フランスの老舗カーボンホイールブランド、コリマが放つミドルグレードホイール「45R」。ディスクブレーキ時代に最適化された新世代設計で、癖のない走りと高い信頼性を両立。なるしまフレンド小畑郁が、26万円という価格帯で高いバリューを示すオールラウンドホイールをテストした。



コリマの次世代ミドルグレードホイール「45R」

1988年の創業以来、カーボンホイール設計技術の最前線に立ち続けてきたフランスのコリマ。航空機やヘリコプターのプロペラ製造で培った技術をもとに、独自の特許と設計思想でカーボンホイール業界を牽引してきた老舗ブランドだ。

コリマといえば極端にスポーク本数を減らしたトップグレードモデル「MCCシリーズ」が知られているが、このたび次世代のミドルグレードホイールが追加された。新型ミドルグレードモデルは「リムハイト+R」というモデル名が与えられており、リムハイト62mmの「62R」、同じく35mmの「35R」、そして今回テストを行ったリムハイト45mmの「45R」が用意されている。

これら3つの新世代ホイールは、これまでコリマが得意とするフォーム充填リムではなく、一般的な中空のリムを採用。形状はトレンドのU字シェイプとしてエアロホイールとしての性能を確保している。これまでのイメージとは一線を画すようなスタイルだが、3Kカーボンが透けて見える仕上げなど、ハイエンドモデルにも通じる演出も忘れられていない。

リムウォールサイドが幅広のU字シェイプが採用されている

フックドリムとされており、チューブレスやクリンチャー運用が可能となっている

リムの各種数値は内幅22mm、外幅30mm。25mmから34mmまでのタイヤに対応し、28mmから30mmのタイヤで最適なパフォーマンスを発揮するよう設計されている。フックドリムを採用しているため、インナーチューブを使用した従来の運用も可能だ。45mmハイトの「45R」はフロント640g、リア755g、計1,395gと十分に軽く仕上げられた。

スポーク構成は前後ともに20本で、サピム製ブラックスポークを採用する。前後ともに20本ずつで組み上げられるが、Jベンドの曲げ方向がコリマ独自の設計が行われており、コリマが長年積み重ねてきたホイール開発の知見が反映されている。ハブには36ノッチ、10度のエンゲージメント角度を持つラチェットシステムを新たに搭載。高トルクにも対応できる信頼性の高い機構で、ハードな使用環境下でも安定したパフォーマンスを提供する。

フランスで設計から製造まで一貫して行われている

独自のスポーク曲げで設計が行われている

フランスのロリオル=シュル=ドロームで設計から製造まで一貫して行われる45Rは、製造設備や金型、工具、テストベンチまで自社で開発。価格は264,000円(税込)に設定されており、コリマではミドルグレードに位置付けられる新型45Rを、なるしまフレンドの小畑郁がテスト。インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「セカンドグレードと呼ぶ必要がないほど完成度が高いホイール」小畑郁(なるしまフレンド)

「セカンドグレードと呼ぶ必要がないほど完成度が高いホイール」小畑郁(なるしまフレンド) photo : Kenta Onoguchi

ニュートラルな性格で、走りに癖がなく、剛性のバランスが優れている好印象のホイールでした。コリマはカーボンクリンチャーが出始め、ディスクブレーキにトレンドが移り変わる頃から、後塵を拝してきましたが、45Rの世代でそのイメージを払拭しました。

スポーキングが一般的な2to1ではなく、独自のパターンを採用していて、それに合わせて専用のハブとリムの組み合わせてるので、乗りやすさと狙った剛性を出しつつ、スポーク本数を減らすことが達成されています。それが、新世代のコリマが良くなっている要因だと思います。

コリマはリムブレーキ時代はリムに発泡材を充填していましたが、この構造が熱の影響を受けやすいというネガティブな面がありました。ディスクブレーキになって熱の要素を考慮する必要がなくなったうえ、中空のリムになったことで、ホイール全体の性能が進化していると感じます。

「老舗ブランドの知見と安全性への配慮が行き届いている」小畑郁(なるしまフレンド) photo : Kenta Onoguchi

45mmのリムハイトであれば走りも軽いです。ハブも従来のスリーポール方式から、スターラチェット的なシステムに進化していて、掛かりも良く転がりも良好です。こうした細部の進化が、全体の乗り味を支えています。登りから平坦までどのような状況にも対応できますし、レースから普段のライドまでで良いホイールを使いたいという気持ちに応えてくれます。

この世代のホイールはプロが使っていても遜色のない性能を実現できているので、プロのレースで走るシーンを見てみたいほどです。他のブランドのセカンドグレードと比較してみると戦闘力は高い方だとも思います。

コリマ自体はカーボンメーカーとしては老舗で技術力と信頼性も間違いないです。リムの軽さを重視して初速が軽いホイールを出していたこともありますが、45Rではホイール全体の走行性能だけではなく耐久性や信頼性のバランスを考慮していることが伝わってきます。他ブランドのフラッグシップ級と比較すると、リムの重さが気になってくる点かと思いますが、壊れにくさや安心なマージンを確保しつつ、ホイールの完成重量だけを追求しないバランス感覚が、このホイールには感じられます。

「独自の設計を行いながらホイール全体の完成度を高めている」小畑郁(なるしまフレンド) photo : Kenta Onoguchi

セカンドグレードという位置づけかもしれませんが、上位のMCCが特殊なカーボンスポークなど特殊な仕様であることを考えると、45Rこそが本当のスタンダードホイールだと思います。セカンドグレードと呼ぶ必要がないほどの完成度です。

セカンドグレードの価格帯で、信頼のおけるメーカーが作った高性能ホイール。練習から何まで高性能なホイールに乗りたいけれど、最高峰モデルまでは出せないというライダーに、強くお勧めできるホイールでした。

コリマ 45R
リムハイト:45mm
セット重量:1,395g(フロント640g、リア755g) )
リム内幅:22mm、外幅:30mm
スポーク:前後20本
価格:264,000円(税込)



インプレッションライダープロフィール

小畑郁(なるしまフレンド)
小畑郁(おばたかおる)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。

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