130年以上の歴史を持つマヴィックから、エントリーグレードのカーボンホイール「COSMIC S」が登場。42mmハイトのリムと21mm内幅で扱いやすさを重視しつつ、上位モデル同様のID360ハブを採用し、実用性の高い一本をインプレッション。



マヴィック COSMIC S 42 Disc photo:Makoto AYANO

レーシングホイールブランドの雄、マヴィック。130年以上の歴史を持つ古豪はいくつもの名作を世に放ち、その時代ごとに有力選手たちを力強くサポートし、数々の勝利を上げてきた名門だ。

マヴィックが手がけたホイールの中でも際立つ存在がエアロカーボンのCOSMICシリーズ。現在は最高峰のULTIMATEを頂点にSLR、SLというラインアップが構築されており、2024年末に満を持してエントリーグレードのCOSMIC Sが追加された。

マヴィック COSMIC S 42 Disc photo:Makoto AYANO

COSMIC Sのリムは上位グレードよりも3mmハイトの低い、42mmハイトカーボンリムを採用。軽量性、扱いやすさ、エアロをバランスさせることで、平坦・登り・下りどこでも性能を発揮してくれるカーボンホイール入門として相応しい一本を実現している。

リム内幅は21mmというワイドプロファイルに設定し、ロードタイヤのトレンドである25〜30Cサイズに最適化している。ワイドなチューブレスタイヤに対応してくれるため、タイヤの持つ快適性やコントロール性能も引き出せるホイールへと仕上げられた。

スポークはフラットな形状でエアロを意識している photo:Makoto AYANO
Jベンド式のスポークが採用されている photo:Makoto AYANO


リム素材は軽量性と耐久性に優れるUDカーボン。COSMIC Sでは上位グレードでお馴染みのFOREテクノロジーを採用せず、スポークは一般的なニップルで固定される方式だ。スポーク自体はJベンドのエアロを意識したフラット形状が採用された。前後とも24本のスポークを2クロスで組み上げる。またスポーク同士が接触しないコンタクトレス設計も特徴だ。

ハブは上位モデルと同じID360システムが採用された。高効率なパワー伝達効率と、高品質ベアリングによる低い抵抗などの恩恵が受けられる。スプロケットごとフリーボディを脱着できるため、メンテナンス時に内部にアクセスしやすいのも魅力だ。

ハブはインスタントドライブ360が採用されている photo:Makoto AYANO


重量は前輪が775g、後輪が885gとなっており、前後セットは1660gだ。価格は176,000円(税込)。マヴィックがリリースしたカーボンエントリーホイールを、アルディナサイクラリーの成毛千尋さんがテストした。

ーインプレッション

「COSMIC S一本でどのようなロードとCXどちらも行きたい方にはピッタリ」成毛千尋(アルディナサイクラリー) photo:Kenta Onoguchi

COSMIC S 42は完成車に搭載されていたアルミホイールから乗り換えたいと考える方向けのホイールですね。アルミホイールよりも少し良い物、チューブレスタイヤを楽しみたいと思っている人のステップアップというイメージを受けました。

アンダー20万円という価格帯は様々なブランドも用意している中でCOSMIC Sの魅力は堅実な設計にあるんじゃないでしょうか。一つはフックレスではなく、フックドのチューブレスレディという点です。マヴィックは装着しやすいチューブレスレディ設計のUSTで他に先駆けた実績があり、その技術の蓄積があります。それらが反映されているため、チューブレスを運用する上での安心感は高いと思います。

内幅がワイドなリムとワイドロードタイヤとの相性がバッチリ photo:Kenta Onoguchi

リムの内幅も21mmに設定されていて、装着タイヤのスタンダードが28C幅なのはトレンドにフィットしてきています。現在25Cを使っていてタイヤ幅を広げてみたいと考えている方であればCOSMIC Sを選ぶ理由になりますね。ハブプラットフォームが上位モデルと同じID360なので、回転性能やペダリングパワーの効率の良さもあると思います。

組み合わせられているスポークはとても頑丈そうなので、走りにも影響を少なからず与えていそうです。COSMIC Sは全体的に穏やかな剛性感に設定されていましたが、ホイールに負担がかかるコーナリングやブレーキング時はしっかりとパワーを受け止めてくれました。

「チューブレスタイヤ運用の信頼性が高いのもマヴィックならでは」成毛千尋(アルディナサイクラリー) photo:Kenta Onoguchi

マヴィックのリムは非常に頑丈なので、COSMIC Sも耐久性は期待できそうです。もしトラブルがあったとしても保証システムのマヴィックケアもありますし、補修部品が充実しているので対応できる可能性が高いです。

ホイール一本でシクロクロスとロードを兼用したいと考えている方、シクロクロスのスペアとしてもフィットすると思います。頑丈さを活かしてカーボンホイールを少しでもカジュアルに使いたいというシチュエーションにぴったりです。

内幅がワイドなリムとワイドロードタイヤとの相性がバッチリ photo:Kenta Onoguchi



マヴィック COSMIC S 42 Disc
リム:UDカーボン
リムハイト:42mm
リム内幅:21mm
フリーボディ:ID360
スポーク:スチール 、Jベント、フラット、2.0 スレートゲージ
重量:1,660g
税込価格:フロント 80,300円、リア 95,700円、ペア 176,000円

text : Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO、Kenta Onoguchi
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