総合優勝が事実上決まるジロ・デ・イタリア第20ステージでも、主役はヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)だった。残り9.8km地点で先頭に立ったマリアローザが独走を決め、区間5勝目とともに総合首位を確実なものとした。
5月30日(土)第20ステージ
ジェモーナ・デル・フリウリ〜ピアンカヴァッロ 200km(山岳/山頂フィニッシュ)

地元の大声援を受けるミラン photo:CorVos 
連日逃げに乗り、大会を盛り上げたポルティ・ヴィジットマルタ photo:CorVos

マリアローザを着て山岳最終決戦に臨むヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア第20ステージ image:RCS Sport マリアローザの持ち主が事実上決定するジロ・デ・イタリア第20ステージの舞台は、ジェモーナ・デル・フリウリを出発し、タリアメント平野を進んでピアンカヴァッロに向かう山岳ステージ。前日のコースプロフィールと比べると平坦ステージに思えるのは、スタートから132.7kmまではコース中央の3級山岳を除き平坦路だから。山岳バトルが幕を開けるのは1級山岳ピアンカヴァッロ(距離14.5km/平均7.8%)からで、その後一度下り、ラストに再びこのピアンカヴァッロを駆け上がる。
1976年に発生したフリウリ地震の死者に黙祷を捧げた選手たちは、気温が30度に迫る暑さのなか午前11時にスタートを切る。これが事実上、逃げ切り最後のチャンスということもあり、最初の1時間は時速50km/hを上回るハイスピードで展開。今大会3度、ジロ通算では4度の区間2位に入っているノルウェー王者、アンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ)ら5名が逃げ集団を形成した。
その中には2日目勝者で2日間にわたりマリアローザを着用したギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、XDSアスタナ)や、今年バーレーン・ヴィクトリアスから加入したジャック・ヘイグ(オーストラリア、ネットカンパニー・イネオス)が入る。一方のメイン集団はリーダーチームのヴィスマ・リースアバイクが牽引を担当。またその後方では途中、フリウリ地方のジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が脚を止め、家族に挨拶をする場面もあった。

ハイスピードの攻防の末、形成された7名の逃げグループ photo:RCS Sport

チームメイトに守られながら走るヴィンゲゴー photo:CorVos
73.6km地点に設定された中間スプリントの手前で、長い追走の末、マヌエーレ・タロッツィ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)とローレンス・ワーバス(アメリカ、チューダープロサイクリング)が合流。逃げを7名にする。中間スプリントはシルバが先頭通過し、この日1つ目の山岳である3級山岳もクリア。そして平坦路を挟み、1度目の1級山岳ピアンカヴァッロ(距離14.5km/平均7.8%)に逃げ集団は4分半のリードで突入した。
しかしその差は一気に2分まで縮まり、逃げ集団もレックネスンとヘイグ、ワーバスの3名に絞られる。プロトンではマリアローザを着るヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がメカトラで遅れたものの、問題なく集団復帰。レックネスンが頂上を先頭通過し、プロトンではジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が6番手通過で4ポイントを加算したため、この時点で着用するマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を確定させた。
アドバンテージが徐々に減りながらも、ローテーションを回しながら逃げ切りを目指す3名には、下りでイゴール・アリエタ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)とルドヴィコ・クレショーリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)の2名が、逃げから遅れたアクセル・ユエンス(フランス、グルパマFDJユナイテッド)とともにジョイン。そして6名は再び1級山岳ピアンカヴァッロに入ったものの、そのリードは2分7秒と逃げ切り勝利には心もとないタイム差だった。

最終山岳で逃げはレックネスンとワーバス、ヘイグの3名に絞られる photo:CorVos

最終山岳で高速牽引するヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos 
総合2位ガルの応援団 photo:CorVos

精鋭集団を飛び出すヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)に、唯一フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)が食らいつく photo:CorVos
追いかけるプロトンはまずヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の高速牽引で人数を減らしていく。今大会ヴィンゲゴーの最終アシストを務めていた総合8位のダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)が苦しそうに集団後方を走るなか、バルト・レメン(オランダ)の最終アシストからヴィンゲゴーが頂上まで10km以上を残した地点で先頭に立つ。それにはフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)しか反応できず、早くもステージ優勝を狙う走りが始まった。
時折後ろを振り返りながら、淡々と踏み進めていくヴィンゲゴーは残り9.9km地点で先頭のレックネスンとクレショーリを捉える。そして100mを進んだ後に追い抜くと、ここからフィニッシュまでの一人旅が始まった。後続ではガルに総合3位のジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、そして総合5位デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック)が合流し、ヴィンゲゴーとのタイム差を縮めようと踏み続けた。
また遅れを取った総合4位テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス)はエガン・ベルナル(コロンビア)の牽引でガルたちの集団に追いつく。しかし集団の人数が増えてもヴィンゲゴーとの差は縮まるどころか広がっていき、最終的に1分15秒差をつけたマリアローザがフィニッシュに到着した。

逃げを捉え、先頭に立ったヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

区間5勝目を手に入れたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ハンドルに貼った家族の写真と右手に口づけをする、勝利のルーティンを披露したヴィンゲゴーが、今大会5度目の区間優勝を決めた。
「今日の結果はもちろん、3週間を通した今大会に満足している。チームメイトは連日僕のために素晴らしい走りを見せてくれ、常に全てをコントロール下においていた。大会を通して一度も悪い状況に陥ることもなかった」と、文字通り完勝を強調したヴィンゲゴー。「プランよりも早めに仕掛ける形となったが、幸運にも脚が最後までもってくれた。目標はマリアローザを着ている間に少なくとも1勝することだったが、区間5勝だなんて想像以上の結果だ」と喜びを語った。
2位にはガル、3位はヒンドレーと総合順位通りにフィニッシュ。また精鋭集団から遅れたアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)は得意の粘りをこの日も見せ、2分3秒遅れの区間7位でフィニッシュ。総合6位を保持し、着用するマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を確定させた。

事実上、3大ツール全制覇を達成したヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

粘りの走りでマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を守ったアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

マリアアッズーラ(山岳賞)を確定させたジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
5月30日(土)第20ステージ
ジェモーナ・デル・フリウリ〜ピアンカヴァッロ 200km(山岳/山頂フィニッシュ)




1976年に発生したフリウリ地震の死者に黙祷を捧げた選手たちは、気温が30度に迫る暑さのなか午前11時にスタートを切る。これが事実上、逃げ切り最後のチャンスということもあり、最初の1時間は時速50km/hを上回るハイスピードで展開。今大会3度、ジロ通算では4度の区間2位に入っているノルウェー王者、アンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ)ら5名が逃げ集団を形成した。
その中には2日目勝者で2日間にわたりマリアローザを着用したギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、XDSアスタナ)や、今年バーレーン・ヴィクトリアスから加入したジャック・ヘイグ(オーストラリア、ネットカンパニー・イネオス)が入る。一方のメイン集団はリーダーチームのヴィスマ・リースアバイクが牽引を担当。またその後方では途中、フリウリ地方のジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が脚を止め、家族に挨拶をする場面もあった。


73.6km地点に設定された中間スプリントの手前で、長い追走の末、マヌエーレ・タロッツィ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)とローレンス・ワーバス(アメリカ、チューダープロサイクリング)が合流。逃げを7名にする。中間スプリントはシルバが先頭通過し、この日1つ目の山岳である3級山岳もクリア。そして平坦路を挟み、1度目の1級山岳ピアンカヴァッロ(距離14.5km/平均7.8%)に逃げ集団は4分半のリードで突入した。
しかしその差は一気に2分まで縮まり、逃げ集団もレックネスンとヘイグ、ワーバスの3名に絞られる。プロトンではマリアローザを着るヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がメカトラで遅れたものの、問題なく集団復帰。レックネスンが頂上を先頭通過し、プロトンではジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が6番手通過で4ポイントを加算したため、この時点で着用するマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を確定させた。
アドバンテージが徐々に減りながらも、ローテーションを回しながら逃げ切りを目指す3名には、下りでイゴール・アリエタ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)とルドヴィコ・クレショーリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)の2名が、逃げから遅れたアクセル・ユエンス(フランス、グルパマFDJユナイテッド)とともにジョイン。そして6名は再び1級山岳ピアンカヴァッロに入ったものの、そのリードは2分7秒と逃げ切り勝利には心もとないタイム差だった。




追いかけるプロトンはまずヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の高速牽引で人数を減らしていく。今大会ヴィンゲゴーの最終アシストを務めていた総合8位のダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)が苦しそうに集団後方を走るなか、バルト・レメン(オランダ)の最終アシストからヴィンゲゴーが頂上まで10km以上を残した地点で先頭に立つ。それにはフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)しか反応できず、早くもステージ優勝を狙う走りが始まった。
時折後ろを振り返りながら、淡々と踏み進めていくヴィンゲゴーは残り9.9km地点で先頭のレックネスンとクレショーリを捉える。そして100mを進んだ後に追い抜くと、ここからフィニッシュまでの一人旅が始まった。後続ではガルに総合3位のジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、そして総合5位デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック)が合流し、ヴィンゲゴーとのタイム差を縮めようと踏み続けた。
また遅れを取った総合4位テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス)はエガン・ベルナル(コロンビア)の牽引でガルたちの集団に追いつく。しかし集団の人数が増えてもヴィンゲゴーとの差は縮まるどころか広がっていき、最終的に1分15秒差をつけたマリアローザがフィニッシュに到着した。


ハンドルに貼った家族の写真と右手に口づけをする、勝利のルーティンを披露したヴィンゲゴーが、今大会5度目の区間優勝を決めた。
「今日の結果はもちろん、3週間を通した今大会に満足している。チームメイトは連日僕のために素晴らしい走りを見せてくれ、常に全てをコントロール下においていた。大会を通して一度も悪い状況に陥ることもなかった」と、文字通り完勝を強調したヴィンゲゴー。「プランよりも早めに仕掛ける形となったが、幸運にも脚が最後までもってくれた。目標はマリアローザを着ている間に少なくとも1勝することだったが、区間5勝だなんて想像以上の結果だ」と喜びを語った。
2位にはガル、3位はヒンドレーと総合順位通りにフィニッシュ。また精鋭集団から遅れたアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)は得意の粘りをこの日も見せ、2分3秒遅れの区間7位でフィニッシュ。総合6位を保持し、着用するマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を確定させた。



ジロ・デ・イタリア2026第20ステージ結果
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 5:03:55 |
| 2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +1:15 |
| 3位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
| 4位 | デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) | |
| 5位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) | +1:19 |
| 6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、ネットカンパニー・イネオス) | +1:25 |
| 7位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:03 |
| 8位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:13 |
| 9位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) | |
| 10位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) |
マリアローザ(個人総合成績)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 80:17:01 |
| 2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +5:22 |
| 3位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +6:25 |
| 4位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) | +7:02 |
| 5位 | デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) | +7:56 |
| 6位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +9:39 |
| 7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) | +10:13 |
| 8位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +10:52 |
| 9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +11:24 |
| 10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、ネットカンパニー・イネオス) | +12:54 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
| 1位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | 195pts |
| 2位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 103pts |
| 3位 | ギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、XDSアスタナ) | 94pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
| 1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 277pts |
| 2位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 266pts |
| 3位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 164pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
| 1位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | 80:26:40 |
| 2位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:13 |
| 3位 | マティス・ロンデル(フランス、チューダープロサイクリング) | +5:33 |
チーム総合成績
| 1位 | ヴィスマ・リースアバイク | 241:25:11 |
| 2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +40:07 |
| 3位 | ネットカンパニー・イネオス | +48:27 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport