2022/10/31(月) - 17:47
秋空広がる長野県を駆け巡るエリア周遊型イベント「松本・安曇野サイクルロゲイニング」が、10月22~23日の2日間にわたり開催された。街中に散らばるチェックポイントを制限時間内に回り、稼いだ得点を競うユニークなイベントだ。前編では安曇野エリアの実走レポートと共に、サイクルロゲイニングの基本的な流れをおさらいしていこう。
「サイクルロゲイニング?なんか自転車でスポット巡りするやつでしょ?」と思ったそこのあなた。字面からふんわりイメージは湧くが、実際に参加したことはない、それが多数派ではないだろうか。
その響きから「物好きのマイナーな自転車遊び」という印象を受けるかもしれない。普段レーシング系トピックが多めなシクロワイアードであるが、ぜひ食わず嫌いせず読み進めていただきたい。なぜなら、いざ飛び込むと2日間とも大いに盛り上がり、大成功なイベントであったから。加えて、全国のサイクルツーリズム事業者、地域活性化の担当職員など、イベント開催側の方々にも本レポートが届けば幸いである。
まずは開催1日目、安曇野エリア編からレポートしたい。サイクルロゲイニングの全体像をおさらいしつつ、イベント中に得られた気づきを記そう。
イベント初日、東京駅から始発で北陸新幹線かがやき→特急しなのを乗り継ぎ、松本駅からさらに10kmほど自走して安曇野市を目指した。筆者としても人生初のサイクルロゲイニング、かつ初めての安曇野訪問。早朝の気温10度、少し靄がかった秋空に北アルプスを望む安曇野市防災広場に、サイクリストもといロゲイナーたちが集結した。
まずは基本ルールの解説から。制限時間は11時~16時までの5時間。街に散在するチェックポイント(以下CP)を巡って得たポイント合計を競う。CPはカフェや道の駅、神社から牧場まで多種多様で、獲得ポイントの大小はCPごとに異なる(詳しくは後述)。
CP数は松本、安曇野あわせてなんと70ヶ所、総計7,000ポイントに上る。フルコンプには1時間に14ヶ所回る必要があるが、グランツールレーサーでもそれは難しいだろう。とはいえ、全制覇を目指さずとも十分に楽しめるのでご心配なく。完走後、獲得ポイント順に上位3名に表彰および豪華賞品の贈呈あり。その他、特別賞や参加賞も振る舞われるため、誰にでも景品ゲットのチャンスがある。
CP一覧は当日受付時に渡される紙の地図で初めて明らかにされ、大会前にCPを抜き出してルートを練ることはできない。よって、即興でのルート構築能力、地図読み力、タイムマネジメント能力が試される。当然、地元を知り尽くしたローカルライダーはアドバンテージがあるだろう。
配布されるやいなや、参加者全員無言でマップに釘付けになり、独特な静けさが漂う。その緊張感はまさにレース前のそれ、というのは冗談で、ほとんどが初ロゲイニングの方ばかりでゆるふわした雰囲気だ。本イベントは個人単位での参加となるが、チームを組んだ方がメリットは多そうだ。知恵は多い方が良く、仲間と走れば楽しさも二倍というものだ。実際、ペアや家族での参加が非常に多かった。
CPはスタート地点を東西南北囲むように散りばめられており、初手でどのエリアを攻めるかを試される。ヒルクライム区間の待つ東回りルートか?はたまた、川沿いで走りやすい西側ルートか?マップには写真付きのCP一覧表があり、カタログを読む感覚で行き先を決めてもいいだろう。
全体的な傾向として、スタート会場から遠いCPほど高得点が与えられる。走りごたえはもちろん景色もよく、時間の許す限り遠方のCPを狙うメリットは十分ある。序盤は会場付近の小ポイントを細かく拾い集め、次第に郊外へと繰り出していく流れだとバランスがいい。序盤は、5分で1カ所回れるくらいのスピード感だった。
なお、イベントに合わせて交通規制が敷かれる訳ではなく、普段通り交通ルールを遵守しながら街を巡る。市街地を抜ければ、クルマの少ない快適な道が待っている。マップを読む時は周囲の安全に配慮し、一時停止して行おう。
ルール解説に文字を費やしてしまったが、やるべきことはシンプル。CP目指して走り回り、楽しみ、制限時間内にカムバックすればオールOKだ。ブリーフィングを終えいざスタートすると、最初の交差点からサイクリストが四方八方へと繰り出していく。アルプスあずみのセンチュリーライド(AACR)でサイクリストにおなじみ、安曇野エリア。広域がフラットな地形は、ロゲイニング開催地として親しみやすいロケーションだ。
指定のCPに到達したら、アプリ「NaviTabi」でログをとるか、スマホで撮影した写真がポイント獲得の証明となる。ブルベカードのような紙の台帳は無く、ゴール後の集計表でポイント計算する。撮影を忘れずに、チェックインを重ねていこう。5時間の競技とはいえ、スマホを多用するためモバイルバッテリーがあるとより安心だ。
舗装路メインのイベントであり、スピーディなポイント収集にはロードバイク一択。かと思いきや、取り回しやすいフラットハンドルのクロスバイクやEバイクが大活躍していた様子。マップホルダーやスマホマウントをハンドルに装備すると、より効率的にポイント巡りに集中できる。また、レンタサイクルやシェアバイク、ヘルメットレンタルの利用もあり、手ぶらで来ても参加可能だ。
降車と一時停止を繰り返すので、シューズはロード用よりもMTB/トレッキング向けか、スニーカーがおすすめだ。お土産を収集したい場合は、空荷のバックパックを背負うとモアベター。特産品でバッグを満杯にするために、CPを選定しても楽しいはず。また、寒暖差が大きいため防寒着の準備をお忘れなく。
走って撮って、また次へ。5時間は長いようで、あっという間に過ぎていく。なお、タイムオーバーは1分単位で大きく減点が課されるため、メイン会場まで戻る時間も考慮してCPを回ろう。次回開催の楽しみをスポイルしてしまわぬよう、ここにはスポット全容を載せることは控えさせていただく。しかし、どれもこれも魅力的なスポットばかりなのはぜひ強調したい(特に、グルメのバリエーションは豊富だ)。以下、筆者が到達できたCPを掲載する。
全員がゴールし、集計を終えると表彰式へ。合計ポイント上位3位には豪華な賞品が贈呈され、金額換算するとエントリーフィーを余裕で回収できるほどの大盤振る舞い。加えて、特別賞、参加賞もあるので最後までセレモニーを楽しむと良いだろう。参考までに、筆者は取材をしつつ45kmほど走ったが、優勝者は90km/3,600ポイント以上を稼ぎ、安曇野のほぼ全てのCPを回ったそう。強い!
本イベントのエントリー料は3,000円、両日参加だと6,000円。協力店舗で利用できる1,000円分(両日参加は3,000円分)のクーポンがつき、リーズナブルに松本・安曇野エリアを遊び倒せる、なんともお財布に優しいイベントだった。安曇野エリアは初訪問だったが、CPを巡るうちに地域の名産品、快適な走行環境、魅力的なスポットに触れ、地域を満喫することができた。ライド後はじんわり染み渡るような満足感に包まれ、その楽しさはお値段以上と思えること間違いなしだ。
実行委員会の言葉を借りると、本イベントは松本市、安曇野市の自転車環境向上を目指し開催された側面もあるそうだ。事実、ほとんどのCPにはサイクルラックが設置され、街をあげてサイクルフレンドリーな環境作りへ取り組んでいる様子が見てとれた。サイクリストたちの来訪が地域経済活性化に貢献し、さらなる投資の輪へと繋がっていく。ますますサイクリストウェルカムな安曇野へと、さらなる発展に期待したい。
大会当日の様子は、以下フォトギャラリーからぜひご覧あれ。次回、松本エリア編に続きます。
(※後編はこちらから)
text&photo:Ryota Nakatani
「サイクルロゲイニング?なんか自転車でスポット巡りするやつでしょ?」と思ったそこのあなた。字面からふんわりイメージは湧くが、実際に参加したことはない、それが多数派ではないだろうか。
その響きから「物好きのマイナーな自転車遊び」という印象を受けるかもしれない。普段レーシング系トピックが多めなシクロワイアードであるが、ぜひ食わず嫌いせず読み進めていただきたい。なぜなら、いざ飛び込むと2日間とも大いに盛り上がり、大成功なイベントであったから。加えて、全国のサイクルツーリズム事業者、地域活性化の担当職員など、イベント開催側の方々にも本レポートが届けば幸いである。
まずは開催1日目、安曇野エリア編からレポートしたい。サイクルロゲイニングの全体像をおさらいしつつ、イベント中に得られた気づきを記そう。
イベント初日、東京駅から始発で北陸新幹線かがやき→特急しなのを乗り継ぎ、松本駅からさらに10kmほど自走して安曇野市を目指した。筆者としても人生初のサイクルロゲイニング、かつ初めての安曇野訪問。早朝の気温10度、少し靄がかった秋空に北アルプスを望む安曇野市防災広場に、サイクリストもといロゲイナーたちが集結した。
まずは基本ルールの解説から。制限時間は11時~16時までの5時間。街に散在するチェックポイント(以下CP)を巡って得たポイント合計を競う。CPはカフェや道の駅、神社から牧場まで多種多様で、獲得ポイントの大小はCPごとに異なる(詳しくは後述)。
CP数は松本、安曇野あわせてなんと70ヶ所、総計7,000ポイントに上る。フルコンプには1時間に14ヶ所回る必要があるが、グランツールレーサーでもそれは難しいだろう。とはいえ、全制覇を目指さずとも十分に楽しめるのでご心配なく。完走後、獲得ポイント順に上位3名に表彰および豪華賞品の贈呈あり。その他、特別賞や参加賞も振る舞われるため、誰にでも景品ゲットのチャンスがある。
CP一覧は当日受付時に渡される紙の地図で初めて明らかにされ、大会前にCPを抜き出してルートを練ることはできない。よって、即興でのルート構築能力、地図読み力、タイムマネジメント能力が試される。当然、地元を知り尽くしたローカルライダーはアドバンテージがあるだろう。
配布されるやいなや、参加者全員無言でマップに釘付けになり、独特な静けさが漂う。その緊張感はまさにレース前のそれ、というのは冗談で、ほとんどが初ロゲイニングの方ばかりでゆるふわした雰囲気だ。本イベントは個人単位での参加となるが、チームを組んだ方がメリットは多そうだ。知恵は多い方が良く、仲間と走れば楽しさも二倍というものだ。実際、ペアや家族での参加が非常に多かった。
CPはスタート地点を東西南北囲むように散りばめられており、初手でどのエリアを攻めるかを試される。ヒルクライム区間の待つ東回りルートか?はたまた、川沿いで走りやすい西側ルートか?マップには写真付きのCP一覧表があり、カタログを読む感覚で行き先を決めてもいいだろう。
全体的な傾向として、スタート会場から遠いCPほど高得点が与えられる。走りごたえはもちろん景色もよく、時間の許す限り遠方のCPを狙うメリットは十分ある。序盤は会場付近の小ポイントを細かく拾い集め、次第に郊外へと繰り出していく流れだとバランスがいい。序盤は、5分で1カ所回れるくらいのスピード感だった。
なお、イベントに合わせて交通規制が敷かれる訳ではなく、普段通り交通ルールを遵守しながら街を巡る。市街地を抜ければ、クルマの少ない快適な道が待っている。マップを読む時は周囲の安全に配慮し、一時停止して行おう。
ルール解説に文字を費やしてしまったが、やるべきことはシンプル。CP目指して走り回り、楽しみ、制限時間内にカムバックすればオールOKだ。ブリーフィングを終えいざスタートすると、最初の交差点からサイクリストが四方八方へと繰り出していく。アルプスあずみのセンチュリーライド(AACR)でサイクリストにおなじみ、安曇野エリア。広域がフラットな地形は、ロゲイニング開催地として親しみやすいロケーションだ。
指定のCPに到達したら、アプリ「NaviTabi」でログをとるか、スマホで撮影した写真がポイント獲得の証明となる。ブルベカードのような紙の台帳は無く、ゴール後の集計表でポイント計算する。撮影を忘れずに、チェックインを重ねていこう。5時間の競技とはいえ、スマホを多用するためモバイルバッテリーがあるとより安心だ。
舗装路メインのイベントであり、スピーディなポイント収集にはロードバイク一択。かと思いきや、取り回しやすいフラットハンドルのクロスバイクやEバイクが大活躍していた様子。マップホルダーやスマホマウントをハンドルに装備すると、より効率的にポイント巡りに集中できる。また、レンタサイクルやシェアバイク、ヘルメットレンタルの利用もあり、手ぶらで来ても参加可能だ。
降車と一時停止を繰り返すので、シューズはロード用よりもMTB/トレッキング向けか、スニーカーがおすすめだ。お土産を収集したい場合は、空荷のバックパックを背負うとモアベター。特産品でバッグを満杯にするために、CPを選定しても楽しいはず。また、寒暖差が大きいため防寒着の準備をお忘れなく。
走って撮って、また次へ。5時間は長いようで、あっという間に過ぎていく。なお、タイムオーバーは1分単位で大きく減点が課されるため、メイン会場まで戻る時間も考慮してCPを回ろう。次回開催の楽しみをスポイルしてしまわぬよう、ここにはスポット全容を載せることは控えさせていただく。しかし、どれもこれも魅力的なスポットばかりなのはぜひ強調したい(特に、グルメのバリエーションは豊富だ)。以下、筆者が到達できたCPを掲載する。
全員がゴールし、集計を終えると表彰式へ。合計ポイント上位3位には豪華な賞品が贈呈され、金額換算するとエントリーフィーを余裕で回収できるほどの大盤振る舞い。加えて、特別賞、参加賞もあるので最後までセレモニーを楽しむと良いだろう。参考までに、筆者は取材をしつつ45kmほど走ったが、優勝者は90km/3,600ポイント以上を稼ぎ、安曇野のほぼ全てのCPを回ったそう。強い!
本イベントのエントリー料は3,000円、両日参加だと6,000円。協力店舗で利用できる1,000円分(両日参加は3,000円分)のクーポンがつき、リーズナブルに松本・安曇野エリアを遊び倒せる、なんともお財布に優しいイベントだった。安曇野エリアは初訪問だったが、CPを巡るうちに地域の名産品、快適な走行環境、魅力的なスポットに触れ、地域を満喫することができた。ライド後はじんわり染み渡るような満足感に包まれ、その楽しさはお値段以上と思えること間違いなしだ。
実行委員会の言葉を借りると、本イベントは松本市、安曇野市の自転車環境向上を目指し開催された側面もあるそうだ。事実、ほとんどのCPにはサイクルラックが設置され、街をあげてサイクルフレンドリーな環境作りへ取り組んでいる様子が見てとれた。サイクリストたちの来訪が地域経済活性化に貢献し、さらなる投資の輪へと繋がっていく。ますますサイクリストウェルカムな安曇野へと、さらなる発展に期待したい。
大会当日の様子は、以下フォトギャラリーからぜひご覧あれ。次回、松本エリア編に続きます。
(※後編はこちらから)
text&photo:Ryota Nakatani
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