ヴィットリアの豊富なロードタイヤラインアップに加わった「RIDEARMOR」。ブランド史上最も耐久性と耐パンク性に優れたチューブレスレディロードタイヤをCW編集部の高木三千成が1000kmの実走にてテスト。



ヴィットリア RIDEARMOR TLR photo:Michinari TAKAGI

イタリアの老舗タイヤブランド、ヴィットリア。その豊富なラインアップに、エンデュランスモデルの「RIDEARMOR」が加わった。モデル名に「ARMOR」とあるように、鎧のように堅牢で同社史上最高の耐久性と耐パンク性を誇る一本だ。

RIDEARMORはあらゆる路面状況と気象条件下で、快適性とグリップを高いレベルで発揮しながら優れた耐久性と耐摩耗を実現すべく開発されたという。雨にも負けず、風にも負けず毎日、通勤や通学をこなし、ハードなトレーニングを行うサイクリストにうってつけのモデルとなっている。

耐久性としなやかさのバランスが取れた100TPIナイロンケーシングを採用 photo:Michinari TAKAGI

内側にはシールドレイヤーを装備 photo:Michinari TAKAGI

そのベースとなるのが、耐久性としなやかさのバランスに優れた100TPIナイロンケーシング。そこにビードからビードまでをカバーするアンチパンクベルトと追加のサイドウォールレイヤーである「ArmorSkin」、そしてビードシールドレイヤーを配置し、耐久性と耐パンク性を極限まで強化した。特に、独特なカッパーカラーのArmorSkinは、特別な強化モデルであることを視覚的にもアピールし、ライダーに安心感をもたらす。

グラフェンとシリカが配合されたコンパウンドはレーシングモデル譲りの逸品。あらゆる路面状況や天候で高いグリップ力を発揮する一方、優れた耐摩耗や耐パンク性も有している。タイヤのトレッドパターンは中心部はスリックで、中心から外に向かって斜線が引かれているようなデザインとされた。

ArmorSkinをサイドウォール層に備えて、サイドカットのリスクや摩耗からタイヤを保護 photo:Michinari TAKAGI

中心部はスリックで、中心から外に向かって、斜線が引かれているパターンを採用 photo:Michinari TAKAGI

新ETRTO規格を採用し、サイズは700x26Cと28C、30C、32C、34C、36C、38Cがラインアップされている。重量は700×26Cで355g、28Cで375g、30Cで400g、32Cで435g、34Cが440g、36Cが455g、38Cが475gとなっている。

カラーはブラックのみ展開されるが、ArmorSkinが配置されるタイヤサイドはカッパーカラーの網目状模様になっているため、アメサイドタイヤのようなルックスに仕上がっている。価格は8,998円(税込)。

それでは編集部インプレッションへ移っていこう。



―編集部インプレッション

多種多様なタイヤを使用してきたCW編集部員の高木がヴィットリアのRIDEARMORを1000kmテストを行う photo:Gakuto Fujiwara

鳴り物入りで登場したヴィットリアのオールシーズンタイヤであるRIDEARMORをテストするのはCW編集部員の高木。普段からヴィットリアを愛用しており、ロードレースでは転がりの軽さとグリップ力のバランスが取れたフラッグシップモデル CORSA PROの28Cを使用しているため、今回のテストでは、普段から使い慣れている28C幅のRIDEARMORをチョイスした。

国内トップカテゴリーで走るために日々の練習を欠かさず、また毎日の通勤ライドをこなす筆者にとって、タイヤの寿命は気になるもの。一方で、長寿命であってもグリップに不安のあるタイヤは絶対に使いたくはない。なので、愛用するCORSAにも使用されるコンパウンドを用いつつ、史上最高レベルの耐久性を確保したというRIDEARMORには興味をそそられていた。

普段から使い慣れているタイヤ幅が28CのRIDEARMOR TLRをテストタイヤに選択 photo:Gakuto Fujiwara

その謳い文句は本当なのか。実際に確かめるべく、今回のテストライドは合計1,000kmという大ボリュームに。それも綺麗な舗装路だけでなく、砂利道交じりの荒れた路面、起伏の激しい東京や埼玉、神奈川などの山岳地帯を抜ける160kmのライド、車通りが多く落下物なども浮いてきやすい大通りでの雨天通勤など、様々なコンディションを含めている。

ちなみに、チューブレスタイヤとしての作業性はかなり良好な部類。テストに用いたシマノ DURA-ACEホイールとの相性もよく、30mlのシーラントを注入してフロアポンプで空気を入れたところ、一発でビードが上がり、空気漏れも無いという結果となった。

漕ぎ出しから転がりが軽い印象 photo:Gakuto Fujiwara

まずは空気圧について。RIDEARMORは28Cで最大空気圧6.5barまでとなっている。筆者の体重は61kgで、シクロクロスにも力を入れていることもあり、最近ではロードでも4~5barの低圧で乗ることが多い。まずは最大空気圧である6.5barから0.5barずつ下げていき、様々な空気圧で1,000kmを走破していった。

コンパウンドの表層は少々固めの印象で、6.5~5barの空気圧では路面からの突き上げを感じる。一方、5barよりも圧を落とし、4bar付近の低圧セッティングでは突き上げ感も解消され、チューブレスらしい乗り心地の良さを感じられた。

一踏み一踏みでバイクが進んでいってくれる photo:Gakuto Fujiwara

耐久性を強調されることもあり、走りの軽さという面においてはそこまで大きな期待はしていなかったのだが、いざ走り出してみると漕ぎ出しから転がりが軽い。高圧でも低圧でも引っかかりなく、ゼロからスムーズに速度を乗せていけるため、ストップアンドゴーを繰り返す都心のサイクリングでも使いやすい。

低速域でも転がりは軽いが、中速域、そして40km/h前後の高速域でも抵抗の少なさは感じ取れる。200g近辺のフラッグシップタイヤと比較すると、28Cで375gと倍近い重さではあるものの、その分いったんスピードに乗ってしまえば巡航しやすくも感じる。

凹凸が激しく荒れた路面でテストしたが、低圧でもサイドがしっかりしているため安心感があった photo:Gakuto Fujiwara

ヒルクライムでは重量面でのハンデはあるものの、優れたグリップ力によってトラクションがかかるため、一踏み一踏みを無駄にすることなくバイクが進んでいってくれる感覚があった。

一方、ダウンヒルではハイエンドモデル譲りのシリカ+グラフェンコンパウンドの高いグリップ力によって、狙ったラインをトレース可能。倒しこんでも安心感のあるグリップ感で、普段通りの感覚で峠を下っていくことが出来た。

テストライドでは、荒れた路面の峠の下りでコーナーの先にある小さな窪みにヒットしてしまったシーンも何度かあったが、パンクしそうな気配はゼロ。タイヤトレッドやサイドウォールをカットすることもなく非常に丈夫だった。

ヴィットリア RIDEARMOR TLRの新品状態 photo:Michinari TAKAGI

1000km実走テスト後のヴィットリア RIDEARMOR TLR(フロント) photo:Michinari TAKAGI

1000km実走テスト後のヴィットリア RIDEARMOR TLR(リア) photo:Michinari TAKAGI

ドライからウェットまで様々な路面コンデションで試したが、ドライ時の空気圧から0.5barほど空気圧を下げてあげれば、ウェット路面でも使いやすい。4barで使用してみたが、ArmorSkinで補強されたサイドウォールのサポート力は高く、低圧でも腰砕けになることはなかった。

総距離1,000kmのテストライド後のタイヤの状態は上記の写真で確認してもらえただろうか。強い負荷のかかるハードなトレーニングから、路面コンディションの良くない通勤ライドでも使用してきたが、トレッドのパターンはしっかりと残り、タイヤのセンターが平らになることもなかった。感覚的には、この4~5倍の距離は余裕でこなしそうだ。

トレーニングや通勤通学などハードユースにおすすめなチューブレスレディロードタイヤ photo:Gakuto Fujiwara

ヴィットリア RIDEARMOR TLRはトレーニングや通勤通学など日頃から自転車に乗る習慣が多いサイクリストにより適しているロードタイヤと言える。春先から全国各地で開催されるサイクリングイベントにおいて、パンクが心配な方にもオススメできる。

とはいえそれは、ただ耐久性が高いから、というわけではない。どんな状況でも安心できる高いグリップや巡航のしやすさなど、走りの良さがベースにあってこそだ。



ヴィットリア RIDEARMOR TLR
サイズ(新ETRTO):700x26C、28C、30C、32C、34C、36C、38C
重量:355g(26C)、375g(28C)、400g(30C)、435g(32C)、440g(34C)、455g(36C)、475g(38C)
ケーシング:Nylon 100TPI
カラー:ブラック
価格:8,998円(税込)

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