2021/09/19(日) - 16:23
オランダのカーボンホイールブランド、スコープサイクリング。ロード用からMTB用までチューブレスカーボンホイールが揃うラインアップから、今回はオールラウンドに使用することができる45mmハイトのR4 DISCをインプレッションする。
2013年にオランダの中部に位置するアイントホーフェンで創業したホイールブランド、スコープサイクリング。「NO EXCUSE(言い訳はしない)」をモットーに掲げ、最高のパフォーマンスを発揮するために妥協のない開発を進めているブランドだ。
NO EXCUSEを体現すべく、スコープサイクリングはUCIワールドチームのチームDSMとディヴェロップメントパートナーシップを締結。レースにおいてはシマノホイールを使用するチームDSMだが、スコープサイクリングとは製品の開発や評価を共に行っていくパートナーとなっている。今年、ブランド初のフルモデルチェンジを果たしたスコープサイクリングだが、トッププロのフィードバックを取り入れて開発されたプロダクトの第一弾となる。
チューブレスレディ/クリンチャー両対応のカーボンホイールのみを手掛けるスコープサイクリングのラインアップはROADとALL-ROAD、OFF-ROADの3カテゴリーに渡って展開されており、それぞれのカテゴリーにおいてリムハイト別のプロダクトが用意されている。今回インプレッションする"R4 Disc"は、ROADカテゴリーの中でもオールラウンドな位置づけの45mmハイトモデルとなる。
今回のフルモデルチェンジにあたって、スコープサイクリングはオランダの名門工科大学のデルフト大学と共同で新たな解析ソフトを開発。これまでのCFDと風洞実験を重ねていく手法に対し、より多くのテストデータを得ることが可能となった。アルゴリズムエンハンスドエアロダイナミクス(AEA)と名付けられたこのテクノロジーによって最適化されたリムプロファイルが、新世代のスコープホイールには適用されている。
もう一つ、スコープが着目したのがタイヤとのマッチング。ホイールとタイヤという不可分のプロダクトを組み合わせた時に、最高のパフォーマンスを発揮できるようにシュワルベとコラボレーション。よりワイドに、そして多様化するタイヤプロファイルに対応するため、オンロード/オフロードモデル共にリムの形状を再設計している。また、チューブレスタイヤとの嵌合も最適化されているとのことだ。
もちろん軽量化にも余念はなく、テンションを受けるスポークホール周りの積層を厚くし、強度の必要ない部分は薄くすることで、リム全体の強度と剛性を保ちつつ軽量化を図る設計は前作から継承したもの。軽く、よりエアロに進化したリムを得て、走りに更なる磨きをかけた。
スコープのアイデンティティでもあるオリジナルハブもモデルチェンジに当たって改良されている。スウェーデンの総合機械メーカーであるSKF社とタッグを組んで開発されたベアリングを搭載していることは前作と同様となるが、フリーボディの設計を全面的に刷新した。
DIAMOND RATCHET SYSTEMと名付けられたフリーは、36Tの面ラチェットによって優れた回転動作と高い駆動効率、そして軽量化を実現。摩擦係数を低く抑えることにも成功しており、ペダリングを止めた時のパワーロスも少ないため、下りでもアドバンテージを発揮するという。またツール不要でメンテナンス可能な構造となっているため、気軽に注油や清掃などを行える。
R4 Discはエアロスポークのサピム CX SPRINTを採用。フロント21本、リア24本の2:1組でフロントはローター側の、リアはドライブ側のスポーク本数が多くなっている。外幅は28mm、内幅が21mmという仕様で、ロードタイヤであれば25-30mm、グラベルタイヤであれば35-57mmのワイドタイヤに対応する。
SKFベアリングを採用する通常モデルに加え、より優れた回転性能を備えるセラミックベアリング仕様も用意されているため、ニーズに合わせて選ぶことも可能。フリーボディーはシマノ、スラム、カンパニョーロに対応している。ロゴのデカールカラーはブラックとホワイトの2色で、ブランドロゴ入りのチューブレスバルブが付属する。ノーマルモデルは198,000円、セラミックベアリング仕様は268,400円(ともに税込)。取り扱いは日直商会だ。
―編集部インプレッション
今回、インプレッションするのはスコープサイクリングが手掛けるR4 DISC。担当するのは、さいたまディレーブ所属でありCW編集部員でもある高木。スコープサイクリングのカーボンホイールを使用して2シーズン目となり、前作もしっかりと使いこんできた。
スコープサイクリングのホイールを使用するまで、レースには軽量性と乗り心地の良さ、走行性能の観点からチューブラーホイールを使用してきた。シクロクロスではチューブレスホイールを使用してきたが、ロードレースではチューブレスホイールを使用したことがなかった。
今回のテストで使用したタイヤはIRCのFORMULA PRO TLR RBCCの700×25C。取り付けは特段困ること無く、ビードをリムに落とすことができ、フロアポンプでタイヤのビードを上げることができた。エアが漏れることもなく、高い精度を有したリムだと実感。シュワルベとの共同開発とのことだが、少なくともIRCタイヤとの相性も良好だ。
タイヤの空気圧を6.5barで設定し、タイヤ幅を計測すると27.0mmという数値となった。見た目からも太さを感じられるくらいのボリューム感だが、実測でも表記より2mm太くなる。よりワイドになることで、コントロール性能や乗り心地も向上しそうだ。
さいたまディレーブでは、これまでリムブレーキとディスクブレーキのビアンキ OLTRE XR3を使用してきたため、スコープサイクリングのホイールはリムモデルとディスクモデルのR3、R4、R5を多くのレースやトレーニングで使用してきた。
その中でもR4 DISCは十分な剛性を備えつつも、硬すぎずトータルバランスに優れたホイールだち感じている。また、1,585gと重量にフォーカスしてみると決して軽くはないのだが、スペックの値に反して一度走り出してしまえば、走りは非常に軽い。
まず、チューブレスシステム特有の漕ぎ出しの軽さがあり、ゼロ発進やコーナーの立ち上がりでも走りやすい印象。また、リム重量が軽いことやホイール剛性が高いことで、低速から高速までどの速度領域からでも瞬時に加速することができる。
登りではペース走はもちろんアタックにも対応でき、ダンシングもしやすいため、登坂でもアドバンテージとなってくれるだろう。程良いホイール剛性のおかげで、クリテリウム特有の180°ターンや高速コーナーでの立ち上がりもスムーズ。何度も高出力のインターバルを繰り返すタイトなコーナーが多いクリテリウムでもレスポンス良く走ることが出来た。
また、ホイールの重量バランスが良く、コーナリングの最中にハブやリムに引っ張られるような感じがなく、ハンドリングに癖がない。下りでは狙ったラインをトレースしやすく、曲がりながらのライン変更も容易で、安心して下る事ができた。
レースでのスプリントでは70km/hまで加速する場面があったが、ペダルを踏み込んだ力全てが推進力へ変換されているように感じる。さらに、1000W以上で下ハンドルを握りながらもがいても、高剛性なハブとサピムのエアロスポークによって軸がぶれることもなく、安心してスプリントできた。
平地に関しては30~40km/hの速度域で巡航しやすいのは空力の良さとベアリングの回転性能の高さによるものだと考えられる。更に言えば、45mmハイトであるが風が強い中で横風を受けてもハンドルが取られづらく、アルゴリズムエンハンスドエアロダイナミクスによってデザインされたホイールの空力性能の高さを実感した。
スコープサイクリング R4 DISCは十分な剛性を備えつつも、硬すぎない、脚あたりが良いカーボンホイールだ。高剛性なレースフレームからしなやかなエンデュランスフレームまで、どんなバイクとも相性が良さそうに感じる。目的を問わず多くのライドで快適に速く走りたいサイクリストにオススメしたいホイールである。
スコープサイクリング R4 DISC
リムハイト:45mm
リム内幅:21mm
リム外幅:28mm
対応タイヤ:25C~30C
対応コンポーネント:シマノ、スラム、カンパニョーロ
重量:1585g
価格:198,000円(税込)、268,400円(税込、セラミックベアリング仕様)
impression:Michinari TAKAGI
