2022/05/15(日) - 14:42
独創的なホイール造りで知られるアメリカのスピナジーから、同社独自のPBOスポークを使用したフルカーボンホイール、Stealth FCC 3.2をインプレッション。競合ブランドとは一線を画す設計思想を持ったオンリーワンなホイールの実力に迫る。
優れた引張強度と弾性率を有し、防弾防刃アーマーなどの素材にも使われる合成繊維「ザイロン」を使用する独自の"PBOスポーク"によって、数あるホイールブランドの中でも独自の立ち位置を築くスピナジー。
通常の金属製スポークに対し、約半分の重量、3倍の強度、そして25%高い振動吸収性というメリットを有しているPBOスポークをコアテクノロジーとしつつ、スピナジーは様々な高性能ホイールを生み出してきた。
今回インプレッションするStealth FCC 3.2は、軽量な32mmハイトのセミディープフルカーボンリムを組み合わせることで、高い反応性や加速性能、コントローラブルな乗り味を実現したオールラウンドモデルだ。
リム内幅18mmかつチューブレス対応と、トレンドを抑えたリムプロファイルで、新しいETRTO規格タイヤも問題なく装着可能だ。2022年モデルでは織カーボンを廃し、UDカーボンの精悍なルックスがよりレーシーな雰囲気を演出する。
このリムに組み合わせられるのがスピナジーオリジナルの"44"ハブだ。108ポイントのエンゲージメントポイントを備えた直径44mmのラチェットリングを採用し、空走時間を大幅に削減すると同時に高いパワー伝達効率を実現。
この大口径ラチェットシステムに6061-T6アルミニウムを高精度なCNC加工で削り出した複雑な形状のハブボディと高強度のアルミニウムアクスルを組み合わせたハブによって、非常に優れた走行性能を手に入れた。
また、スピナジーホイールのコアとなるPBOスポークにも更なる工夫が施されている。繊維スポークの宿命として断面形状の自由度が低く、昔は真円形状のスポークのみのラインアップであった。しかし、エアロダイナミクスの重要性が高まるなか、PBOスポークも進化を果たしている。
Stealth FCC 3.2では、耐水/耐紫外線性の複合材を使用したエアロ形状のカバーによってスポークが包まれており、PBOスポークのメリットを損なうことなくエアロダイナミクスをも獲得。ちなみに、このカバーのカラーは全10色から選択可能というのも、スピナジーらしいポイントだ。
フロント、リアともにラジアル/2クロスのスポークパターンを採用。前輪はローター側が、後輪はドライブ側が2クロスとされ、制動力と駆動力の伝達にそれぞれ最適化された構成となる。
独自の繊維スポークを軸としつつ、最先端のレーシングスペックに対応するスピナジーの最新オールラウンドモデルStealth FCC 3.2。多くの新興ブランドも参入するディスクブレーキロードホイールの中で、その実力はいかなるものか。それではインプレッションに移ろう。
−インプレッション
かなりマイルドなホイールですね。振動吸収性がとても高く、アスファルトが割れているところでもなめらかに通過していってくれます。なめていってくれると言えるぐらい。
バイクを振った時の反発は強くなく、ジワッと力が伝わる感じ。横方向への剛性はちょっと低めですが、横に振ると気持ちのいい感覚があります。ダンシングの際は小刻みに振るよりも、大きく振った方が気持ちの良いホイールですね。
ザイロンが伸びにくい繊維だからなのか、トルク方向、回転方向にしっかりとリニアを伝えてくれます。その分横へしなやかに動くことが、乗り心地の良さに繋がっているのでしょうね。
ザイロンスポークだから何かが際立って独特という感覚はありませんでした。横方向へのしなやかさがその特徴なのかもしれませんが、特に後輪が顕著で、ダンシングで深く傾けた時にたわむ感じがします。でも嫌な感じではなく、個人的にはリズムが取りやすく好きな感覚ですね。20〜30km/hのサイクリングなど、低速で淡々と走る方が向いていますね。
これだけの振動吸収性に加え、チューブレスレディなのだから、ちょっと太めのチューブレスタイヤを付ければグラベルにも使えると思います。サーヴェロのCaledoniaや、スペシャライズド S-Works Roubaixに装着しても良さそうですね。
スピナジー Stealth FCC 3.2
タイヤタイプ:クリンチャー/チューブレスレディ
リムサイズ:内幅18mm、外幅24mm、ハイト32mm
スポーク:エアロブレードPBOスポーク
スポークカラー:ホワイト、ブラック、イエロー、レッド、ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ、パープル、グレー
重量:1,400g(リム)、1,455g(ディスク)
価格:フロント99,000円(税抜)、リア111,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
安藤光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。
Bicicletta SHIDO
text:NaokiYasuoka
photo:Makoto AYANO
優れた引張強度と弾性率を有し、防弾防刃アーマーなどの素材にも使われる合成繊維「ザイロン」を使用する独自の"PBOスポーク"によって、数あるホイールブランドの中でも独自の立ち位置を築くスピナジー。
通常の金属製スポークに対し、約半分の重量、3倍の強度、そして25%高い振動吸収性というメリットを有しているPBOスポークをコアテクノロジーとしつつ、スピナジーは様々な高性能ホイールを生み出してきた。
今回インプレッションするStealth FCC 3.2は、軽量な32mmハイトのセミディープフルカーボンリムを組み合わせることで、高い反応性や加速性能、コントローラブルな乗り味を実現したオールラウンドモデルだ。
リム内幅18mmかつチューブレス対応と、トレンドを抑えたリムプロファイルで、新しいETRTO規格タイヤも問題なく装着可能だ。2022年モデルでは織カーボンを廃し、UDカーボンの精悍なルックスがよりレーシーな雰囲気を演出する。
このリムに組み合わせられるのがスピナジーオリジナルの"44"ハブだ。108ポイントのエンゲージメントポイントを備えた直径44mmのラチェットリングを採用し、空走時間を大幅に削減すると同時に高いパワー伝達効率を実現。
この大口径ラチェットシステムに6061-T6アルミニウムを高精度なCNC加工で削り出した複雑な形状のハブボディと高強度のアルミニウムアクスルを組み合わせたハブによって、非常に優れた走行性能を手に入れた。
また、スピナジーホイールのコアとなるPBOスポークにも更なる工夫が施されている。繊維スポークの宿命として断面形状の自由度が低く、昔は真円形状のスポークのみのラインアップであった。しかし、エアロダイナミクスの重要性が高まるなか、PBOスポークも進化を果たしている。
Stealth FCC 3.2では、耐水/耐紫外線性の複合材を使用したエアロ形状のカバーによってスポークが包まれており、PBOスポークのメリットを損なうことなくエアロダイナミクスをも獲得。ちなみに、このカバーのカラーは全10色から選択可能というのも、スピナジーらしいポイントだ。
フロント、リアともにラジアル/2クロスのスポークパターンを採用。前輪はローター側が、後輪はドライブ側が2クロスとされ、制動力と駆動力の伝達にそれぞれ最適化された構成となる。
独自の繊維スポークを軸としつつ、最先端のレーシングスペックに対応するスピナジーの最新オールラウンドモデルStealth FCC 3.2。多くの新興ブランドも参入するディスクブレーキロードホイールの中で、その実力はいかなるものか。それではインプレッションに移ろう。
−インプレッション
かなりマイルドなホイールですね。振動吸収性がとても高く、アスファルトが割れているところでもなめらかに通過していってくれます。なめていってくれると言えるぐらい。
バイクを振った時の反発は強くなく、ジワッと力が伝わる感じ。横方向への剛性はちょっと低めですが、横に振ると気持ちのいい感覚があります。ダンシングの際は小刻みに振るよりも、大きく振った方が気持ちの良いホイールですね。
ザイロンが伸びにくい繊維だからなのか、トルク方向、回転方向にしっかりとリニアを伝えてくれます。その分横へしなやかに動くことが、乗り心地の良さに繋がっているのでしょうね。
ザイロンスポークだから何かが際立って独特という感覚はありませんでした。横方向へのしなやかさがその特徴なのかもしれませんが、特に後輪が顕著で、ダンシングで深く傾けた時にたわむ感じがします。でも嫌な感じではなく、個人的にはリズムが取りやすく好きな感覚ですね。20〜30km/hのサイクリングなど、低速で淡々と走る方が向いていますね。
これだけの振動吸収性に加え、チューブレスレディなのだから、ちょっと太めのチューブレスタイヤを付ければグラベルにも使えると思います。サーヴェロのCaledoniaや、スペシャライズド S-Works Roubaixに装着しても良さそうですね。
スピナジー Stealth FCC 3.2
タイヤタイプ:クリンチャー/チューブレスレディ
リムサイズ:内幅18mm、外幅24mm、ハイト32mm
スポーク:エアロブレードPBOスポーク
スポークカラー:ホワイト、ブラック、イエロー、レッド、ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ、パープル、グレー
重量:1,400g(リム)、1,455g(ディスク)
価格:フロント99,000円(税抜)、リア111,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
安藤光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。
Bicicletta SHIDO
text:NaokiYasuoka
photo:Makoto AYANO
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