2024/08/04(日) - 17:00
ジップからグラベルに最適化されたカーボンホイールとして303 XPLRが登場。40mm幅タイヤに最適化されたワイドリムが更なる低圧運用を実現。グラベルライドの可能性を拡げる新世代ホイールだ。
スラムの新型グラベルコンポーネントRED XPLR AXSの登場に合わせ、ジップも新たにグラベルホイール"303 XPLR"をリリース。高速化するグラベルレースを制するために独自の知見を盛り込んだ、ジップ渾身の一作だ。
この303 XPLRの開発にあたり、ジップは既存のグラベルホイールの問題点を洗い出した。ジップ曰く、グラベルホイールとして使われているものは単なる太めのロードホイールであり、主流となる40~45mm幅のタイヤとのマッチングを真剣に考えられていない現状がある。
既存のホイールでは40mmタイヤを装着した際に外側に大きくタイヤが張り出すことでエアロ性能を阻害する。そしてタイヤが捻じれやすいため低圧運用の妨げとなり、コントロール性にも影響を及ぼしていた。
空力性能の低下、そしてコントロール性能の悪化という2つのデメリットを解決するため、ジップは303 XPLRの開発にあたり、40mmタイヤを前提にリム形状を設計した。
その結果導き出されたのは内幅32mmというスーパーワイドなリムプロファイル。40mm幅のタイヤを装着するとサイドウォールがタイヤとツライチになるリム形状は、タイヤからリムにかけての空気の流れを整え、エアロダイナミクスを向上させる。
世界最大のグラベルレースであるアンバウンドグラベルは、2006年優勝者の平均スピードが約25km/hだったのに対し、今年は約35km/hまでスピードアップしているという事実が示すように、年々高速化が進むグラベルレースで栄光を掴むためにエアロダイナミクスは必須の要素となりつつある。
グラベルにおいてスピードを維持するために、もう一つ重要となるのが振動減衰力だ。荒れた路面になればなるほど、同じスピードを維持するのに大きな力が必要となる。ジップが段差をつけたトレッドミル、通称"ローリングロード"を用いてテストを行った結果、18km/hで、スムースな路面に比べて荒れたグラベルは+60W、32km/hでは+110Wもの出力が必要となったという。
そのロスを減らすことが出来るのが振動吸収性の向上だ。そして、振動吸収性に特に大きな影響を与えるのがタイヤの空気圧である。ジップはタイヤの空気圧毎に、荒れたグラベルで32km/hで走行時に、スムースな路面から追加で必要となる出力を計測。
その結果、2.7barでは約112Wが必要となり、2.3barで約106W、1.9barで約100W、1.2bar~1.5barで約96Wと減少していく。なお、これ以下になるとタイヤ自体の転がり抵抗の影響が大きくなるため再び必要出力が大きくなっていくという。
しかし、これまで主流であった内幅25mm程度のグラベルホイールでは、約2.4bar以下のセッティングにするとタイヤが歪んでコントロール性が失われ、実用的ではなかった。ジップがサポートするアスリートの多くも2.4~2.8barでのセッティングを採用しているという。しかし、スピードという側面から見れば、理想的な空気圧はもっと低いということだ。
それを可能とするのが、303 XPLRのスーパーワイドなリムデザインだ。タイヤを支える底辺が広がることで、タイヤのねじれを抑制。1.2bar程度の低圧で運用しても、タイヤがよれづらく安定したコントロール性を確保できる。もちろん、低圧運用のメリットはスピードだけではなく、トラクションや快適性の向上にもつながり、ライド全体の安定感にも寄与するだろう。
一方、低圧運用で生まれるリスクがリム打ちパンク。岩などの障害物と、リムの間にタイヤを挟み込んでしまうことで穴が開いてしまうパンクだが、303 XPLRはリムフランジ部を分厚く設計することでパンクリスクの低減を図っている。
303 FIRECRESTと比較すると77%も厚い3.9mm幅とされた上、よりフラットな形状とすることで圧力を分散できる設計とされている。
これまでにないワイドなリムデザインによってグラベルホイールの新基準を示した303 XPLRには、2つのグレードが用意される。
