老舗イタリアンコンポーネントブランドのミケが手掛けるフラッグシップモデルホイール「KLEOS RDシリーズ」。軽量と空力性能のバランスに優れたKLEOS RD 36を編集部員がインプレッションしていく。

ミケ KLEOS RD 36 photo:Gakuto Fujiwara
グルパマFDJの足元を支えるイタリアンコンポーネントブランド、ミケ。同じくイタリアの老舗であるウィリエールのグループ企業でもあり、シナジーを活かしたプロダクトをリリースしている。そんなミケのホイールラインアップの中で、KLEOS RDシリーズはグルパマFDJが使用するピュアレーシングモデル。モデル名末尾の"RD"は「RACE DIVISION」の頭文字が由来でもある。
36mmハイトの「KLEOS RD 36」と50mmハイトの「KLEOS RD 50」の2種類を展開し、山岳コースから平坦ステージまでカバーするラインアップを取り揃えるKLEOS RD。東レの高強度炭素繊維「T1000」と「T700」を組み合わせたUDカーボンファイバー製のリムは、内幅21mmとワイドな設計で、剛性を確保しつつ軽量化も実現した。

リムハイトが36mmの「KLEOS RD 36」 photo:Gakuto Fujiwara 
ハブは軽量なAL7075 T6 / チタニウムを採用 photo:Gakuto Fujiwara

前輪の左側フランジに備わるエアロブレードフェアリング photo:Gakuto Fujiwara

セラミックスピード社のセラミックベアリングを搭載 photo:Gakuto Fujiwara
ユニークなのがイタリア国内の自社工場でハブとスポークを設計・生産、さらにホイールのアッセンブリーを行っているという点。軽量なAL7075 T6 / チタニウムを採用したハブには、乱気流の発生を低減しエアロダイナミクスを向上させるエアロブレードフェアリングを備えているのが特徴だ。セラミックスピード製ベアリングを搭載し、スムーズかつ軽やかな走りを演出している。玉当たり調整も容易に行えるよう、調整用のリングナットが用意されているのも、ミケのモノづくりに対する真摯なスタンスを感じさせる部分だ。
ミケ独自の設計となるステンレススチール製ダブルバテッドスポークは、フロントとリアで異なる断面形状を採用し、空力特性と駆動剛性を最適化する念の入れようだ。フリーボディは、シマノやカンパニョーロ、スラム XDRの3種類が用意され、幅広いコンポーネントに対応。XDRフリーボディ仕様の重量では、KLEOS RD 36が1,410g、KLEOS RD 50が1,470gと軽量に仕上げられた。

16+8のクロス/ラジアル組みを採用 photo:Gakuto Fujiwara

東レの高強度炭素繊維「T1000」と「T700」を組み合わせたUDカーボンファイバー製のリム photo:Gakuto Fujiwara 
フリーハブボディは、シマノやカンパニョーロ、スラム XDRの3種類が用意され、幅広いコンポーネントに対応 photo:Gakuto Fujiwara
カラーはマットブラック、フランスのUCIワールドチームであるグルパマFDJが使用するチームエディションの2種類をラインアップしている。チームエディションではスポークが2本のみシルバーとなっている。価格は両モデルとも404,800円(税込)で、取り扱いは服部産業だ。
それでは編集部インプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション

ミケ KLEOS RD 36をCW編集部員の高木がテストしていく photo:Gakuto Fujiwara
ミケといえば、トラック競技のコンポーネントやパーツを扱うブランドのイメージだ。実際にトラック競技では「PISTARD AIR」クランクやピスト用ホイールを使用してきた経験もある。一方、ロードバイク向けのホイールも展開していることは知っていたけれど、実際に試す機会はなかった。
そんな中、ロードバイク用カーボンホイールのフラッグシップモデルである「KLEOS RD 36」をテストすることに。今回はウィリエールではなく自前のスペシャライズド S-WORKS TARMAC SL8との組み合わせで試していく。

36mmハイトであるためホイールの外周部が軽いため、ゼロ発進や低速域からの加速が良い photo:Gakuto Fujiwara
漕ぎ出しからすぐに感じるのは軽快な加速感。チューブレスホイール特有の転がりの軽さに加え、ホイール外周部の軽さも相まって、ゼロ発進や低速域からの加速は良好。ヒルクライムの速度域でぴったりなホイールである。
36mmと低めのリムハイトではあるが、30〜40km/hの巡航も快適でエアロ性能にも優れていることが察せられる。セラミックスピードのベアリングによる回転性能も良く、脚を止めてもスピードが落ちにくい。慣性の働きづらい軽量ホイールはギクシャクしがちだが、そんな気配は微塵も感じさせないスムースな走りを披露してくれる。

踏み込んだ力が少し長い時間にわたり推進力として出力し続ける photo:Gakuto Fujiwara
このKLEOS RD 36の真の魅力は、鋭い加速と脚当たりの良さを両立している点にある。一般的に、加速に優れたホイールはスポークテンションが高めで高剛性なもの。踏み込んだ時の鋭さは気持ち良いけれど、反面脚へとダメージを蓄積しやすいというリスクと背中合わせでもある。
一方で、KLEOS RD 36は大パワーを掛けても跳ね返されるような感覚は無く、かといって力が逃げているわけでもない。ほんの僅かなしなりによって、踏力を推進力として変換し出力されている時間が伸びているような、独特のフィーリングは病みつきになりそうだ。

KLEOS RD 36を一言で表すのであれば
コーナーの立ち上がりで踏み続けないといけないクリテリウムや何度もアタックが掛かるサバイバルなレースにおいて、脚の疲労を抑えてくれるこのホイールは心強い味方になってくれるだろう。
バイクコントロールという側面においても、ライダーにストレスを感じさせないことで最高のパフォーマンスに繋げるという思想は感じ取れる。ワイドなリムデザインは安定感を増してくれるし、バイクを思いきり倒しこむような攻めたコーナーリングが、初めて履いたにもかかわらず難なく出来てしまうほど、ハンドリングには癖が無い。左右に振ってもナチュラルで、ダンシングを多用するクライマーにもぴったり。

ヒルクライムやロードレースなど、様々なコースで最高のパフォーマンスを求めるレーサーにおすすめしたいホイール photo:Gakuto Fujiwara
KLEOS RD 36を一言で表すのであれば"優等生なレーシングホイール"だ。ハブとスポークの設計・製造、そしてホイールのアッセンブリーをイタリア国内で行うという実直な姿勢が表現されていると言っても他ならない。ヒルクライムからロードレースまで様々なレースにおいて、安定して高いパフォーマンスを発揮するこのホイールは、1つのホイールに多くの役割を求めるレーサーにおすすめしたい一本だ。
ミケ KLEOS RD 36
カラー:マットブラック、チームエディション
フリーボディ:シマノ、カンパニョーロ、スラム XDR
重量:1,410g
価格:404,800円(税込)

グルパマFDJの足元を支えるイタリアンコンポーネントブランド、ミケ。同じくイタリアの老舗であるウィリエールのグループ企業でもあり、シナジーを活かしたプロダクトをリリースしている。そんなミケのホイールラインアップの中で、KLEOS RDシリーズはグルパマFDJが使用するピュアレーシングモデル。モデル名末尾の"RD"は「RACE DIVISION」の頭文字が由来でもある。
36mmハイトの「KLEOS RD 36」と50mmハイトの「KLEOS RD 50」の2種類を展開し、山岳コースから平坦ステージまでカバーするラインアップを取り揃えるKLEOS RD。東レの高強度炭素繊維「T1000」と「T700」を組み合わせたUDカーボンファイバー製のリムは、内幅21mmとワイドな設計で、剛性を確保しつつ軽量化も実現した。




ユニークなのがイタリア国内の自社工場でハブとスポークを設計・生産、さらにホイールのアッセンブリーを行っているという点。軽量なAL7075 T6 / チタニウムを採用したハブには、乱気流の発生を低減しエアロダイナミクスを向上させるエアロブレードフェアリングを備えているのが特徴だ。セラミックスピード製ベアリングを搭載し、スムーズかつ軽やかな走りを演出している。玉当たり調整も容易に行えるよう、調整用のリングナットが用意されているのも、ミケのモノづくりに対する真摯なスタンスを感じさせる部分だ。
ミケ独自の設計となるステンレススチール製ダブルバテッドスポークは、フロントとリアで異なる断面形状を採用し、空力特性と駆動剛性を最適化する念の入れようだ。フリーボディは、シマノやカンパニョーロ、スラム XDRの3種類が用意され、幅広いコンポーネントに対応。XDRフリーボディ仕様の重量では、KLEOS RD 36が1,410g、KLEOS RD 50が1,470gと軽量に仕上げられた。



カラーはマットブラック、フランスのUCIワールドチームであるグルパマFDJが使用するチームエディションの2種類をラインアップしている。チームエディションではスポークが2本のみシルバーとなっている。価格は両モデルとも404,800円(税込)で、取り扱いは服部産業だ。
それでは編集部インプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション

ミケといえば、トラック競技のコンポーネントやパーツを扱うブランドのイメージだ。実際にトラック競技では「PISTARD AIR」クランクやピスト用ホイールを使用してきた経験もある。一方、ロードバイク向けのホイールも展開していることは知っていたけれど、実際に試す機会はなかった。
そんな中、ロードバイク用カーボンホイールのフラッグシップモデルである「KLEOS RD 36」をテストすることに。今回はウィリエールではなく自前のスペシャライズド S-WORKS TARMAC SL8との組み合わせで試していく。

漕ぎ出しからすぐに感じるのは軽快な加速感。チューブレスホイール特有の転がりの軽さに加え、ホイール外周部の軽さも相まって、ゼロ発進や低速域からの加速は良好。ヒルクライムの速度域でぴったりなホイールである。
36mmと低めのリムハイトではあるが、30〜40km/hの巡航も快適でエアロ性能にも優れていることが察せられる。セラミックスピードのベアリングによる回転性能も良く、脚を止めてもスピードが落ちにくい。慣性の働きづらい軽量ホイールはギクシャクしがちだが、そんな気配は微塵も感じさせないスムースな走りを披露してくれる。

このKLEOS RD 36の真の魅力は、鋭い加速と脚当たりの良さを両立している点にある。一般的に、加速に優れたホイールはスポークテンションが高めで高剛性なもの。踏み込んだ時の鋭さは気持ち良いけれど、反面脚へとダメージを蓄積しやすいというリスクと背中合わせでもある。
一方で、KLEOS RD 36は大パワーを掛けても跳ね返されるような感覚は無く、かといって力が逃げているわけでもない。ほんの僅かなしなりによって、踏力を推進力として変換し出力されている時間が伸びているような、独特のフィーリングは病みつきになりそうだ。

コーナーの立ち上がりで踏み続けないといけないクリテリウムや何度もアタックが掛かるサバイバルなレースにおいて、脚の疲労を抑えてくれるこのホイールは心強い味方になってくれるだろう。
バイクコントロールという側面においても、ライダーにストレスを感じさせないことで最高のパフォーマンスに繋げるという思想は感じ取れる。ワイドなリムデザインは安定感を増してくれるし、バイクを思いきり倒しこむような攻めたコーナーリングが、初めて履いたにもかかわらず難なく出来てしまうほど、ハンドリングには癖が無い。左右に振ってもナチュラルで、ダンシングを多用するクライマーにもぴったり。

KLEOS RD 36を一言で表すのであれば"優等生なレーシングホイール"だ。ハブとスポークの設計・製造、そしてホイールのアッセンブリーをイタリア国内で行うという実直な姿勢が表現されていると言っても他ならない。ヒルクライムからロードレースまで様々なレースにおいて、安定して高いパフォーマンスを発揮するこのホイールは、1つのホイールに多くの役割を求めるレーサーにおすすめしたい一本だ。
ミケ KLEOS RD 36
カラー:マットブラック、チームエディション
フリーボディ:シマノ、カンパニョーロ、スラム XDR
重量:1,410g
価格:404,800円(税込)
リンク
Amazon.co.jp