2022/02/18(金) - 19:09
スマートトレーナーでお馴染みのワフーに買収され、リニューアルしたスピードプレイペダルをインプレッションする。プロチームの選手やハイアマチュアに愛用者の多かった伝統のペダルはどう変化を遂げたのか、細部に渡って徹底的に紹介しよう。
ワフー・スピードプレイペダル NANO、ZERO、COMP、AERO 4つのラインナップ photo:Makoto AYANO
2019年9月に発表されたワフーによるスピードプレイの買収。フィットネス業界大手であるワフーがペダルメーカーを傘下に収めた背景には、当然のように今後ペダル型パワーメーターを含めた機器の開発が視野にある。そのためにはサイクリストに支持されているペダルメーカーとの協業が欠かせず、ワフーにとっては今後もちろんパワーメーターを組み込んだペダルをリリースし、シェアをとって行くことがビジネス戦略上大きなウェイトを占める。
ワフー・スピードプレイ NANO(チタン)
ワフー・スピードプレイ ZERO(ステンレス)
ワフー・スピードプレイ AERO
ワフー・スピードプレイ COMP
ワフーはパワーメーター組込型スピードプレイペダルの開発を進めていることを隠しておらず、すでにティザーとなる製品シルエットを公開している。
パワーメーター組み込み型ペダルがユーザーに広く受け入れられるかどうかは、ベースとなるペダルの完成度も大きく左右する。そこで今回は昨年リニューアルを経て発売が開始されたワフーのスピードプレイペダルをユーザー目線で徹底インプレッションする。
プロサイクリストやハイアマチュアに好んで受け入れられてきたスピードプレイの基本設計をそのままに、デザインなど細部をアップデートした新ペダルはどういったメリットが有るのだろうか。ここからはスピードプレイペダルの基本とセッティング、新たな機構と変化点から紹介していこう。
ZERO:ペダルボディにはグリボリーを採用する
NANO:チタンスピンドルを採用して軽量化を実現
AERO:ペダル底面はウォーカブルクリートと一体化する
COMPはクロモリスピンドルを採用する
ビンディングペダルのひと時代を築いたスピードプレイは、多くのトッププロチームや選手たちが使用した名品であり、レーサーのみならずホビーサイクリストたちからも熱い支持を得ていたペダルブランドだ。
現在主流となっているシマノやルックなどのビンディングシステムとは異なり、固定機構をクリート側に設けたことが最大の特徴。フロート範囲やリリースポイントの角度調整、前後・左右位置の調整が行いやすく、膝に負担がかかりにくいセッティングを施せることが、プロアマ問わず全世界のサイクリストを魅了してきた。
マイナーチェンジしたウォーカブルクリート
ビンディング機構がクリート側に設けられることで、ペダルの両面で固定できるのも特徴のひとつ。スタックハイトが低くペダリングパワーを伝えやすいことや、路面とのクリアランスが広いことなどもメリット。
ワフーからリリースされた新製品ペダル群は、スピードプレイの従来の機構からは大きく変わらないものの、幾つかの変更が加えられている。ペダルボディの切り欠きが無くなり、シンプルでフラットな踏面へとアップデート。3つのシールドベアリングを搭載する構造となったことで、メンテナンスも最小限で済むようになっている。
ヘックスレンチでの脱着が可能になった
クランクへの取り付けはペダルレンチではなく、ヘックス(六角)レンチで行えるようになった。スピンドル(軸)長も変更可能となっており、販売店やフィッターを通してカスタムすることが可能だ。
ラインアップはこれまでとほぼ変わりなく、カーボンコンポジットボディとチタンスピンドルを組み合わせたNANO(168g)、グリボリーボディとステンレスシャフトのZERO(222g)、クロモリシャフトかつイージーテンションクリートが付属するCOMP(232g)、そしてペダルの片面がクリートカバーと同じエアロデザインのAERO(224g)という4種類をラインアップする。
付属するスタンダードテンションとイージーテンションクリートは、いずれもビンディング機構にカバーを被せたエアロ兼ウォーカブル(歩行可能)仕様とされている。
インプレッション
新型ワフー・スピードプレイと旧スピードプレイペダル photo:Makoto AYANO
まず前作のスピードプレイと新作を並べてみると、ボディや踏面のステンレスプレートの形状が異なっていることが分かる。新型では丸いボディの全周に渡るかたちで金属プレートに覆われるため、ボディの摩滅がおこりにくいことは想像できる。ウォーカブルクリートも改良され、クリートカバーの全周を覆う「クリートサラウンド」が追加され、より空気抵抗が少なくなっているだろう。
新型ワフー・スピードプレイペダル photo:Makoto AYANO
今回はステンレスシャフトを採用したスタンダードな存在のZEROをベースに、クリートの取り付け、調整から使用感までインプレしていく。筆者は今まで前作のスピードプレイペダルを使い続け(5セット所有)、2年前より現在はシマノSPD-SLペダルも並行して使い分けている。比較しての違いも記そう。
ルックタイプの3つ穴を利用して取り付けるクリートベースプレートは、ペダル軸の前後位置を決める。シューズのソール底面のカーブに完全に沿うように調整できるシムも数種が同封され、その組み合わせによって浮きやガタの無いクリート取り付けが可能だ。
クリートベースプレートとクリートスプリングハウジングプレート
シューズのソール底面のアールに合わせるシムを使用してクリートベースプレートを取り付ける
ベースプレートは前後に13mmのスライド調整が可能で、シマノSPD-SLペダルと比べると実測で前側に4mmほど多く寄せることができた。クリートを前にセットしたい人には利がある。
次に、その上から重ねるようにクリートスプリングハウジングプレートを取り付ける。これによりペダル位置を左右に6mm調整することができる。
ソールに取り付けたクリートベースプレートにより前後の位置決めを行う
シマノクリート使用時より4mmほどつま先側に寄せることができた
上記の2つのプレートの役割が、前後/左右でそれぞれ独立しているため、クリート位置のセッティングが正確に行え、かつ固定作業中にズレたりすることが無いのも美点だ。かつ微調整も前後/左右それぞれ独立して行えるため、希望の位置を細かく煮詰めながらセットすることができるのだ。
クリートスプリングハウジングプレートは左右に6mmの調整が可能
この部分の2本のネジでフロート角を決める
クリートの位置が決まったらフロート角(可動量)の設定に入る。クリート脇の2本の小ネジにより、0°から15°の間で無段階にフロート角度の設定が可能だ。動く方向を無段階に制限することもでき、両側のネジをクリップに当たるまで締め込めば完全固定することもできる。
クリートスプリングハウジングプレートを取り付けた状態
ウォーカブルクリートは歩行性も良好だ
このクリートセッティングの自由度の高さは愛用者に大きく評価されている点だ。クリートを交換する際にも好みの取り付け位置を正確に再現でき、膝のトラブルを抱える人なら可動域を自在に調整できるのがありがたい。
フロート動作としても常にペダルセンターを中心とするように可動するため、足の動きが自然だ。対してシマノやルックタイプではつま先を支点に踵側が左右に動くため、それがストレスに感じる人はいる。また、動く方向や量を微調整したり制限したりすることができないのを不満に感じる人もいるだろう。
新型ワフー・スピードプレイペダル photo:Gakuto Fujiwara
新スピードプレイペダルとクリートは細部が変わっても、これらの使い心地についてはほとんど変化がなかった。新モデルは嵌め方が少し違っていると言う人もいたが、自分はその違いは感じ取ることができなかった。スピンドルの違いによる踏み心地に違いは無いが、いずれも剛性感たっぷりで、カーボン等の樹脂製ペダルよりカッチリしている。なおシマノデュラエースSPD-SLと比較してスタックハイトは2mmほど少ない。
ちなみに筆者は完全固定が好きで設定している。フロート角を無くして固定した際はより密着度が高く、ペダルとソールが一体になるようなフィーリングで、ガタを一切感じない点が気に入っている。
ペダルの自然なフロート角はダンシングの際も違和感が少ない photo:Gakuto Fujiwara
クリートには汚れを呼ぶオイル類の塗布は禁じられているが、ワックスやドライタイプのルブを射しておけば着脱はスムーズになる。気をつけたいのはウォーカブルクリートは歩きやすいが汚れに弱い点。とくに土の上を歩くと泥や砂などがクリートの隙間に入り込み、着脱が渋くなってしまう。砂が原因で旧モデルのボディ部はよく摩滅していたが、新モデルは金属プレートが全周に回り込んでいるぶん、耐摩耗性は明らかに高そうだ。
スタックハイトの低さもメリットの一つだ photo:Gakuto Fujiwara
ペダルのサイド部のプラスネジによるグリースホールが無くなった。前モデルでは雨中走行をするたびにグリスガンでグリスアップしないとゴリゴリになっていたほどシール性が低かった。この点について今回は過酷な状況で試せていないが、すでに昨年春からブルベで使用しているというサイクリストに取材してみると、数度の雨中走行を経てもグリスアップの必要はなく、回転はスムーズなままだという。メンテナンスの頻度は少なくなっているだろう。
ウォーカブルクリートはイエローからブラックの樹脂へと変更された。汚れが目立ちにくく、かつ素材的に磨り減りに強くなっている印象だ。前作はときどきカバーが外れて紛失したものだが、クリートカバーのみの購入ができるようになったのはありがたい(カバーを無くしたまま使っている人も多かった)。また、追加されたクリートサラウンドはソールとの隙間を埋めてくれるので、カバーの脱落防止にも役立っていそうだ。
スピンドルとクリートが一体化したような剛性感のある踏み心地だ photo:Gakuto Fujiwara
4日間、550kmのライドで使い続けてみて、クリート取り付けのしやすさや使用感自体は前モデルのスピードプレイとほぼ変わらず、違いを感じ取ることができないほどだった。しかし耐久性やメンテナンス性能は向上しているはずで、前モデルの不満点はすべて解消されていると感じる。
ワフー・スピードプレイNANOペダルのクリート・ネジ重量は159g(片側)
ワフー・スピードプレイZEROペダルのクリート・ネジ重量は184g(片側)
ワフー・スピードプレイAEROペダルのクリート・ネジ重量は179g(片側)
ワフー・スピードプレイCOMPペダルのクリート・ネジ重量は188g(片側)
ただしタフになったぶん重量は微増で、ZEROのペダル単体(片方)で+6g、両方で12gの増加。クリートとセットで考えたいため、参考までに4種類のスピードプレイペダルの実測重量を写真で載せておく。
現状シマノ・デュラエースSPD-SLペダルを並行して使用している筆者の選択は、比較しての費用対効果ならぬ「コスト対重量」から判断すると、レースバイクならチタンシャフトのNANO、トレーニングバイクや重量がデメリットにならない用途にはステンレスシャフトのZEROかクロモリシャフトのCOMPが良さそうだ、となる(ちなみにデュラエースSPD-SLペダル+クリート+ネジ重量は152g)。
刷新されたスピードプレイペダルの4つのラインアップはレース、デイリーライド用途に十分に良き選択肢となるペダルに仕上がっている。とくにペダリングやクリート位置にこだわりたい人にはメリットが大きい。そして、ベースとなるペダルの基本性能が向上したことで、今夏には登場すると言われているパワーメーター付きスピードプレイペダルへの期待が自ずと高まる。
4つのラインアップを揃える新型ワフー・スピードプレイペダル photo:Makoto AYANO
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2019年9月に発表されたワフーによるスピードプレイの買収。フィットネス業界大手であるワフーがペダルメーカーを傘下に収めた背景には、当然のように今後ペダル型パワーメーターを含めた機器の開発が視野にある。そのためにはサイクリストに支持されているペダルメーカーとの協業が欠かせず、ワフーにとっては今後もちろんパワーメーターを組み込んだペダルをリリースし、シェアをとって行くことがビジネス戦略上大きなウェイトを占める。

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ワフーはパワーメーター組込型スピードプレイペダルの開発を進めていることを隠しておらず、すでにティザーとなる製品シルエットを公開している。
パワーメーター組み込み型ペダルがユーザーに広く受け入れられるかどうかは、ベースとなるペダルの完成度も大きく左右する。そこで今回は昨年リニューアルを経て発売が開始されたワフーのスピードプレイペダルをユーザー目線で徹底インプレッションする。
プロサイクリストやハイアマチュアに好んで受け入れられてきたスピードプレイの基本設計をそのままに、デザインなど細部をアップデートした新ペダルはどういったメリットが有るのだろうか。ここからはスピードプレイペダルの基本とセッティング、新たな機構と変化点から紹介していこう。
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ビンディングペダルのひと時代を築いたスピードプレイは、多くのトッププロチームや選手たちが使用した名品であり、レーサーのみならずホビーサイクリストたちからも熱い支持を得ていたペダルブランドだ。
現在主流となっているシマノやルックなどのビンディングシステムとは異なり、固定機構をクリート側に設けたことが最大の特徴。フロート範囲やリリースポイントの角度調整、前後・左右位置の調整が行いやすく、膝に負担がかかりにくいセッティングを施せることが、プロアマ問わず全世界のサイクリストを魅了してきた。
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ビンディング機構がクリート側に設けられることで、ペダルの両面で固定できるのも特徴のひとつ。スタックハイトが低くペダリングパワーを伝えやすいことや、路面とのクリアランスが広いことなどもメリット。
ワフーからリリースされた新製品ペダル群は、スピードプレイの従来の機構からは大きく変わらないものの、幾つかの変更が加えられている。ペダルボディの切り欠きが無くなり、シンプルでフラットな踏面へとアップデート。3つのシールドベアリングを搭載する構造となったことで、メンテナンスも最小限で済むようになっている。
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クランクへの取り付けはペダルレンチではなく、ヘックス(六角)レンチで行えるようになった。スピンドル(軸)長も変更可能となっており、販売店やフィッターを通してカスタムすることが可能だ。
ラインアップはこれまでとほぼ変わりなく、カーボンコンポジットボディとチタンスピンドルを組み合わせたNANO(168g)、グリボリーボディとステンレスシャフトのZERO(222g)、クロモリシャフトかつイージーテンションクリートが付属するCOMP(232g)、そしてペダルの片面がクリートカバーと同じエアロデザインのAERO(224g)という4種類をラインアップする。
付属するスタンダードテンションとイージーテンションクリートは、いずれもビンディング機構にカバーを被せたエアロ兼ウォーカブル(歩行可能)仕様とされている。
インプレッション
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まず前作のスピードプレイと新作を並べてみると、ボディや踏面のステンレスプレートの形状が異なっていることが分かる。新型では丸いボディの全周に渡るかたちで金属プレートに覆われるため、ボディの摩滅がおこりにくいことは想像できる。ウォーカブルクリートも改良され、クリートカバーの全周を覆う「クリートサラウンド」が追加され、より空気抵抗が少なくなっているだろう。
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今回はステンレスシャフトを採用したスタンダードな存在のZEROをベースに、クリートの取り付け、調整から使用感までインプレしていく。筆者は今まで前作のスピードプレイペダルを使い続け(5セット所有)、2年前より現在はシマノSPD-SLペダルも並行して使い分けている。比較しての違いも記そう。
ルックタイプの3つ穴を利用して取り付けるクリートベースプレートは、ペダル軸の前後位置を決める。シューズのソール底面のカーブに完全に沿うように調整できるシムも数種が同封され、その組み合わせによって浮きやガタの無いクリート取り付けが可能だ。
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ベースプレートは前後に13mmのスライド調整が可能で、シマノSPD-SLペダルと比べると実測で前側に4mmほど多く寄せることができた。クリートを前にセットしたい人には利がある。
次に、その上から重ねるようにクリートスプリングハウジングプレートを取り付ける。これによりペダル位置を左右に6mm調整することができる。
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上記の2つのプレートの役割が、前後/左右でそれぞれ独立しているため、クリート位置のセッティングが正確に行え、かつ固定作業中にズレたりすることが無いのも美点だ。かつ微調整も前後/左右それぞれ独立して行えるため、希望の位置を細かく煮詰めながらセットすることができるのだ。
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クリートの位置が決まったらフロート角(可動量)の設定に入る。クリート脇の2本の小ネジにより、0°から15°の間で無段階にフロート角度の設定が可能だ。動く方向を無段階に制限することもでき、両側のネジをクリップに当たるまで締め込めば完全固定することもできる。
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このクリートセッティングの自由度の高さは愛用者に大きく評価されている点だ。クリートを交換する際にも好みの取り付け位置を正確に再現でき、膝のトラブルを抱える人なら可動域を自在に調整できるのがありがたい。
フロート動作としても常にペダルセンターを中心とするように可動するため、足の動きが自然だ。対してシマノやルックタイプではつま先を支点に踵側が左右に動くため、それがストレスに感じる人はいる。また、動く方向や量を微調整したり制限したりすることができないのを不満に感じる人もいるだろう。
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新スピードプレイペダルとクリートは細部が変わっても、これらの使い心地についてはほとんど変化がなかった。新モデルは嵌め方が少し違っていると言う人もいたが、自分はその違いは感じ取ることができなかった。スピンドルの違いによる踏み心地に違いは無いが、いずれも剛性感たっぷりで、カーボン等の樹脂製ペダルよりカッチリしている。なおシマノデュラエースSPD-SLと比較してスタックハイトは2mmほど少ない。
ちなみに筆者は完全固定が好きで設定している。フロート角を無くして固定した際はより密着度が高く、ペダルとソールが一体になるようなフィーリングで、ガタを一切感じない点が気に入っている。
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クリートには汚れを呼ぶオイル類の塗布は禁じられているが、ワックスやドライタイプのルブを射しておけば着脱はスムーズになる。気をつけたいのはウォーカブルクリートは歩きやすいが汚れに弱い点。とくに土の上を歩くと泥や砂などがクリートの隙間に入り込み、着脱が渋くなってしまう。砂が原因で旧モデルのボディ部はよく摩滅していたが、新モデルは金属プレートが全周に回り込んでいるぶん、耐摩耗性は明らかに高そうだ。
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ペダルのサイド部のプラスネジによるグリースホールが無くなった。前モデルでは雨中走行をするたびにグリスガンでグリスアップしないとゴリゴリになっていたほどシール性が低かった。この点について今回は過酷な状況で試せていないが、すでに昨年春からブルベで使用しているというサイクリストに取材してみると、数度の雨中走行を経てもグリスアップの必要はなく、回転はスムーズなままだという。メンテナンスの頻度は少なくなっているだろう。
ウォーカブルクリートはイエローからブラックの樹脂へと変更された。汚れが目立ちにくく、かつ素材的に磨り減りに強くなっている印象だ。前作はときどきカバーが外れて紛失したものだが、クリートカバーのみの購入ができるようになったのはありがたい(カバーを無くしたまま使っている人も多かった)。また、追加されたクリートサラウンドはソールとの隙間を埋めてくれるので、カバーの脱落防止にも役立っていそうだ。
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4日間、550kmのライドで使い続けてみて、クリート取り付けのしやすさや使用感自体は前モデルのスピードプレイとほぼ変わらず、違いを感じ取ることができないほどだった。しかし耐久性やメンテナンス性能は向上しているはずで、前モデルの不満点はすべて解消されていると感じる。
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ただしタフになったぶん重量は微増で、ZEROのペダル単体(片方)で+6g、両方で12gの増加。クリートとセットで考えたいため、参考までに4種類のスピードプレイペダルの実測重量を写真で載せておく。
現状シマノ・デュラエースSPD-SLペダルを並行して使用している筆者の選択は、比較しての費用対効果ならぬ「コスト対重量」から判断すると、レースバイクならチタンシャフトのNANO、トレーニングバイクや重量がデメリットにならない用途にはステンレスシャフトのZEROかクロモリシャフトのCOMPが良さそうだ、となる(ちなみにデュラエースSPD-SLペダル+クリート+ネジ重量は152g)。
刷新されたスピードプレイペダルの4つのラインアップはレース、デイリーライド用途に十分に良き選択肢となるペダルに仕上がっている。とくにペダリングやクリート位置にこだわりたい人にはメリットが大きい。そして、ベースとなるペダルの基本性能が向上したことで、今夏には登場すると言われているパワーメーター付きスピードプレイペダルへの期待が自ずと高まる。

ワフー スピードプレイ ラインアップ
モデル名 | NANO | ZERO | COMP | AERO |
---|---|---|---|---|
ボディ | カーボンコンポジット | グリボリー | グリボリー | グリボリー |
スピンドル | チタン | ステンレススチール | クロモリ | ステンレススチール |
重量 | 168g | 222g | 232g | 224g |
Qファクター | 53mm | 53mm [56、59、 65] | 53mm | 53mm |
クリート | スタンダードテンション | スタンダードテンション | イージーテンション | スタンダードテンション |
税込価格 | ¥55000 | ¥27500 | ¥20900 | ¥35200 |
text&photo:Makoto AYANO
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