フルクラムのオールロード向けホイールSHARQシリーズに加わったSHARQ 57。2ウェイブリムデザインをそのままに、リムハイトを57mmへと引き上げたディープリムモデルをインプレッション。



フルクラム SHARQ57

フルクラムのSHARQシリーズは、舗装路とグラベルを横断的に楽しむサイクリストのために開発されたホイールだ。ロードレース用のSPEEDシリーズとは異なるアプローチで、ワイドタイヤの性能を最大限に引き出すことに重点を置き、エンデュランスロードやオールロードバイクでの高い走行性能を追求している。

SHARQ 57の最大の特徴は、57mmから62mmの間で波打つ2ウェイブリムだ。中央部分は左右対称のウェイブ形状、側面は非対称のウェイブデザインという2つの波形が有機的に繋がることで、独特のリム形状を形成している。

リムウォールには採用されたテクノロジーが刻まれている

中央部は左右対称、側面は左右非対称の2ウェイブデザインを採用する

この設計とSHARQ 42よりもディープなリムにより、SHARQ 42と比較して30mmタイヤで45km/h走行時に10%のエアロダイナミクス向上を達成した。同時にSHARQ 42に対するハンドリング性能の低下はわずか1%にとどまり、ロードレースモデルのSpeed 57と比較すると6.3%も改善されている。

リムはフルクラムが誇るFF100カーボンファイバーで構成され、ペア重量は1,520gを実現。リムベッドに穴を開けない構造が、繊維の連続性を保つことで剛性向上にも貢献している。

フルクラムが誇るUSBベアリングが搭載されている

リム内幅は25mmとSPEEDシリーズより2mm広く、適合タイヤが29〜71mm(30〜42mm推奨)に設定されている。この内幅の拡大とカーボン積層の精密な制御により、SHARQ 42やSpeed 57を上回る振動吸収性を実現。ASTM2カテゴリーの認証を取得し、過酷なグラベルレースにも対応する耐久性を備える。

スポークには空力性能に優れたA3roを採用。3mm幅、0.8mm厚の扁平形状が大きなエアロアドバンテージをもたらす。ハブはセラミック製のUSBベアリングを搭載する。

扁平したエアロ形状スポーク

ディープリムの持つ高速性能と、ワイドタイヤによる快適性や安定性が融合したSHARQ 57。舗装路でのロングライドからグラベルアドベンチャーまで、幅広いシーンで活躍するハイパフォーマンスホイールをインプレッション。



ー編集部インプレッション

「漕ぎ出しから、軽さを感じられ、スピードの伸びも良い万能なホイール」高木三千成(シクロワイアード編集部)

「漕ぎ出しから、軽さを感じられ、スピードの伸びも良い万能なホイール」高木三千成(シクロワイアード編集部)

57mmという高いリムハイトにもかかわらず、漕ぎ始めからハイスピードまでの加速感が軽やかで驚かされました。ローハイトリムのクイックな加速とは感覚が違いますが、低速域からすごく流れるように加速していくイメージで、ハイトの高さを全く感じませんでした。

高速域でのスピードの伸びも良く、登りも想像以上に軽快に走れました。全体的にバランスの取れた良いホイールです。1〜2分の短い登りのコースであればレースでも活躍すると思いますし、全体的に好印象でした。

「短めの登りもこなせる軽快な走りが魅力」高木三千成(シクロワイアード編集部)

もちろんフルクラムのロードレース用SPEEDシリーズと比べると、ひと踏み目のかかりの良さはSPEEDに軍配が上がります。ただ、Sharq57はふた踏み目からスピードが伸びていきますし、レーサーの大多数が満足できるような剛性もあります。Sharqをテストしたことで、SPEEDシリーズは世界最高峰のロードレーサーたちのために開発されていることをより実感できました。

加速感も良かったのですが、特筆すべきは安定感の強さです。これはリムハイトが高め、かつエアロ性能に優れていることの恩恵だと思います。加速感も良かったのですが、それ以上に巡航性能の方が好印象です。具体的には20km/h付近から安定感を感じるゾーンのようなものがあって、そこから先が足を止めてもスピードが落ちにくく、省エネで走れるようです。

ワイドリム&ワイドタイヤによる安定性によって走る場所を選ばない

57mmというディープリムの場合、横風への影響を受けてしまう心配もありますが、Sharq57は見た目から受ける印象よりも扱いやすかったというのも魅力に感じています。単独サイクリングでは河川敷のサイクリングロードで風が強く吹きつけても不安になることはありませんし、サーキットエンデューロのようなシチュエーションでも心強い味方になってくれます。ロードレースのような集団で走る場合は、焦らずにバイクコントロールに専念できることがアドバンテージだと思います。

テストホイールに装着されていたピレリのP ZERO RACE RS(30C)が安定感に影響していたとも思います。レースでも使われ始めたサイズですが、25Cや28Cと比較するとタイヤの接地面積は明らかに広く感じますし、それによる安心感も間違いなくあります。

「ディープリムながら自然な感覚でコントロールできる」高木三千成(シクロワイアード編集部)

一方でダンシングでは安定感が強いがゆえに、バイクが倒れるテンポがゆっくりに感じます。シャープな動きをするレースホイールに乗り慣れていて、バイクを大きく振るようなダンシングをする方にとってはタイムラグと感じられてしまうかもしれません。なので、シッティングでリズムを一定にしたペダリングで踏み続けるようなスタイルがマッチすると思います。

30Cというタイヤは、25Cや28Cよりも重量はありますが、ホイールの転がりの軽さやタイヤ自体の性能によって、「重い」という感覚は受けませんでした。軽量性とは一線を画した転がりの軽さが体感できますし、重量によるディスアドバンテージは感じられません。むしろ「30Cを履いてもこんなに進みがいいんだ」という印象の方が強いです。

オールロードホイールとして用意されているモデルですが、30Cや32Cを履かせればロードサイクリングからレースまで対応してくれます。もちろん36C以上のタイヤを履いてグラベルユースでももちろんフィットします。総じて長距離を速く、楽に走りたいという方であれば乗りこなせるでしょう。万人受けするバランスの取れたホイールだと思いました。

リムハイトが57mmから62mmの間で波打つ2ウェイブデザインが採用されている

フルクラム SHARQ 57
タイヤタイプ:2-WAY FIT™(クリンチャー / チューブレス)
タイヤサイズ:700C
ASTMカテゴリー:2
重量:1,520g
リムマテリアル:FF100フルカーボン、DIMF™(ダイレクト・インモールド・マット・フィニッシュ)
リムハイト:57~62mm
リム幅:29.8mm
インナー・リム幅:25mm
ブレーキ・システム:ディスクブレーキ AFS™(センターロック)
アクスル:HH12-100(フロント) / HH12-142(リア)
スポーク:A3RO 0.8x3mm、ステンレススチール-ダブルバテット、エアロ・ストレートプル、24本 (F/R)
ニップル:アルミニウム、MoMag™
ハブ:アルミ、ローフランジ
ベアリング:USB™ セラミック・ベアリング、カップ&コーン
重量制限:120kg
フリーボディオプション:HG、XDR、N3W、MS12
価格:528,000円(税込)