やはり今年も世界王者には誰もついていけなかった。「白い道」が舞台のストラーデビアンケで、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が残り79.6kmから独走。3連覇と共に、大会最多となる4勝目を手に入れた。



今季初レースで大会3連覇を目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ストラーデビアンケ2026 コースプロフィール image:RCS Media group
年々難易度が高まっていたストラーデビアンケは今年、その難易度を大きく下げた。全長は213kmから203kmへ短縮され、未舗装路区間は16セクターから14セクターに減少。「白い道」の総距離も82kmから66kmと短くなった。しかし変更されたのはあくまでもコース前半部分であり、第6セクターであるサン・マルティーノ・イン・グラニア(距離9.4km)からは昨年と同じ。そのため獲得標高差も4,100mに達するタフなレイアウトであることには変わらない。

トスカーナ州中部、スタート地点である世界遺産の街シエナに集った選手たちのなかで、先頭でスタートを待ったのは3連覇を目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)だ。アシストのイサーク・デルトロ(メキシコ)を横にしながら今季初レースを走り出す。「白い道」を舞台とした争いは序盤から激しいアタックが繰り広げられ、序盤3つの未舗装路セクターを要し、最終的に9名による逃げ集団が形成された。

今年バーレーン・ヴィクトリアスからイネオス・グレナディアーズに移ったジャック・ヘイグ(オーストラリア)やパトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック)など経験豊富な選手が揃った逃げだったが、UAEチームエミレーツXRGが先導するメイン集団を相手に最大2分しか得られない。さらに立て続けに設定された第4、5セクターに入るとその差は早くも縮まる。しかしその後の舗装路でプロトンのペースが緩んだため、一時は90秒まで持ち直した。

パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック)らベテランの入った9名の逃げ集団 photo:CorVos

逃げを容認し、白い道を進むプロトン photo:CorVos

第6セクターのサン・マルティーノ・イン・グラニアに入るとプロトンの速度が再び上がる。UAEは集団の人数を減らしながら、その後続く勝負所のモンテ・サンテ・マリエに突入。集団牽引はフロリアン・フェルミールス(ベルギー)からヤン・クリステン(スイス)に引き継がれ、その後ろにポガチャル、さらにデルトロが土埃のなかをついていく。そして残り83km地点で逃げを吸収し、残り80km地点からポガチャルが先頭でペースを上げた。

その背後に唯一つけたのはトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)。しかし昨年の二人旅の再現とはならず、2023年覇者をポガチャルは残り79.6kmで振り切り、今年も世界王者による単独走が始まった。

2度のチェーン落ちに見舞われ、一気にスピードを失ったピドコックだったが、何とか第2追走集団でリズムを取り戻す。独走を始めたポガチャルに何とか追いつこうと踏み続けたのは、19歳のポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)とマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)、そしてこの2名をマークするデルトロ。先にジョーゲンソンが遅れ、デルトロもドロップ。唯一セクサスが粘ってポガチャルに迫ったものの、その背後につくまでには至らなかった。

残り80km地点から仕掛け、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が単独先頭に立つ photo:CorVos

ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)の単独だった追走は徐々に人数を増やしていった photo:CorVos

白地に背面がアルカンシエルカラーのヘルメットで染め上げた金髪を隠すポガチャルは、今季初レースとは思えない安定したペースで後続との差を拡大していく。単独追走していたセクサスにはデルトロが追いつき、ピドコックやジョーゲンソンも合流。さらにベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)やロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJユナイテッド)といった有力勢も加わり、強力な追走グループが形成された。

しかし、その頃にポガチャルはリードを1分10秒まで拡大。そして昨年、落車した第9セクター「コッレ・ピンツート」の入口直前にある左コーナーをクリア。直後に右手でペースを落とすジェスチャーをする余裕を見せながら、自身の通算3勝を称えられ「タデイ・ポガチャル・セクター」と名付けられた「コッレ・ピンツート」に入っても、後続との差は縮まるどころか、2分弱まで拡大していった。

淡々と踏み続け、リードを積み重ねていくタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
大観衆のなかを縫うように進むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos


笑顔でサンタカテリーナ通りの石畳坂を登っていくタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

15名まで増えた追走集団では、ヒーリーが沿道の観客と接触するトラブルもあるなか、ピドコックが飛び出す。そこにセクサスやデルトロが反応し、5名は第1追走集団を形成。しかしポガチャルの姿を捉えることはなく、世界王者はサンタカテリーナ通りの石畳坂を悠々と登り、両手を広げながらカンポ広場のフィニッシュラインに到着。大観衆のなか、3年連続となる勝利を味わった。

今年も独走を決め、3連覇を決めたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

2022年の初優勝から1年を空け、2024年からの3連覇を達成。そして最多記録となる4度目の優勝を挙げたポガチャルは、「スタートからフィニッシュまで、チームの全員がしっかりと役割を果たしてくれた。そのことが嬉しいし、誇りに思う。僕らは素晴らしい走りをし、このチームでなければこんな走りはできなかった」と仲間を称えた。コース前半の未舗装路区間が減ったこともあり、平均時速は過去最高となる42.699km/hをマーク。これまでの記録だった昨年の40.705km/hを大きく上回るハイスピードレースとなった。

ポガチャルに遅れること1分後、2番目にフィニッシュしたのは2度目のコッレ・ピンツートで追走集団を飛び出し、サンタカテリーナ通りでデルトロを引き離したセクサス。初出場の19歳が、その才能を示す堂々の2位を掴み取った。そして3位には、ライバルたちの動きに反応し続け、間接的にポガチャルをアシストしたデルトロが入った。UAEは6位にクリステンも入る、大成功のストラーデビアンケとなった。

デルトロを引き離し、単独2位でフィニッシュしたポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos
デルトロと勝利を喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Media group


最多となる4度目の制覇を達成したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

選手たちのコメントは別記事にてお伝えします。
ストラーデビアンケ2026結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 4:45:15
2位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) +1:00
3位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +1:09
4位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +2:04
5位 ジャンニ・フェルミールス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ヤン・クリステン(スイス、UAEチームエミレーツXRG) +2:07
7位 トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +2:14
8位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +2:20
9位 アンドレアス・クロン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) +3:46
10位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos