2024/05/20(月) - 15:00
プロチームが自費で購入するほどの性能を持つことで支持されるライトウェイトのプレミアムグレードホイール。ディスクブレーキモデルとして用意されているOBERMAYER EVO、MEILENSTEIN EVOの2種類を一気にテストする。
「究極の回転体」という異名を持ち、至高のカーボンホイールとしてその名を轟かせているライトウェイト。ドイツ・フリードリヒスハーフェンでハンドメイドされるプロダクトは、プロ選手やチームが自費で購入し、レースで使用することで知られており、特にマージナルゲインを追求し続けているイネオス・グレナディアーズもツールの山岳決戦で使用していたほどだ。
プロ選手たちの選択が示すのはライトウェイトホイールが確かな性能を備えていること。今回の記事では確固たる地位を築くプレミアムブランド、ライトウェイトが採用する技術や、ディスクブレーキホイールのインプレッションを紹介しよう。
ライトウェイトをライトウェイトたらしめているのはリム、スポーク、フランジ、ハブシェルといった、回転部以外のほぼすべてをフルカーボンとした設計だ。理想を実現するため、ライトウェイト独自開発のLCC-カーボンを用い、設計とマテリアル両面から徹底的に性能を追求している。
LCC-カーボンを活用して作られる各パーツもライトウェイトの独自設計が与えられており、他に類を見ないようなユニークな構造が与えらえれている。特に際立つのがスポーク周りの設計だ。リムの端(ビード近く)から、ハブを経由して反対側のリムの端までを一本のスポークで繋ぐリム・トゥ・リムデザインが採用されており、ねじれや横方向への剛性を大幅に向上させた。
構造的な優位性のみならず、スポークそのもの自体も優れた性能を備えており、最大1800kgの引張強度とスチールスポークの約3倍の剛性で性能向上に貢献。スポークとリム、ハブへも強固に接着しているため、ダイレクトな反応性を実現している。またカーボンスポークは伸びや腐食のような劣化が発生しにくく、ホイール全体の長寿命化にも繋がっている。
V字シェイプが採用されているリムの内部にはアクティブフォームコアと呼ばれる発泡素材が注入されている。特許を取得しているこの製法によってリムの変形を抑える剛性と軽量化を果たしている。またフォーム充填したリムは、優れた振動減衰効果も備えているという。
今回ピックアップするOBERMAYER EVOとMEILENSTEIN EVOのハブはディスクブレーキに適応するために、ハブシェルが五角形とされていることも特徴だ。ペンタゴンハブと名付けられたハブシェルはブレーキの制動力に負けない剛性を備え、ブレーキから発生する熱を効率的に逃がせる性能を備えているとライトウェイトは言う。
フラッグシップモデルのOBERMAYER EVOは通常グレードのペンタゴンハブよりも60gも軽量なペンタゴンSLと言う特別品が採用されている。全体的にシェイプアップされているため、エアロダイナミクスに優れているのもペンタゴンSLの特徴だ。リアハブにはDTスイスの180Sが組み込まれている。ホイール前後セット重量は1,230gと、48mmハイトのカーボンディスクブレーキホイールでは最軽量級に仕上げられており、登りと下りどちらのシチュエーションでも性能を発揮してくれる。
対してラインアップの中心的存在となるのがMEILENSTEIN EVOだ。48mmハイトの形状などOBERMAYER EVOと共通としながらも、通常のペンタゴンハブを搭載したオールラウンドモデル。前後セットの重量は1,380gとされており、あらゆるシーンで優れた性能がライダーをサポートしてくれる一本を実現している。
ー編集部インプレッション
「ペダルを踏み込んだ瞬間に滑るように加速していくホイール」高木三千成(シクロワイアード編集部)
OBERMAYER EVOはペダルを踏み込んだ瞬間の反応が非常に早さが際立ちます。これまでカーボンリム、スポーク、ハブのホイールに乗ったこともあるのですが、それらから受けた印象よりも遥かに初動がスムーズで、滑るようにスピードが乗っていき、あっという間にトップスピードまで駆け上がっていくのではないかと思わせてくれました。
一般的なスチールスポークを使ったホイールの場合は、極端に言ってしまえばペダリングパワーがハブからスポークに、そしてリムへと徐々に伝わるような、それぞれが独立した存在であるような感覚があります。しかし、OBERMAYER EVOは全てが一枚の板のように一体になっていると感じられて、それがペダリングパワーに対してダイレクトに加速している、初速が速いような体感に繋がっているのだと思います。
この感覚はカーボンスポークとハブ、リムが一体になっているホイール特有のものであり、一方でその一体感が硬く感じるホイールも経験したことがあります。それらと比較するとOBERMAYER EVOは硬すぎずに扱いやすいホイールという印象を持ちました。
攻めたコーナリング中でも硬すぎない特徴は感じられて、ハブからリムまでの一体感がそのままに、全体的にしなるような感覚もありました。近年の非常に硬いホイールとは一味違う挙動が極限状態では顔を覗かせます。ただ硬いだけだと、不意の外乱に対して対応する余裕が非常に少なくなってしまいますが、一瞬のバッファを与えてくれるため安心感がありますね。
登りでスピードが落ちている時や、加速している時は軽快さが武器になってくれるのですが、維持するシチュエーションでは脚が必要なホイールとは思いました。レースでも登りが厳しい状況や、スピードの増減が多いコースでこそOBERMAYER EVOの魅力を最大限に引き出せるでしょう。
対してMEILENSTEIN EVOはリムにエッジの効いた感覚と、ホイールが直立しようとする力が強いように感じていて、OBERMAYER EVOよりも平地の巡航を行いやすいという印象を持っています。全体的なフィーリングはOBERMAYER EVOと似ていますが、スピードを維持しようとする状況とコーナリングでMEILENSTEIN EVO独自のキャラクターを感じられます。
もちろんMEILENSTEIN EVOも1,380gと非常に軽量なので、登りでも武器になってくれるのは間違いありません。力を込めなくてもスイスイと登ってしまうOBERMAYER EVOに対して、MEILNSTEIN EVOはオールラウンドに使いやすいホイールだと思います。
リムブレーキ時代にチューブラーのライトウェイトも試したことがあって、それと比べても少しだけマイルドな踏み心地になっているような感覚もあります。今回はチューブレスタイヤ仕様としているため、重量が軽くて、転がり抵抗も小さく、タイヤの乗り心地の良さもある隙のないホイールシステムを実現できていると感じました。
超軽量・決戦用ホイールの本命としてチューブラータイプが好まれてきましたが、レースにおいてはパンクのリスクも考えるならばチューブレスを選択しても、ライトウェイトホイールに対して抱く期待は裏切らないと思います。とはいえヒルクライム一本勝負や、サーキットエンデューロのように路面に石がないとわかっている場合はチューブラーの軽さは大いに武器になってくれるでしょう。
ライトウェイト OBERMAYER EVO
リムハイト:48mm
リムタイプ:チューブレス/ クリンチャー(ディスクブレーキ専用)
平均重量:1,230g(前後セット)、568g(フロント)、662g(リア)
前後セット価格:1,023,000円(税込)
フロント価格:473,000円(税込)
リア価格:566,500円(税込)
ライトウェイト MEILENSTEIN EVO
リムハイト:48mm
リムタイプ:チューブレス/ クリンチャー(ディスクブレーキ専用)
平均重量:1,380g(前後セット)、650g(フロント)、730g(リア)
前後セット価格:869,000円(税込)
フロント価格:418,000円(税込)
リア価格:478,500円(税込)
「究極の回転体」という異名を持ち、至高のカーボンホイールとしてその名を轟かせているライトウェイト。ドイツ・フリードリヒスハーフェンでハンドメイドされるプロダクトは、プロ選手やチームが自費で購入し、レースで使用することで知られており、特にマージナルゲインを追求し続けているイネオス・グレナディアーズもツールの山岳決戦で使用していたほどだ。
プロ選手たちの選択が示すのはライトウェイトホイールが確かな性能を備えていること。今回の記事では確固たる地位を築くプレミアムブランド、ライトウェイトが採用する技術や、ディスクブレーキホイールのインプレッションを紹介しよう。
ライトウェイトをライトウェイトたらしめているのはリム、スポーク、フランジ、ハブシェルといった、回転部以外のほぼすべてをフルカーボンとした設計だ。理想を実現するため、ライトウェイト独自開発のLCC-カーボンを用い、設計とマテリアル両面から徹底的に性能を追求している。
LCC-カーボンを活用して作られる各パーツもライトウェイトの独自設計が与えられており、他に類を見ないようなユニークな構造が与えらえれている。特に際立つのがスポーク周りの設計だ。リムの端(ビード近く)から、ハブを経由して反対側のリムの端までを一本のスポークで繋ぐリム・トゥ・リムデザインが採用されており、ねじれや横方向への剛性を大幅に向上させた。
構造的な優位性のみならず、スポークそのもの自体も優れた性能を備えており、最大1800kgの引張強度とスチールスポークの約3倍の剛性で性能向上に貢献。スポークとリム、ハブへも強固に接着しているため、ダイレクトな反応性を実現している。またカーボンスポークは伸びや腐食のような劣化が発生しにくく、ホイール全体の長寿命化にも繋がっている。
V字シェイプが採用されているリムの内部にはアクティブフォームコアと呼ばれる発泡素材が注入されている。特許を取得しているこの製法によってリムの変形を抑える剛性と軽量化を果たしている。またフォーム充填したリムは、優れた振動減衰効果も備えているという。
今回ピックアップするOBERMAYER EVOとMEILENSTEIN EVOのハブはディスクブレーキに適応するために、ハブシェルが五角形とされていることも特徴だ。ペンタゴンハブと名付けられたハブシェルはブレーキの制動力に負けない剛性を備え、ブレーキから発生する熱を効率的に逃がせる性能を備えているとライトウェイトは言う。
フラッグシップモデルのOBERMAYER EVOは通常グレードのペンタゴンハブよりも60gも軽量なペンタゴンSLと言う特別品が採用されている。全体的にシェイプアップされているため、エアロダイナミクスに優れているのもペンタゴンSLの特徴だ。リアハブにはDTスイスの180Sが組み込まれている。ホイール前後セット重量は1,230gと、48mmハイトのカーボンディスクブレーキホイールでは最軽量級に仕上げられており、登りと下りどちらのシチュエーションでも性能を発揮してくれる。
対してラインアップの中心的存在となるのがMEILENSTEIN EVOだ。48mmハイトの形状などOBERMAYER EVOと共通としながらも、通常のペンタゴンハブを搭載したオールラウンドモデル。前後セットの重量は1,380gとされており、あらゆるシーンで優れた性能がライダーをサポートしてくれる一本を実現している。
ー編集部インプレッション
「ペダルを踏み込んだ瞬間に滑るように加速していくホイール」高木三千成(シクロワイアード編集部)
OBERMAYER EVOはペダルを踏み込んだ瞬間の反応が非常に早さが際立ちます。これまでカーボンリム、スポーク、ハブのホイールに乗ったこともあるのですが、それらから受けた印象よりも遥かに初動がスムーズで、滑るようにスピードが乗っていき、あっという間にトップスピードまで駆け上がっていくのではないかと思わせてくれました。
一般的なスチールスポークを使ったホイールの場合は、極端に言ってしまえばペダリングパワーがハブからスポークに、そしてリムへと徐々に伝わるような、それぞれが独立した存在であるような感覚があります。しかし、OBERMAYER EVOは全てが一枚の板のように一体になっていると感じられて、それがペダリングパワーに対してダイレクトに加速している、初速が速いような体感に繋がっているのだと思います。
この感覚はカーボンスポークとハブ、リムが一体になっているホイール特有のものであり、一方でその一体感が硬く感じるホイールも経験したことがあります。それらと比較するとOBERMAYER EVOは硬すぎずに扱いやすいホイールという印象を持ちました。
攻めたコーナリング中でも硬すぎない特徴は感じられて、ハブからリムまでの一体感がそのままに、全体的にしなるような感覚もありました。近年の非常に硬いホイールとは一味違う挙動が極限状態では顔を覗かせます。ただ硬いだけだと、不意の外乱に対して対応する余裕が非常に少なくなってしまいますが、一瞬のバッファを与えてくれるため安心感がありますね。
登りでスピードが落ちている時や、加速している時は軽快さが武器になってくれるのですが、維持するシチュエーションでは脚が必要なホイールとは思いました。レースでも登りが厳しい状況や、スピードの増減が多いコースでこそOBERMAYER EVOの魅力を最大限に引き出せるでしょう。
対してMEILENSTEIN EVOはリムにエッジの効いた感覚と、ホイールが直立しようとする力が強いように感じていて、OBERMAYER EVOよりも平地の巡航を行いやすいという印象を持っています。全体的なフィーリングはOBERMAYER EVOと似ていますが、スピードを維持しようとする状況とコーナリングでMEILENSTEIN EVO独自のキャラクターを感じられます。
もちろんMEILENSTEIN EVOも1,380gと非常に軽量なので、登りでも武器になってくれるのは間違いありません。力を込めなくてもスイスイと登ってしまうOBERMAYER EVOに対して、MEILNSTEIN EVOはオールラウンドに使いやすいホイールだと思います。
リムブレーキ時代にチューブラーのライトウェイトも試したことがあって、それと比べても少しだけマイルドな踏み心地になっているような感覚もあります。今回はチューブレスタイヤ仕様としているため、重量が軽くて、転がり抵抗も小さく、タイヤの乗り心地の良さもある隙のないホイールシステムを実現できていると感じました。
超軽量・決戦用ホイールの本命としてチューブラータイプが好まれてきましたが、レースにおいてはパンクのリスクも考えるならばチューブレスを選択しても、ライトウェイトホイールに対して抱く期待は裏切らないと思います。とはいえヒルクライム一本勝負や、サーキットエンデューロのように路面に石がないとわかっている場合はチューブラーの軽さは大いに武器になってくれるでしょう。
ライトウェイト OBERMAYER EVO
リムハイト:48mm
リムタイプ:チューブレス/ クリンチャー(ディスクブレーキ専用)
平均重量:1,230g(前後セット)、568g(フロント)、662g(リア)
前後セット価格:1,023,000円(税込)
フロント価格:473,000円(税込)
リア価格:566,500円(税込)
ライトウェイト MEILENSTEIN EVO
リムハイト:48mm
リムタイプ:チューブレス/ クリンチャー(ディスクブレーキ専用)
平均重量:1,380g(前後セット)、650g(フロント)、730g(リア)
前後セット価格:869,000円(税込)
フロント価格:418,000円(税込)
リア価格:478,500円(税込)
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