DTスイスの最高峰レーシングホイールARCシリーズが第3世代へと進化。22mm内幅リムと独自のV字形状により、ワイドタイヤに対応しながらダイレクト感な走りを実現。ハイディープながら軽快な走りと優れた横風安定性を両立した完成度の高い一本を、なるしまフレンド小畑郁がテストする。

DT スイス ARC 1100 DICUT db 55 WTS photo : Naoki Yasuoka
エアロダイナミクスに優れることで知られるDTスイスのARCシリーズ。現在ラインアップされている第3世代のARCシリーズは、空力のスペシャリストとして様々なブランドとコラボしているスイスサイドと共同開発し更なる性能向上を果たしている。
新世代ARCでは、スイスサイドともに作り上げたAERO+というテクノロジーによって空気抵抗、回転抗力、ステアリングモーメント、転がり抵抗というホイールの各性能の性能を向上。速さを追求するという目的を目指して全てのパラメーターの最適化が行われた。
新型の大きな特徴はリム内幅を22mmへと拡幅したことだ。ホイールとタイヤを一体として開発するWTSテクノロジーをベースに、コンチネンタルのAERO111という29mm幅のタイヤとベストマッチするリムシェイプを開発。もちろんコンチネンタルだけではなく幅広タイヤに対応することで、トレンドのセッティングで速さを追求することが可能となっている。

コンチネンタルのタイヤと合わせて開発され、セットでも販売されている photo : Naoki Yasuoka

V字型のリムが採用されている photo : Naoki Yasuoka
一方でリム内幅を広げることで増加する前方投影面積は空気抵抗が増すことになるが、DTスイスは独自のV字型形状の採用とリムハイトによってエアロダイナミクスを維持したまま、ワイドタイヤへの適性を高めた。
具体的にV字シェイプはリム底面に影響する抵抗を抑えつつ、AERO111が発生させる渦の効果を最大限に引き出すことで高いエアロダイナミクスを実現。同時に横風から受けるステアリングモーメントも小さくし、安定したハンドリングももたらしている。

独自のエアロブレードスポークを採用する photo : Naoki Yasuoka
またリムだけではなくハブ、スポークも独自開発を行う強みを活かし、システム全体としてもエアロを最適化。フロントホイールのスポークを24本から20本へと削減し、エアロ性能に優れたスポークを採用。
今回テストするのは、もっともオールラウンドな55mmハイトモデル。ラインアップには平坦重視の65mm、トライアスロンやTT向けの85mmも用意されるが、55mmは前作より5mmリムハイトが増加し、あらゆるシーンで高いパフォーマンスを発揮するバランスの取れた選択肢となっている。

ハブは180DICUTが採用されている photo : Naoki Yasuoka
前作の50mmハイトと新型の55mmハイトの比較では、時速45km時にヨー角0°で5.5%、ヨー角10°では12%の回転抵抗を低減することに成功している。
重量もポイントでリムハイトが増加しつつも、55mmハイトで1,471gと、先代の50mmハイトから1gを削減。僅かではあるが、リムのボリュームが増していながら重量を減らしているのは進化している証左だ。ハイエンドモデルのARC 1100シリーズには、SINCセラミックベアリングを用いた最高グレードの180DICUTハブと、エアロライトIIスポークを採用する。
空気抵抗を極限まで削ぎ落としたスイスサイドとの共同開発による"AERO+"テクノロジーが採用されたDTスイス ARC 1100 DICUT db 55 WTSを、なるしまフレンドの小畑郁がテスト。インプレッションに移ろう。
ーインプレッション

「明らかに進化していたDTスイスのARC 1100でした」小畑郁(なるしまフレンド) photo: Kenta Onoguchi
ハイディープホイール特有の重さを想定して乗り始めはじめましたが、その予想は良い意味で裏切られました。確かに軽量ホイールと比べれば重さは感じるものの、漕ぎ出しから気持ちよく回り出してスピードが伸びていきます。リムの重さを感じさせない伸びやかな走りと、スピードの維持しやすさが印象的で、パッと乗っただけでもそれが伝わってきました。
近年のエアロホイールのトレンドは、リム中間部を膨らませるU字型が主流ですが、DTスイスは独自のV字型形状を採用していますよね。この選択が乗り心地に影響を与えているように感じました。
例えばリムを極端にワイド化すると縦剛性がやや下がり、足触りは良くなって踏みやすくなるものの、ダイレクト感は減少する傾向にある。対してこのARCは、適度なワイド化に留めることでダイレクト感を維持しています。突き上げに関しては多少感じられますが、それがレスポンスの良さにつながっていると思います。

「初動から軽さが際立ち、スピード維持もしやすく、オールラウンドに活躍する」小畑郁(なるしまフレンド) photo: Kenta Onoguchi
従来モデルのARCシリーズは加速が少し重く、スピードが乗ってから維持することが楽に感じるホイールで、新型は初動から軽いです。ゼロ発進や激坂の多い低速ヒルクライムでなければ、意外と幅広いシーンで使えるホイールだと思います。群馬CSCのような斜度がそれほどきつくないコースや、沖縄のような長時間走るレースでも、登りを苦にしない人なら十分に使えるでしょう。
リムハイト55mmという数値から横風からの影響も気になっていたのですが、実際に乗ってみるとハンドルを取られる感覚はほとんどありませんでした。スポーク接合部がシャープにシェイプされた形状で独自路線を進んでいて、それが明確な意図を持った設計だと感じます。AERO111タイヤとの組み合わせも安定性に寄与しているかもしれませんね。
近年のレース系ロードバイクは剛性バランスが洗練されてきた現在、ホイールの違いをより感じやすくなっています。各社がバランスの良い剛性設計を目指すなかで、どのあたりでバランスが良いかはブランドのカラーが表れていて、ホイールも同様です。ディスクブレーキ化当初はフレームとホイールどちらも剛性が高く調整しにくい時期がありました。

コンチネンタルのAERO111に合わせて開発が行われている photo: Kenta Onoguchi
しかし今は、フレームもホイールもキャラクター分けができています。かつてのリムブレーキのように、様々なバリエーションから選べる状況が訪れてきているのかもしれません。新型ARCも柔らかめのホイールから反応を良くしたい人には最適だろうし、剛性が非常に高いフレームと組み合わせると過度に硬すぎてしまうかもしれません。その相性はテストしてみて考慮すると最適かもしれませんね。
すでに「一番良いエアロホイール」と評価されてきたARCシリーズが、何も考えずに新型を出すはずがありませんし、実際に乗ってみると明らかに進化していました。言葉にしにくい、見た目で分からない部分で、確実にアップデートされていて、それが走りに表れる完成度の高いホイールでした。

「明確な意図を持って開発されたホイール」小畑郁(なるしまフレンド) photo: Kenta Onoguchi
DT スイス ARC 1100 DICUT db 55 WTS
リムハイト:55mm
セット重量(タイヤ込):2,119g
タイヤ幅:フロント29mm、リア30mm
価格:430,738円(税込)
インプレッションライダープロフィール

小畑郁(なるしまフレンド) 小畑郁(おばたかおる)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP

エアロダイナミクスに優れることで知られるDTスイスのARCシリーズ。現在ラインアップされている第3世代のARCシリーズは、空力のスペシャリストとして様々なブランドとコラボしているスイスサイドと共同開発し更なる性能向上を果たしている。
新世代ARCでは、スイスサイドともに作り上げたAERO+というテクノロジーによって空気抵抗、回転抗力、ステアリングモーメント、転がり抵抗というホイールの各性能の性能を向上。速さを追求するという目的を目指して全てのパラメーターの最適化が行われた。
新型の大きな特徴はリム内幅を22mmへと拡幅したことだ。ホイールとタイヤを一体として開発するWTSテクノロジーをベースに、コンチネンタルのAERO111という29mm幅のタイヤとベストマッチするリムシェイプを開発。もちろんコンチネンタルだけではなく幅広タイヤに対応することで、トレンドのセッティングで速さを追求することが可能となっている。


一方でリム内幅を広げることで増加する前方投影面積は空気抵抗が増すことになるが、DTスイスは独自のV字型形状の採用とリムハイトによってエアロダイナミクスを維持したまま、ワイドタイヤへの適性を高めた。
具体的にV字シェイプはリム底面に影響する抵抗を抑えつつ、AERO111が発生させる渦の効果を最大限に引き出すことで高いエアロダイナミクスを実現。同時に横風から受けるステアリングモーメントも小さくし、安定したハンドリングももたらしている。

またリムだけではなくハブ、スポークも独自開発を行う強みを活かし、システム全体としてもエアロを最適化。フロントホイールのスポークを24本から20本へと削減し、エアロ性能に優れたスポークを採用。
今回テストするのは、もっともオールラウンドな55mmハイトモデル。ラインアップには平坦重視の65mm、トライアスロンやTT向けの85mmも用意されるが、55mmは前作より5mmリムハイトが増加し、あらゆるシーンで高いパフォーマンスを発揮するバランスの取れた選択肢となっている。

前作の50mmハイトと新型の55mmハイトの比較では、時速45km時にヨー角0°で5.5%、ヨー角10°では12%の回転抵抗を低減することに成功している。
重量もポイントでリムハイトが増加しつつも、55mmハイトで1,471gと、先代の50mmハイトから1gを削減。僅かではあるが、リムのボリュームが増していながら重量を減らしているのは進化している証左だ。ハイエンドモデルのARC 1100シリーズには、SINCセラミックベアリングを用いた最高グレードの180DICUTハブと、エアロライトIIスポークを採用する。
空気抵抗を極限まで削ぎ落としたスイスサイドとの共同開発による"AERO+"テクノロジーが採用されたDTスイス ARC 1100 DICUT db 55 WTSを、なるしまフレンドの小畑郁がテスト。インプレッションに移ろう。
ーインプレッション

ハイディープホイール特有の重さを想定して乗り始めはじめましたが、その予想は良い意味で裏切られました。確かに軽量ホイールと比べれば重さは感じるものの、漕ぎ出しから気持ちよく回り出してスピードが伸びていきます。リムの重さを感じさせない伸びやかな走りと、スピードの維持しやすさが印象的で、パッと乗っただけでもそれが伝わってきました。
近年のエアロホイールのトレンドは、リム中間部を膨らませるU字型が主流ですが、DTスイスは独自のV字型形状を採用していますよね。この選択が乗り心地に影響を与えているように感じました。
例えばリムを極端にワイド化すると縦剛性がやや下がり、足触りは良くなって踏みやすくなるものの、ダイレクト感は減少する傾向にある。対してこのARCは、適度なワイド化に留めることでダイレクト感を維持しています。突き上げに関しては多少感じられますが、それがレスポンスの良さにつながっていると思います。

従来モデルのARCシリーズは加速が少し重く、スピードが乗ってから維持することが楽に感じるホイールで、新型は初動から軽いです。ゼロ発進や激坂の多い低速ヒルクライムでなければ、意外と幅広いシーンで使えるホイールだと思います。群馬CSCのような斜度がそれほどきつくないコースや、沖縄のような長時間走るレースでも、登りを苦にしない人なら十分に使えるでしょう。
リムハイト55mmという数値から横風からの影響も気になっていたのですが、実際に乗ってみるとハンドルを取られる感覚はほとんどありませんでした。スポーク接合部がシャープにシェイプされた形状で独自路線を進んでいて、それが明確な意図を持った設計だと感じます。AERO111タイヤとの組み合わせも安定性に寄与しているかもしれませんね。
近年のレース系ロードバイクは剛性バランスが洗練されてきた現在、ホイールの違いをより感じやすくなっています。各社がバランスの良い剛性設計を目指すなかで、どのあたりでバランスが良いかはブランドのカラーが表れていて、ホイールも同様です。ディスクブレーキ化当初はフレームとホイールどちらも剛性が高く調整しにくい時期がありました。

しかし今は、フレームもホイールもキャラクター分けができています。かつてのリムブレーキのように、様々なバリエーションから選べる状況が訪れてきているのかもしれません。新型ARCも柔らかめのホイールから反応を良くしたい人には最適だろうし、剛性が非常に高いフレームと組み合わせると過度に硬すぎてしまうかもしれません。その相性はテストしてみて考慮すると最適かもしれませんね。
すでに「一番良いエアロホイール」と評価されてきたARCシリーズが、何も考えずに新型を出すはずがありませんし、実際に乗ってみると明らかに進化していました。言葉にしにくい、見た目で分からない部分で、確実にアップデートされていて、それが走りに表れる完成度の高いホイールでした。

DT スイス ARC 1100 DICUT db 55 WTS
リムハイト:55mm
セット重量(タイヤ込):2,119g
タイヤ幅:フロント29mm、リア30mm
価格:430,738円(税込)
インプレッションライダープロフィール

圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP
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