プロロゴがリリースしたばかりの「Choice(チョイス)」をいち早くテスト。かつて一世を風靡した名作の名を引き継ぐ最新サドルは、唯一無二の低いスタックハイトがもたらす、前乗りポジションでの安定したペダリングが最大の魅力。レースに実戦投入したインプレッションを紹介します。



プロロゴが今年3月に発表したばかりの最新サドル「Choice(チョイス)」。前乗りポジションに特化した現代レーシングサドルだ photo:Gakuto Fujiwara

「世界最高峰のトッププロ、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)とワウト・ファンアールト(ベルギー)の走りを支えるサドル」というアピールと共に、プロロゴが今年3月の台北ショーでお披露目した最新最高峰ロードサドルが「Choice(チョイス)」。

2007年に「パッドの着せ替え可能」という革新的なアイディアを取り入れ、ツール・ド・フランス制覇を遂げたカルロス・サストレ(スペイン)や、クラシック戦線で猛威を振るったファビアン・カンチェラーラ(スイス)、イェンス・フォイクト(ドイツ)たちが所属したチームCSCを支えると共に、プロロゴの躍進を支えた名品と同じモデル名を奢る、プロロゴ期待の最新作だ。

今年1月、プロロゴ本社を訪問した際に内密に紹介してもらっていた。Choiceを手に持つのはサルヴァトーレ・トゥルーリオ代表だ photo:So Isobe

Choiceの原型となったタイムトライアル専用サドル「PREDATOR//01TT」。似通ったデザインを採用していることが分かる photo:So Isobe
プロロゴ本社で目の当たりにしたプロトタイプ。製品版とは細部のデザインやカーボン素材が異なっていた photo:So Isobe



「ケーブルやブレーキホース、ハンドルバー、コンポーネント類...。今やロードバイクのさまざまなパーツが専用品になりましたが、サドルだけはまだその世界線にありません。我々はサドルを、特に機能面において"バイクやライダーと一体化"させたかった。ポジションが急変化している現代のレースシーンに合わせたサドルを作ろうと考えました」。

そう言うのは、プロロゴ代表を務めるサルヴァトーレ・トゥルーリオ氏。実はCW取材班は今年1月後半にプロロゴ本社を訪れた際、まだ最終プロトタイプだったChoiceを紹介してもらい、サルヴァトーレ氏から直接話を聞く機会を得ていたのだった。

機能面においてサドルとバイクやライダーと一体化させることが開発のモットー。非常に低いスタックハイトを中心としたデザインで目標を達成したという photo:Naoki Yasuoka

新設計のカーボンレールは低いスタックハイトに貢献。サイドウイングは空力を考えたデザインだ photo:Gakuto Fujiwara
サドルトップとレール部分は3mmの六角レンチで分解可能 photo:Naoki Yasuoka


レールとトップ/ベース部分は分解可能。初代Choiceのようなトップの着せ替えのためではなく、補修やリサイクル、またシートポストへの取り付けを踏まえての構造だという photo:Naoki Yasuoka

機能面で「バイクやライダーと一体化」させるため、徹底的にサドルレールのスタックハイトを低く抑えたことがChoice最大の特徴だ。スタックハイトが低ければ物理的にしなりが減り、結果的に腰が上下することなく安定したペダリングが可能になる。実際に測ってみるとChoiceのサドル後端部はレールから座面まで35mmほどしかなく、一般的な多くのサドルが42〜45mm程度(編集部のサドル各種を計測)であるのに対して10mmも低い。サドルの基本デザインも前乗りのエアロフォームに合わせたショートノーズであり、まさに現代のレースシーン専用設計たるデザインが与えられている。

「見た目通り、これぞ前乗りレースサドルという使用感ですね。前に座って、深いポジションで踏み込む時にパワーが出しやすい。とてもいい感じです」と評価するのはCW編集スタッフの高木。短時間高強度の登坂が続く群馬CSCでの実業団レースに投入した上での使用感だ。

「スタックハイトが低いので、今まで使ってきたサドルと違って、とてもカッチリしているんです。踏み込んだ時とか、路面から衝撃を受けた時にハンモック的な動きが一切ないのでお尻が落ち着くんです。上下動しないからずっと安定して踏んでられる。かといって乗り心地が悪いこともなく、見た目以上にトップ部分のクッション性が確保されているのでレースサドルとしては必要十分。大きく溝が切られているデザインも前乗りした時に圧迫を逃がしてくれるのでいいですね」と評価する。

高強度で踏み込むシーンでの「カッチリ感」が使用上一番の特徴。現代のレースシーンに合わせた作りを感じるという photo:Naoki Yasuoka

レール部分を包み込むサイドウイングは空力性能を担保。テスト時も若干の差を感じるような気がした、とのこと photo:Naoki Yasuoka
前乗りポジションを基準とするため、セットバック方向の調整幅はあまり無い photo:Naoki Yasuoka



「ただもちろん、乗り心地を重視したサドルではないので、ゆったりペースのカフェライドに使おうとか、自分のキャパいっぱい走るロングライドとか、そういうサドルではありません。使ってみると"ここに座ってください"というポジション指定もあるように感じますし、それゆえにサドル後ろにどかっと座るような乗り方には合いません」とも付け加える。あくまでエアロポジションで高出力を出すレースユースを想定したサドルであり、そうした場面では本当に相性が良い、とも。高木の場合、スタックハイトの低さに合わせ、既存のポジションからは10mmシートポストを出し、普段よりも数ミリ前に腰が落ち着くように調整すると調子が良かったという。

プロロゴが謳うサドル側面のウィングによるエアロ効果に関しても、「もちろんプラシーボ効果もあるとは思いますが、路面が荒れた群馬CSCでよくある"お尻を浮かせて下る場面"でのスピード維持が若干良かったような気がします。もっとも一番のメリットは腰を落ち着けてペダリングできることなので、それに匹敵するほどではありませんが...」とも。

このChoiceの原型となったのが、奇抜なデザインが特徴のタイムトライアル専用サドル「PREDATOR//01TT」だ。1024ユーロ、日本円換算で19万円近いという超高級品だが、このプレデターも低いスタックハイトと中割れの前乗りデザイン、空力性能を突き詰めたサイドウイング、というChoiceに引き継がれた特徴を持つ。タイムトライアルを得意とする方のロード用サドルにはうってつけと言えるだろう。

サドル単体重量は実測162g photo:Gakuto Fujiwara

サドルレール単体は34g。スモールパーツが10gで、サドルベースとトップは116gだった photo:Gakuto Fujiwara
サドルトップとレールは2本のボルトで固定されている。取り付け時は1.5Nmのトルクで締め、中強度のネジロック剤を塗布することが推奨されている


化粧箱にはサルヴァトーレ代表からのメッセージが入る photo:Gakuto Fujiwara

Choiceは「革新」をモットーとするプロロゴの威信作。サルヴァトーレ代表のプレゼンも熱がこもったものだった photo:So Isobe

Choiceは2007年にデビューした初代Choice同様に、座面+ベースとレール部分を分解できるという構造を持つが、初代Choiceが文字通り複数の座面デザインを着せ替えできたのに対して、異なるシェイプの座面は用意されていない。これはシートポストへの取り付け作業の簡易化(スタックハイトが低いため工具が入りにくい)やリサイクルする際の分別を簡単にしているほか、万が一破損した場合にも高価な買い替えではなく、部品交換で対応できるよう配慮したものだという。

ショートノーズサドル全盛期と言える現在だが、唯一無二のスタックハイトを誇るChoiceは、その理由を考えれば「今最もロードレースシーンに最適化されたサドル」と言うことができるだろう。その性能は既にファンアールトやヴィンゲゴーがトッププロレースで実証済み。税込74,800円と非常に高価ではあるものの、パフォーマンス向上を狙う上ではホイールやバイクそのものよりも対コストパフォーマンスは高いかもしれない。

text:So Isobe


プロロゴを扱う服部産業のキット北村さんのインサイドレポート第1弾

インプレッションに際してキット北村さんからレポートが届きました。本文でも触れた2026年1月末にプロロゴ本社訪問のバックストーリーをお届けします。

XDSアスタナのベッティオール選手にもChoiceが供給されたようです photo: Kitto Kitamura

ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ~ルーベでヴィズマ・リースアバイクは『Choice』を投入しましたが、ジロに向けてXDSアスタナにも『Choice』が供給されたようなので、アルベルト・ベッティオール選手のコメントと共に、次世代エアロサドル『Choice』を感じてください。



『Choice』は現代のプロ選手の乗り方(前乗り、ショートノーズサドル、ハンドル幅狭)のロードバイクに対応したサドルです。その原型となったPREDATOR//01TTを実際にTTバイクにセットアップされた状態を見た事がありませんでした。キット北村はかなり多くのヨーロッパのレース観戦をこなしておりますが、モニュメントを制する旅でTTレースは皆無ですからね。TTレースを観戦する機会というのはジロやツールやブエルタのようなステージレースでしかありませんから、プロロゴオフィスにあったXDSアスタナのTTバイクとPREDATOR//01TTに触れられた事は貴重な体験でした。

