2024/01/14(日) - 14:45
ハイパフォーマンスなカーボンパーツを展開するアメリカンブランド、エンヴィのハイエンドロードホイールである"SES"シリーズがアップデート。ストレートプルスポーク対応の新型ハブを採用し、総合力を高めるモデルチェンジを果たした。
アメリカ・ユタ州に拠点を構えるカーボンパーツブランド、エンヴィ。先進的な設計と、それを支える優れたカーボン成形技術によって生み出されるエンヴィのプロダクト群は、そのどれもがハイレベルなパフォーマンスを発揮する。所有欲をくすぐる優れた質感も相まって、感度の高いサイクリスト達から注目を集める存在だ。
ハンドルやステム、シートポストといったコックピット系パーツやフォーク、そしてフレームまで手掛けるエンヴィだが、やはり同社を代表するプロダクトとして誰もが思い浮かべるのは、カーボンホイールではないだろうか。
中でも、エンヴィのロードホイールラインアップの頂点に君臨するのが、ハイエンドモデルとして知られる”SES”シリーズだ。昨シーズンではUAEチームエミレーツに供給を行い、ツールで熱い総合争いを演じたタデイ・ポガチャル(スロベニア)の足元を支えた生粋のレーシングホイールである。
SESとはスマート・エンヴィ・システムの略であり、長年にわたりF1の空力エンジニアリングを手掛けてきたサイモン・スマート氏によって、徹底的な空力デザインを施されてきた。風洞実験の結果だけでなく、現実世界で最速となるホイールというコンセプトを掲げ、前後それぞれで最適化されたリムプロファイルを採用。 前輪は安定性とハンドリング性能を最適にするように、後輪は空気抵抗削減を第一としたデザインを採用していることが特徴だ。
SES 2.3、SES 3.4、SES 4.5、SES 6.7という4モデルが用意され、ヒルクライムからタイムトライアルといった使用シーン、ターマック/グラベルといった路面状況を網羅するラインアップが揃うSESシリーズに、今回ハブおよびスポークに大きなアップデートが加えられることになった。
前作では、トラディショナルなJベンドスポークを採用していたのに対し、新作ではストレートプルスポーク仕様に。より高いスポークテンションに耐えるスペックを手に入れ、横剛性を8~10%向上することに成功。ペダリング効率を向上させつつ、コーナーリング時のパフォーマンスも大幅に改善した。
ホイールの心臓部とも言えるハブは全面的に刷新されており、重量、パワー伝達効率、耐久性が向上。特に大きなアップデートとなるのが、フリーボディの設計変更となる。前作ではID360と名付けられた面ラチェット機構を採用していたが、今作では新たに開発された"INNERDRIVE"システムを採用。面ラチェットという要素はそのままに、大胆に設計を見直すことで大幅な性能向上を果たした。
そのキモとなるのが、これまでにない大径のラチェットギアだ。フリーやハブボディのとのセレーションを一般的な外側ではなく内側に持ってくることで、ベアリングよりも大きな42mm径のギア板を収めることに成功している。この大型ラチェットの採用により、歯にかかる負荷を軽減し耐久性の向上を実現。更に、最大100T(嵌合角3.6度)という細かなノッチオプションも可能に。
踏み出した際の反応速度に直結するラチェット歯数だが、一方で歯数が多くなると空転時の抵抗が大きくなり、またメンテナンス頻度も増加するという影響もある。エンヴィはそのトレードオフに着目し、競技やライディングスタイルに応じて最適な歯数を選べるように40T/9°、60T/6°、80T/4.5°、100T/3.6°という4種類の歯数/嵌合角のラチェットオプションを用意した。
ダウンヒルのような極限の反応性を求められる状況では100T、空転時の抵抗を抑え、メンテナンス間隔も確保したいというライダーには40Tというように選択出来るようになっている。なお、新しいSESシリーズには60Tのラチェットが標準仕様として装着される。
また、ラチェットの保持力が向上しており、リアホイールを外した際にフリーボディが不意に外れ、ラチェット歯やスプリングといったパーツを紛失するリスクも軽減。
更に、以前より採用されてきた自動玉あたり調整機能の"Perfect Preload"システムもアップデートを施され、繊細なパーツを排除することでより信頼性の高いシステムへと進化している。
スポークホールも完全新設計とされ、ストレートプルスポークのねじれを防ぐ形状に。ホイールを組み上げる際にスポークの供回りを防ぎ、均一なスポークテンションの実現に寄与している。左右フランジの形状を煮詰めることで、ドライブ/反ドライブ側のスポーク長も共通となっているため、左右のテンションバランスもほぼ均等となるという。
また、スポーク同士が物理的に接触しないサイレントスポーククロッシングデザインにより、音鳴りを排除しつつスポークのたわみを抑制。優れたパワー伝達効率と静粛性、そしてメンテナンス性を両立するハブ設計となっている。
これらの先進的な設計を採用することで、前作から更なる軽量化を実現。代理店によるハブ単体の実測においてはフロントハブで21g、リアハブで23g、併せて44gのダイエットを果たしている。ホイールセットでの比較においても、ストレートプルスポークの採用によるスポーク長増加分を相殺し余りある軽量化を可能とした。
大きなアップデートを施された新型SESシリーズだが、価格については据え置きとなる。リムハイトの異なるそれぞれのモデルで共通の499,950円(税込)での販売だ。
エンヴィ SES 2.3
リムハイト:フロント28mm、リア32mm
リム内幅:21mm
リム外幅:25mm
重量:1,222g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 3.4
リムハイト:フロント28mm、リア32mm
リム内幅:25mm
リム外幅:32mm
重量:1,380g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 4.5
リムハイト:フロント50mm、リア56mm
リム内幅:25mm
リム外幅:32mm
重量:1,433g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 6.7
リムハイト:フロント60mm、リア67mm
リム内幅:23mm
リム外幅:フロント30mm、リア29mm
重量:1,457g
価格:499,950円(税込)
アメリカ・ユタ州に拠点を構えるカーボンパーツブランド、エンヴィ。先進的な設計と、それを支える優れたカーボン成形技術によって生み出されるエンヴィのプロダクト群は、そのどれもがハイレベルなパフォーマンスを発揮する。所有欲をくすぐる優れた質感も相まって、感度の高いサイクリスト達から注目を集める存在だ。
ハンドルやステム、シートポストといったコックピット系パーツやフォーク、そしてフレームまで手掛けるエンヴィだが、やはり同社を代表するプロダクトとして誰もが思い浮かべるのは、カーボンホイールではないだろうか。
中でも、エンヴィのロードホイールラインアップの頂点に君臨するのが、ハイエンドモデルとして知られる”SES”シリーズだ。昨シーズンではUAEチームエミレーツに供給を行い、ツールで熱い総合争いを演じたタデイ・ポガチャル(スロベニア)の足元を支えた生粋のレーシングホイールである。
SESとはスマート・エンヴィ・システムの略であり、長年にわたりF1の空力エンジニアリングを手掛けてきたサイモン・スマート氏によって、徹底的な空力デザインを施されてきた。風洞実験の結果だけでなく、現実世界で最速となるホイールというコンセプトを掲げ、前後それぞれで最適化されたリムプロファイルを採用。 前輪は安定性とハンドリング性能を最適にするように、後輪は空気抵抗削減を第一としたデザインを採用していることが特徴だ。
SES 2.3、SES 3.4、SES 4.5、SES 6.7という4モデルが用意され、ヒルクライムからタイムトライアルといった使用シーン、ターマック/グラベルといった路面状況を網羅するラインアップが揃うSESシリーズに、今回ハブおよびスポークに大きなアップデートが加えられることになった。
前作では、トラディショナルなJベンドスポークを採用していたのに対し、新作ではストレートプルスポーク仕様に。より高いスポークテンションに耐えるスペックを手に入れ、横剛性を8~10%向上することに成功。ペダリング効率を向上させつつ、コーナーリング時のパフォーマンスも大幅に改善した。
ホイールの心臓部とも言えるハブは全面的に刷新されており、重量、パワー伝達効率、耐久性が向上。特に大きなアップデートとなるのが、フリーボディの設計変更となる。前作ではID360と名付けられた面ラチェット機構を採用していたが、今作では新たに開発された"INNERDRIVE"システムを採用。面ラチェットという要素はそのままに、大胆に設計を見直すことで大幅な性能向上を果たした。
そのキモとなるのが、これまでにない大径のラチェットギアだ。フリーやハブボディのとのセレーションを一般的な外側ではなく内側に持ってくることで、ベアリングよりも大きな42mm径のギア板を収めることに成功している。この大型ラチェットの採用により、歯にかかる負荷を軽減し耐久性の向上を実現。更に、最大100T(嵌合角3.6度)という細かなノッチオプションも可能に。
踏み出した際の反応速度に直結するラチェット歯数だが、一方で歯数が多くなると空転時の抵抗が大きくなり、またメンテナンス頻度も増加するという影響もある。エンヴィはそのトレードオフに着目し、競技やライディングスタイルに応じて最適な歯数を選べるように40T/9°、60T/6°、80T/4.5°、100T/3.6°という4種類の歯数/嵌合角のラチェットオプションを用意した。
ダウンヒルのような極限の反応性を求められる状況では100T、空転時の抵抗を抑え、メンテナンス間隔も確保したいというライダーには40Tというように選択出来るようになっている。なお、新しいSESシリーズには60Tのラチェットが標準仕様として装着される。
また、ラチェットの保持力が向上しており、リアホイールを外した際にフリーボディが不意に外れ、ラチェット歯やスプリングといったパーツを紛失するリスクも軽減。
更に、以前より採用されてきた自動玉あたり調整機能の"Perfect Preload"システムもアップデートを施され、繊細なパーツを排除することでより信頼性の高いシステムへと進化している。
スポークホールも完全新設計とされ、ストレートプルスポークのねじれを防ぐ形状に。ホイールを組み上げる際にスポークの供回りを防ぎ、均一なスポークテンションの実現に寄与している。左右フランジの形状を煮詰めることで、ドライブ/反ドライブ側のスポーク長も共通となっているため、左右のテンションバランスもほぼ均等となるという。
また、スポーク同士が物理的に接触しないサイレントスポーククロッシングデザインにより、音鳴りを排除しつつスポークのたわみを抑制。優れたパワー伝達効率と静粛性、そしてメンテナンス性を両立するハブ設計となっている。
これらの先進的な設計を採用することで、前作から更なる軽量化を実現。代理店によるハブ単体の実測においてはフロントハブで21g、リアハブで23g、併せて44gのダイエットを果たしている。ホイールセットでの比較においても、ストレートプルスポークの採用によるスポーク長増加分を相殺し余りある軽量化を可能とした。
大きなアップデートを施された新型SESシリーズだが、価格については据え置きとなる。リムハイトの異なるそれぞれのモデルで共通の499,950円(税込)での販売だ。
エンヴィ SES 2.3
リムハイト:フロント28mm、リア32mm
リム内幅:21mm
リム外幅:25mm
重量:1,222g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 3.4
リムハイト:フロント28mm、リア32mm
リム内幅:25mm
リム外幅:32mm
重量:1,380g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 4.5
リムハイト:フロント50mm、リア56mm
リム内幅:25mm
リム外幅:32mm
重量:1,433g
価格:499,950円(税込)
エンヴィ SES 6.7
リムハイト:フロント60mm、リア67mm
リム内幅:23mm
リム外幅:フロント30mm、リア29mm
重量:1,457g
価格:499,950円(税込)
リンク
Amazon.co.jp