ワフーの新世代ELEMNTシリーズから、エアロ形状が特徴のBOLT 3をテスト。20時間バッテリーと1600万色ディスプレイによる視認性向上で、ユーザビリティが進化。ACEとROAM 3との同時使用で見えた、小型軽量ボディによる実用性と扱いやすさを確かめた。
プロレーサーに向けたエアロデザインと軽量設計

ワフー ELEMNT BOLT 3
マージナルゲインを追求するプロレースの世界。UAEチームエミレーツXRGやEFエデュケーション・イージーポスト、リドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクといった複数のUCIワールドチームが使用するサイクルコンピューターがワフーのELEMNT BOLT 3だ。
ELEMNT BOLTはレーサーのために生み出されたモデル。2017年にデビューした際はマージナルゲインを提唱し始めたチームスカイが採用しており、エアロ形状の小型モデルとして注目を集めた。2021年にアップデートが行われ、今年4年ぶりにモデルチェンジが行われ第三世代のBOLT 3に進化した。

専用マウントとのインテグレーテッドデザインによりエアロ性能を高めている
BOLT 3は前世代を知っているとボディサイズがやや大きくなったと感じるはずだ。専用エアロマウントも厚みが増しており、システム全体としてはボリュームアップした印象が強い。しかし、実際のボディサイズは新世代:83mm × 47mm × 24mmに対して、前世代:77mm × 47mm × 21mmと微増。重量は新世代が84g、前世代が68gとなっている。
近年のロードバイクは風が最初に当たるセクションとしてヘッドチューブ、フォーク、そして専用設計のハンドル開発に注力している。そこに配置するサイクルコンピューターが若干大きくなるのは気になるところだが、非常に多くのプロチームがBOLT 3を使用しているのは信頼の証と言っても過言ではないだろう。

左からACE、ROAM 3、BOLT 3。画面サイズは小さいながら鮮明なグラフィックで視認性を高めている
さらに今回行ったテストはELEMNT ACE、ELEMNT ROAM 3と同時に行っており、サイズの違いは顕著に感じられた。ボディサイズはもちろん、重量が最も軽いのは美点の一つだ。先代と比較すると重量増となっているBOLT 3だが、最新モデルの2機種と比較するとカタログスペック通り軽量。
3機種の中ではACEが最も重量があるのだが、専用マウントの堅牢性とハンドルバー中央部に位置するため、使用した印象は思ったよりも重くない。一方で、ACEからROAM 3、そしてBOLT 3の順で使用すると、BOLT 3の軽さは非常に際立っている。ダンシングでもハンドルの振りの軽さを感じられるため、競技者など重量や軽快感を求める場合はBOLT 3がおすすめ。
画面サイズとデータ表示のバランス

5つのデータ表示が最も読み取りやすいフォントサイズだった
サイズに関しては上述したように先代から大きく変わっていないが、他2モデルと比較するとやはり小さめ。ACE→ROAM 3→BOLT 3の順で使うと、テスト開始直後はサイズの違いにフォーカスしてしまうが、1kmも進めばサイズが馴染んできて、1時間もすれば最初の感想は嘘のように忘れてしまい、BOLT 3の大きさが丁度良いとなる。
この慣れを促進するのがELEMNTシリーズのデータフィールド拡大・縮小の物理ボタンだ。ELEMNTではボディ右側面のボタン操作で表示されているデータのフォントサイズ&表示項目数を切り替えることができ、状況に応じて調整が行いやすくなっている。

コンパクトな画面だがコンストラストが高く視認性が高い
例えば、トレーニングやサイクリングで巡航している時は、速度やパワーなど基本データと時計などを網羅的に表示させておき、登り区間でパワーコントロールしたい時はパワーと心拍数の2つのみに変更するといった、操作がストレスフリーで行いやすい。
個人的には大表示1+小表示4の5個のデータをメインとして、細かくデータを見たいときは中表示3つが好み。インターバルトレーニングを行うときはタイマーとターゲットパワーなどを大きく表示させておくと、辛い状況下でも情報を得やすいはずだ。

