大阪で行われたシクロクロス全日本選手権。そのチャンピオンバイクを連載形式で紹介していく第2弾は、男子マスターズの各年代カテゴリーを制した倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス)と大原満(Aisan Cycling Club)、増田謙一(SHIDO-WORKS)、安西勉(RIDAIレーシング)のバイクをピックアップする。
男子マスターズ55-59 倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス)のキャニオンInflite CF SLX

倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス)のキャニオン Inflite CF SLX photo:Michinari TAKAGI
「終盤に2位だと言うことを聞き、『目の前にいる人さえ抜けば!』と12秒差をひっくり返して優勝することができました」と熱戦を振り返ったのは、男子マスターズ55-59チャンピオンの倉橋孝太郎さん(ベッキーシクロクロス)。
愛車は「完成車で購入して、タイヤ以外はそのままです」と、即戦力になったキャニオンInflite CF SLXだ。「乗りやすいですし、取り回しも最高に良いと思います」とそのパッケージングを含む完成度の高さを語ってくれた。

キャニオンのステム一体型ハンドル photo:Michinari TAKAGI

ローター径は前後140mm photo:Michinari TAKAGI 
スプロケットはワイドレシオな10-36T photo:Michinari TAKAGI

オールラウンドに使用できるiRC SERAC CX photo:Michinari TAKAGI
コンポーネントはスラム FORCE。フロントシングルの歯数は40Tで、スプロケットはワイドレシオな10-36Tというギア比となっていた。ホイールはDTスイスで、ブレーキローターは前後140mmを装着。
唯一のパーツ変更だというタイヤは、あらゆるコンディションでオールラウンドに使用できるiRC SERAC CXを選んでいた。
体重57kgの倉橋さんの空気圧はフロントが1.50bar、リアが1.55bar。「普段よりちょっと空気圧は落しましたが、空気圧を落としたからといって乗れるような砂ではなかったので、松林の区間に合わせて空気圧を決めました。」と、結果的にチャンピオンに繋がったセッティングについて語ってくれた。
大原満(Aisan Cycling Club)のスペシャライズド S-WORKS CRUX

大原満(Aisan Cycling Club)のスペシャライズド S-WORKS CRUX photo:Michinari TAKAGI
「昨年は全日本選手権の直前に病気になってしまい、出場が叶いませんでした。そのため今年から60歳代のカテゴリーに入り、『絶対に負けられない。絶対に勝つんだ』という強い気持ちで走りました」と話してくれたのは、男子マスターズ60-64で圧勝といえる独走優勝をした大原満さん(Aisan Cycling Club)。
愛車はスペシャライズド S-WORKS CRUX。「ちょっと古い2019年モデルなんですが、自然な感じの乗り味で癖がないのが良いところ。持って軽いのはもちろん、乗っていても軽く、ひらひらとよく走ります。このままロードレースに出てもいいぐらい」なのだとか。

ワンバイエスのカーボンハンドル「Grand Monroe SL」を愛用 photo:Michinari TAKAGI

フロントシングルスピードでチェーンリングは40T photo:Michinari TAKAGI 
使用率が高いiRC SERAC CX EDGE photo:Michinari TAKAGI

使い込まれたセッレイタリア SLR photo:Michinari TAKAGI
コンポーネントはSTIレバーがシマノ DURA-ACEで、リアディレイラーはGRXの11速モデルをセット。フロントシングルスピード仕様で「いつもは42Tですが、泥のレースでは38Tにしています。(砂地もある)今回は少し軽くして、40Tにしました」と、コースや天候に合わせてギアを選んでいる。
ロヴァール Rapide C38のホイールに、タイヤはiRC SERAC CXシリーズを愛用。「普段はiRC SERAC CXばかり使っています。今回は砂が多いコースだったので普段は使わないEDGEを使ったのですが、直線も速く、曲がりやすくて良かったですね」と。体重は48kgで、空気圧は1.33barで運用していた。
カスタムのポイントを尋ねると、「ワンバイエスのハンドルが好きで使っています。カーボンハンドルのGrand Monroe SLが握りやすく、リーチが浅くて、フレアしている形状が気に入っていますね」と、実際にハンドルを握って丁寧に説明してくれる姿が印象的だった。
男子マスターズ65-69 増田謙一(SHIDO-WORKS)のLiv BRAVA ADVANCED PRO

増田謙一(SHIDO-WORKS)のLiv BRAVA ADVANCED PRO photo:Michinari TAKAGI
11月末にイタリア・ミラノ近郊で開催されたUCIマスターズシクロクロス世界選手権で、銀メダルを獲得した増田謙一さん(SHIDO-WORKS)。直後とも言える男子マスターズ65-69では、後続と1分以上の差をつけた独走で、2位だった昨年のリベンジを達成した。
そんな増田さんの愛車はジャイアントのシクロクロスバイク「TCX」、ではなく同じジオメトリーのLivのシクロクロスバイク「BRAVA ADVANCED PRO」だ。女性向けとされるモデルを選ぶ理由について増田さんは「ジオメトリーは変わらないですが、TCXよりも足あたりが柔らかくて乗りやすいんです」と語ってくれた。

軽量化のためロヴァールのカーボンシートポストを装着 photo:Michinari TAKAGI 
ニノ・シューター(スイス)が使用しているチタンスピンドル仕様のHT M2を愛用 photo:Michinari TAKAGI

ロードで使っていたカデックスのチューブラーカーボンホイールを使用 photo:Michinari TAKAGI

ヴィットリア デュガス Pipisqualloを全日本のために用意しました! photo:Michinari TAKAGI
「おじさんがLiv乗っているの、可愛いでしょ?」と茶目っ気たっぷりに語る増田さんだが、そのバイクは6.8kgとUCIの重量基準ギリギリを攻めた超軽量レースバイクに仕上がっている。こだわりの詰まったバイクのコンポーネントはSTIレバーとリアディレーラーはシマノ GRX。クランクはスラム REDで、ウルフトゥースのフロントシングルチェーンが取り付けられていた。フロントは40Tで、リアは11-32Tとどんなコースでも対応できるギアセッティングだった。
ペダルはMTBのレジェンドライダーであるニノ・シューター(スイス)も使用している、チタンスピンドル仕様のHT M2を愛用している。
「ホイールはロードレースで使っていたカデックスのチューブラーホイールを今回の全日本から使っています」と語る増田さん。タイヤは砂のコースに合わせ、ヴィットリア デュガス Pipisqualloを選択していた。空気圧については、「砂は1.2barで良かったのですが、松林区間では腰が砕けてしまいました。空気圧を攻めすぎましたね」と振り返った。

男子シングルスピードに出場し、年齢無差別のカテゴリーで見事14位 photo:Michinari TAKAGI

最後にこっそりシクロクロス・マスターズ世界選手権の銀メダルを見せてくれました! photo:Michinari TAKAGI
そして増田さんはなんと、このチャンピオンバイク取材後に男子シングルスピードにも出場。年齢無差別のカテゴリーで見事14位というリザルトを残していた。シクロクロスのマスターズ世界選手権での銀メダルにつづく全日本選手権優勝、改めておめでとうございます!
男子マスターズ70-74 安西勉(RIDAIレーシング)のメリダ CYCLO CROSS 400

安西勉(RIDAIレーシング)のメリダ CYCLO CROSS 400 photo:Michinari TAKAGI
男子マスターズ70-74にて、2位に3分34秒差をつけて優勝した安西勉さん(RIDAIレーシング)。愛車はメリダのアルミシクロクロス「CYCLO CROSS 400」だ。
「大昔からMTBのレースに出ていたのですが、シクロクロスがまたここ最近盛んになってきて、全日本選手権にもチャレンジしたいなと思いました。そのためにシクロクロスバイクをとりあえず買おうと思い、型落ちのこのバイクを13万円で購入しました」と、目を細めながら自慢の愛車との出会いを語ってくれた。

グラベルバイクとしても乗るため、補助ブレーキも装着 photo:Michinari TAKAGI

フロントは46-36T photo:Michinari TAKAGI 
「オフシーズンはグラベルバイクとしても使うので、36Tまで使えるGRXにしています」と安西さん photo:Michinari TAKAGI

Redshiftのサスペンションステム「ShockStop」でカスタマイズ photo:Michinari TAKAGI
バイクについて尋ねると、「一部パーツは交換していますが、完成車のまま本当にお金がかかっていないのがこだわりです。」とのこと。基本的にはシマノ 105完成車で、「オフシーズンはグラベルバイクとしても使うので、36Tまで使えるGRXにしています」とリアディレイラーだけGRXに変更。シクロクロスのギア比はフロントが46-36T、リアが11-32Tを選択していた。
タイヤはシュワルベ X-ONE SPEED RGを装着。「空気圧は前輪が1.9bar、後輪が2barにしています。クリンチャーなのでパンクしないように攻めつつも慎重に走りました」とのこと。
また「ディスクブレーキ化でフレームが固くなったのでステムもサスペンション付きにしています」と話すように、Redshiftのサスペンションステム「ShockStop」でカスタマイズされていた。
photo & text:Michinari TAKAGI
男子マスターズ55-59 倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス)のキャニオンInflite CF SLX

「終盤に2位だと言うことを聞き、『目の前にいる人さえ抜けば!』と12秒差をひっくり返して優勝することができました」と熱戦を振り返ったのは、男子マスターズ55-59チャンピオンの倉橋孝太郎さん(ベッキーシクロクロス)。
愛車は「完成車で購入して、タイヤ以外はそのままです」と、即戦力になったキャニオンInflite CF SLXだ。「乗りやすいですし、取り回しも最高に良いと思います」とそのパッケージングを含む完成度の高さを語ってくれた。




コンポーネントはスラム FORCE。フロントシングルの歯数は40Tで、スプロケットはワイドレシオな10-36Tというギア比となっていた。ホイールはDTスイスで、ブレーキローターは前後140mmを装着。
唯一のパーツ変更だというタイヤは、あらゆるコンディションでオールラウンドに使用できるiRC SERAC CXを選んでいた。
体重57kgの倉橋さんの空気圧はフロントが1.50bar、リアが1.55bar。「普段よりちょっと空気圧は落しましたが、空気圧を落としたからといって乗れるような砂ではなかったので、松林の区間に合わせて空気圧を決めました。」と、結果的にチャンピオンに繋がったセッティングについて語ってくれた。
大原満(Aisan Cycling Club)のスペシャライズド S-WORKS CRUX

「昨年は全日本選手権の直前に病気になってしまい、出場が叶いませんでした。そのため今年から60歳代のカテゴリーに入り、『絶対に負けられない。絶対に勝つんだ』という強い気持ちで走りました」と話してくれたのは、男子マスターズ60-64で圧勝といえる独走優勝をした大原満さん(Aisan Cycling Club)。
愛車はスペシャライズド S-WORKS CRUX。「ちょっと古い2019年モデルなんですが、自然な感じの乗り味で癖がないのが良いところ。持って軽いのはもちろん、乗っていても軽く、ひらひらとよく走ります。このままロードレースに出てもいいぐらい」なのだとか。




コンポーネントはSTIレバーがシマノ DURA-ACEで、リアディレイラーはGRXの11速モデルをセット。フロントシングルスピード仕様で「いつもは42Tですが、泥のレースでは38Tにしています。(砂地もある)今回は少し軽くして、40Tにしました」と、コースや天候に合わせてギアを選んでいる。
ロヴァール Rapide C38のホイールに、タイヤはiRC SERAC CXシリーズを愛用。「普段はiRC SERAC CXばかり使っています。今回は砂が多いコースだったので普段は使わないEDGEを使ったのですが、直線も速く、曲がりやすくて良かったですね」と。体重は48kgで、空気圧は1.33barで運用していた。
カスタムのポイントを尋ねると、「ワンバイエスのハンドルが好きで使っています。カーボンハンドルのGrand Monroe SLが握りやすく、リーチが浅くて、フレアしている形状が気に入っていますね」と、実際にハンドルを握って丁寧に説明してくれる姿が印象的だった。
男子マスターズ65-69 増田謙一(SHIDO-WORKS)のLiv BRAVA ADVANCED PRO

11月末にイタリア・ミラノ近郊で開催されたUCIマスターズシクロクロス世界選手権で、銀メダルを獲得した増田謙一さん(SHIDO-WORKS)。直後とも言える男子マスターズ65-69では、後続と1分以上の差をつけた独走で、2位だった昨年のリベンジを達成した。
そんな増田さんの愛車はジャイアントのシクロクロスバイク「TCX」、ではなく同じジオメトリーのLivのシクロクロスバイク「BRAVA ADVANCED PRO」だ。女性向けとされるモデルを選ぶ理由について増田さんは「ジオメトリーは変わらないですが、TCXよりも足あたりが柔らかくて乗りやすいんです」と語ってくれた。




「おじさんがLiv乗っているの、可愛いでしょ?」と茶目っ気たっぷりに語る増田さんだが、そのバイクは6.8kgとUCIの重量基準ギリギリを攻めた超軽量レースバイクに仕上がっている。こだわりの詰まったバイクのコンポーネントはSTIレバーとリアディレーラーはシマノ GRX。クランクはスラム REDで、ウルフトゥースのフロントシングルチェーンが取り付けられていた。フロントは40Tで、リアは11-32Tとどんなコースでも対応できるギアセッティングだった。
ペダルはMTBのレジェンドライダーであるニノ・シューター(スイス)も使用している、チタンスピンドル仕様のHT M2を愛用している。
「ホイールはロードレースで使っていたカデックスのチューブラーホイールを今回の全日本から使っています」と語る増田さん。タイヤは砂のコースに合わせ、ヴィットリア デュガス Pipisqualloを選択していた。空気圧については、「砂は1.2barで良かったのですが、松林区間では腰が砕けてしまいました。空気圧を攻めすぎましたね」と振り返った。


そして増田さんはなんと、このチャンピオンバイク取材後に男子シングルスピードにも出場。年齢無差別のカテゴリーで見事14位というリザルトを残していた。シクロクロスのマスターズ世界選手権での銀メダルにつづく全日本選手権優勝、改めておめでとうございます!
男子マスターズ70-74 安西勉(RIDAIレーシング)のメリダ CYCLO CROSS 400

男子マスターズ70-74にて、2位に3分34秒差をつけて優勝した安西勉さん(RIDAIレーシング)。愛車はメリダのアルミシクロクロス「CYCLO CROSS 400」だ。
「大昔からMTBのレースに出ていたのですが、シクロクロスがまたここ最近盛んになってきて、全日本選手権にもチャレンジしたいなと思いました。そのためにシクロクロスバイクをとりあえず買おうと思い、型落ちのこのバイクを13万円で購入しました」と、目を細めながら自慢の愛車との出会いを語ってくれた。




バイクについて尋ねると、「一部パーツは交換していますが、完成車のまま本当にお金がかかっていないのがこだわりです。」とのこと。基本的にはシマノ 105完成車で、「オフシーズンはグラベルバイクとしても使うので、36Tまで使えるGRXにしています」とリアディレイラーだけGRXに変更。シクロクロスのギア比はフロントが46-36T、リアが11-32Tを選択していた。
タイヤはシュワルベ X-ONE SPEED RGを装着。「空気圧は前輪が1.9bar、後輪が2barにしています。クリンチャーなのでパンクしないように攻めつつも慎重に走りました」とのこと。
また「ディスクブレーキ化でフレームが固くなったのでステムもサスペンション付きにしています」と話すように、Redshiftのサスペンションステム「ShockStop」でカスタマイズされていた。
photo & text:Michinari TAKAGI
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