2022/07/10(日) - 15:00
近年注目のトップ女性サイクリストを紹介していく連載の第四弾は、自転車王国ベルギーの女子サイクリング界を背負って立つ現ベルギーチャンピオンのロッター・コペッキーを紹介する。自転車が国技と称される王国にあって、遂に現れたクラシックハンターに熱い視線が注がれている。
ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
タイプ:クラシックレーサー、パンチャー
主な戦績:ロンド・ファン・フラーンデレン2022、ストラーデビアンケ2022、パリ〜ルーベ・ファム2022 2位、東京五輪ロードレース4位
Instagram : @lottekopecky
Twitter : @LotteKopecky
女子選手には数少ないピュア・クラシックハンター
ジュニア時代から注目される選手だったが、特にトラックでその才能が早くから開花した。ロードレースではタイムトライアルを得意とし、年代別で数々のナショナルタイトルを獲得してきた。彼女の優れた独走力はこのトラックによって培われたと言っていい。
トラック種目では2016-17シーズンのワールドカップでオムニアムで総合優勝。2017年の世界選手権では昨年引退したジョリーン・ドールとのコンビでマディソンの世界チャンピオンに輝き、アルカンシェルに袖を通している。昨2021年はポイントレースでも世界チャンピオンに輝き、トラックにコペッキーありの存在感は変わらない。
しかし近年はロードレースでの躍進が目覚ましい。2019年から個人タイムトライアルのナショナルチャンピオンを4連覇中。ロードレースのタイトルも2020年・2021年と連覇していた。レーサーのタイプとしてはクラシックレーサーということになるだろうか。ウィーベスやバルサモらには純粋なスプリント力では劣るが、その分ハードな展開でのサバイバル能力に秀でる。
シクロクロスにも積極参戦し、悪路でのテクニックには定評がある。そのため、石畳での走りは女子選手の中でも光る。マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボヴィスマ)と石畳で向こうを張ることのできる女子選手は多くないが、コペッキーはその数少ない一人だ。
TT能力に見られるように、厳しい展開からの抜け出しも得意とする。独走でフィニッシュまで行くのもいいし、少人数でのスプリントでも勝率が高い。出入りの激しい春先のクラシックレースでは近年常に優勝候補に上げられる存在である。
コペッキーの2022年シーズンここまで
2022年シーズンは、コペッキーのクラシックレーサーとしての立ち位置を明確にした。ストラーデビアンケでは得意の厳しい展開に持ち込んで、「現在究極のオールラウンダー」アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)との一騎打ちに。グラベルでのスムーズなライドはもちろんのこと、起伏あるコースでの対応力も見せ、そして最後はレース巧者のファンフルーテンを力で打ち破る強い勝ち方。今季移籍を果たした最強軍団SDワークスのチーム力も味方した。
北のクラシックシーズンはノケレ・クールセ2位、ヘント〜ウェベルヘム4位と、それぞれエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)といったスプリンターの後塵を拝したが、まずまずの仕上がりを見せ臨んだ大一番、ロンド・ファン・フラーンデレンでは圧巻の勝利を飾ってみせた。
ここでも立ちはだかったのはファンフルーテンだったが、やはりSDワークスのチームメイト、過去ロンド覇者のシャンタル・ブラーク(オランダ)のサポートを受けたコペッキーがスプリントで勝利。得意のパターンで勝てる形を確立した。ベルギーチャンピオンジャージを着てのフランドル制覇に、地元ベルギーが大いに沸き立ったのは言うまでもない。近年の女性サイクリング界がオランダ勢に席巻される中で、もうひとつの自転車王国ベルギーの誇りを胸にコペッキーはさらなるクラシックレースを狙う。
最も欲しいタイトルは、今年2位に甘んじたパリ〜ルーベ・ファムだろう。荒れた展開を好むクラシックハンターが、ツール・ファムでもどんな走りをしてくるか、見逃せない。
ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
タイプ:クラシックレーサー、パンチャー
