2024/02/26(月) - 09:00
残り2kmでアタックしたレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)が、最終山岳ジュベルハフィートを制したUAEツアー7日目。ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)を僅か2秒差上回り、22歳のファンイートヴェルトが総合優勝に輝いた。
第6回UAEツアーの最終第7ステージは、アラブ首長国連邦の第二の都市アル・アインを出発してジュベルハフィートを登る161km。登坂距離10.8km/平均6.6%のジュベルハフィートまで続くコースは市街地と砂漠地帯を巡る平坦路のため、中東ならではのシンプルかつ極端なレイアウトで大会最終日は争われた。
黒い中間スプリントジャージを着るマーク・スチュワート(イギリス、コラテック・ヴィーニファンティーニ)が今大会4度目の逃げに乗った集団は4名。その中にはドイツ王者でクライマーのエマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)やアルペシン・ドゥクーニンクの2名も入り、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団に最大8分のリードを得た。
一方のプロトンではこの日、強い横風により2度の集団分断が発生する。1度目は残り73km、2度目は残り58kmで起こり、これにペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)など総合勢も遅れたものの、残り35kmで無事合流を果たす。そして逃げ集団の牽引役に徹したヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)を除く3名が、プロトンから1分15秒のリードでジュベルハフィートに突入した。
最大の優勝候補であったアダム・イェーツ(イギリス)を落車リタイアで失っているUAEチームエミレーツは、総合首位ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)のためプロトン前方に位置を取る。そしてUAEと共にエシュロン(横風分断)を仕掛けたデカトロンAG2Rラモンディアルも、11秒差で総合2位につけるベン・オコーナー(オーストラリア)のために集団を牽引。ブッフマンが単独となったレース先頭を追いかけた。
ジュベルハフィートの登り口からデカトロンによるハイペースを刻んだ結果、総合3位(+13秒)のブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が早くも脱落する。そしてリーダージャージを着るヴァインまでもが遅れ、崩壊状態となったUAEを尻目にバーレーン・ヴィクトリアスやアスタナ・カザクスタンも牽引に加わった。
各チームのアシストが役割を終え、人数の絞られた集団とブッフマンとの差は30秒。頂上まで残り4kmを切ってエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)の加速からアタック合戦が始まり、オコーナーやビルバオ、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)、マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)などが矢継ぎ早にペースアップを繰り返す。そして残り3kmでブッフマンが飲み込まれ、更にアタック合戦は激化した。
インターバルのように続く加減速にレース先頭は8名まで絞られ、勾配が緩やかになった区間でマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)が飛び出す。それに22歳のレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)とヤングライダー賞ジャージを着るイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が追従。この3名をオコーナーやビルバオたちが捉える直前に、ファンイートヴェルトが仕掛けた。
ダンシングで一気に後続と差をつけたファンイートヴェルトは、時折後ろを振り返りながら軽快に飛ばす。一方の後続は各チームのエース同士が牽制に入ったため、協調態勢を築くことができない。そしてスタート時点で総合9位(+37秒)だったファンイートヴェルトは、区間優勝と総合優勝の可能性を懸けて踏み続け、フィニッシュ地点に到達。自身初となるワールドツアーでの勝利を手に入れた。
ヴァインが遅れたためバーチャル総合リーダーだったオコーナーはそれから22秒後にフィニッシュ。区間3位で-4秒のボーナスタイムを得たものの、同じく-10秒を加算したファンイートヴェルトが総合で2秒上回り、第6回UAEツアーの総合優勝に輝いた。
「横風分断で第2グループに取り残された時は”僕のレースは終わった”と思った。だが幸運にも集団復帰することができ、脚の調子が良かったので全力を尽くした。後悔を残したくなかったので残り2km地点でアタックした。拡がっていく差を見た時は信じられなかったよ。この勝利が信じられず、また総合優勝を聞かされた瞬間は本当に嬉しかった」と、表彰式で赤いリーダージャージに袖を通したファンイートヴェルトは喜んだ。
ロット・デスティニーの下部チーム出身で、プロ2年目のファンイートヴェルトは22歳。昨年は2クラスながらもフランスのアルプ・イゼール・ツールで総合優勝し、初出場したブエルタ・ア・エスパーニャでは山岳ステージで区間3位に入った、ベルギー注目の若手クライマーだ。
第6回UAEツアーの最終第7ステージは、アラブ首長国連邦の第二の都市アル・アインを出発してジュベルハフィートを登る161km。登坂距離10.8km/平均6.6%のジュベルハフィートまで続くコースは市街地と砂漠地帯を巡る平坦路のため、中東ならではのシンプルかつ極端なレイアウトで大会最終日は争われた。
黒い中間スプリントジャージを着るマーク・スチュワート(イギリス、コラテック・ヴィーニファンティーニ)が今大会4度目の逃げに乗った集団は4名。その中にはドイツ王者でクライマーのエマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)やアルペシン・ドゥクーニンクの2名も入り、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団に最大8分のリードを得た。
一方のプロトンではこの日、強い横風により2度の集団分断が発生する。1度目は残り73km、2度目は残り58kmで起こり、これにペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)など総合勢も遅れたものの、残り35kmで無事合流を果たす。そして逃げ集団の牽引役に徹したヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)を除く3名が、プロトンから1分15秒のリードでジュベルハフィートに突入した。
