2024/10/18(金) - 11:50
10月6日(日)に神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根で「箱根ヒルクライム」が開催され、QNリーグ第7戦が併催された。女子チャンピオンは岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェン U15)が、Nリーグ中学生男子は柬理日楠詩(TeamFITTE)が優勝を決めた。QNリーグ主催者からのレポートで紹介する。
10月6日(日)、神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根において、リーグ第7戦「箱根ヒルクライム 2024」が開催された。
コースは普段は自動車専用の観光有料道路として利用される「アネスト岩田ターンパイク箱根」を完全封鎖し、スタート地点の小田原料金所から頂上のアネスト岩田スカイラウンジを目指す、距離は13.4km、平均勾配は7.2%を走るレイアウト。特にスタートから傾斜がキツイので、スタートダッシュで頑張りすぎると脚が売り切れる恐れがあり、非常にペース配分が難しい。
大会の歴史は長い。2010年から3年開催された後、2年間の中断を経て地元の小田原市職員による呼びかけで2015年に復活した背景を持つ。
そんな自転車での地域活性化のため復活した大会を主催するのが株式会社ウォークライドで、レース運営はもちろんのこと、レース前日受付会場では会場近くの宿泊施設・ヒルトン小田原リゾート&スパのチャリティー募金活動「クリスマストレイン」にも協力。大会で集まった募金は「箱根ヒルクライム参加者一同」として寄付され、地域の子どもたちの遊びや教育、学習支援、地域貢献活動に使用される。
地元や子どもたちへの貢献活動にも熱心なこの大会に、今シーズンからは弊リーグのシリーズ戦であるQリーグとNリーグ中学生女子NWは女子チャンピオン、そしてNリーグの中学生男子Nは中学生クラス対象レースとして組み込まれた。その狙いを説明すれば、女子チャンピオンクラスは「QリーグやNリーグの中学生女子とともに走ることで女子チャンピオンクラスへの参戦をさらに促し、ヒルクライムを得意とする女子選手たちにとって目標大会の1つにしたい」と考える。
中学生クラスついては「これまでも男子は中学生、そして高校生それぞれのクラスを設定しているのが、そのクラスに一層の充実を図りたい」とウォークライドの代表である山根 理史氏とも議論を重ねて今大会でも協力いただくこととなった。
また、同大会では気軽に自転車レースへチャレンジしてもらうためにクラス設定を工夫している。脚力別や年齢別を筆頭に、自転車の種別クラスとして「鉄の 漢おとこクラス」や「E-BIKE クラス」、さらにはタンデムや小径車のクラスも。そして2021年からはアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツやキャラクターをモチーフにしたコスプレやサイクルジャージ着用、仮装を参加条件とした「キャラクターヒルクライム部門」も同時開催されている(キャラヒル部門については、別主催による運営)。
大会当日は連日の夏日から一転し、朝から霧が深く視界が悪い状況。ときどき小雨が降り路面も濡れ、かなり肌寒いコンディション。そのなかで小学生クラスとタンデムクラス以外の参加選手たちがゴール地点のアネスト岩田スカイラウンジ前の集合場所に集まってくる。この箱根ヒルクライムでは、スタート地点へ向かいコースを下山してから、再びコースを登っていく手順となる。朝8時の下山開始を前にリーグ登録選手達は元気いっぱい!バイクとスタッフ自転車の安全管理誘導で、ブロックごとに分かれて下山を開始した。
この後、第1スタートとなる男子チャンピオン、高校生、そしてリーグ対象レースとなる女子チャンピオンと中学生が9時半に同時スタート。コースの特性上、レース展開が分かる地点にいられなかったためゴール地点でスタンバイ。しばらくすると深い霧のなかから、男子チャンピオンクラスの優勝選手がゴール。そこから、あまり時を置かずにNリーグの中学生男子Nが対象となっている中学生クラスのトップが見えてきたが、なんと2人のゴールスプリント争いとなり、ヒルクライムらしからぬ接戦にゴール地点は非常に盛り上がった。
そんな振り絞った熱いスプリントの結果、中学生クラスの優勝は柬理日楠詩(TeamFITTE)でタイムは50分05秒、2位の西澤崇介(Vite Jambe)とのタイム差はわずか0.063秒であった。3位にはShonan.Vertex.Racingの松原圭佑が入り、4位のKinan Racing Team MIE juniorの木村孔南までが50分台のタイムであった。現在ランキング2位につけている渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)は7位に沈み、念願のバトルマリンジャージ獲得は次戦以降へ持ち越しとなった。
前週の9月26日に開催されたJBCF第5回まえばし赤城山ヒルクライム・Y クラスで優勝をし、今回も調子の良いところを見せた柬理選手に、どんな準備をしてレースに臨んだのか?を聞いてみると「学校で駅伝とかがあって、あまり練習ができなかったんですが、そんな状態でも自分のコンディションを精一杯出せるようになんとか1週間前ぐらいから調子を整えるように頑張りました」と語った。
レース前にコースを下山してスタート地点に向かうという状況には「スタート前で1時間ぐらい待機だったので何もできなくて、脚が冷え切ってしまってからのスタートで最初は力が出ず、何も・・・。(レース前の)準備ができてなくて補給のゼリーを飲むぐらいでした」とスタートからの滑り出しは良くなかったようだ。
そんな柬理の動きに対して、バトルマリンジャージを守る立場である⻄澤選手は「(ペダルを)ブン回すしかない!と。気合と根性で走りました」と自身がヒルクライムを苦手としているのを自覚し「山を中心に練習をしたので、その成果が表れたと思います」とレース前に対策をしていたそうだ。
この中学生クラスのレースで4人の先頭集団に絞られたなか、柬理が単独で飛び出し「200mの看板の所までは1人で先行していたので、逃げ切れたと思ったら、メチャメチャ⻄澤選手が伸びてきて」とゴール前の攻防を振り返る。その単独で先行する柬理を捕らえられそうな位置まで追い込めた西澤だが「仕掛けるのが一歩遅かった」と言うように、あとわずかで差し切れる距離まできたが柬理を捕らえられなかった。
そしてヒルクライムでは珍しいゴールスプリントとなって逃げ切った柬理選手が優勝に輝き、リーグランキングの最大ポイント28を獲得。自身の獲得ポイントを118までに増やした。次戦の大磯クリテリウム3連戦に向けては「まずは勝ちたいです!そのためにもレースに向けて、しっかりと準備をしてバトルマリンジャージ獲得するために頑張ります!」と意気込みを語った。
一方、苦手なヒルクライムを2位という好成績で終えた西澤は、バトルマリンジャージは守れたもののレースで勝てなかった悔しさから「(今回の)反省点です。次は(優勝のため)頑張ります!」と何度も自分に言い聞かせるようにコメントするのが印象的で、次戦では「仕掛けるタイミングを見計らって、迷わずスプリントに絡むようにします!」と、この日は目の前で逃してしまった優勝を奪回することを誓った。
そして今シーズンのNリーグ対象レースにおいて大活躍、ヒルクライムだけでなくクリテリウムも好成績を上げている高橋 祐樹(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)にもコメントをもらった。今回は不運にもゴールを目前にパンクに見舞われるアクシデントに襲われ「ダンシングしていたらパンクしてしまって」と言いつつも、ゴールまでランニングで登り6位に滑り込み、最新リーグランキングでは4位に浮上することができた。次戦については「最近スプリントで絡めてないので、タイミングを見極めて優勝したいと思います!」とリベンジを誓った。
QリーグとNリーグ中学生女子NWが対象となる女子チャンピオンでは、現在バトルマリンジャージ保持者である岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェン U15)が優勝。「レース前に予想していたタイムよりも早くゴール出来た!」と笑顔でゴールを果たした岡田選手。ゴール後に想定していたタイムについて聞くと「1時間20分を切れていればいいかな?と思っていました」とのことで、ゴールタイム1時間8分18の女子チャンピオンクラス優勝は、非常に嬉しい結果となった。
ゴール地点は朝から霧深く、スタート地点では雨となって肌寒い状況だったことを考えていたようで「スタートで時間があるので防寒着とかを準備して、とにかく体を冷やさないようにしました」と、しっかりと準備を整えていた模様。
そんな中、男子チャンピオンなど速いペースのクラスと混ざってスタートとなったことについては「落ち着いて、自分のペースで走るようにしました」と終始マイペースで走れたようだった。前戦の「しもふさクリテリウム 9月」ではスタミナ不足を克服したい、と語っていたが「今回は登りの乗り方を少し変えて練習をして、その通りに走れたので良かったです」と手応えを感じたようだ。次戦では「今回がけっこう良かったので、次のレースに繋げたいです」と意欲を見せた。