プロロゴのオフィスに飾られていたXDSアスタナのTTバイクに「PREDATOR//01TT」が装着されていました photo: Kitto Kitamura

PREDATOR//01TTがセッティングされたバイクを初めて見ることができました photo: Kitto Kitamura

PREDATOR//01TT(奥)からChoice(手前)が生まれました。並べてみるとコンセプトが似ていると感じられます

この特徴的なTTサドルからプロロゴ20周年記念の意欲作『Choice』が産まれたという事は、プロロゴとのお取引き18年の歴史を振り返ってみると、とても感慨深いものがありますね。PREDATOR//01TTの取り付け方法の撮影を終え、プロロゴオフィスを後にします。

プロロゴオフィスでの取材を終え、いつもならここからサルヴァトーレGMとレストランへ直行なんですが、今回は何とサルヴァトーレGMの新居にご招待されました。サルヴァトーレGMの奥様のカティアさんと仲の良いキット北村、どうもカティアさんが欲しがっていた日本の空調服を去年プレゼントした御礼として夕食会を開いてくれたようです(2年前の真夏の京都観光で交通整理をしていた金閣寺の警備員さんが着ていた空調服をカティアさんは興味を持たれていた。)その時、FSAの友人であるジョルジオ夫妻も夕食会に招かれていました。

プロロゴオフィス訪問の後はサルヴァトーレGMの自宅で夕食をいただきました photo: Kitto Kitamura

サルヴァトーレGM宅での晩餐に参加したジョルジオさんが勤めているFSAに招いてくれました photo: Kitto Kitamura

夕食会の翌朝、FSAのジョルジオが『オフィスに遊びに来いよ!』と言うので、プロロゴのご近所にあるFSA本社に訪問しました。ウィリエールのヘッドパーツに使うベアリングはFSA製特注品なので、FSAの台湾工場とはしょっちゅうやりとりをしていますが、イタリアにあるFSA本社訪問は初めてです。シクロワイアード磯部さんと共に本社ショールームを見させてもらいました。

ショールームには沢山のプロ選手のバイクが飾られていましたが、今回の記事の中で紹介したいサドルは数年前のEFエデュケーションチームのTTバイクに付いているサドルです。(機会があればFSA本社ショールームのプロバイク紹介の記事を作ろうと思っています。もちろん紹介するのはプロロゴのサドルが装備されたプロ選手バイクだけですが・・・。)

FSAのオフィスにはEFエデュケーション・イージーポストのTTバイクが飾られていました photo: Kitto Kitamura

サドルを撮影しようと思ったら、DHバーの肘当てが気になりました。プロロゴのサドルやグローブで使用されるCPCテクノロジーですが、EFエデュケーションチームのDHバーの肘当て素材がCPCでした。プロロゴとFSAがご近所で、仲の良さが感じられますね。

ロングセラー商品で未だに問い合わせの多いZERO2TTサドルですが、このサドルから現在のPREDATOR//01TTサドルが産まれ、『Choice』へと繋がるという系譜なんですね。

DHバーにプロロゴが誇るCPCテクノロジーのパッドが装着されていました photo: Kitto Kitamura

ロングセラーのZERO2TTサドルがセッティングされていました。このサドルからPREDATOR//01TTが生まれ、Choiceへと繋がっていきました photo: Kitto Kitamura


世界最速で店舗に『Choice』を置いた日本のプロロゴディーラーはこちらになります。(すみません、世界最速入荷を実現するため少量しか入荷しておらず、2026年4月中旬には出荷しているので、5月中旬現在の店舗さんの在庫状況までは把握しておりません。あしからず)

東京Go Ahead→Happy Triathlon(ゴアへ―)東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-7 メゾンMEG1F
東京Punto Rosso Tokyo東京都目黒区本町3-20-7 中川ビル
東京ワイズロード新宿本館東京都新宿区新宿2-19-1 ビックス新宿B1
京都コセキサイクリングセンター京都府京都市上京区七本松通今出川上る毘沙門町496-17
奈良ファルコンサイクル奈良県桜井市阿部530-1
大阪スーパープロショップDAIKOSHI大阪府東大阪市中小坂2丁目12-1
大阪ワイズロード大阪大阪府大阪市中央区南久宝寺町2-2-9 船場藤井ビル1F
岡山サイクルZ岡山県岡山市北区島田本町1-1-47
岡山ウェーブバイクス総社店岡山県総社市中央4-1-103
長崎サイクルフレンド タカタ長崎県大村市玖島1-117-5
ワイズロード オンライン

プロロゴ Choice
サイズ:240×140mm
プロファイル:セミラウンド
形状:T字型
レール:Nack(ナノカーボンファイバー、7x9.3mm)
重量:152g(公称値)、162g(実測値)
価格:74,800円(税込)

※サドル座面とレールを固定するボルトは1.5Nmのトルクで締めてください。また、振動によるボルトの緩みを防ぐために、再組立て時は中強度のネジロック剤を塗布することが推奨されています。

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