくい部分でもあります。

前作は走りの重さで気になる点がありましたが、今作ではそのネガティブな印象はだいぶ改善されました。具体的に前作が活躍する場面は速度を一定に保ち続けるようなシチュエーションだと思っていましたが、新作はワイド化したことで快適性も上がり、苦手な場面が少なくなってレースで活躍するホイールに進化したと感じます。

「プロ選手のパワーを受け止めつつ、ホビーには優しい」成毛千尋(アルディナサイクラリー)

COSMIC SLRはマトリックスパワータグの選手たちの脚力を受け止める剛性がありながらも、ホビーライダーである我々が乗っても疲れにくいんですよ。その懐の深さが魅力でもあります。

チューブレスタイヤをテープレスで運用できるのは大きなメリットですよね。チューブレスタイヤにトラブルがあった時は一つひとつ原因を探りますが、そのうちの一つがないだけで安心感が全く違います。扱い慣れていないユーザーの方が感じやすい恩恵の一つかもしれません。

28Cタイヤとリムは段差なく繋がる

交差する2本のスポークが接触しないのも好印象です。トラブルが起こりうる原因を一つずつ解消することで扱いやすさは増していますし、スポーク長も全て共通なのでマヴィック取扱店であれば対応できる可能性は高いです。

Instant Drive360、Infinity Hubのハブシステムは回転が良好ですし、ペダリングに対する反応も素早いです。だからこそメンテナンスだけは気をつけてもらいたいですね。フリーボディが簡単に取り外せるので、ユーザーでも気にかけてもらえると良いかもしれません。

COSMIC SLR 45は全てに妥協したくないという方にオススメするホイールです。プロフェッショナルからアマチュアまで幅広いユーザーに対応できる性能を備えたホイールとして仕上がっています。

シクロワイアードではSLR、SL、Sのインプレッションを展開する

COSMICシリーズを体験できるTRY MAVIC店舗が全国に展開中

今回紹介したCOSMIC SLRをはじめSL、Sは全国98ヶ所のTRY MAVIC SHOPにて試乗することが可能。COSMICシリーズの乗り味をマイバイクで試すことができるため、気になる方はぜひショップに足を運んでみてはいかがだろうか。店舗によって用意されているホイールは異なるため、下記URLより店舗と取扱モデルを事前に確認してもらいたい。

https://mavic.jp/blogs/blog/brand-67_20250228

マヴィック Cosmic SLR 45 Disc 23mm
タイヤタイプ:USTチューブレス&チューブタイプ
リム:カーボン、リムハイト45mm、内幅23mm、FOREカーボンテクノロジー
スポーク:ストレートプルエアロスポーク、前後24本
ハブ:インフィニティプラットフォーム、インスタントドライブ360
重量:1,482g
価格:363,000円(税込)



インプレッションライダーのプロフィール

成毛千尋(アルディナサイクラリー)
成毛千尋(アルディナサイクラリー)

東京・小平市にあるアルディナサイクラリーの店主。Jプロツアーを走った経験を持つ強豪ライダーで、2009年ツール・ド・おきなわ市民200km4位、2018年グランフォンド世界選手権にも出場。ロードレース以外にもツーリングやトライアスロン経験を持ち、自転車の多様な楽しみ方を提案している。初心者からコアなサイクリストまで幅広く歓迎しており、ユーザーに寄り添ったショップづくりを心がける。奥さんと二人でお店を切り盛りしており女性のお客さんもウェルカムだ。

アルディナサイクラリー


photo:Makoto AYANO, Onoguchi Kenta
text:Gakuto Fujiwara

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