2020/12/31(木) - 15:10
ワールドチームのイネオス・グレナディアーズをサポートするアメリカンフィットネスブランド、ワフーから登場したKICKR AXISをインプレッション。Axis Feetが搭載され左右に傾けられるようになったことで、バーチャルライドをより楽しめるようになった1台だ。
UCIワールドチームであるイネオス・グレナディアーズが使用するワフーのスマートトレーナーのフラッグシップKICKRがモデルチェンジ。第5世代となった新型は前作とほとんど同じルックスだが、追加パーツや内部機器のアップデートにより、インドアトレーニングをより楽しめる仕様へと進化した。
アップデートで大きく変わったポイントは、KICKRの接地部分に「Axis Feet」という新型のフットパーツを搭載している点だ。脚部の接地ポイントの硬いゴムパーツから置き換えられた柔軟な「Axis Feet」により、KICKRは最大5°左右に傾くようになった。屋外走行時の左右の動きを再現できるため、スマートトレーナーでのリアルな走行感を向上させてくれる。
第5世代には剛性が異なる3種類のAxis Feetが付属しており、体格やライディングスタイルに応じて傾き加減を調節することが可能だ。また、Axis Feetは旧世代のKICKRにも装着でき、単体で販売が行われているため、以前からKICKRを使用しているユーザーもアップデート可能だ。
KICKR AXISはパワー精度が向上し、±2%から±1%という高精度のパワー測定が可能になっている。加えて最大2,200Wのパワーを受け止めてくれるため、ホビーライダーからプロロードレース選手まで使用できる高スペックが魅力だ。また、今世代より自動キャリブレーション機能が備わっており、ユーザーが手動で校正しなくても、高い精度でのパワー測定が可能となっている。
対応するホイールサイズは24”、650C、700C、26”、27.5”、29”と非常に豊富で、ロードバイクやMTBなど多種多様な自転車でスマートトレーナーを楽しめる。KICKRはスピードと距離、パワー、ケイデンスが測定でき、無線通信方法はANT+、ANT+ FE-C、Bluetooth Smartに対応している。価格は152,550円(税抜)。
編集部インプレッション
今回インプレッションするのはワフー KICKR AXIS。インプレッションを担当するのは年間を通してスマートローラーを使用し、ズイフトではトップカテゴリーのAクラスのレースで優勝経験があるCW編集部員の高木。
ルックスは前作とほとんど同じに見える。しかし、足周りの細部を見ていくと、床やフロアマットに接する脚部の接地ポイントが前作では硬いゴムだったのが、柔軟なAxis Feetに変わっている。実際に触ってみると確かに前作の物よりも柔軟性が高く、左右への傾きに貢献するのはもちろんだが、Axis Feetがローラー台から発生する振動も吸収してくれそうだ。
実際に乗ってみても、スプリントで左右に動く感覚を得られる。ただ、そこまで大きく揺れるような感覚ではなく、あくまで少し逃がしがある、というくらい。それでも、高い負荷が掛かった状態でのダンシングや高ケイデンスで回している時など様々なシーンでリアルな走行感覚を感じられる。
Axis Feetによって傾きが与えられているものの、KICKRが持つ高い安定性は損なわれていない。下ハンドルを握り力強くスプリントをしてみたが、展開時50.8cm(長さ)x71.1cm(幅)x 43.2cm(高さ)という大きく広がった足場のおかげもあり、安心してペダルを力強く踏み込むことができた。
流石ワールドチームが採用しているハイエンドモデルだ。2200Wというハイパワーに耐えられる安定感を体感させてくれた。従来から引き継がれた安定感と、今回加わった傾きによって、KICKRはストレスフリーでトレーニングに集中できるスマートトレーナーに進化しているようだ。
KICKRはダイレクトな踏み心地、ペダリング中に余計な抵抗を感じること無くスムースにフライホイールが回転してくれるところに良さがある。これは搭載されている約7.3kgのフライホイールが回った慣性が実現しているのだろう。高負荷の中、高いパワーで踏み続ける場面や高速巡航で高いケイデンスで回した時にスムースさは光る。
加えてバーチャルサイクリング走行中の自動負荷調整もスムースであるところに魅力を感じる。これまで多くのスマートローラーに乗ってきたが、その中でもトップレベルだと感じる。実際にアップダウンを繰り返すワインディングロードを走っているような感覚で楽しむことができる。また、最大斜度設定が20%まで対応しているため、ズイフト内のバーチャールコースを忠実に再現可能だ。
今回の新世代では、内蔵されるパワーメーターの精度が±2%から±1%まで向上している。パワー計測精度が上がることで、バーチャルライドでもよりリアルな走行感覚になり、KICKRの美点に更に磨きがかかっている。
さらに、KICKR AXISではパワーメーターのキャリブレーションが自動化され、ズイフトなどで使用する際の一手間を省くことが可能となり、使い勝手が増している。校正を自動的に行なってくれることで、自分の感覚とズレにくくなっているため、バーチャルサイクリングの没入感が増しているはずだ。パワートレーニングをシリアスに行っている方にとってももちろん恩恵となるアップデートだ。