SUMMIT機能によって登りの情報を得られる
また、ヒルクライムのデータを特別表示するSUMMITと、ナビゲーション中の標高データ画面では、登りのプロフィール(高低図)も拡大・縮小が行える。非常に有用な機能となっており、何m先から勾配変化するか、それがどれくらいの斜度になるのかを確認することができ、ペースコントロールが細かく行える。それだけではなく、激しい斜度が残り何mかも判断することができるので、気持ちに余裕が持ちやすくなるのが大きなメリットだ。
1600万色のディスプレイによる視認性の高さ
ディスプレイ関連のアップデートとしては、1600万色の高解像度TFTディスプレイを採用していることも大きなトピックだ。アンチグレア仕様と相まって強い日差しの下でも視認性は非常に高い。特にSUMMITの斜度カラーマップや、ナビゲーションのルート指示などが読み取りやすく、ROAM 3などと比較すると小さな画面だとしても、しっかりと情報は得られる。

1600万色のカラーによって自然な表示を実現する
今回のテストではBOLT 3でナビゲーションを使用する場合は広めの縮尺に設定した方が使いやすかった。その理由は広めのマップ表示として1kmほど先の道の曲がり方などを把握した状態で、実際の曲がるタイミングをポップアップに任せることで、情報整理がスムースになると感じられたため。
ROAM 3などは狭い縮尺でも画面の広さでカバーしているので、"何個めの交差点を右"など具体的な情報と網羅性を両立できていたが、BOLT 3はレーサー向けというコンセプトが反映されていると強く実感した。とはいえGoogleマップとの目的地共有など非常に便利な機能が追加されているため、使いこなせた方がサイクリングの幅は広がるはず。
トレーニング向けの機能が充実するBOLT 3

パワーなども大きく表示されるトレーニング画面

インターバルなどもカラーで表示されるため、直感的に把握することができる
ELEMNTシリーズ共通のシステムではあるが、BOLT 3はトレーニングピークスなど外部サービスとの連携でワークアウトプランのインポートが可能。他にもStravaセグメントとの連携なども備えられていたりと、真剣に走るライダーを支える機能が充実していることも魅力だ。
Wahooアプリに統合されているサブスクリプションに登録すれば、ユーザーに合わせたワークアウトの提案やパフォーマンスの分析なども行えるようになる。屋内外のトレーニングを一括して管理することができるため、目標に対して達成度などを把握することができ、効率の良い練習を実行できるはずだ。

カスタムアラートは任意のメッセージを入れることも可能だ
またトレーニングや立ち止まる回数を少なめにするファストライドではカスタムアラート機能が活躍する。Wahooアプリからユーザーが作れるアラートとなっており、時間や距離などをトリガーとして、必要な情報をポップアップしてくれるというもの。
任意の時間を経過した時に「水を飲め!」や「補給食を食べろ!」のようなカスタムメッセージを表示させてあげれば、ハンガーノックや熱中症にならずにサイクリングを楽しめるようになるだろう。
バッテリー性能:進化したランタイム

ELEMNT BOLT 3は100kmのライドでバッテリー残量75%となった
今回のテストでは約100km、経過時間は約6時間、走行時間は約5時間のライドでランタイムを確かめた。ペアリングした機器はスマホとTRACKR RADARのみ。この状態でライド終了時のバッテリー残量は75%。同時に使用していたROAM 3はほぼ同等の76%となっており、ランタイムが先代の15時間から20時間に延長されたパワーを実感できる。
100kmで1/4しか消耗しないのであれば、週末のビッグライドでコンピューターの電池残量を気にせずに200km超のライドも楽しめそうだ。また、毎日トレーニングを積み重ねるアスリートにとっても充電回数を減らすことのできるというメリットを実感できるだろう。

ワフー ELEMNT BOLT 3
小型軽量という強みを持つELEMNT BOLT 3は、競技者はもちろん、軽快なライドを求めるホビーサイクリストにとっても魅力的な選択肢となっている。20時間というバッテリー持続時間は週末の連続ライドでも安心感をもたらし、1600万色ディスプレイによる視認性向上とデータ表示のカスタマイズ性は、あらゆる場面での快適なサイクリングをサポートしてくれる。
新世代ELEMNTシリーズの中で、ACEが大画面ナビ、ROAM 3がバランス型として位置づけられる中、BOLT 3はコンパクトで軽量という明確な個性を持つ。また63,800円(税込)という価格は、BOLT 3のアドバンテージを求める方にとってはバランスの取れた設定だ。
impression : Gakuto Fujiwara
プロレーサーに向けたエアロデザインと軽量設計