主な戦績:ロンド・ファン・フラーンデレン2022、ストラーデビアンケ2022、パリ〜ルーベ・ファム2022 2位、東京五輪ロードレース4位
Instagram : @lottekopecky
Twitter : @LotteKopecky
女子選手には数少ないピュア・クラシックハンター
ジュニア時代から注目される選手だったが、特にトラックでその才能が早くから開花した。ロードレースではタイムトライアルを得意とし、年代別で数々のナショナルタイトルを獲得してきた。彼女の優れた独走力はこのトラックによって培われたと言っていい。
トラック種目では2016-17シーズンのワールドカップでオムニアムで総合優勝。2017年の世界選手権では昨年引退したジョリーン・ドールとのコンビでマディソンの世界チャンピオンに輝き、アルカンシェルに袖を通している。昨2021年はポイントレースでも世界チャンピオンに輝き、トラックにコペッキーありの存在感は変わらない。
しかし近年はロードレースでの躍進が目覚ましい。2019年から個人タイムトライアルのナショナルチャンピオンを4連覇中。ロードレースのタイトルも2020年・2021年と連覇していた。レーサーのタイプとしてはクラシックレーサーということになるだろうか。ウィーベスやバルサモらには純粋なスプリント力では劣るが、その分ハードな展開でのサバイバル能力に秀でる。
シクロクロスにも積極参戦し、悪路でのテクニックには定評がある。そのため、石畳での走りは女子選手の中でも光る。マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボヴィスマ)と石畳で向こうを張ることのできる女子選手は多くないが、コペッキーはその数少ない一人だ。
TT能力に見られるように、厳しい展開からの抜け出しも得意とする。独走でフィニッシュまで行くのもいいし、少人数でのスプリントでも勝率が高い。出入りの激しい春先のクラシックレースでは近年常に優勝候補に上げられる存在である。
コペッキーの2022年シーズンここまで
2022年シーズンは、コペッキーのクラシックレーサーとしての立ち位置を明確にした。ストラーデビアンケでは得意の厳しい展開に持ち込んで、「現在究極のオールラウンダー」アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)との一騎打ちに。グラベルでのスムーズなライドはもちろんのこと、起伏あるコースでの対応力も見せ、そして最後はレース巧者のファンフルーテンを力で打ち破る強い勝ち方。今季移籍を果たした最強軍団SDワークスのチーム力も味方した。
北のクラシックシーズンはノケレ・クールセ2位、ヘント〜ウェベルヘム4位と、それぞれエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)といったスプリンターの後塵を拝したが、まずまずの仕上がりを見せ臨んだ大一番、ロンド・ファン・フラーンデレンでは圧巻の勝利を飾ってみせた。
ここでも立ちはだかったのはファンフルーテンだったが、やはりSDワークスのチームメイト、過去ロンド覇者のシャンタル・ブラーク(オランダ)のサポートを受けたコペッキーがスプリントで勝利。得意のパターンで勝てる形を確立した。ベルギーチャンピオンジャージを着てのフランドル制覇に、地元ベルギーが大いに沸き立ったのは言うまでもない。近年の女性サイクリング界がオランダ勢に席巻される中で、もうひとつの自転車王国ベルギーの誇りを胸にコペッキーはさらなるクラシックレースを狙う。
最も欲しいタイトルは、今年2位に甘んじたパリ〜ルーベ・ファムだろう。荒れた展開を好むクラシックハンターが、ツール・ファムでもどんな走りをしてくるか、見逃せない。
ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
タイプ | 主な戦績 |
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クラシックレーサー、パンチャー | ロンド・ファン・フラーンデレン2022 |
ストラーデビアンケ2022 | |
パリ〜ルーベ・ファム2022 2位 | |
東京五輪ロードレース 4位 |
text:Yufta Omata
photo:CorVos
photo:CorVos
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