2022/04/03(日) - 12:20
ジャイアントが展開するプレミアムコンポーネントブランドのカデックス。年々拡充されていくラインアップに36mmハイトのロードホイールが追加されている。フックレスリム、カーボンスポークを組み合わせ、1,302gを達成した軽量ホイールをインプレッションした。
2019年のツール・ド・フランス直前にジャイアントが発表したプレミアムコンポーネントブランドのカデックス。デビュー当初からカーボンホイールのラインアップはオールラウンドモデルの42mm、エアロを追求した65mmという2種類のリムハイト、TT系2モデルが用意され、かつチューブレスとチューブラー、リムブレーキ用とディスクブレーキ用どちらも展開されるという盤石の体制が築かれてきた。
さらにカーボンホイールのプロトタイプは正式デビューの1年ほど前からプロレースを走っており、徹底的に実戦でその性能を鍛え上げてきた。この妥協なきR&D体制からも、ジャイアントが高い情熱を持ってカデックスのプロダクト開発に臨んでいることが窺える。
そんなカデックスがデビュー以来2年の時を経て新モデルとなる36mmハイトのディスクブレーキ用のカーボンホイールをラインアップに加えた。前後セット重量1,302gという軽量性を誇り、ディスクブレーキ用では最も軽いホイールとして位置付けられることに。
カデックスのチューブレス用リムは全てフックレスリムとなる上、カーボンファイバーを途切れることなく成形する技術が用いられている。カーボンレイアップを緻密に計算することで、優れた耐久性と剛性、軽量性を実現しているという。軽量性に優れることは前後セット重量からもわかるはずだ。
フックレスリムのメリットとして挙げられるのが、タイヤの断面形状をより真円に近づけられ、コーナリング時に安定したグリップ力とハンドリング性能を発揮できるという点だ。また、タイヤを装着した際、リムとの段差が小さくなり、エアロダイナミクスに優れるという。
また、今作のポイントはリムの内幅が22.4mmに設定された点。同一の幅を有するのはリムハイトが高い65mmモデルで、レースで主力となる42mmモデルは内幅が19.4mmだ。新作の36mmハイトモデルは幅の広いタイヤと相性良く作っており、タイヤの設地面積増加によるトラクションやハンドリングの向上や、大きなエアボリュームによる振動吸収性を発揮させられるという。
内幅22.4mmの推奨タイヤ幅は25〜32C。レースで主力となった25Cはもちろん、サイクリングユースに適した28C以上のタイヤもマッチするため、舗装路はもちろん荒れた路面も厭わないオールロードのような遊び方にも適したホイールに仕上げられていそうだ。
スポークはカデックスのアイコンでもあるカーボン製のエアロスポークが採用され、カスタムチューンドDBLというテクノロジーで組み上げられている。軽量性に優れながらも横方向への撓みを最小限に抑えることができるカーボンスポークと、ペダリング時に最適なスポークテンションとなるレーシングテクノロジーが合わせられることで、プロユースに応えられる駆動効率を実現した。
ハブには精密加工を施した内部構造によってベアリングへの過剰負荷を排除する"R1-C30"を採用。セラミックベアリングを組み合わせることで、最高にスムーズな回転を実現したという。
全方向から性能を突き詰めたカデックスのホイールラインアップに追加されたCADEX 36。自身でもCADEX 42を使い始めたBicicletta SHIDO店長の安藤光平さんがインプレッションを行う。
−インプレッション
乗り心地の良い、マイルドな印象のホイールですね。素早い加速感のあったCADEX 42に比べ、リム幅が広がりエアボリュームが上がったことが快適性の高さに繋がっているのだと思います。単純にCADEX 42がローハイトになり、リムが太くなっただけかと思っていたので、良い意味で裏切られましたね。
25Cであっても不満のない快適性を保てたのは、フックレスリムの影響もあると思います。横への張り出しがない分、エアボリュームを稼げたことが乗り心地の良さに影響しているのでしょう。またこのリムとタイヤの段差のなさはエアロへの恩恵もあると思いますよ。
このホイールが最も適したシチュエーションとしてはロングライドだと感じます。ただ、だからと言ってレースに向いていないわけではありません。アタックの加速性は42に任せるとしても、一定のペースで登坂するのならば重量も軽いこちらの方が適していますね。
チューブレスタイヤ専用(※)という点をネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、その性能は万人にオススメできるレベルになっています。作業面では多少の意識改革が必要かもしれませんが、圧倒的な乗り心地の良さと転がり抵抗はクリンチャータイヤより優れているのは明白です。
オススメしたいのはロングライドに上質な走りを求めるサイクリスト。最近ではあまり見かけなくなった硬いフレームに合わせるのも面白そうですね。敢えて不満点を挙げるとすればラチェット音が少々気になるくらい。とはいえ、音は好みが分かれる部分ですし、それ以外は優しくマイルドなホイールでした。
(※ 使用可能タイヤがオフィシャルサイトで公開されている)
CADEX 36 Disc
リムタイプ:フックレス(チューブレスレディ)
スポーク:エアロカーボンスポーク
推奨タイヤサイズ:700×25~32C
リムハイト:36mm
リム外幅:26mm
リム内幅:22.4mm
ハブ:カデックスR1-C30
ベアリング:セラミックプレシジョンシールドカートリッジ
対応カセット:シマノ11S/ XDR12S /カンパニョーロ12S
重量:1,302g
税込価格:フロント 154,000円、リア 198,000円
インプレッションライダーのプロフィール
安藤光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。
Bicicletta SHIDO
text:Gakuto Fujiwara, Sotaro Arakawa
photo:Makoto AYANO
2019年のツール・ド・フランス直前にジャイアントが発表したプレミアムコンポーネントブランドのカデックス。デビュー当初からカーボンホイールのラインアップはオールラウンドモデルの42mm、エアロを追求した65mmという2種類のリムハイト、TT系2モデルが用意され、かつチューブレスとチューブラー、リムブレーキ用とディスクブレーキ用どちらも展開されるという盤石の体制が築かれてきた。
さらにカーボンホイールのプロトタイプは正式デビューの1年ほど前からプロレースを走っており、徹底的に実戦でその性能を鍛え上げてきた。この妥協なきR&D体制からも、ジャイアントが高い情熱を持ってカデックスのプロダクト開発に臨んでいることが窺える。
そんなカデックスがデビュー以来2年の時を経て新モデルとなる36mmハイトのディスクブレーキ用のカーボンホイールをラインアップに加えた。前後セット重量1,302gという軽量性を誇り、ディスクブレーキ用では最も軽いホイールとして位置付けられることに。
カデックスのチューブレス用リムは全てフックレスリムとなる上、カーボンファイバーを途切れることなく成形する技術が用いられている。カーボンレイアップを緻密に計算することで、優れた耐久性と剛性、軽量性を実現しているという。軽量性に優れることは前後セット重量からもわかるはずだ。
フックレスリムのメリットとして挙げられるのが、タイヤの断面形状をより真円に近づけられ、コーナリング時に安定したグリップ力とハンドリング性能を発揮できるという点だ。また、タイヤを装着した際、リムとの段差が小さくなり、エアロダイナミクスに優れるという。
また、今作のポイントはリムの内幅が22.4mmに設定された点。同一の幅を有するのはリムハイトが高い65mmモデルで、レースで主力となる42mmモデルは内幅が19.4mmだ。新作の36mmハイトモデルは幅の広いタイヤと相性良く作っており、タイヤの設地面積増加によるトラクションやハンドリングの向上や、大きなエアボリュームによる振動吸収性を発揮させられるという。
内幅22.4mmの推奨タイヤ幅は25〜32C。レースで主力となった25Cはもちろん、サイクリングユースに適した28C以上のタイヤもマッチするため、舗装路はもちろん荒れた路面も厭わないオールロードのような遊び方にも適したホイールに仕上げられていそうだ。
スポークはカデックスのアイコンでもあるカーボン製のエアロスポークが採用され、カスタムチューンドDBLというテクノロジーで組み上げられている。軽量性に優れながらも横方向への撓みを最小限に抑えることができるカーボンスポークと、ペダリング時に最適なスポークテンションとなるレーシングテクノロジーが合わせられることで、プロユースに応えられる駆動効率を実現した。
ハブには精密加工を施した内部構造によってベアリングへの過剰負荷を排除する"R1-C30"を採用。セラミックベアリングを組み合わせることで、最高にスムーズな回転を実現したという。
全方向から性能を突き詰めたカデックスのホイールラインアップに追加されたCADEX 36。自身でもCADEX 42を使い始めたBicicletta SHIDO店長の安藤光平さんがインプレッションを行う。
−インプレッション
乗り心地の良い、マイルドな印象のホイールですね。素早い加速感のあったCADEX 42に比べ、リム幅が広がりエアボリュームが上がったことが快適性の高さに繋がっているのだと思います。単純にCADEX 42がローハイトになり、リムが太くなっただけかと思っていたので、良い意味で裏切られましたね。
25Cであっても不満のない快適性を保てたのは、フックレスリムの影響もあると思います。横への張り出しがない分、エアボリュームを稼げたことが乗り心地の良さに影響しているのでしょう。またこのリムとタイヤの段差のなさはエアロへの恩恵もあると思いますよ。
このホイールが最も適したシチュエーションとしてはロングライドだと感じます。ただ、だからと言ってレースに向いていないわけではありません。アタックの加速性は42に任せるとしても、一定のペースで登坂するのならば重量も軽いこちらの方が適していますね。
チューブレスタイヤ専用(※)という点をネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、その性能は万人にオススメできるレベルになっています。作業面では多少の意識改革が必要かもしれませんが、圧倒的な乗り心地の良さと転がり抵抗はクリンチャータイヤより優れているのは明白です。
オススメしたいのはロングライドに上質な走りを求めるサイクリスト。最近ではあまり見かけなくなった硬いフレームに合わせるのも面白そうですね。敢えて不満点を挙げるとすればラチェット音が少々気になるくらい。とはいえ、音は好みが分かれる部分ですし、それ以外は優しくマイルドなホイールでした。
(※ 使用可能タイヤがオフィシャルサイトで公開されている)
CADEX 36 Disc
リムタイプ:フックレス(チューブレスレディ)
スポーク:エアロカーボンスポーク
推奨タイヤサイズ:700×25~32C
リムハイト:36mm
リム外幅:26mm
リム内幅:22.4mm
ハブ:カデックスR1-C30
ベアリング:セラミックプレシジョンシールドカートリッジ
対応カセット:シマノ11S/ XDR12S /カンパニョーロ12S
重量:1,302g
税込価格:フロント 154,000円、リア 198,000円
インプレッションライダーのプロフィール
安藤光平(Bicicletta SHIDO)
東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。
Bicicletta SHIDO
text:Gakuto Fujiwara, Sotaro Arakawa
photo:Makoto AYANO
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