バルセロナを巡るボルタ・ア・カタルーニャ第7ステージは、サバイバルな展開から集団スプリントに持ち込まれた。プロ1年目のブレイディ・ギルモア(オーストラリア、NSNサイクリングチーム)が金星を挙げ、ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が自身初の総合優勝を決めた。



最終日を迎えた2026年ボルタ・ア・カタルーニャ photo:CorVos

ボルタ・ア・カタルーニャ第7ステージ image:A.S.O.
スペイン北東部カタルーニャ州を巡るボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)も最終日を迎えた。第7ステージの舞台は州都であり、スペイン第2の都市であるバルセロナ。お馴染みのコースは総距離95.1kmと短いものの、後半は2級山岳モンジュイックの丘(距離2.7km/平均4.7%)を含むコースを7周回する。そのため、あらゆる脚質の選手にチャンスがある、予測が難しいレイアウトだ。

序盤から第2ステージ勝者、マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)が入った逃げグループは5名。ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)など強力なメンバーを追うメイン集団は、リーダーチームのヴィスマ・リースアバイクではなく、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)のステージ優勝を狙うレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引した。2分あったリードは徐々に縮まり、周回コースに入る頃にはその差は1分まで縮まっていた。

ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)らが形成した5名の逃げ集団 photo:CorVos

プロトンはいつでも逃げを捉えられる状態でレースを進め、残り36.6km地点の、最大勾配16%に達する2級山岳モンジュイックの丘でこれを吸収した。直後にエヴェネプールが飛び出したものの、総合首位ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がそれを許さない。さらに、そこには総合2位レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)なども追従し、エヴェネプールのチームメイトであるフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)を含む6名の先頭集団が形成された。

しかし下りを挟んだ平坦区間で後続が合流し、20名程度に人数を増やす。続くモンジュイックの丘では再びエヴェネプールがアタックしたものの、これもヴィンゲゴーらを振り切ることはできない。その後も散発的なアタックが失敗するなか、膠着状態を打ち破ったのはプロ1年目の21歳であるトビアス・スヴァーレ(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)だった。

2級山岳モンジュイックの丘では毎回アタックが生まれ、一度集団が絞り込まれる photo:CorVos

残り18km地点の平坦路で飛び出したスヴァーレは最大15秒差を作ったものの、やはりモンジュイックの丘で引き戻される。そのまま40名弱の先頭集団は最終周回に入り、イネオス・グレナディアーズがドリアン・ゴドン(フランス)のために主導権を握る。最後の登りではエンリク・マス(スペイン、モビスター)がペースアップで人数を絞り、下りでヴィンゲゴーが牽引する場面もあった。

しかし登りで遅れた選手たちは平坦路で追いつき、勝負はこの難コースを先頭集団で耐えた選手たちによるスプリントへ。今大会区間2勝を挙げ、ポイント賞ジャージを着るゴドンが自慢のトップスピードを披露する。エヴェネプールも懸命に踏み込むなか、最初にフィニッシュラインを越えたのは、ブレイディ・ギルモア(オーストラリア、NSNサイクリングチーム)だった。

集団スプリントを制したブレイディ・ギルモア(オーストラリア、NSNサイクリングチーム) photo:CorVos

ワールドツアー初優勝を飾ったブレイディ・ギルモア(オーストラリア、NSNサイクリングチーム) photo:CorVos
自身初となるカタルーニャ総合制覇を果たしたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos


今年念願のプロデビューを果たした24歳が掴んだ、ワールドツアー初勝利。「アンドレス(イニエスタ)がチームカーにいてくれ、今朝は彼の前でチームバスの中でレースプランについて話し合った。そのプラン通りに勝利できたので、言葉がない。これが僕にとって初めてのワールドツアー勝利だ。今大会は本当に厳しかったが、僕らは決して諦めなかった」と、メインスポンサーNSNのオーナーである元サッカー選手、アンドレス・イニエスタ氏の前での勝利をそう喜んだ。

そして総合優勝は第5、第6ステージの山頂フィニッシュを連勝したヴィンゲゴーが獲得。「今日はレッドブルがプレッシャーをかけ、終盤は孤立してしまった。それでも脚の感触はよく、アタックを凌ぐことができた。こういう形でシーズンをスタートできたことは大きい。次なるレースに向けて大きな自信とモチベーションに繋がるからね」と語ったヴィンゲゴー。パリ〜ニースから連続で総合優勝を決め、ジロ・デ・イタリア初制覇に向けて、これ以上ないコンディションを印象づけた。
ボルタ・ア・カタルーニャ2026第7ステージ
1位 ブレイディ・ギルモア(オーストラリア、NSNサイクリングチーム) 2:06:44
2位 ドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
3位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ダビド・ゴンサレス(スペイン、ピナレロQ36.5プロサイクリング)
5位 アントワーヌ・ロート(フランス、デカトロンCMA CGM)
6位 セナ・レマイン(オランダ、アルペシン・プレミアテック)
7位 ルーカ・ヴェルガリート(イタリア、アルペシン・プレミアテック)
8位 シモーネ・グアルディ(イタリア、ロット・アンテルマルシェ)
9位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ヘノック・ムルブラン(エリトリア、XDSアスタナ)
個人総合成績
1位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 25:56:36
2位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:22
3位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:30
4位 ヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ) +1:43
5位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +2:13
6位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +3:17
7位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +4:11
8位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、モビスター) +5:20
9位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、デカトロンCMA CGM) +5:25
10位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +5:36
その他の特別賞
ポイント賞 ドリアン・ゴドン(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
ヤングライダー賞 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos