逃げ集団から勝者が生まれたブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージ。第2週を締めくくる丘陵コースはリドル・トレックが主導権を握り、小集団スプリントからマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が念願のステージ勝利。マイヨプントス獲得へ大きく前進した。

第2週の最終日に臨むイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos 
マイヨロホ姿のヴィンゲゴー photo:CorVos

ベガデオを出発する157名の選手たち photo:A.S.O.
9月7日(日)第15ステージ
ベガデオ〜モンフォルテ・デ・レモス 167.8km(丘陵)
獲得標高差 3,287m

第15ステージ ベガデオ〜モンフォルテ・デ・レモス image:A.S.O.
第80回ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目を締めくくるのは、アストゥリアス州ベガデオからガリシア州モンフォルテ・デ・レモスに向かう167.8kmの丘陵ステージ。スタート直後からいきなり1級山岳ガルガンタ(距離16.5km/平均5.1%)の登坂が始まり、その後はアップダウンの続く道を進み、2級山岳バルベイトス(距離11.9km/平均3.9%)を登坂。そこからは平坦基調だが、細かい凹凸を越えながらフィニッシュを目指す。
たっぷりとウォーミングアップを済ませた157名の選手たちが、マイヨロホを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)を先頭に走り出す。直後に27歳でプロ1年目のネオプロ、ヤコブ・オトルバ(チェコ、カハルラル・セグロスRGA)が単独先頭に立ち、頂上手前で追いついたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)が先頭通過。その後ヴァインは逃げ集団をルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)と共に飛び出し、続く2級山岳もトップ通過してマイヨモンターニャ(山岳賞)のリードを拡げた。

ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)とルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がレース先頭に立つ photo:A.S.O.

40名を超える逃げ集団を、リドル・トレックが先導した photo:A.S.O.
今大会何度も逃げている先頭の2名は、下りとその後の平坦路で1分40秒のリードを築く。40名を超える大所帯の逃げ集団にマッズ・ピーダスン(デンマーク)ら5名を送ったリドル・トレックが主導して追ったものの、ヴァインたちはそれに抗いタイム差を2分40秒まで拡大させる。一方、前日までの2日連続の山頂フィニッシュで疲弊した総合勢は一足早く休息モードに入り、残り距離が100kmを切る頃に先頭との差が10分を超えた。
残り56km地点では草陰に隠れていた抗議者がリドル・トレックの牽引する追走集団に突入を試みて直前で転倒した。それを制止すべく警官がコースを横断し、その回避行動の影響でハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)ら3名が落車。しかし誰にも大きな怪我はなく、バイク交換したロモは無事にレース復帰を果たしている。

プロトンは脚を緩め、逃げに大きなリードを許した photo:A.S.O.
残り45kmを過ぎ、ヴァインとフェルヴァーケのコンビと追走集団の差がようやく縮まり始める。残り34.7km地点の中間スプリントは争うことなくフェルヴァーケが先頭通過し、1分27秒遅れでやってきた追走集団はマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)のピーダスンが3位通過。直後の短い登りで、追走集団からサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、ピーダスンや総合争いから脱落したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)など7名が集団を形成した。
エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)やマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)など実力者を含む集団は、残り20kmでヴァインたちに20秒まで迫る。しかしここから先頭2名がもう一踏ん張りしたため、合流したのは残り10kmを切ってからだった。

ピーダスンを含む7名がヴァインらを追走する photo:A.S.O.

先頭2名に追走集団が追いついた photo:A.S.O.
先頭が9名となった直後に、ピーダスンやオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)にスプリントでは敵わないベルナルが仕掛けたものの、振り切ることはできない。残り1km地点の手前で今度はフェルヴァーケ、そしてヴァインと立て続けにアタック。しかし勝利への執念を見せるピーダスンがその全てに反応し、最終コーナーで落車したシェフィールドを除く8名によるスプリントに持ち込まれた。
真っ先にマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)がスプリントを開始したものの、長時間にわたる逃げによりスピードが伸びない。残り100mでピーダスンが先頭に立ち、アウラールも踏み込んだものの、横に並ばせることなくピーダスンがフィニッシュに先着。ここまで5回もトップ10に入りながらも、届かなかったステージ優勝を果たした。

小集団によるスプリントを制したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos

チームメイトと勝利を喜ぶマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
チーム一丸となったステージを、見事勝利に繋げたピーダスン。「ほとんどのチームが僕らを敵視しているような状況で得た、この勝利の喜びは大きい。チームメイトは僕の勝利のために全力で走ってくれた。皆が僕をマークし、作戦がバレバレなのに勝つことができた。最後はすべての動きに反応しなければならなかった。コーナーを越え、フィニッシュまで残り220mがスプリントを開始するタイミングだった」と喜びを語った。
これによりポイント賞ランキングで2位のヴィンゲゴーとの差は、53から98ポイントへと拡大した。
ヴィスマ・リースアバイクが終始牽引し、最後はバーレーン・ヴィクトリアスがペースを作ったプロトンは13分31秒遅れでフィニッシュ。逃げに乗ったウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が総合9位に入った以外に、総合上位に動きはなかった。

マイヨプントス(ポイント賞)のリードも拡大したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)獲得に向け、順調にポイントを加算しているジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.



9月7日(日)第15ステージ
ベガデオ〜モンフォルテ・デ・レモス 167.8km(丘陵)
獲得標高差 3,287m

第80回ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目を締めくくるのは、アストゥリアス州ベガデオからガリシア州モンフォルテ・デ・レモスに向かう167.8kmの丘陵ステージ。スタート直後からいきなり1級山岳ガルガンタ(距離16.5km/平均5.1%)の登坂が始まり、その後はアップダウンの続く道を進み、2級山岳バルベイトス(距離11.9km/平均3.9%)を登坂。そこからは平坦基調だが、細かい凹凸を越えながらフィニッシュを目指す。
たっぷりとウォーミングアップを済ませた157名の選手たちが、マイヨロホを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)を先頭に走り出す。直後に27歳でプロ1年目のネオプロ、ヤコブ・オトルバ(チェコ、カハルラル・セグロスRGA)が単独先頭に立ち、頂上手前で追いついたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)が先頭通過。その後ヴァインは逃げ集団をルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)と共に飛び出し、続く2級山岳もトップ通過してマイヨモンターニャ(山岳賞)のリードを拡げた。


今大会何度も逃げている先頭の2名は、下りとその後の平坦路で1分40秒のリードを築く。40名を超える大所帯の逃げ集団にマッズ・ピーダスン(デンマーク)ら5名を送ったリドル・トレックが主導して追ったものの、ヴァインたちはそれに抗いタイム差を2分40秒まで拡大させる。一方、前日までの2日連続の山頂フィニッシュで疲弊した総合勢は一足早く休息モードに入り、残り距離が100kmを切る頃に先頭との差が10分を超えた。
残り56km地点では草陰に隠れていた抗議者がリドル・トレックの牽引する追走集団に突入を試みて直前で転倒した。それを制止すべく警官がコースを横断し、その回避行動の影響でハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)ら3名が落車。しかし誰にも大きな怪我はなく、バイク交換したロモは無事にレース復帰を果たしている。

残り45kmを過ぎ、ヴァインとフェルヴァーケのコンビと追走集団の差がようやく縮まり始める。残り34.7km地点の中間スプリントは争うことなくフェルヴァーケが先頭通過し、1分27秒遅れでやってきた追走集団はマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)のピーダスンが3位通過。直後の短い登りで、追走集団からサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、ピーダスンや総合争いから脱落したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)など7名が集団を形成した。
エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)やマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)など実力者を含む集団は、残り20kmでヴァインたちに20秒まで迫る。しかしここから先頭2名がもう一踏ん張りしたため、合流したのは残り10kmを切ってからだった。


先頭が9名となった直後に、ピーダスンやオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)にスプリントでは敵わないベルナルが仕掛けたものの、振り切ることはできない。残り1km地点の手前で今度はフェルヴァーケ、そしてヴァインと立て続けにアタック。しかし勝利への執念を見せるピーダスンがその全てに反応し、最終コーナーで落車したシェフィールドを除く8名によるスプリントに持ち込まれた。
真っ先にマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)がスプリントを開始したものの、長時間にわたる逃げによりスピードが伸びない。残り100mでピーダスンが先頭に立ち、アウラールも踏み込んだものの、横に並ばせることなくピーダスンがフィニッシュに先着。ここまで5回もトップ10に入りながらも、届かなかったステージ優勝を果たした。


チーム一丸となったステージを、見事勝利に繋げたピーダスン。「ほとんどのチームが僕らを敵視しているような状況で得た、この勝利の喜びは大きい。チームメイトは僕の勝利のために全力で走ってくれた。皆が僕をマークし、作戦がバレバレなのに勝つことができた。最後はすべての動きに反応しなければならなかった。コーナーを越え、フィニッシュまで残り220mがスプリントを開始するタイミングだった」と喜びを語った。
これによりポイント賞ランキングで2位のヴィンゲゴーとの差は、53から98ポイントへと拡大した。
ヴィスマ・リースアバイクが終始牽引し、最後はバーレーン・ヴィクトリアスがペースを作ったプロトンは13分31秒遅れでフィニッシュ。逃げに乗ったウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が総合9位に入った以外に、総合上位に動きはなかった。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第15ステージ
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 4:02:13 |
2位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
3位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | |
4位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
5位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
8位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | +0:08 |
9位 | マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | アレック・セガールト(ベルギー、ロット) | +0:23 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 57:35:33 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +0:48 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +2:38 |
4位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:10 |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +3:30 |
6位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:21 |
7位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +4:53 |
8位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +5:46 |
9位 | ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +5:49 |
10位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | +6:33 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 192pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 139pts |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 111pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 61pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 39pts |
3位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 32pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 57:39:54 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:32 |
3位 | ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:28 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 171:29:19 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +34:31 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアール | +1:04:33 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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