1年を締めくくるのはディーゲムを舞台にした恒例のナイトレース。激しい展開となったスーパープレスティージュ第5戦でチームメイトのティボール・デルフロッソとプック・ピーテルセ(共にオランダ)が勝利を挙げた。

ディーゲム市街地を舞台に開催されたスーパープレスティージュ第6戦。1年を締めくくる最終レースだ photo:CorVos
ベルギーの自転車界はナイトレースで1年を締め括り。12月30日(火)にベルギーのフランドル・ブラバント州のディーゲム市街地を舞台に開催されたスーパープレスティージュ第6戦は、シクロクロスカレンダーの中でもほぼ唯一にして恒例となった名物レース。
市街地の舗装路と公園を繋いだコースには名物のキャンバーにサンドセクション、低速コーナーや登り返し、フライオーバーが多数盛り込まれ、高出力のインターバルが常に求められる。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、さらにはルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)たちが参戦を見送ったものの、それゆえに誰が勝ってもおかしくない緊張感溢れるレースが展開された。
女子エリート:ピーテルセがブラント不在のチャンスを掴む

シュライバーの追撃を振り切って逃げるプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:CorVos
ブラント不在の大チャンスをモノにしようと、女子エリートレースは積極的な展開でスタート。第1コーナーで欧州女王インへ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン)が激しくクラッシュして戦線離脱するのを尻目に、プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)とマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)が真っ先に抜け出した。
2周目に入ってオランダとルクセンブルクの国内女王に追いついたのは、元世界女王セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)。3人の攻防がスタートするかと思われたが、その周のサンドセクションを唯一乗車でこなしたピーテルセが一気に10秒リードを稼ぎ、「以前の経験から、パワーを維持し続ければリードを維持できると分かっていた」と独走を開始。パンクによってリードは一時5秒程度まで縮まったものの、全ての直線でスプリントを続けたピーテルセがフィニッシュラインまで逃げ切った。

今季初勝利をマークしたプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:CorVos

テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026第6戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
12月14日のW杯ナミュールでCX復帰してから6戦目で、世界選手権エリートで3年連続表彰台に立っているピーテルセが今季初勝利。「コンディションが上向きであることは分かっていたけれど、特にクリスマスシーズンは注目が集まる時期だからプッシュし続けなければいけない。またレースに勝てて本当に嬉しい」とコメントを残している。
「この4ヶ月は自分に自信が持てず精神的に大変だった。勝負できたことが本当に嬉しい」と喜ぶシュライバーが2位に入り、アルバラードは4位グループの追撃を振り切って3位。しかし「ペース自体は悪くなかったけれど、実際は無理をしすぎて背中を痛めてしまった。この過密スケジュールで調子を整えるのは難しいので、自然に回復するかどうか観察しないといけない」と、過酷なスケジュールを続ける難しさを口にしている。
男子エリート:最終盤に激しいバトル、ネイスを振り切ったデルフロッソが今季2勝目

序盤からレースを引っ張ったティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
前日開催のX2Oトロフェー第5戦で落車したローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)が、手術を擁する肩関節脱臼によってシーズンを終えるという残念なニュースが流れた男子シクロクロス界。現地時間20時スタートのこの日も、マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)がスタートダッシュ中に落車(大きな怪我は無し)する激しい幕開けとなった。
ショートインターバルを繰り返すディーゲムで序盤からリードしたのは、砂場を上手くこなしたティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だった。大人数の2番手グループからはティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が飛び出し、30分以上が経過したタイミングで合流。ここからベルギーとオランダのチャンピオンジャージを着る、1歳違いのティボーとティボールのランデブーが始まった。

レース中盤にネイスとウィズーレがデルフロッソに合流。先頭パックを形成した photo:CorVos

最終盤の攻防を制したティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
やがてヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン)も追いついて先頭グループは3名。ラスト2周回の登り返しでデルフロッソが脚をつき、形成は一気にネイス寄りになったものの、その周のサンドセクションで今度はネイスがウィズーレを巻き込んで転倒してしまう。再び大チャンスを掴んだデルフロッソが、諦めずに追いかけたウィズーレと完全に脚が売り切れたネイスを振り切ってフィニッシュ。劇的な展開に盛り上がるファンの前で今季2勝目を掴み取った。
「リードを得て逃げたけど、砂場以外ではネイスの方が速かったので一切気を抜けなかったんだ、最後は本当にミスしないよう緊張していたよ。こういう形で2025年の最終レースを勝てて良かった。本当に嬉しいよ」と、シーソーゲームを制した22歳は話している。

テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026第6戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
連続参戦しているオランダベース/ウォータスレイの梶鉄輝と岡山優太は72位と74位だった。男子ジュニアレースに参戦した山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム)は5分19秒遅れの56位でフルラップ完走。年内最終レースを終えている。
大晦日の12月31日こそレースは開催されないが、1月1日には早速新年恒例のX2Oトロフェー第6戦「GPスヴェンネイス」が開催。2026年に装いを新たにした選手たちが再集結を果たす。

ベルギーの自転車界はナイトレースで1年を締め括り。12月30日(火)にベルギーのフランドル・ブラバント州のディーゲム市街地を舞台に開催されたスーパープレスティージュ第6戦は、シクロクロスカレンダーの中でもほぼ唯一にして恒例となった名物レース。
市街地の舗装路と公園を繋いだコースには名物のキャンバーにサンドセクション、低速コーナーや登り返し、フライオーバーが多数盛り込まれ、高出力のインターバルが常に求められる。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、さらにはルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)たちが参戦を見送ったものの、それゆえに誰が勝ってもおかしくない緊張感溢れるレースが展開された。
女子エリート:ピーテルセがブラント不在のチャンスを掴む