photo:Kenta Onoguchi、Michinari TAKAGI
2013年にオランダの中部に位置するアイントホーフェンで創業したホイールブランド、スコープサイクリング。「NO EXCUSE(言い訳はしない)」をモットーに掲げ、最高のパフォーマンスを発揮するために妥協のない開発を進めているブランドだ。
NO EXCUSEを体現すべく、スコープサイクリングはUCIワールドチームのチームDSMとディヴェロップメントパートナーシップを締結。レースにおいてはシマノホイールを使用するチームDSMだが、スコープサイクリングとは製品の開発や評価を共に行っていくパートナーとなっている。今年、ブランド初のフルモデルチェンジを果たしたスコープサイクリングだが、トッププロのフィードバックを取り入れて開発されたプロダクトの第一弾となる。
チューブレスレディ/クリンチャー両対応のカーボンホイールのみを手掛けるスコープサイクリングのラインアップはROADとALL-ROAD、OFF-ROADの3カテゴリーに渡って展開されており、それぞれのカテゴリーにおいてリムハイト別のプロダクトが用意されている。今回インプレッションする"R4 Disc"は、ROADカテゴリーの中でもオールラウンドな位置づけの45mmハイトモデルとなる。
今回のフルモデルチェンジにあたって、スコープサイクリングはオランダの名門工科大学のデルフト大学と共同で新たな解析ソフトを開発。これまでのCFDと風洞実験を重ねていく手法に対し、より多くのテストデータを得ることが可能となった。アルゴリズムエンハンスドエアロダイナミクス(AEA)と名付けられたこのテクノロジーによって最適化されたリムプロファイルが、新世代のスコープホイールには適用されている。
もう一つ、スコープが着目したのがタイヤとのマッチング。ホイールとタイヤという不可分のプロダクトを組み合わせた時に、最高のパフォーマンスを発揮できるようにシュワルベとコラボレーション。よりワイドに、そして多様化するタイヤプロファイルに対応するため、オンロード/オフロードモデル共にリムの形状を再設計している。また、チューブレスタイヤとの嵌合も最適化されているとのことだ。
もちろん軽量化にも余念はなく、テンションを受けるスポークホール周りの積層を厚くし、強度の必要ない部分は薄くすることで、リム全体の強度と剛性を保ちつつ軽量化を図る設計は前作から継承したもの。軽く、よりエアロに進化したリムを得て、走りに更なる磨きをかけた。
スコープのアイデンティティでもあるオリジナルハブもモデルチェンジに当たって改良されている。スウェーデンの総合機械メーカーであるSKF社とタッグを組んで開発されたベアリングを搭載していることは前作と同様となるが、フリーボディの設計を全面的に刷新した。
DIAMOND RATCHET SYSTEMと名付けられたフリーは、36Tの面ラチェットによって優れた回転動作と高い駆動効率、そして軽量化を実現。摩擦係数を低く抑えることにも成功しており、ペダリングを止めた時のパワーロスも少ないため、下りでもアドバンテージを発揮するという。またツール不要でメンテナンス可能な構造となっているため、気軽に注油や清掃などを行える。
R4 Discはエアロスポークのサピム CX SPRINTを採用。フロント21本、リア24本の2:1組でフロントはローター側の、リアはドライブ側のスポーク本数が多くなっている。外幅は28mm、内幅が21mmという仕様で、ロードタイヤであれば25-30mm、グラベルタイヤであれば35-57mmのワイドタイヤに対応する。
SKFベアリングを採用する通常モデルに加え、より優れた回転性能を備えるセラミックベアリング仕様も用意されているため、ニーズに合わせて選ぶことも可能。フリーボディーはシマノ、スラム、カンパニョーロに対応している。ロゴのデカールカラーはブラックとホワイトの2色で、ブランドロゴ入りのチューブレスバルブが付属する。ノーマルモデルは198,000円、セラミックベアリング仕様は268,400円(ともに税込)。取り扱いは日直商会だ。
―編集部インプレッション