最大の優勝候補であったアダム・イェーツ(イギリス)を落車リタイアで失っているUAEチームエミレーツは、総合首位ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)のためプロトン前方に位置を取る。そしてUAEと共にエシュロン(横風分断)を仕掛けたデカトロンAG2Rラモンディアルも、11秒差で総合2位につけるベン・オコーナー(オーストラリア)のために集団を牽引。ブッフマンが単独となったレース先頭を追いかけた。
ジュベルハフィートの登り口からデカトロンによるハイペースを刻んだ結果、総合3位(+13秒)のブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が早くも脱落する。そしてリーダージャージを着るヴァインまでもが遅れ、崩壊状態となったUAEを尻目にバーレーン・ヴィクトリアスやアスタナ・カザクスタンも牽引に加わった。
各チームのアシストが役割を終え、人数の絞られた集団とブッフマンとの差は30秒。頂上まで残り4kmを切ってエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)の加速からアタック合戦が始まり、オコーナーやビルバオ、カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)、マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)などが矢継ぎ早にペースアップを繰り返す。そして残り3kmでブッフマンが飲み込まれ、更にアタック合戦は激化した。
インターバルのように続く加減速にレース先頭は8名まで絞られ、勾配が緩やかになった区間でマイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング)が飛び出す。それに22歳のレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)とヤングライダー賞ジャージを着るイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が追従。この3名をオコーナーやビルバオたちが捉える直前に、ファンイートヴェルトが仕掛けた。
ダンシングで一気に後続と差をつけたファンイートヴェルトは、時折後ろを振り返りながら軽快に飛ばす。一方の後続は各チームのエース同士が牽制に入ったため、協調態勢を築くことができない。そしてスタート時点で総合9位(+37秒)だったファンイートヴェルトは、区間優勝と総合優勝の可能性を懸けて踏み続け、フィニッシュ地点に到達。自身初となるワールドツアーでの勝利を手に入れた。
ヴァインが遅れたためバーチャル総合リーダーだったオコーナーはそれから22秒後にフィニッシュ。区間3位で-4秒のボーナスタイムを得たものの、同じく-10秒を加算したファンイートヴェルトが総合で2秒上回り、第6回UAEツアーの総合優勝に輝いた。
「横風分断で第2グループに取り残された時は”僕のレースは終わった”と思った。だが幸運にも集団復帰することができ、脚の調子が良かったので全力を尽くした。後悔を残したくなかったので残り2km地点でアタックした。拡がっていく差を見た時は信じられなかったよ。この勝利が信じられず、また総合優勝を聞かされた瞬間は本当に嬉しかった」と、表彰式で赤いリーダージャージに袖を通したファンイートヴェルトは喜んだ。
ロット・デスティニーの下部チーム出身で、プロ2年目のファンイートヴェルトは22歳。昨年は2クラスながらもフランスのアルプ・イゼール・ツールで総合優勝し、初出場したブエルタ・ア・エスパーニャでは山岳ステージで区間3位に入った、ベルギー注目の若手クライマーだ。
UAEツアー2024第7ステージ結果
1位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | 3:38:28 |
2位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:22 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
4位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | |
5位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
6位 | カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) | |
7位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:27 |
8位 | ブランドン・リベラ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:38 |
9位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | バルト・レメン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:47 |
32位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +4:12 |
個人総合成績
1位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | 22:31:18 |
2位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:02 |
3位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:11 |
4位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:21 |
5位 | アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:34 |
6位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +0:36 |
7位 | マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +0:55 |
8位 | ブランドン・リベラ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +1:00 |
9位 | カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) | +1:09 |
10位 | バルト・レメン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:13 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
ヤングライダー賞 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) |
チーム総合成績 | リドル・トレック |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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