ペダリングを止めた時のフリーボディー音にも驚かされた。ラチェット音がラチェット音が気になるスマートトレーナーが多い中、KICKR AXISは非常に静か。Axis Feetを搭載したKICKR AXISとフロアマットがあれば、集合住宅住まいの方でも騒音や振動を気にせずバーチャルライドを楽しむことができるだろう。
KICKR AXISの重さは21.3kgとスマートローラーの中でも重量級だが、持ち運びやすいハンドルが付いているため持ち運びは簡単だ。展開方法も容易で、本体の青いストッパーを押し込み、左右のアームを展開し、中央にある青色のパーツを装着するバイクの種類に合わせて変更するだけ。収納時は足場を折り畳むと実測で約22cm(幅)までスリムになるため、収納スペースを見つけやすい。トレーニングの度にローラー台をセットするユーザーにとっては嬉しい仕様となっている。
KICKRの起動はコンセントに繋ぐだけ。電源がオンになるとすぐにANT+やANT+FE-C、Bluetoothで双方向通信が開始され、あっという間にパソコンやタブレット、サイクルコンピュータとすぐにペアリングされる。
ズイフトなどのバーチャルサイクリングアプリと連携しない場合は踏み込んだパワーに応じて負荷が掛かる仕組みで、中高強度トレーニングにも対応できる。電源がない場所で使用した場合は負荷は掛からない。レース会場でウォーミングアップやレース後のダウンに使用するのが良いと思う。
このローラーは電源の有無関係なく多くの場所で使用でき、実走感や安定性、快適性を含めてハイスペックなローラー台であると感じる。進化を果たした2021年モデルのワフー KICKRはバーチャルライドを充実させてくれるスマートトレーナーだ。
ワフー KICKR AXIS
サイズ(展開時):50.8cm(長さ)x71.1cm(幅)x 43.2cm(高さ)
重さ:21.3kg
ホイールサイズ:24”、650C、700C、26”、27.5”、29”
ハブタイプ:130㎜/135㎜クイックリリース、12×142/12×148スルーアクスル(アダプター付属)、11速スプロケット(11-28T)
ドライブトレイン:11スピード/(8/9/10コンバーチブル)※カンパニョーロとスラムは別売
負荷方法:マグネット式
最大出力:2,200W
データ誤差:+-1%
最大斜度設定:20%
他社パワーメーター使用:可
計測データ:スピード、距離、パワー、ケイデンス
無線通信方法;ANT+, ANT+ FE-C, and Bluetooth Smart
価格:152,550円(税抜)
text&photo:Michinari TAKAGI
UCIワールドチームであるイネオス・グレナディアーズが使用するワフーのスマートトレーナーのフラッグシップKICKRがモデルチェンジ。第5世代となった新型は前作とほとんど同じルックスだが、追加パーツや内部機器のアップデートにより、インドアトレーニングをより楽しめる仕様へと進化した。
アップデートで大きく変わったポイントは、KICKRの接地部分に「Axis Feet」という新型のフットパーツを搭載している点だ。脚部の接地ポイントの硬いゴムパーツから置き換えられた柔軟な「Axis Feet」により、KICKRは最大5°左右に傾くようになった。屋外走行時の左右の動きを再現できるため、スマートトレーナーでのリアルな走行感を向上させてくれる。
第5世代には剛性が異なる3種類のAxis Feetが付属しており、体格やライディングスタイルに応じて傾き加減を調節することが可能だ。また、Axis Feetは旧世代のKICKRにも装着でき、単体で販売が行われているため、以前からKICKRを使用しているユーザーもアップデート可能だ。
KICKR AXISはパワー精度が向上し、±2%から±1%という高精度のパワー測定が可能になっている。加えて最大2,200Wのパワーを受け止めてくれるため、ホビーライダーからプロロードレース選手まで使用できる高スペックが魅力だ。また、今世代より自動キャリブレーション機能が備わっており、ユーザーが手動で校正しなくても、高い精度でのパワー測定が可能となっている。
対応するホイールサイズは24”、650C、700C、26”、27.5”、29”と非常に豊富で、ロードバイクやMTBなど多種多様な自転車でスマートトレーナーを楽しめる。KICKRはスピードと距離、パワー、ケイデンスが測定でき、無線通信方法はANT+、ANT+ FE-C、Bluetooth Smartに対応している。価格は152,550円(税抜)。
編集部インプレッション
今回インプレッションするのはワフー KICKR AXIS。インプレッションを担当するのは年間を通してスマートローラーを使用し、ズイフトではトップカテゴリーのAクラスのレースで優勝経験があるCW編集部員の高木。
ルックスは前作とほとんど同じに見える。しかし、足周りの細部を見ていくと、床やフロアマットに接する脚部の接地ポイントが前作では硬いゴムだったのが、柔軟なAxis Feetに変わっている。実際に触ってみると確かに前作の物よりも柔軟性が高く、左右への傾きに貢献するのはもちろんだが、Axis Feetがローラー台から発生する振動も吸収してくれそうだ。
実際に乗ってみても、スプリントで左右に動く感覚を得られる。ただ、そこまで大きく揺れるような感覚ではなく、あくまで少し逃がしがある、というくらい。それでも、高い負荷が掛かった状態でのダンシングや高ケイデンスで回している時など様々なシーンでリアルな走行感覚を感じられる。
Axis Feetによって傾きが与えられているものの、KICKRが持つ高い安定性は損なわれていない。下ハンドルを握り力強くスプリントをしてみたが、展開時50.8cm(長さ)x71.1cm(幅)x 43.2cm(高さ)という大きく広がった足場のおかげもあり、安心してペダルを力強く踏み込むことができた。
流石ワールドチームが採用しているハイエンドモデルだ。2200Wというハイパワーに耐えられる安定感を体感させてくれた。従来から引き継がれた安定感と、今回加わった傾きによって、KICKRはストレスフリーでトレーニングに集中できるスマートトレーナーに進化しているようだ。
KICKRはダイレクトな踏み心地、ペダリング中に余計な抵抗を感じること無くスムースにフライホイールが回転してくれるところに良さがある。これは搭載されている約7.3kgのフライホイールが回った慣性が実現しているのだろう。高負荷の中、高いパワーで踏み続ける場面や高速巡航で高いケイデンスで回した時にスムースさは光る。
加えてバーチャルサイクリング走行中の自動負荷調整もスムースであるところに魅力を感じる。これまで多くのスマートローラーに乗ってきたが、その中でもトップレベルだと感じる。実際にアップダウンを繰り返すワインディングロードを走っているような感覚で楽しむことができる。また、最大斜度設定が20%まで対応しているため、ズイフト内のバーチャールコースを忠実に再現可能だ。
今回の新世代では、内蔵されるパワーメーターの精度が±2%から±1%まで向上している。パワー計測精度が上がることで、バーチャルライドでもよりリアルな走行感覚になり、KICKRの美点に更に磨きがかかっている。
さらに、KICKR AXISではパワーメーターのキャリブレーションが自動化され、ズイフトなどで使用する際の一手間を省くことが可能となり、使い勝手が増している。校正を自動的に行なってくれることで、自分の感覚とズレにくくなっているため、バーチャルサイクリングの没入感が増しているはずだ。パワートレーニングをシリアスに行っている方にとってももちろん恩恵となるアップデートだ。
ペダリングを止めた時のフリーボディー音にも驚かされた。ラチェット音がラチェット音が気になるスマートトレーナーが多い中、KICKR AXISは非常に静か。Axis Feetを搭載したKICKR AXISとフロアマットがあれば、集合住宅住まいの方でも騒音や振動を気にせずバーチャルライドを楽しむことができるだろう。
KICKR AXISの重さは21.3kgとスマートローラーの中でも重量級だが、持ち運びやすいハンドルが付いているため持ち運びは簡単だ。展開方法も容易で、本体の青いストッパーを押し込み、左右のアームを展開し、中央にある青色のパーツを装着するバイクの種類に合わせて変更するだけ。収納時は足場を折り畳むと実測で約22cm(幅)までスリムになるため、収納スペースを見つけやすい。トレーニングの度にローラー台をセットするユーザーにとっては嬉しい仕様となっている。
KICKRの起動はコンセントに繋ぐだけ。電源がオンになるとすぐにANT+やANT+FE-C、Bluetoothで双方向通信が開始され、あっという間にパソコンやタブレット、サイクルコンピュータとすぐにペアリングされる。
ズイフトなどのバーチャルサイクリングアプリと連携しない場合は踏み込んだパワーに応じて負荷が掛かる仕組みで、中高強度トレーニングにも対応できる。電源がない場所で使用した場合は負荷は掛からない。レース会場でウォーミングアップやレース後のダウンに使用するのが良いと思う。
このローラーは電源の有無関係なく多くの場所で使用でき、実走感や安定性、快適性を含めてハイスペックなローラー台であると感じる。進化を果たした2021年モデルのワフー KICKRはバーチャルライドを充実させてくれるスマートトレーナーだ。
ワフー KICKR AXIS
サイズ(展開時):50.8cm(長さ)x71.1cm(幅)x 43.2cm(高さ)
重さ:21.3kg
ホイールサイズ:24”、650C、700C、26”、27.5”、29”
ハブタイプ:130㎜/135㎜クイックリリース、12×142/12×148スルーアクスル(アダプター付属)、11速スプロケット(11-28T)
ドライブトレイン:11スピード/(8/9/10コンバーチブル)※カンパニョーロとスラムは別売
負荷方法:マグネット式
最大出力:2,200W
データ誤差:+-1%
最大斜度設定:20%
他社パワーメーター使用:可
計測データ:スピード、距離、パワー、ケイデンス
無線通信方法;ANT+, ANT+ FE-C, and Bluetooth Smart
価格:152,550円(税抜)
text&photo:Michinari TAKAGI
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