今回、インプレッションするのはスコープサイクリングが手掛けるR4 DISC。担当するのは、さいたまディレーブ所属でありCW編集部員でもある高木。スコープサイクリングのカーボンホイールを使用して2シーズン目となり、前作もしっかりと使いこんできた。
スコープサイクリングのホイールを使用するまで、レースには軽量性と乗り心地の良さ、走行性能の観点からチューブラーホイールを使用してきた。シクロクロスではチューブレスホイールを使用してきたが、ロードレースではチューブレスホイールを使用したことがなかった。
今回のテストで使用したタイヤはIRCのFORMULA PRO TLR RBCCの700×25C。取り付けは特段困ること無く、ビードをリムに落とすことができ、フロアポンプでタイヤのビードを上げることができた。エアが漏れることもなく、高い精度を有したリムだと実感。シュワルベとの共同開発とのことだが、少なくともIRCタイヤとの相性も良好だ。
タイヤの空気圧を6.5barで設定し、タイヤ幅を計測すると27.0mmという数値となった。見た目からも太さを感じられるくらいのボリューム感だが、実測でも表記より2mm太くなる。よりワイドになることで、コントロール性能や乗り心地も向上しそうだ。
さいたまディレーブでは、これまでリムブレーキとディスクブレーキのビアンキ OLTRE XR3を使用してきたため、スコープサイクリングのホイールはリムモデルとディスクモデルのR3、R4、R5を多くのレースやトレーニングで使用してきた。
その中でもR4 DISCは十分な剛性を備えつつも、硬すぎずトータルバランスに優れたホイールだち感じている。また、1,585gと重量にフォーカスしてみると決して軽くはないのだが、スペックの値に反して一度走り出してしまえば、走りは非常に軽い。
まず、チューブレスシステム特有の漕ぎ出しの軽さがあり、ゼロ発進やコーナーの立ち上がりでも走りやすい印象。また、リム重量が軽いことやホイール剛性が高いことで、低速から高速までどの速度領域からでも瞬時に加速することができる。
登りではペース走はもちろんアタックにも対応でき、ダンシングもしやすいため、登坂でもアドバンテージとなってくれるだろう。程良いホイール剛性のおかげで、クリテリウム特有の180°ターンや高速コーナーでの立ち上がりもスムーズ。何度も高出力のインターバルを繰り返すタイトなコーナーが多いクリテリウムでもレスポンス良く走ることが出来た。
また、ホイールの重量バランスが良く、コーナリングの最中にハブやリムに引っ張られるような感じがなく、ハンドリングに癖がない。下りでは狙ったラインをトレースしやすく、曲がりながらのライン変更も容易で、安心して下る事ができた。
レースでのスプリントでは70km/hまで加速する場面があったが、ペダルを踏み込んだ力全てが推進力へ変換されているように感じる。さらに、1000W以上で下ハンドルを握りながらもがいても、高剛性なハブとサピムのエアロスポークによって軸がぶれることもなく、安心してスプリントできた。
平地に関しては30~40km/hの速度域で巡航しやすいのは空力の良さとベアリングの回転性能の高さによるものだと考えられる。更に言えば、45mmハイトであるが風が強い中で横風を受けてもハンドルが取られづらく、アルゴリズムエンハンスドエアロダイナミクスによってデザインされたホイールの空力性能の高さを実感した。
スコープサイクリング R4 DISCは十分な剛性を備えつつも、硬すぎない、脚あたりが良いカーボンホイールだ。高剛性なレースフレームからしなやかなエンデュランスフレームまで、どんなバイクとも相性が良さそうに感じる。目的を問わず多くのライドで快適に速く走りたいサイクリストにオススメしたいホイールである。
スコープサイクリング R4 DISC
リムハイト:45mm
リム内幅:21mm
リム外幅:28mm
対応タイヤ:25C~30C
対応コンポーネント:シマノ、スラム、カンパニョーロ
重量:1585g
価格:198,000円(税込)、268,400円(税込、セラミックベアリング仕様)
impression:Michinari TAKAGI
photo:Kenta Onoguchi、Michinari TAKAGI
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