2022/06/30(木) - 17:10
発表早々大きな話題を呼んでいるシマノの新型105(R7100シリーズ)。公開前日に開かれたメディア発表会の模様と、ファーストインプレッションを紹介したい。
「新しい発見、新しい気持ち、新しい何かを体験できるコンポーネント」。Di2化を遂げたR7100シリーズのシマノ105に込められたメッセージを、シマノは「It's a New Day」というキャッチコピーで表現した。
デビュー直前、「OVE南青山」を貸し切って催されたプレゼンテーションにはシマノのプレゼンターや開発スタッフが集い、各製品の展示品はもちろん、新型シマノ105を搭載した試乗車の準備も。集結した各メディアはインタビューや短時間のテストライドを通し、新型シマノ105に対しての理解を深めることができた。
1982年の初登場から40年、シマノ105はその歴史の中で初となるDI2化と12速化を果たした。2009年にDURA-ACEでDI2がデビュー(7970シリーズ)してからはや13年、2011年にULTEGRAへとDI2が波及(6770シリーズ)してから11年。これまでハイパフォーマンスバイクに主眼を置いていたDI2が、普及グレードであるシマノ105に波及したことは大きな意味を持つ。
「R7100シリーズのデビューによって、電動変速は新しいユーザーにまで波及します。最高のパフォーマンスを適切な価格で提供すること。それが使命であり、DI2にこれまでにないバリューをもたらすものになる」とはプレゼンテーション冒頭の言葉。「DI2のスムーズなシフトと、ワイドレンジのギアで快適なライド体験。シマノ105に最適化したギアコンビネーションや、同グレードのカーボンホイールも含め、自信をもって提供するものです」とも。
プレゼンテーションによれば、R7100シリーズのトータル重量はULTEGRAよりも250g増に留められている(トータル2,888g)。製造コストを抑えるべくフロントディレイラー(FD-R7150)などは信頼と実績を誇る先代DURA-ACE(R9150)をベースにした設計が施されているという。
グループセット合計で20万6,259円という価格は、現行の機械式ULTEGRA(R8020シリーズ)よりも約3万円高い設定だ。従来の機械式変速からは倍増しているが、現行の電動式ULTEGRA(R8170シリーズ)との比較では約7万円安価な設定。プレゼンでは「完成車の場合、各メーカーは従来の機械式アルテグラ搭載車と同じくらいの価格で出してくるのではと期待しています」と語られた。なお現時点で機械式の新型105のアナウンスは無いものの、質問に対しては「期待は裏切らない」という返答がなされた (新型シマノ105のテクノロジーやスペック詳細は登場時の記事を確認してほしい)。
R7100シリーズのファーストインプレッション
試乗車は前50-34T、リア11-34Tというギア比設定。同時発表された注目のカーボンホイール「WH-RS710-C46-TL(46mmハイト)」も含め、CW編集スタッフにして、現役JCL選手でもある高木がファーストインプレッションを担当した。
一見して、グロス仕上げが施されたルックスはアルテグラではなく、デュラエースかと思ってしまった。上位グレードの新型DI2コンポにも近い握り心地のコンパクトなブラケットやSTIレバー、各部の設計や仕上げなど、12速化とDI2化という進化以上に新型105は高級感を増しているように思う。
コンポーネントの最大の注目はやはり変速性能だろう。ディレイラーの動作は先代デュラエースとアルテグラに匹敵する速さだが、リアカセットは上位グレードに採用されたハイパーグライド+(プラス)が投入されていないため、変速スピードは明確な差がある。変速ショックや変速音は「105」を感じさせるものではあるものの、これが気になる場合はカセットとチェーンを変えれば劇的な変化が起きるはず。
レーサー視点から細かく見ればブラケット上部に変速スイッチがなかったり、スプリンタースイッチが取り付けられなかったりする点は気になるものの、それでもDI2化の恩恵は絶大だ。変速レバーの操作も距離を重ねるほどストレスになってくる(DI2の威力を知っているなら尚更)し、変速性能の差も価格差ほど大きくなく、サーボウェーブアクションを見送りつつ、それに近い構造になるよう工夫が凝らされたというブレーキタッチはほぼ共通と言っていい。個人的に機械式アルテグラとR7100シリーズのシマノ105のどちらかを選べるのであれば、確実にDI2化した105を選びたいと感じた。
加えて好印象だったのがホイールだ。46mmリムハイトを持つ12万5千円以下のホイールとは思えないほど走りが軽く、停止状態からの発進も重たさを感じない。優れた性能と価格設定で一躍人気を博している最新シマノホイールの流れを忠実に踏襲した走りがあり、コストパフォーマンスはピカイチ。強いて言うならJベンドスポーク(デュラエースやアルテグラはストレートプル)が影響してか、ダンシング時にハブ周辺にやや重さを感じたが、価格を踏まえればどこにも文句は出ないはず。
発表会場周辺での短時間ライドではあったものの、それでも12速化とDI2化を達成した新型105の魅力は確かに掴むことができた。実業団登録をするような本気のレーサーであれば上位グレードを選んでほしいが、年に数度レースに出たり、仲間と競い合ったりする上では十分すぎるスペックだと思う。それ以上に、今までDI2を躊躇ってきたユーザーに、その魅力を広めるプロダクトが出たという意味は大きく、歓迎すべきものだと思う。
text&photo:So Isobe
tester:Michinari Takagi
「新しい発見、新しい気持ち、新しい何かを体験できるコンポーネント」。Di2化を遂げたR7100シリーズのシマノ105に込められたメッセージを、シマノは「It's a New Day」というキャッチコピーで表現した。
デビュー直前、「OVE南青山」を貸し切って催されたプレゼンテーションにはシマノのプレゼンターや開発スタッフが集い、各製品の展示品はもちろん、新型シマノ105を搭載した試乗車の準備も。集結した各メディアはインタビューや短時間のテストライドを通し、新型シマノ105に対しての理解を深めることができた。
1982年の初登場から40年、シマノ105はその歴史の中で初となるDI2化と12速化を果たした。2009年にDURA-ACEでDI2がデビュー(7970シリーズ)してからはや13年、2011年にULTEGRAへとDI2が波及(6770シリーズ)してから11年。これまでハイパフォーマンスバイクに主眼を置いていたDI2が、普及グレードであるシマノ105に波及したことは大きな意味を持つ。
「R7100シリーズのデビューによって、電動変速は新しいユーザーにまで波及します。最高のパフォーマンスを適切な価格で提供すること。それが使命であり、DI2にこれまでにないバリューをもたらすものになる」とはプレゼンテーション冒頭の言葉。「DI2のスムーズなシフトと、ワイドレンジのギアで快適なライド体験。シマノ105に最適化したギアコンビネーションや、同グレードのカーボンホイールも含め、自信をもって提供するものです」とも。
プレゼンテーションによれば、R7100シリーズのトータル重量はULTEGRAよりも250g増に留められている(トータル2,888g)。製造コストを抑えるべくフロントディレイラー(FD-R7150)などは信頼と実績を誇る先代DURA-ACE(R9150)をベースにした設計が施されているという。
グループセット合計で20万6,259円という価格は、現行の機械式ULTEGRA(R8020シリーズ)よりも約3万円高い設定だ。従来の機械式変速からは倍増しているが、現行の電動式ULTEGRA(R8170シリーズ)との比較では約7万円安価な設定。プレゼンでは「完成車の場合、各メーカーは従来の機械式アルテグラ搭載車と同じくらいの価格で出してくるのではと期待しています」と語られた。なお現時点で機械式の新型105のアナウンスは無いものの、質問に対しては「期待は裏切らない」という返答がなされた (新型シマノ105のテクノロジーやスペック詳細は登場時の記事を確認してほしい)。
R7100シリーズのファーストインプレッション
試乗車は前50-34T、リア11-34Tというギア比設定。同時発表された注目のカーボンホイール「WH-RS710-C46-TL(46mmハイト)」も含め、CW編集スタッフにして、現役JCL選手でもある高木がファーストインプレッションを担当した。
一見して、グロス仕上げが施されたルックスはアルテグラではなく、デュラエースかと思ってしまった。上位グレードの新型DI2コンポにも近い握り心地のコンパクトなブラケットやSTIレバー、各部の設計や仕上げなど、12速化とDI2化という進化以上に新型105は高級感を増しているように思う。
コンポーネントの最大の注目はやはり変速性能だろう。ディレイラーの動作は先代デュラエースとアルテグラに匹敵する速さだが、リアカセットは上位グレードに採用されたハイパーグライド+(プラス)が投入されていないため、変速スピードは明確な差がある。変速ショックや変速音は「105」を感じさせるものではあるものの、これが気になる場合はカセットとチェーンを変えれば劇的な変化が起きるはず。
レーサー視点から細かく見ればブラケット上部に変速スイッチがなかったり、スプリンタースイッチが取り付けられなかったりする点は気になるものの、それでもDI2化の恩恵は絶大だ。変速レバーの操作も距離を重ねるほどストレスになってくる(DI2の威力を知っているなら尚更)し、変速性能の差も価格差ほど大きくなく、サーボウェーブアクションを見送りつつ、それに近い構造になるよう工夫が凝らされたというブレーキタッチはほぼ共通と言っていい。個人的に機械式アルテグラとR7100シリーズのシマノ105のどちらかを選べるのであれば、確実にDI2化した105を選びたいと感じた。
加えて好印象だったのがホイールだ。46mmリムハイトを持つ12万5千円以下のホイールとは思えないほど走りが軽く、停止状態からの発進も重たさを感じない。優れた性能と価格設定で一躍人気を博している最新シマノホイールの流れを忠実に踏襲した走りがあり、コストパフォーマンスはピカイチ。強いて言うならJベンドスポーク(デュラエースやアルテグラはストレートプル)が影響してか、ダンシング時にハブ周辺にやや重さを感じたが、価格を踏まえればどこにも文句は出ないはず。
発表会場周辺での短時間ライドではあったものの、それでも12速化とDI2化を達成した新型105の魅力は確かに掴むことができた。実業団登録をするような本気のレーサーであれば上位グレードを選んでほしいが、年に数度レースに出たり、仲間と競い合ったりする上では十分すぎるスペックだと思う。それ以上に、今までDI2を躊躇ってきたユーザーに、その魅力を広めるプロダクトが出たという意味は大きく、歓迎すべきものだと思う。
text&photo:So Isobe
tester:Michinari Takagi
リンク
Amazon.co.jp