2022/07/14(木) - 16:42
近年注目のトップ女性サイクリストを紹介していく連載。第五弾からは、ここまで紹介してきたスプリンターやクラシックスペシャリストから一転して、クライマーや総合系の選手をご紹介。その陽気さと常に笑顔、そして展開に絡んでくるヒルクライマーのセシリーウトラップ・ルドヴィグは女子プロトン界の華。ツール・ファムでも注目の的になりそうだ。
セシリー・ウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
タイプ:クライマー
主な戦績:ジロ・デッレエミリア2020、デンマーク選手権2022、ロンド・ファン・フラーンデレン2019 3位
Instagram : @cykel_cille
Twitter : @CUttrupLudwig
誰しもを魅了するその笑顔
幼少期は水泳に打ち込んでいたが、13歳で自転車に転向。小柄な体躯ながらタイムトライアルに強さを見せ、2012年の世界選手権ではジュニアの個人TT2位に入り注目された。2016年にはエリートカテゴリーで国内TTチャンピオンに輝いた。2017年にはジロ・ドンネでマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得。自らアタックして展開を作っていくレーススタイルを確立する。この年はUCIワールドツアーの年間ヤングライダー賞にも輝いている。
2018年にはジロで総合6位、アルプスの山岳コースが設定されたラ・クルス・バイ・ツール・ド・フランスでは、アネミエク・ファンフルーテン、アンナ・ファンデルブレッヘンというワールドベスト2名には及ばなかったものの、表彰台にあと一歩に迫る4位で、とりわけ山岳レースでの強さを世界に知らしめた。
2019年ロンド・ファンフラーンデーレンで3位に入ったルドヴィグ (c)CorVos
国内選手権の個人TTタイトルは2016年以降3連覇を果たし、独走力を証明。2019年にはラ・クルスで3位表彰台、そして石畳のロンド・ファンフラーンデーレンでも3位入賞と、北のクラシックでも走れることを示した。この年のレース後インタビューでの彼女の受け答えが、ネット上ではバズを引き起こした。こんなにも笑顔で陽気でユーモアのある受け答えは、あまり見られないもので、その笑顔は彼女のアイコンともなった。
注目度の高まりと主に、小柄なデンマーク人選手が常にレース前方で展開する姿が目立つようになってきた。コンスタントに上位入賞を繰り返すが、肝心の勝利がないこともまた度々取り上げられた。2019年ストラーデビアンケ5位、2020年のラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニン2位、ジロはステージ優勝なしの総合4位(山岳賞獲得)。
2020年のジロ・デッレ・エミリアで優勝 photo:CorVos
彼女のキャリアで現在最も大きな勝利は2020年のジロ・デッレ・エミリア、そして2021年ブエルタ・ア・ブルゴスでのステージ優勝。ワールドツアーレースでの勝利も飾っているが、誰もが唸るようなビッグタイトルにはまだ恵まれていない。
2021年はトロフェオ・アルフレードビンダで3位、ラ・クルスで2位といよいよ大勝利が近づいていることを感じさせた。
ルドヴィグの2022年シーズンここまで
デンマークのナショナルチャンピオンジャージに袖を通したルドヴィグ photo:FDJ Nouvelle-Aquitaine Futuroscope
2022年シーズンは、デビューのブエルタ・バレンシアナでステージ2位を含む総合2位と好発進。ストラーデビアンケでも5位、ロンドで6位と相変わらずの上位入賞組としてその強さを見せている。ただ勝利がないことが気がかりであったが、好材料もある。
6月のナショナル選手権で遂に初のロードレース優勝。ナショナルのタイトルを獲得し、感極まった。勝ちきれる強さを証明し、そしてデンマークのナショナルチャンピオンジャージに袖を通したルドヴィグ。このあと狙うのはジロ・ドンネでのステージ優勝、そしてツール・ファムでの勝利。とくにフランスチームに所属するルドヴィグにとって、ツールでの勝利は至上命題でもある。この間に急成長を遂げたチームメイトのマルタ・カヴァッリ(イタリア)と共に、ツールでの栄光を目指す。
ジロ・ドンネ2022では総合2位マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)の山岳アシストとして活躍したルドヴィグ photo:CorVos
ツール・ファムの優勝者インタビューで、あの陽気で朗らかで力強いインタビューを聞きたいと思っているファンは少なくないはずだ。再び世界を魅了してほしい。

セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
タイプ:クライマー
主な戦績:ジロ・デッレエミリア2020、デンマーク選手権2022、ロンド・ファン・フラーンデレン2019 3位
Instagram : @cykel_cille
Twitter : @CUttrupLudwig
誰しもを魅了するその笑顔
幼少期は水泳に打ち込んでいたが、13歳で自転車に転向。小柄な体躯ながらタイムトライアルに強さを見せ、2012年の世界選手権ではジュニアの個人TT2位に入り注目された。2016年にはエリートカテゴリーで国内TTチャンピオンに輝いた。2017年にはジロ・ドンネでマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得。自らアタックして展開を作っていくレーススタイルを確立する。この年はUCIワールドツアーの年間ヤングライダー賞にも輝いている。
2018年にはジロで総合6位、アルプスの山岳コースが設定されたラ・クルス・バイ・ツール・ド・フランスでは、アネミエク・ファンフルーテン、アンナ・ファンデルブレッヘンというワールドベスト2名には及ばなかったものの、表彰台にあと一歩に迫る4位で、とりわけ山岳レースでの強さを世界に知らしめた。

国内選手権の個人TTタイトルは2016年以降3連覇を果たし、独走力を証明。2019年にはラ・クルスで3位表彰台、そして石畳のロンド・ファンフラーンデーレンでも3位入賞と、北のクラシックでも走れることを示した。この年のレース後インタビューでの彼女の受け答えが、ネット上ではバズを引き起こした。こんなにも笑顔で陽気でユーモアのある受け答えは、あまり見られないもので、その笑顔は彼女のアイコンともなった。
注目度の高まりと主に、小柄なデンマーク人選手が常にレース前方で展開する姿が目立つようになってきた。コンスタントに上位入賞を繰り返すが、肝心の勝利がないこともまた度々取り上げられた。2019年ストラーデビアンケ5位、2020年のラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニン2位、ジロはステージ優勝なしの総合4位(山岳賞獲得)。

彼女のキャリアで現在最も大きな勝利は2020年のジロ・デッレ・エミリア、そして2021年ブエルタ・ア・ブルゴスでのステージ優勝。ワールドツアーレースでの勝利も飾っているが、誰もが唸るようなビッグタイトルにはまだ恵まれていない。
2021年はトロフェオ・アルフレードビンダで3位、ラ・クルスで2位といよいよ大勝利が近づいていることを感じさせた。
ルドヴィグの2022年シーズンここまで

2022年シーズンは、デビューのブエルタ・バレンシアナでステージ2位を含む総合2位と好発進。ストラーデビアンケでも5位、ロンドで6位と相変わらずの上位入賞組としてその強さを見せている。ただ勝利がないことが気がかりであったが、好材料もある。
6月のナショナル選手権で遂に初のロードレース優勝。ナショナルのタイトルを獲得し、感極まった。勝ちきれる強さを証明し、そしてデンマークのナショナルチャンピオンジャージに袖を通したルドヴィグ。このあと狙うのはジロ・ドンネでのステージ優勝、そしてツール・ファムでの勝利。とくにフランスチームに所属するルドヴィグにとって、ツールでの勝利は至上命題でもある。この間に急成長を遂げたチームメイトのマルタ・カヴァッリ(イタリア)と共に、ツールでの栄光を目指す。

ツール・ファムの優勝者インタビューで、あの陽気で朗らかで力強いインタビューを聞きたいと思っているファンは少なくないはずだ。再び世界を魅了してほしい。
セシリー・ウトラップ・ルドヴィク(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
タイプ | 主な戦績 |
---|---|
クライマー | ジロ・デッレエミリア2020 |
デンマーク選手権2022 | |
ロンド・ファン・フラーンデレン2019 3位 |
text:Yufta Omata
photo:CorVos
photo:CorVos
フォトギャラリー
Amazon.co.jp