マージナルゲインを追求するプロレースの世界。UAEチームエミレーツXRGやEFエデュケーション・イージーポスト、リドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクといった複数のUCIワールドチームが使用するサイクルコンピューターがワフーのELEMNT BOLT 3だ。
ELEMNT BOLTはレーサーのために生み出されたモデル。2017年にデビューした際はマージナルゲインを提唱し始めたチームスカイが採用しており、エアロ形状の小型モデルとして注目を集めた。2021年にアップデートが行われ、今年4年ぶりにモデルチェンジが行われ第三世代のBOLT 3に進化した。

BOLT 3は前世代を知っているとボディサイズがやや大きくなったと感じるはずだ。専用エアロマウントも厚みが増しており、システム全体としてはボリュームアップした印象が強い。しかし、実際のボディサイズは新世代:83mm × 47mm × 24mmに対して、前世代:77mm × 47mm × 21mmと微増。重量は新世代が84g、前世代が68gとなっている。
近年のロードバイクは風が最初に当たるセクションとしてヘッドチューブ、フォーク、そして専用設計のハンドル開発に注力している。そこに配置するサイクルコンピューターが若干大きくなるのは気になるところだが、非常に多くのプロチームがBOLT 3を使用しているのは信頼の証と言っても過言ではないだろう。

さらに今回行ったテストはELEMNT ACE、ELEMNT ROAM 3と同時に行っており、サイズの違いは顕著に感じられた。ボディサイズはもちろん、重量が最も軽いのは美点の一つだ。先代と比較すると重量増となっているBOLT 3だが、最新モデルの2機種と比較するとカタログスペック通り軽量。
3機種の中ではACEが最も重量があるのだが、専用マウントの堅牢性とハンドルバー中央部に位置するため、使用した印象は思ったよりも重くない。一方で、ACEからROAM 3、そしてBOLT 3の順で使用すると、BOLT 3の軽さは非常に際立っている。ダンシングでもハンドルの振りの軽さを感じられるため、競技者など重量や軽快感を求める場合はBOLT 3がおすすめ。
画面サイズとデータ表示のバランス

サイズに関しては上述したように先代から大きく変わっていないが、他2モデルと比較するとやはり小さめ。ACE→ROAM 3→BOLT 3の順で使うと、テスト開始直後はサイズの違いにフォーカスしてしまうが、1kmも進めばサイズが馴染んできて、1時間もすれば最初の感想は嘘のように忘れてしまい、BOLT 3の大きさが丁度良いとなる。
この慣れを促進するのがELEMNTシリーズのデータフィールド拡大・縮小の物理ボタンだ。ELEMNTではボディ右側面のボタン操作で表示されているデータのフォントサイズ&表示項目数を切り替えることができ、状況に応じて調整が行いやすくなっている。

例えば、トレーニングやサイクリングで巡航している時は、速度やパワーなど基本データと時計などを網羅的に表示させておき、登り区間でパワーコントロールしたい時はパワーと心拍数の2つのみに変更するといった、操作がストレスフリーで行いやすい。
個人的には大表示1+小表示4の5個のデータをメインとして、細かくデータを見たいときは中表示3つが好み。インターバルトレーニングを行うときはタイマーとターゲットパワーなどを大きく表示させておくと、辛い状況下でも情報を得やすいはずだ。

また、ヒルクライムのデータを特別表示するSUMMITと、ナビゲーション中の標高データ画面では、登りのプロフィール(高低図)も拡大・縮小が行える。非常に有用な機能となっており、何m先から勾配変化するか、それがどれくらいの斜度になるのかを確認することができ、ペースコントロールが細かく行える。それだけではなく、激しい斜度が残り何mかも判断することができるので、気持ちに余裕が持ちやすくなるのが大きなメリットだ。
1600万色のディスプレイによる視認性の高さ
ディスプレイ関連のアップデートとしては、1600万色の高解像度TFTディスプレイを採用していることも大きなトピックだ。アンチグレア仕様と相まって強い日差しの下でも視認性は非常に高い。特にSUMMITの斜度カラーマップや、ナビゲーションのルート指示などが読み取りやすく、ROAM 3などと比較すると小さな画面だとしても、しっかりと情報は得られる。

今回のテストではBOLT 3でナビゲーションを使用する場合は広めの縮尺に設定した方が使いやすかった。その理由は広めのマップ表示として1kmほど先の道の曲がり方などを把握した状態で、実際の曲がるタイミングをポップアップに任せることで、情報整理がスムースになると感じられたため。
ROAM 3などは狭い縮尺でも画面の広さでカバーしているので、"何個めの交差点を右"など具体的な情報と網羅性を両立できていたが、BOLT 3はレーサー向けというコンセプトが反映されていると強く実感した。とはいえGoogleマップとの目的地共有など非常に便利な機能が追加されているため、使いこなせた方がサイクリングの幅は広がるはず。
トレーニング向けの機能が充実するBOLT 3


ELEMNTシリーズ共通のシステムではあるが、BOLT 3はトレーニングピークスなど外部サービスとの連携でワークアウトプランのインポートが可能。他にもStravaセグメントとの連携なども備えられていたりと、真剣に走るライダーを支える機能が充実していることも魅力だ。
Wahooアプリに統合されているサブスクリプションに登録すれば、ユーザーに合わせたワークアウトの提案やパフォーマンスの分析なども行えるようになる。屋内外のトレーニングを一括して管理することができるため、目標に対して達成度などを把握することができ、効率の良い練習を実行できるはずだ。

またトレーニングや立ち止まる回数を少なめにするファストライドではカスタムアラート機能が活躍する。Wahooアプリからユーザーが作れるアラートとなっており、時間や距離などをトリガーとして、必要な情報をポップアップしてくれるというもの。
任意の時間を経過した時に「水を飲め!」や「補給食を食べろ!」のようなカスタムメッセージを表示させてあげれば、ハンガーノックや熱中症にならずにサイクリングを楽しめるようになるだろう。
バッテリー性能:進化したランタイム

今回のテストでは約100km、経過時間は約6時間、走行時間は約5時間のライドでランタイムを確かめた。ペアリングした機器はスマホとTRACKR RADARのみ。この状態でライド終了時のバッテリー残量は75%。同時に使用していたROAM 3はほぼ同等の76%となっており、ランタイムが先代の15時間から20時間に延長されたパワーを実感できる。
100kmで1/4しか消耗しないのであれば、週末のビッグライドでコンピューターの電池残量を気にせずに200km超のライドも楽しめそうだ。また、毎日トレーニングを積み重ねるアスリートにとっても充電回数を減らすことのできるというメリットを実感できるだろう。

小型軽量という強みを持つELEMNT BOLT 3は、競技者はもちろん、軽快なライドを求めるホビーサイクリストにとっても魅力的な選択肢となっている。20時間というバッテリー持続時間は週末の連続ライドでも安心感をもたらし、1600万色ディスプレイによる視認性向上とデータ表示のカスタマイズ性は、あらゆる場面での快適なサイクリングをサポートしてくれる。
新世代ELEMNTシリーズの中で、ACEが大画面ナビ、ROAM 3がバランス型として位置づけられる中、BOLT 3はコンパクトで軽量という明確な個性を持つ。また63,800円(税込)という価格は、BOLT 3のアドバンテージを求める方にとってはバランスの取れた設定だ。
ELEMNT ACE | ELEMNT ROAM 3 | ELEMNT BOLT 3 | |
---|---|---|---|
税込価格 | 108,900円 | 83,600円 | 63,800円 |
ウインドセンサー | ● | — | — |
タッチスクリーン | ● | ● | — |
音声スピーカー | ● | ● | — |
バッテリーライフ | 30時間 | 25時間 | 20時間 |
ディスプレイ | 3.8インチ (9.7cm) 1,600万色 | 2.8インチ (7.1cm) 1,600万色 | 2.3インチ (5.8cm) 1,600万色 |
本体サイズ | 126 × 71 × 24mm | 96 × 53 × 24mm | 83 × 47 × 24mm |
重量 | 208g | 109g | 84g |
GPS | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC |
充電ポート | USB-C | USB-C | USB-C |
アプリ対応 | Wahooアプリ対応 | Wahooアプリ対応 | Wahooアプリ対応 |
インプレ記事 | https://www.cyclowired.jp/news/node/390655 | https://www.cyclowired.jp/news/node/390890 | https://www.cyclowired.jp/news/node/390923 |
impression : Gakuto Fujiwara
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