ケープラスの人気ヘルメット"NOVA"が、回転衝撃から脳を守るMIPS搭載の第2世代へとアップデート。アジャスターなども変更され、より安全でフィット感が高くなったヘルメットをテストした。



ケープラス NOVA Mips Air Node

アバンギャルドなデザインのヘルメットでエンスーなサイクリストから支持を集めたケープラス。ブランド創業時から日本国内上陸時ごろは独特なルックスで目を惹いたが、国内展開開始より1年経過した2020年に発表されたNOVAはケープラスらしさとシンプルさが融合した見た目で多くのサイクリストの心を掴み、ケープラスの定番モデルとなった。

さらにシンプルなウェアの配色を組み合わせてコーディネートを楽しむサイクリストのためにケープラスはNOVAの限定カラーを積極的にリリース。ヘルメットのカラーもコーディネートの一部として提案し、サイクリング×ファッションという楽しみ方も提唱してきた。そんなNOVAがリリースより3年で大幅アップデートされた。

前方から効率よく空気を取り入れるインテーク設計

エアロダイナミクスにも配慮した形状とされている

第2世代NOVAのキーポイントはMIPSを新たに搭載したこと。ケープラスはフラッグシップモデルのALPHAのみにMIPSを採用してきたが、満を持して中核モデルのNOVAにも与えられることとなった。

MIPSとはアクシデントで頭を打った時に発生する脳を揺さぶるような"回転衝撃"の影響を低減させる安全テクノロジー。具体的にはヘルメットのメインシェルに他の構造体(MIPS)を追加し、ヘルメットに衝撃が加わった際にMIPSをスリップさせるというものだ。脳震盪などのリスクを低減する役割などを持つが、目に見える形での安全性向上ではないので備えあれば憂いなしというタイプの安全技術となっている。

パッドと一体となったMips Air Nodeが採用された

パッド自体がスライドするように作られている

またMIPSにはいくつかのスタイルがあり、NOVAに採用されたのはMIPS Air Nodeというシステムだ。これはインナーパッド自体をMIPSのスリップする構造体としたもので、基本スタイルであるスライドシートとパッド別体の設計よりも軽量かつフィット性を維持されることが特徴。

他にもアジャスターがK2にアップデート。機械式時計のトゥールビヨンにインスパイアされたダイヤルデザインやカーボン柄の外輪など高級感溢れるデザインでヘルメットのデザインを引き立てる。バックルは片手で脱着可能なFIDLOCKのマグネットバックルだ。

頭頂部の開口部は非常に大きい
非常に大きなリフレクターが採用されている


アイウェアをホールドするグリッパーが備えられている
非常に深いチャネルが設けられている



今回は第1世代NOVAも着用したCW編集部の藤原(頭囲:58cm、アジアンフィットが好み)をはじめ多くの編集部員が新型NOVAを試着した。自分も含めて一致した意見はシェルの形が若干変更されているということ。第1世代よりも被りが深く、頭を包み込むような感覚が増しており、ヘルメットで守られている感覚が以前よりも強くなった。

具体的には頭頂部とヘルメットの縁部分の曲線が全体的に緩くなった印象で、それらの部分にシェルが優しく触れることでヘルメットのプロテクション感を覚えることとなった。サイズ感は変わりなく筆者であればMサイズがちょうど良い。アジャスターは可能な限り締め込んでも、柔らかに頭を支えてくれるため快適に過ごすことができたのは好印象だ。

ケープラス NOVA Mips Air Node

今回の気温が0℃から一桁台の環境下でテストを行うこととなったため、ヘルメットの通気性が優れていることに気がつけた。NOVAの通気性の特徴は頭頂部と後頭部に大量のフレッシュな空気が送り込まれることで、テストライド中は常に冷んやりとした空気を感じ続けた。熱がヘルメット内で滞留しにくく、夏場でも熱気がモヤっと籠る心配は少なさそうだ。

前頭部のエアインテークも機能しているが、風が勢いよく頭に当たる感覚は薄かった。おそらく大量の風が流れ込んでいるため、ピンポイントで風を感じにくく、先述したように大きな空間がある頭頂部などでフレッシュな風を感じやすくなっているのだろう。

マグネットバックルが採用されている
K2フィッティングが採用されている



一方で、額部分の溝には風が積極的に流れているようにも感じられた。NOVAのフィッティングシステムは後頭部のアジャスターから360°ベルトが頭を囲い、額部分にはパッドが存在しているため、アジャスターを締め込むとパッドが隙間なく頭にフィットする。そのためライド中は常にパッドを感じることになるのだが、額部分の溝を風が通り抜けるため、パッドに熱がたまりすぎることもない。

また新作はアジャスターのサイズが大きくなったことで、ライド中の操作が今まで以上に行いやすくなっていることも美点だ。アジャスターを操作することが億劫にならないため、タイミングごとに好みのフィット感に調整すれば、常に快適さを感じることもできる。マグネットバックルなども含めて扱いやすくなっているのは嬉しい。

非常に大きな頭頂部のエアインテークによって優れた通気性を実現している

テストでは幸いMIPSのお世話になることはなく、残念ながらその性能を実感することはできなかった。ただMIPS Air Nodeは自然なフィット感のままNOVAを着用することができ、通気性を阻害することもなく、いい意味で存在感がない。MIPSのようにいざという時にライダーの助けになり得る装備を限りなくデメリットがない形で利用できるのは非常に好印象だ。

MIPS搭載のヘルメットが数多く存在する中で、NOVAもMIPS搭載となったことで、これまで以上に選びやすいモデルへと進化したと言えるだろう。ラインアップされるカラーの数も多いため、手持ちのウェアとも組み合わせられるカラーが見つけやすいのもNOVAの魅力。一度試着やカラーの色味をチェックしてみてほしい。



ケープラス NOVA Mips Air Node
サイズ:S、M、L
カラー:サンドベージュ、ミッドナイトグリーン、ミスティパープル、マスタードイエロー、ホワイト、ブラック、セメントグレー、マットブラック
価格:29,700円(税込)

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