元世界王者アラフィリップと今季躍動したヒルシを獲得したチューダー・プロサイクリング。2025年シーズンに向け30名のロースターを確定させ、スイス籍のプロチームがワールドチームに匹敵する戦力を整えた。



チューダー・プロサイクリングに移籍するジュリアン・アラフィリップ(フランス) photo:Makoto AYANO

世界中の注目を集めたジュリアン・アラフィリップ(フランス)の移籍先がチューダー・プロサイクリングあると発表されたのは今年8月のこと。「チームのプロジェクトに共感し、発足当初から成長と発展する様子を見ていた」というコメントと共に、元世界王者は3年契約を結んだ。

チューダーは元TT世界王者ファビアン・カンチェラーラを中心に2022年に発足したプロチーム。現在UCIランキング(2023&24年UCIポイントの合算)は23位で、ワールドチームへの昇格は事実上不可能だが、全ワールドツアーへの出場権が得られる20位以内が目下の目標となっている。

若手育成するクラブチームを母体とするチューダーは、スイスの高級時計メーカーであるチューダーのバックアップを受けている。今年はジロ・デ・イタリアのワイルドカード(招待枠)に選ばれ、グランツール初出場。また来年に向けスイス出身の選手を7名まで減らす中、地元スイスのスター選手マルク・ヒルシ(スイス)を獲得した。

母国チームに加入するマルク・ヒルシ(スイス) photo:CorVos

26歳のヒルシは、2019年にサンウェブの下部チームから昇格。2020年のフレーシュ優勝、ツール・ド・フランスでの23km独走勝利で注目を集めた。UAEに移籍後は一時期成績が低迷したものの、2023年に7勝(総合優勝2つ)を飾り、今年8月のクラシカ・サンセバスティアンとベーメル・サイクラシックスで連続優勝。さらにワンデーレース5連勝を果たし、かつての輝きを取り戻した。

チームの強みはアラフィリップとヒルシが揃うワンデーレースにある。元世界王者は今季のジロ・デ・イタリアで逃げ切り勝利を決め、クラシカ・サンセバスティアンやグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルで表彰台に上がるなど、依然としてトップレベルの競争力を示している。

スプリント陣ではジロとブエルタ・ア・エスパーニャで区間優勝経験のあるアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)が中心となる。2023年ミラノ〜トリノを制したアーヴィッド・デクライン(オランダ)とベテランのマッテオ・トレンティン(イタリア)もエースを務め、新加入でリードアウトが得意なマルコ・ハラーが支える。
チューダー・プロサイクリング2025年ロースター
マルコ・ブレンナー(ドイツ)
アルベルト・ダイネーゼ(イタリア)
アーヴィッド・デクライン(オランダ)
ヤコブ・エリクソン(スウェーデン)
ルーカス・エリクソン(スウェーデン)
ロバン・フロワドゥヴォー(スイス)
ミカ・ヘミング(ドイツ)
ペトル・ケレメン(チェコ)
アルトゥール・クルッカース(ルクセンブルク)
セバスチャン・コルツェシャンギシ(デンマーク)
アレクサンダー・クリーガー(ドイツ)
マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ)
リック・プルイマース(オランダ)
マイケル・ストーラー(オーストラリア)
フロリアン・ストーク(ドイツ)
ジョエル・ズーター(スイス)
ローランド・テールマン(スイス)
マッテオ・トレンティン(イタリア)
ヤニス・ヴォワザール(スイス)
ハネス・ウィルクス(ドイツ)
ルク・ヴィルトゲン(ルクセンブルク)
マイケル・ゼイラート(オランダ)
新加入
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)←スーダル・クイックステップ
マルク・ヒルシ(スイス)←UAEチームエミレーツ
マルコ・ハラー(オーストリア)←レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ
ローレンス・ワーバス(アメリカ)←デカトロンAG2Rラモンディアル
ファビアン・リーンハルト(スイス)←グルパマFDJ
アイヴァラス・ミクティス(リトアニア)←下部チーム
ファビアン・ヴァイス(スイス)←下部チーム
退団選手
トム・ボーリ(スイス
ニルス・ブルン(スイス)
アロイス・シャラン(フランス)→引退
アレクサンダー・カンプ(デンマーク)→アンテルマルシェ・ワンティ
シモン・ペロー(スイス)
セバスティアン・レイシェンバック(スイス)→引退
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos