66.6kmの独走で連覇を達成したポガチャルは「3人で最後まで行きたかった」と語り、メカトラに苦しんだエヴェネプールは「運がなかった」とコメント。表彰台を喜ぶヒーリーや、ポガチャルの加速に反応したデルトロやアユソなどのコメントを紹介する。



優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア)

圧巻の独走勝利を決め、ロード世界選手権を連覇したタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos

このコースはまさにこうした展開を狙って設計されていたと思う。僕自身、フアン(アユソ)やデルトロと共に小集団を形成することを期待していた。僕ら3人は完璧な組み合わせで、できるだけ遠くまでトリオで走り、争えたら夢のようだと思っていた。

しかしフアンは石畳の区間で早い段階から問題を抱え、デルトロもレース中に胃の不調に見舞われた。そのためかなり早い段階で1人になってしまった。昨年と同じように独走態勢となり、その後は自分自身との戦いになったが、最後まで走り切れたことを本当に嬉しく思う。

2年連続でアルカンシエルと金メダルを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:UCI

周回を重ねるごとに登りはますます厳しくなり、下りでも踏まなければならなかったので、終盤にはエネルギーが尽きかけていた。最後の数周回は本当にきつく、もちろん疑念も湧いた。それでも踏み続けて最善を尽くすしかなかった。大会を通して信じられないほど素晴らしい経験だったし、ルワンダでのこの一週間は成功だったと言える。

来週のヨーロッパ選手権には出場するつもりだが、もちろんタフな戦いとなるだろう。まずは今日の飛行機に飛び乗って休養に努めたい。

2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー)

2位でフィニッシュ後、座り込んだレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:UCI

バイク交換したのはサドルの高さが下がり、その状態でペダリングしたせいで脚が痙攣してしまったから。いったん3台目(2台目のスペアバイク)に替えたが、本来やや前下がりのサドル角度が水平で、古傷の腰が痛みはじめた。そこでチームカーの2台目のスペアに再交換した。幸いそのセッティングはいつも通りで、感触を取り戻すことができた。何とか2位に入ったが、これは目指していた結果ではない。

タイムトライアルで1位、ロードレースで2位というのは良い結果だ。だがベルギーのナショナルチームとしては2つの金メダルを目指していた。2年前に、アクシデントを乗り越え優勝したファンデルプールの例もあるが、世界選手権で勝つためには全てが完璧に進まなければならない。その巡り合わせが今日は自分になかった。

この後は水曜日のヨーロッパ選手権(個人タイムトライアル)に向けて切り替えたい。事前のトレーニングを含め、ここでの体験は素晴らしいものだった。

3位 ベン・ヒーリー(アイルランド)

3位で表彰台を喜ぶベン・ヒーリー(アイルランド) photo:UCI

最後は本当に精神力の戦いだった。完走者が30名しかいないことからも、クレイジーなレースだったことがわかる。追走集団は協調できており、特にレムコ(エヴェネプール)が力を使っていた。タデイとの差はおおむね50秒前後で推移し、昨年のように最後にペースが落ちることを願っていた。だが今日はペース配分が見事だった。

7位 イサーク・デルトロ(メキシコ)

残り104km地点のキガリ峠でタデイ・ポガチャル(スロベニア)が加速した photo:UCI

タデイと共に走っていた時に腹の不調に襲われた。だけど、それがなくてもきっと遅れていただろう。通常の状態であっても、あと2周で遅れていたはずだ。お腹の不調はキガリに到着した直後から抱えており、最後まで通常の状態には戻らなかった。ベストは尽くしたが、トップ3の選手たちが強かった。

タデイと争っている時は、彼をリスペクトしすぎないよう気をつけていた。だから彼の脚を削るような走りを心がけたのだが、そんなことは不可能だ(笑)。僕が全力の状態でも彼は笑顔で「一緒に行こう」と言ってきた。この結果はメキシコ自転車界にとって大きい。ここで得た経験を糧に次なる目標に向けて努力し続けていくのみだ。

8位 フアン・アユソ(スペイン)

先頭集団から遅れたフアン・アユソ(スペイン) photo:UCI

2〜3分で終わるミュール・ド・キミハーウラよりも、10〜15分かかるキガリ峠の方が僕の脚質には適していた。だから登りでの感覚は良かったのだが、ミュール・ド・キガリに入った瞬間、ライトが完全に消えてしまった。歩いて登った方が速い速度でしか登れなかった。

失速の原因ははっきりと分からないが、おそらく石畳のせいだろう。何度も登る石畳坂での感覚は酷いものだった。ヨーロッパ選手権ではもっと長く先頭集団で勝負したい。

10位 トーマス・ピドコック(イギリス)

フィニッシュした瞬間は力を使い果たしていた。ラスト2時間は本当に長く感じた。残り100km地点で集団はバラバラになり、勝負を決める動きが生まれる、まるでトライアスロンのようなレースだった。世界選では絶好調で走ることより、限界に達しない配分が大事だと思う。

正直、追走集団で走っていてタデイに追いつけると思っていた。40秒差だったし、スイスでの昨年も最後にペースが落ちていた。だけど彼の速度は落ちず、先に僕の脚が限界に達した。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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