photo:k.kazuma、Kensuke Yada、QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QN リーグ事務局)
10月6日(日)、神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根において、リーグ第7戦「箱根ヒルクライム 2024」が開催された。
コースは普段は自動車専用の観光有料道路として利用される「アネスト岩田ターンパイク箱根」を完全封鎖し、スタート地点の小田原料金所から頂上のアネスト岩田スカイラウンジを目指す、距離は13.4km、平均勾配は7.2%を走るレイアウト。特にスタートから傾斜がキツイので、スタートダッシュで頑張りすぎると脚が売り切れる恐れがあり、非常にペース配分が難しい。
大会の歴史は長い。2010年から3年開催された後、2年間の中断を経て地元の小田原市職員による呼びかけで2015年に復活した背景を持つ。
そんな自転車での地域活性化のため復活した大会を主催するのが株式会社ウォークライドで、レース運営はもちろんのこと、レース前日受付会場では会場近くの宿泊施設・ヒルトン小田原リゾート&スパのチャリティー募金活動「クリスマストレイン」にも協力。大会で集まった募金は「箱根ヒルクライム参加者一同」として寄付され、地域の子どもたちの遊びや教育、学習支援、地域貢献活動に使用される。
地元や子どもたちへの貢献活動にも熱心なこの大会に、今シーズンからは弊リーグのシリーズ戦であるQリーグとNリーグ中学生女子NWは女子チャンピオン、そしてNリーグの中学生男子Nは中学生クラス対象レースとして組み込まれた。その狙いを説明すれば、女子チャンピオンクラスは「QリーグやNリーグの中学生女子とともに走ることで女子チャンピオンクラスへの参戦をさらに促し、ヒルクライムを得意とする女子選手たちにとって目標大会の1つにしたい」と考える。
中学生クラスついては「これまでも男子は中学生、そして高校生それぞれのクラスを設定しているのが、そのクラスに一層の充実を図りたい」とウォークライドの代表である山根 理史氏とも議論を重ねて今大会でも協力いただくこととなった。
また、同大会では気軽に自転車レースへチャレンジしてもらうためにクラス設定を工夫している。脚力別や年齢別を筆頭に、自転車の種別クラスとして「鉄の 漢おとこクラス」や「E-BIKE クラス」、さらにはタンデムや小径車のクラスも。そして2021年からはアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツやキャラクターをモチーフにしたコスプレやサイクルジャージ着用、仮装を参加条件とした「キャラクターヒルクライム部門」も同時開催されている(キャラヒル部門については、別主催による運営)。
大会当日は連日の夏日から一転し、朝から霧が深く視界が悪い状況。ときどき小雨が降り路面も濡れ、かなり肌寒いコンディション。そのなかで小学生クラスとタンデムクラス以外の参加選手たちがゴール地点のアネスト岩田スカイラウンジ前の集合場所に集まってくる。この箱根ヒルクライムでは、スタート地点へ向かいコースを下山してから、再びコースを登っていく手順となる。朝8時の下山開始を前にリーグ登録選手達は元気いっぱい!バイクとスタッフ自転車の安全管理誘導で、ブロックごとに分かれて下山を開始した。
この後、第1スタートとなる男子チャンピオン、高校生、そしてリーグ対象レースとなる女子チャンピオンと中学生が9時半に同時スタート。コースの特性上、レース展開が分かる地点にいられなかったためゴール地点でスタンバイ。しばらくすると深い霧のなかから、男子チャンピオンクラスの優勝選手がゴール。そこから、あまり時を置かずにNリーグの中学生男子Nが対象となっている中学生クラスのトップが見えてきたが、なんと2人のゴールスプリント争いとなり、ヒルクライムらしからぬ接戦にゴール地点は非常に盛り上がった。
そんな振り絞った熱いスプリントの結果、中学生クラスの優勝は柬理日楠詩(TeamFITTE)でタイムは50分05秒、2位の西澤崇介(Vite Jambe)とのタイム差はわずか0.063秒であった。3位にはShonan.Vertex.Racingの松原圭佑が入り、4位のKinan Racing Team MIE juniorの木村孔南までが50分台のタイムであった。現在ランキング2位につけている渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)は7位に沈み、念願のバトルマリンジャージ獲得は次戦以降へ持ち越しとなった。
前週の9月26日に開催されたJBCF第5回まえばし赤城山ヒルクライム・Y クラスで優勝をし、今回も調子の良いところを見せた柬理選手に、どんな準備をしてレースに臨んだのか?を聞いてみると「学校で駅伝とかがあって、あまり練習ができなかったんですが、そんな状態でも自分のコンディションを精一杯出せるようになんとか1週間前ぐらいから調子を整えるように頑張りました」と語った。
レース前にコースを下山してスタート地点に向かうという状況には「スタート前で1時間ぐらい待機だったので何もできなくて、脚が冷え切ってしまってからのスタートで最初は力が出ず、何も・・・。(レース前の)準備ができてなくて補給のゼリーを飲むぐらいでした」とスタートからの滑り出しは良くなかったようだ。
そんな柬理の動きに対して、バトルマリンジャージを守る立場である⻄澤選手は「(ペダルを)ブン回すしかない!と。気合と根性で走りました」と自身がヒルクライムを苦手としているのを自覚し「山を中心に練習をしたので、その成果が表れたと思います」とレース前に対策をしていたそうだ。
この中学生クラスのレースで4人の先頭集団に絞られたなか、柬理が単独で飛び出し「200mの看板の所までは1人で先行していたので、逃げ切れたと思ったら、メチャメチャ⻄澤選手が伸びてきて」とゴール前の攻防を振り返る。その単独で先行する柬理を捕らえられそうな位置まで追い込めた西澤だが「仕掛けるのが一歩遅かった」と言うように、あとわずかで差し切れる距離まできたが柬理を捕らえられなかった。
そしてヒルクライムでは珍しいゴールスプリントとなって逃げ切った柬理選手が優勝に輝き、リーグランキングの最大ポイント28を獲得。自身の獲得ポイントを118までに増やした。次戦の大磯クリテリウム3連戦に向けては「まずは勝ちたいです!そのためにもレースに向けて、しっかりと準備をしてバトルマリンジャージ獲得するために頑張ります!」と意気込みを語った。
一方、苦手なヒルクライムを2位という好成績で終えた西澤は、バトルマリンジャージは守れたもののレースで勝てなかった悔しさから「(今回の)反省点です。次は(優勝のため)頑張ります!」と何度も自分に言い聞かせるようにコメントするのが印象的で、次戦では「仕掛けるタイミングを見計らって、迷わずスプリントに絡むようにします!」と、この日は目の前で逃してしまった優勝を奪回することを誓った。
そして今シーズンのNリーグ対象レースにおいて大活躍、ヒルクライムだけでなくクリテリウムも好成績を上げている高橋 祐樹(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)にもコメントをもらった。今回は不運にもゴールを目前にパンクに見舞われるアクシデントに襲われ「ダンシングしていたらパンクしてしまって」と言いつつも、ゴールまでランニングで登り6位に滑り込み、最新リーグランキングでは4位に浮上することができた。次戦については「最近スプリントで絡めてないので、タイミングを見極めて優勝したいと思います!」とリベンジを誓った。
QリーグとNリーグ中学生女子NWが対象となる女子チャンピオンでは、現在バトルマリンジャージ保持者である岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェン U15)が優勝。「レース前に予想していたタイムよりも早くゴール出来た!」と笑顔でゴールを果たした岡田選手。ゴール後に想定していたタイムについて聞くと「1時間20分を切れていればいいかな?と思っていました」とのことで、ゴールタイム1時間8分18の女子チャンピオンクラス優勝は、非常に嬉しい結果となった。
ゴール地点は朝から霧深く、スタート地点では雨となって肌寒い状況だったことを考えていたようで「スタートで時間があるので防寒着とかを準備して、とにかく体を冷やさないようにしました」と、しっかりと準備を整えていた模様。
そんな中、男子チャンピオンなど速いペースのクラスと混ざってスタートとなったことについては「落ち着いて、自分のペースで走るようにしました」と終始マイペースで走れたようだった。前戦の「しもふさクリテリウム 9月」ではスタミナ不足を克服したい、と語っていたが「今回は登りの乗り方を少し変えて練習をして、その通りに走れたので良かったです」と手応えを感じたようだ。次戦では「今回がけっこう良かったので、次のレースに繋げたいです」と意欲を見せた。
photo:k.kazuma、Kensuke Yada、QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QN リーグ事務局)
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