今大会2度目の集団スプリントで締めくくられたサントス・ツアー・ダウンアンダー第3ステージは、再びボーラ・ハンスグローエのチーム力が炸裂。サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が区間2勝目を掴み、ルーク・プラップが落車によりリタイアを選んでいる。



チーム復帰後、ワールドツアー初勝利を願うカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

真夏のオーストラリアを舞台としたサントス・ツアー・ダウンアンダー第3ステージは、ティーツリーガリーからキャンベルタウンまでの145.3kmで争われた。序盤に2つの低難易度なカテゴリー山岳を越え、勾配の緩やかな丘陵地帯を通り平坦路にフィニッシュするため集団スプリントが大方の予想となった。

前日にメキシコ人として大会初勝利を掴み、オレンジ色のリーダージャージを着るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)を先頭にスタートする。直後に山岳賞ジャージを切るルーク・バーンズが、同じチームブリッジレーン所属で共にオーストラリアナショナルチームとして走るトリスタン・サンダースとアタック。狙い通り序盤に訪れる3級山岳、4級山岳をバーンズがトップ通過した。

山岳賞キープに成功したルーク・バーンズ(オーストラリアナショナルチーム) photo:CorVos

山岳ポイントを加算して山岳賞ジャージの保持に成功したバーンズとサンダースには、ステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)とアクセル・マリオー(フランス、コフィディス)が合流して先頭は4名に。しかし山岳が終わるとバーンズがメイン集団に戻り、デボッドとの中間スプリント対決で2連勝したマリオーもデボッドと共にプロトンに帰還。そのため先頭は23歳サンダースの単独となった。

集団スプリントに向け穏やかな雰囲気漂うメイン集団は、大会初日でチーム力を披露したボーラ・ハンスグローエやリーダーチームのUAEチームエミレーツがコントロールする。そして残り30kmでサンダースを捉え、徐々にスピードの増すプロトンで落車が発生した。

残り13km地点で地面に叩きつけられたのはアスタナ・カザフスタンのクリスティアン・スカローニやミケーレ・ガッツォーリ、サムエーレ・バティステッラ(いずれもイタリア)といった選手たち。さらにそこにオーストラリア王者のルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー)も巻き込まれ、皆骨折など大きな怪我はなくフィニッシュに辿り着いている。

前日勝者で総合首位につけるイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
トレードマークの短パンを封印し、連日カメラモトから撮影する辻啓氏 photo:CorVos


コース上には昨年末に交通事故で死去した元選手、メリッサ・デニス(旧姓ホスキンス)の写真が飾られた photo:CorVos

スプリント体制に入った集団の先頭に立ったのは、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)の安全を確保したいスーダル・クイックステップ。続いて残り1km手前からボーラ・ハンスグローエがプロトンの速度を上げ、ベン・ツィーホフ(ドイツ)からのダニー・ファンポッペル(オランダ)にリードアウトが引き継がれた。

そして残り150mからサム・ウェルスフォード(オーストラリア)がスプリントを開始。カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が集団に埋もれるなか、ウェルスフォードの背後についたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)のスプリントも届かない。そしてフィニッシュ手前で後方を確認する余裕さえ見せたウェルスフォードが、地元オーストラリアで区間2勝目を手に入れた。

大会2勝目を飾ったサム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

圧巻のチーム力で再び勝利を掴んだサム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

大会初日の再現のごとく、圧巻のチーム力でライバルたちを退けたウェルスフォード。「2勝目なんて本当に信じられない。チームメイトの走りがただただ素晴らしく、レースを通して僕を風から守ってくれた。終盤のコーナーが狭くトリッキーだったが、僕たちは細心の注意を払ってクリアした。その後はチームメイトが最高の位置まで僕を運んでくれた。地元の観客の前で勝つのは最高の気分だよ」と、ポイント賞ジャージを纏ったウェルスフォードは喜んだ。

落車によってジャージの左側が破れ、広範囲に擦過傷を負ったプラップはなんとかフィニッシュに到達。幸い骨折はなかったものの、その後プラップが第4ステージに出場しない旨を発表している。

落車の影響で、翌日は未出走となったルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos
サントス・ツアー・ダウンアンダー2024第3ステージ
1位 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) 3:20:42
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
3位 ダニエル・マクレー(イギリス、アルケアB&Bホテルズ)
4位 ローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ)
5位 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザフスタン)
6位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
7位 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
8位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)
9位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
10位 エミルス・リエピンシュ(ラトビア、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ) 10:16:04
2位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) +0:02
3位 アクセル・マリオー(フランス、コフィディス) +0:05
4位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:07
5位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
6位 ステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)
7位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:08
8位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)
9位 ルイ・バレ(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +0:09
10位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:10
その他の特別賞
ポイント賞 サム・ウェルスフォード(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
山岳賞 ルーク・バーンズ(オーストラリアナショナルチーム)
ヤングライダー賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 アンテルマルシェ・ワンティ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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