ブラント不在の大チャンスをモノにしようと、女子エリートレースは積極的な展開でスタート。第1コーナーで欧州女王インへ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン)が激しくクラッシュして戦線離脱するのを尻目に、プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)とマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)が真っ先に抜け出した。
2周目に入ってオランダとルクセンブルクの国内女王に追いついたのは、元世界女王セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)。3人の攻防がスタートするかと思われたが、その周のサンドセクションを唯一乗車でこなしたピーテルセが一気に10秒リードを稼ぎ、「以前の経験から、パワーを維持し続ければリードを維持できると分かっていた」と独走を開始。パンクによってリードは一時5秒程度まで縮まったものの、全ての直線でスプリントを続けたピーテルセがフィニッシュラインまで逃げ切った。


12月14日のW杯ナミュールでCX復帰してから6戦目で、世界選手権エリートで3年連続表彰台に立っているピーテルセが今季初勝利。「コンディションが上向きであることは分かっていたけれど、特にクリスマスシーズンは注目が集まる時期だからプッシュし続けなければいけない。またレースに勝てて本当に嬉しい」とコメントを残している。
「この4ヶ月は自分に自信が持てず精神的に大変だった。勝負できたことが本当に嬉しい」と喜ぶシュライバーが2位に入り、アルバラードは4位グループの追撃を振り切って3位。しかし「ペース自体は悪くなかったけれど、実際は無理をしすぎて背中を痛めてしまった。この過密スケジュールで調子を整えるのは難しいので、自然に回復するかどうか観察しないといけない」と、過酷なスケジュールを続ける難しさを口にしている。
男子エリート:最終盤に激しいバトル、ネイスを振り切ったデルフロッソが今季2勝目

前日開催のX2Oトロフェー第5戦で落車したローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)が、手術を擁する肩関節脱臼によってシーズンを終えるという残念なニュースが流れた男子シクロクロス界。現地時間20時スタートのこの日も、マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)がスタートダッシュ中に落車(大きな怪我は無し)する激しい幕開けとなった。
ショートインターバルを繰り返すディーゲムで序盤からリードしたのは、砂場を上手くこなしたティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だった。大人数の2番手グループからはティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が飛び出し、30分以上が経過したタイミングで合流。ここからベルギーとオランダのチャンピオンジャージを着る、1歳違いのティボーとティボールのランデブーが始まった。


やがてヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン)も追いついて先頭グループは3名。ラスト2周回の登り返しでデルフロッソが脚をつき、形成は一気にネイス寄りになったものの、その周のサンドセクションで今度はネイスがウィズーレを巻き込んで転倒してしまう。再び大チャンスを掴んだデルフロッソが、諦めずに追いかけたウィズーレと完全に脚が売り切れたネイスを振り切ってフィニッシュ。劇的な展開に盛り上がるファンの前で今季2勝目を掴み取った。
「リードを得て逃げたけど、砂場以外ではネイスの方が速かったので一切気を抜けなかったんだ、最後は本当にミスしないよう緊張していたよ。こういう形で2025年の最終レースを勝てて良かった。本当に嬉しいよ」と、シーソーゲームを制した22歳は話している。

連続参戦しているオランダベース/ウォータスレイの梶鉄輝と岡山優太は72位と74位だった。男子ジュニアレースに参戦した山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム)は5分19秒遅れの56位でフルラップ完走。年内最終レースを終えている。
大晦日の12月31日こそレースは開催されないが、1月1日には早速新年恒例のX2Oトロフェー第6戦「GPスヴェンネイス」が開催。2026年に装いを新たにした選手たちが再集結を果たす。
テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026第6戦 女子エリート結果
| 1位 | プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | 45:07 |
| 2位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム) | +0:12 |
| 3位 | セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +0:47 |
| 4位 | カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム) | +1:16 |
| 5位 | ヨランダ・ネフ(スイス、キャノンデール・ファクトリーレーシング) | +1:42 |
| 6位 | レベッカ・ガリボルディ(イタリア、アレ・コルナゴ) | +1:50 |
| 7位 | アニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング) | +2:07 |
| 8位 | リヌ・ブルキエ(フランス) | +2:12 |
| 9位 | レティツィア・ボルゲージ(イタリア) | +2:16 |
| 10位 | ラリッサ・ハルトグ(オランダ) |
テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026 第5戦 男子エリート結果
| 1位 | ティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 1:00:18 |
| 2位 | ヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:03 |
| 3位 | ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) | +0:21 |
| 4位 | メース・ヘンドリクス(オランダ、ヘイゾマット・キューブ) | +0:22 |
| 5位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:26 |
| 6位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) | +0:34 |
| 7位 | ヘルべン・クイペルス(ベルギー、シャルル・リエジョワ・ロースタリーCX) | |
| 8位 | フェリペ・オルツ(スペイン、リドレーレーシングチーム) | +0:42 |
| 9位 | フィリッポ・フォンタナ(イタリア) | +0:48 |
| 10位 | イェンテ・マイケルズ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:50 |
| 72位 | 梶鉄輝(オランダベース/ウォータスレイ) | LAP |
| 74位 | 岡山優太(オランダベース/ウォータスレイ) | LAP |
text:So.Isobe
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