突如発表されたデローザの新型IDOL。老舗イタリアブランドを象徴するロードバイクを国内でお披露目するため、日直商会は自社でディーラー向け展示会を実施した。アイデンティティである弓形デザインの最新版を見て、乗って確かめられた機会をレポートしよう。



デローザが発表した新型IDOLのお披露目の場になった

IDOLをチェックしにショップスタッフが集まった
お手製かき氷で涼を取りながらIDOLをチェック



デローザジャパンとして老舗イタリアンブランドを国内に届けている日直商会。自転車関連製品は埼玉県の草加市にある倉庫&営業所に集積されており、ここから日本全国に向けてプロダクトが発送されている。そんな営業所で発表されたばかりのデローザ IDOLオンリー展示会が開催された。

IDOLは6月27日にモデルチェンジが発表されたばかりであり、国内で実車を販売店に広くお披露目するのは今回が初めての機会となる。国内でのデリバリーは年末を目処に開始される予定とのことで、今回の展示会を機に販売店スタッフから新型IDOLの所感を聞くことができたり、機会があればユーザー試乗会も検討しているという。新型IDOLが本格的に日本に導入される前に、改めて魅力などをおさらいしよう。

新型IDOLに注目するショップスタッフが日直商会に集まった

日直商会のスタッフから「イタリア本社も相当気合が入っていますね」と評されるほどの新型IDOL。実はデローザがカーボンバイクを手がけ始めてから25年、IDOLが誕生してから20年という大きな節目に発表されるバイクだけあり、並々ならぬ思いを込めて新型は作られている。

「デローザも世代が交代しており、現在のCEOは創業者ウーゴの息子であるクリスティアーノですけど、その下の世代が社内でも色々なことに携わっています」。クリスティアーノ氏の息子であるニコラス氏が新型IDOLに携わり、デローザの新しい時代を作りはじめているという。

IDOLを象徴する弓なりのチューブデザイン

「先日デローザの本社に訪問してきた時も、時代が変わっている雰囲気がかなり感じられました」と担当者は語る。本社一階の展示スペースも美しくリニューアルされ、古い自転車から最新モデルが展示されており、伝統を大切にしながらも新しいものを生み出していく、そんなデローザの姿勢が表現されていた。

IDOLはデローザのコンセプトを端的に表現しているバイクと言っても差し支えないだろう。設計自由度の高いカーボン素材の美点を活かしたトップチューブからシートステーにかけての弓なりデザインはIDOL登場時から人々の目を引く魅力的な部分。そのIDOLを象徴する伝統は今作も引き継がれつつも、現代のロードバイクには欠かせないエアロが融合されている。

デローザもこだわったFSAのハンドル
カーボン目地が美しいトップチューブ


新型IDOLはSHAMAL CARBONにもアップデートできる
トレンドに沿ったワイドスタンスなフォーク



例えばワイドスタンスのフォークレッグ、切り欠きが設けられたシートチューブ、エアロ断面のシートステーが空力的なエッセンス。「IDOLはレースバイクではないのですが、グランフォンドや長距離ライドを快適かつ高速で楽しめるロードバイクとしてエアロが意識されました」。FSAのエアロハンドルもデローザがこだわったパーツアセンブルなのだとか。

加えて新型IDOLのスタイリングはニコラス氏が担当し、これまでフレームに記載されていた「IDOL」の文字をオミット。弓なりの形状がIDOLを表現しており、モデル名を語るべくもないという姿勢が表れている。それほどこの形状にデローザは自信を持っており、それを体現できるニコラス氏はイタリアの老舗ブランドに新風を吹かせている。

日直商会の営業所で行われたデローザ展示会

日直商会も新型IDOLでは、完成車のハンドル幅やステム長をユーザーに合わせたサイズに交換できる「THE CHOICE IS YOURS」という新しい試みが実施される予定だ。これは、完成車パッケージに標準装備されているパーツを国内で交換してくれるサービスで、新車購入時に体格に合わせたハンドルやステムの追加購入が必要ないというユーザーフレンドリーな内容となっている。

ホイールもフルクラムのSONIQ AL 2-WAY FITから、有料オプションとしてSHAMAL CARBONもしくはSHAMAL DUAL PROFILEへのアップグレードも可能。完成車のコンポーネントはシマノ105 DI2とシマノULTEGRA DI2の2種類だが、フレームセットでも販売されるため、カンパニョーロのSUPER RECORD 13で組んでも良し。

デローザ IDOL(Infinity Revò) (c)日直商会

デローザ IDOL(Vega) (c)日直商会
デローザ IDOL(Orion) (c)日直商会


デローザ IDOL(Nebula) (c)日直商会
デローザ IDOL(Lumen) (c)日直商会



またカラーはSTEALTH、WHITE、PINKという3種類だが、今後イタリアでのハンドペイントカラーも受注生産で受け付ける予定があるとのことだ。NEBULA、VEGA BLUE、ORION BLACK、LUMEN REDという星や光をモチーフとしたフェードカラーに加え、INFINITY REVOというデローザロゴが散りばめられた色も選択可能。INFINITY REVOについては、写真の黄色部分が変更可能だという。価格や受注開始日程は未定のため、今後のアナウンスを心待ちにしたい。

価格はシマノ105 DI2完成車で約75万円(税込)。SettantaやMerakと比較するとミドルグレード帯に位置付けられるが、IDOLはレーシングバイクの廉価モデルではなく、IDOLには上位グレードもなければ、下位グレードもない独立したモデルであることには注目したい。

デローザの意欲作として開発されているIDOL

「みんなでサイクリングに行って、休憩でラックにかけた時、遠くからでもIDOLはIDOLだとわかる。そういう良さはあると思います」と語るように、その時に所有欲を満たしてくれる特別感を提供してくれることがIDOLの真価だろう。

弓なりのトップチューブという象徴的なデザインを起点としながら、エアロダイナミクスや最新スペックを取り入れることで、見た目の美しさと実用性を高次元で両立している。イタリア本社と日直商会ともに力を入れる意欲作が日本で販売される日を心待ちにしたい。


Report:Gakuto Fujiwara
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