35歳のエステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)が引退を発表した。落車や病など何度も苦境に立たされながらも、その度に復活してきた元イル・ロンバルディア覇者。現役最後の勝利は、2023年のコロンビア選手権だった。



2016年ジロでマリアローザを着用したエステバン・チャベス(コロンビア、当時オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji

「この決断は正しいもの。僕はとても幸せだ。これまで歩んできた選手キャリアを誇りに思うとともに、このような形で締めくくれることに満足している。だけど自転車に乗らない僕は誰なのか?自転車がなくても僕はエステバンだ。僕は息子であり、兄弟であり、夫であり、父親だ」と、チャベスはチームが公開した動画の中で語った。

プロデビューは2011年、コロンビア籍プロチームのコロンビア・エス・パシオンだった。プロ1年目でツール・ド・ラヴニールを総合優勝したものの、プロ3年目の2013年のレース中に集団落車に巻き込まれ、選手キャリアを脅かす複雑骨折を負う。しかしオリカ・グリーンエッジ(現ジェイコ・アルウラー)はチャベスの将来性を見越して契約を結ぶと、翌年のツアー・オブ・カリフォルニアで区間優勝を飾り、クライマーとしての実力を証明した。

キャリア最高のシーズンとなったのは2016年。前年のブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝&総合5位に入ったチャベスは、総合エースとしてジロ・デ・イタリアに出場し、第14ステージでグランツール初の区間優勝。一時はマリアローザを着用し、総合2位で大会を終えた。

2016年イル・ロンバルディアを制したチャベス photo:Tim de Waele

2021年ツールでのチャベス photo:Makoto AYANO
コロンビア王者ジャージをまとったチャベス photo:CorVos


同年のブエルタでも総合3位に入ったチャベスは、その好調ぶりをシーズン終盤のワンデーレースでも続け、ジロ・デッレミリアを制した。そして得意の山岳が立ち並ぶモニュメント(5大クラシック)の1つであるイル・ロンバルディアでは、4名の精鋭集団に残るとスプリントを制し、初優勝を飾った。

2018年は伝染性単核球症によりシーズン後半を療養に充て、その後はグランツールでのステージ優勝や山岳アシストを担うスタイルへと走りを変えていったチャベス。2022年には8年間を過ごしたチームを離れ、EFエデュケーション・イージーポストに移籍。勝利に迫るものの勝ちきれないレースが続いたが、2023年2月に行われたコロンビア選手権で初優勝し、33歳にしてコロンビア王者ジャージを手に入れた。

この勝利がキャリア最後のものとなったチャベスは、2025年シーズンを長年所属した前チームの本拠地であるオーストラリアで開幕させ、ステージレースを転戦した。ブエルタに出場したものの、得意の山岳ステージを前に途中リタイアとなった。


text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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