2度のロード世界選手権優勝など輝かしい実績を誇るジュリアン・アラフィリップ(フランス)が、プロデビュー以来所属するスーダル・クイックステップを離れチューダー・プロサイクリングに移籍することが発表された。



チューダー・プロサイクリングへの加入が発表されたジュリアン・アラフィリップ(フランス) photo:CorVos

スイス籍のプロチームであるチューダー・プロサイクリングは8月19日(月)、「フランスのスーパースターとチューダーは3年契約を結んだ。これは彼と我々チームにとって、新しい章の始まりである」というコメントと共にジュリアン・アラフィリップ(フランス)の獲得を発表した。契約期間は2025年から27年までの3年間だ。

プレスリリースの中でアラフィリップは「10年以上に渡り同じチームに所属し、変化の時がきたと思った。チームのプロジェクトに共感し、発足当初から成長と発展する様子を見ていた。またチームには知っている選手やスタッフもいる。新しい野心のあるプロジェクトで自分の転換点を迎えたかった」と、決断した理由を語った。

2020年と21年にロード世界選手権を制し、クラシックレースではミラノ〜サンレモや3度のラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝、ツール・ド・フランスで通算6勝など輝かしい成績を残してきたアラフィリップ。しかし2022年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで肩甲骨や肋骨を骨折する大怪我を負って以降、成績が低迷した。

それをチームのGMであるパトリック・ルフェーブル氏が批判し、アラフィリップの妻でツール・ド・フランス・ファムのディレクターでもあるマリオン・ルース氏が公に反論したことも。今年5月のジロ・デ・イタリアではアラフィリップにルフェーブル氏がボトルを渡すシーンが注目され、和解が噂されたがこの度退団が明らかとなった。

5月のジロでは独走勝利を決めたジュリアン・アラフィリップ(フランス) photo:CorVos

一方、アラフィリップを獲得したチューダーは元TT世界王者ファビアン・カンチェラーラを中心に2022年に発足したプロチーム。スイスの高級時計メーカーであるチューダーのバックアップによってマッテオ・トレンティン(イタリア)やマイケル・ストーラー(オーストラリア)などを揃え、アラフィリップの他にも2025年に向けマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)やマルコ・ハラー(オーストリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など大型補強を敢行している。

今年のアラフィリップはジロではステージ優勝を飾り、直近のクラシカ・サンセバスティアンでは2位と復調をアピール。「チームではリーダーの役割を務めると共に、若い選手たちを導きたい。まだそんな歳ではないけどね(笑)。勝利へのモチベーションは高く、チームと自分自身をより高みへと引き上げたい」と意気込みを語った。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos