今年で現役を引退したゲラント・トーマス(イギリス)が、イネオス・グレナディアーズのレーシングディレクターに就任したと発表された。新たな役職での目標はツール・ド・フランスの総合優勝と「2、3年で再び最強チームにすること」だという。



今年9月のツアー・オブ・ブリテンで現役を締めくくったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

「このチームは創設時からずっと自分のホームだった。この役割に就くことは、ごく自然な流れだと感じている。チームメイトやスタッフを通じて多くを学んできており、その経験を生かして過去の成功をさらに未来へとつなげていきたい」と、トーマスは意気込みを語った。

トーマスは2007年にプロデビューし、イネオス(当時スカイ・プロサイクリング)が創設された2010年から所属する39歳。トラック競技では五輪で2大会連続の金メダル(チームパシュート)を獲得。ロードでのキャリアハイのシーズンとなったのは2018年で、イギリスのタイムトライアル王者に輝くと、ツール・ド・フランスでは区間2勝を飾り、総合優勝を成し遂げた。

キャリア後期になってもその力は衰えず、総合優勝はないもののツールでその後2度、総合表彰台に上がり、ジロ・デ・イタリアでは2023年(2位)、2024年(3位)と2年連続で総合優勝に迫った。しかし39歳を迎える前の今年2月、「ただの(よくいる)不機嫌なベテランにはなりたくなかった」と現役引退を発表した。

2018年のツール・ド・フランスで総合優勝したゲラント・トーマス(イギリス、当時チームスカイ) photo:Makoto.AYANO

引退後は16年を過ごしたチームでの首脳陣入りが噂されており、それが実現した形だ。肩書はレーシングディレクター。トーマスは自身のポッドキャストで目標を「再びツール・ド・フランスで総合優勝すること。ポガチャルがずっと勝ち続けるはずがない。2、3年の間に、僕らは再びトップに立つ挑戦をする。このチャレンジに興奮しているし、(そこへチームを導く)アイデアはたくさんある」と語った。

「だけどまずはコンピュータの使い方を学ばないとね」と、トーマスならではのジョークでオチをつけた。

カルロス・ロドリゲス(スペイン)を総合エースに据えるイネオスは、2026年に向けてアルケア・B&Bホテルズからケヴィン・ヴォークラン(フランス)とエンブレット・スヴェスタードボーデン(ノルウェー)、そしてデカトロンAG2Rラモンディアルからフランス王者ドリアン・ゴドンを獲得。2026年シーズンに契約のある選手はいまだ22名にとどまっており、上限である30名までどのような補強を行うのか注目される。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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