上位機種の303 XPLR SWはFirecrestシリーズと同じくディンプルが設けれられたリムが特徴。ハブもFirecrestと同じ、ZR1ハブを搭載している。外幅40m/54mmハイトの大ボリュームなリムながら、ペアで1,496g(バルブ、テープ込)と軽量にしあがり、グラベルレーシングホイールとして隙の無いモデルとなっている。価格はフロントが185,700円、リアが203,700円(共に税込)。
スタンダードモデルとなるのが303 XPLR S。こちらは、ディンプル加工のないプレーンなリムと、76/176ハブを採用することで、手に取りやすい価格を実現した。重量は1,642gとなるが、リムのボリュームを考えれば十分に軽量に仕上げられていると言えるだろう。価格はフロントが116,100円、リアが133,100円(共に税込)。
様々なメリットを有する303 XPLRだが、一つ注意点が存在する。それがタイヤとのマッチングだ。リムの寸法はISO 622x32 TSS規格に準拠しており、ISOとしての推奨タイヤサイズは58~84mmとなっている。つまり、ジップが推奨する40~60mmはISO規格から外れているのだ。
このため、ジップは独自に安全性を検証した互換タイヤのリストを作成。ジップ、そして各タイヤメーカーがそれぞれ独立したテストを行い、クリアした製品のみが互換性チャートに記載されている。
現在利用可能なタイヤとなるのが、ジップのG40、シュワルベ G-ONEシリーズの40mm幅以上のモデル、そしてこの303 XPLRのためにグッドイヤーが開発したXPLRシリーズの計25モデルだ。
グッドイヤ―が303XPLR専用タイヤとして開発したXPLRシリーズは、異なるトレッドパターンの2モデルが展開。一つがセンタースリックで転がり抵抗を抑え、舗装路から比較的綺麗な路面のグラベルを想定したXPLR SLICKだ。こちらは装着時に40mm幅となるよう設計されている。
もう一つがより荒れた路面のグラベルや、ウェットシーンを想定したXPLR INTER。こちらは全面にノブが配置され、優れたトラクションとグリップを発揮する。INTERはSLICKよりも少し太く、装着時に45mmとなるよう設計されている。
両モデルともにグッドイヤーのダイナミックUHPコンパウンドを採用し、低転がり抵抗を実現。サイドウォールにはM:Wallプロテクションが配置され、高い耐パンク性を確保した。重量はSLICKが455g、INTERが525g。価格はどちらも12,880円(税込)だ。
ジップはグラベルバイクに最適化したハンドルバーも同時にラインアップ。SL-70 XPLRカーボンバーは、5°のフレアと、11°のアウトスイープで、ブラケットよりドロップ部が約60mm広くなり、バイクを抑え込みやすいデザインとなっている。
RED AXSのレバーとベストマッチするデザインとされており、組付/メンテナンスが楽な外装仕様でありながら、バーの裏側に設けられた溝でホースを露出させずにステム内部までルーティング出来るように設計されている。
ドロップ部にはWireless Blipsを固定するためのくぼみが設けられており、RED AXSと最高のマッチングを実現したハンドルバーだ。リーチは70mm、ドロップは115mm。サイズは400mm、420mm、440mm、460mm、480mmが用意される。価格は63,630円(税込)。
ジップ 303 XPLR SW
リム内幅:32mm
リムハイト:50mm
ハブ:ZR1
重量:1,496g
価格:フロント 185,700円、リア 203,700円(共に税込)
ジップ 303 XPLR S
リム内幅:32mm
リムハイト:50mm
ハブ:76/176
重量:1,642g
価格:フロント 116,100円、リア 133,100円(共に税込)
グッドイヤー XPLR SLICK
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x40C
重量:455g
価格:12,880円(税込)
グッドイヤー XPLR INTER
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x45C
重量:525g
価格:12,880円(税込)
ジップ SL-70 XPLR
リーチ:70mm
ドロップ:115mm
サイズ:400mm、420mm、440mm、460mm、480mm
重量:240g(440mm)
価格:63,630円(税込)
スラムの新型グラベルコンポーネントRED XPLR AXSの登場に合わせ、ジップも新たにグラベルホイール"303 XPLR"をリリース。高速化するグラベルレースを制するために独自の知見を盛り込んだ、ジップ渾身の一作だ。
この303 XPLRの開発にあたり、ジップは既存のグラベルホイールの問題点を洗い出した。ジップ曰く、グラベルホイールとして使われているものは単なる太めのロードホイールであり、主流となる40~45mm幅のタイヤとのマッチングを真剣に考えられていない現状がある。
既存のホイールでは40mmタイヤを装着した際に外側に大きくタイヤが張り出すことでエアロ性能を阻害する。そしてタイヤが捻じれやすいため低圧運用の妨げとなり、コントロール性にも影響を及ぼしていた。
空力性能の低下、そしてコントロール性能の悪化という2つのデメリットを解決するため、ジップは303 XPLRの開発にあたり、40mmタイヤを前提にリム形状を設計した。
その結果導き出されたのは内幅32mmというスーパーワイドなリムプロファイル。40mm幅のタイヤを装着するとサイドウォールがタイヤとツライチになるリム形状は、タイヤからリムにかけての空気の流れを整え、エアロダイナミクスを向上させる。
世界最大のグラベルレースであるアンバウンドグラベルは、2006年優勝者の平均スピードが約25km/hだったのに対し、今年は約35km/hまでスピードアップしているという事実が示すように、年々高速化が進むグラベルレースで栄光を掴むためにエアロダイナミクスは必須の要素となりつつある。
グラベルにおいてスピードを維持するために、もう一つ重要となるのが振動減衰力だ。荒れた路面になればなるほど、同じスピードを維持するのに大きな力が必要となる。ジップが段差をつけたトレッドミル、通称"ローリングロード"を用いてテストを行った結果、18km/hで、スムースな路面に比べて荒れたグラベルは+60W、32km/hでは+110Wもの出力が必要となったという。
そのロスを減らすことが出来るのが振動吸収性の向上だ。そして、振動吸収性に特に大きな影響を与えるのがタイヤの空気圧である。ジップはタイヤの空気圧毎に、荒れたグラベルで32km/hで走行時に、スムースな路面から追加で必要となる出力を計測。
その結果、2.7barでは約112Wが必要となり、2.3barで約106W、1.9barで約100W、1.2bar~1.5barで約96Wと減少していく。なお、これ以下になるとタイヤ自体の転がり抵抗の影響が大きくなるため再び必要出力が大きくなっていくという。
しかし、これまで主流であった内幅25mm程度のグラベルホイールでは、約2.4bar以下のセッティングにするとタイヤが歪んでコントロール性が失われ、実用的ではなかった。ジップがサポートするアスリートの多くも2.4~2.8barでのセッティングを採用しているという。しかし、スピードという側面から見れば、理想的な空気圧はもっと低いということだ。
それを可能とするのが、303 XPLRのスーパーワイドなリムデザインだ。タイヤを支える底辺が広がることで、タイヤのねじれを抑制。1.2bar程度の低圧で運用しても、タイヤがよれづらく安定したコントロール性を確保できる。もちろん、低圧運用のメリットはスピードだけではなく、トラクションや快適性の向上にもつながり、ライド全体の安定感にも寄与するだろう。
一方、低圧運用で生まれるリスクがリム打ちパンク。岩などの障害物と、リムの間にタイヤを挟み込んでしまうことで穴が開いてしまうパンクだが、303 XPLRはリムフランジ部を分厚く設計することでパンクリスクの低減を図っている。
303 FIRECRESTと比較すると77%も厚い3.9mm幅とされた上、よりフラットな形状とすることで圧力を分散できる設計とされている。
これまでにないワイドなリムデザインによってグラベルホイールの新基準を示した303 XPLRには、2つのグレードが用意される。
上位機種の303 XPLR SWはFirecrestシリーズと同じくディンプルが設けれられたリムが特徴。ハブもFirecrestと同じ、ZR1ハブを搭載している。外幅40m/54mmハイトの大ボリュームなリムながら、ペアで1,496g(バルブ、テープ込)と軽量にしあがり、グラベルレーシングホイールとして隙の無いモデルとなっている。価格はフロントが185,700円、リアが203,700円(共に税込)。
スタンダードモデルとなるのが303 XPLR S。こちらは、ディンプル加工のないプレーンなリムと、76/176ハブを採用することで、手に取りやすい価格を実現した。重量は1,642gとなるが、リムのボリュームを考えれば十分に軽量に仕上げられていると言えるだろう。価格はフロントが116,100円、リアが133,100円(共に税込)。
様々なメリットを有する303 XPLRだが、一つ注意点が存在する。それがタイヤとのマッチングだ。リムの寸法はISO 622x32 TSS規格に準拠しており、ISOとしての推奨タイヤサイズは58~84mmとなっている。つまり、ジップが推奨する40~60mmはISO規格から外れているのだ。
このため、ジップは独自に安全性を検証した互換タイヤのリストを作成。ジップ、そして各タイヤメーカーがそれぞれ独立したテストを行い、クリアした製品のみが互換性チャートに記載されている。
現在利用可能なタイヤとなるのが、ジップのG40、シュワルベ G-ONEシリーズの40mm幅以上のモデル、そしてこの303 XPLRのためにグッドイヤーが開発したXPLRシリーズの計25モデルだ。
グッドイヤ―が303XPLR専用タイヤとして開発したXPLRシリーズは、異なるトレッドパターンの2モデルが展開。一つがセンタースリックで転がり抵抗を抑え、舗装路から比較的綺麗な路面のグラベルを想定したXPLR SLICKだ。こちらは装着時に40mm幅となるよう設計されている。
もう一つがより荒れた路面のグラベルや、ウェットシーンを想定したXPLR INTER。こちらは全面にノブが配置され、優れたトラクションとグリップを発揮する。INTERはSLICKよりも少し太く、装着時に45mmとなるよう設計されている。
両モデルともにグッドイヤーのダイナミックUHPコンパウンドを採用し、低転がり抵抗を実現。サイドウォールにはM:Wallプロテクションが配置され、高い耐パンク性を確保した。重量はSLICKが455g、INTERが525g。価格はどちらも12,880円(税込)だ。
ジップはグラベルバイクに最適化したハンドルバーも同時にラインアップ。SL-70 XPLRカーボンバーは、5°のフレアと、11°のアウトスイープで、ブラケットよりドロップ部が約60mm広くなり、バイクを抑え込みやすいデザインとなっている。
RED AXSのレバーとベストマッチするデザインとされており、組付/メンテナンスが楽な外装仕様でありながら、バーの裏側に設けられた溝でホースを露出させずにステム内部までルーティング出来るように設計されている。
ドロップ部にはWireless Blipsを固定するためのくぼみが設けられており、RED AXSと最高のマッチングを実現したハンドルバーだ。リーチは70mm、ドロップは115mm。サイズは400mm、420mm、440mm、460mm、480mmが用意される。価格は63,630円(税込)。
ジップ 303 XPLR SW
リム内幅:32mm
リムハイト:50mm
ハブ:ZR1
重量:1,496g
価格:フロント 185,700円、リア 203,700円(共に税込)
ジップ 303 XPLR S
リム内幅:32mm
リムハイト:50mm
ハブ:76/176
重量:1,642g
価格:フロント 116,100円、リア 133,100円(共に税込)
グッドイヤー XPLR SLICK
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x40C
重量:455g
価格:12,880円(税込)
グッドイヤー XPLR INTER
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x45C
重量:525g
価格:12,880円(税込)
ジップ SL-70 XPLR
リーチ:70mm
ドロップ:115mm
サイズ:400mm、420mm、440mm、460mm、480mm
重量:240g(440mm)
価格:63,630円(税込)
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