2021/03/17(水) - 08:57
ティレーノ〜アドリアティコを締めくくる10.1kmの個人タイムトライアルでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が最速タイムをマーク。ステージ4位に食い込んだタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が第56代総合優勝者として槍のトロフィーを受け取った。
今年もまた、ティレーノ〜アドリアティコはサンベネデット・デル・トロントでの10.1km個人タイムトライアルで締めくくられた。アドリア海のビーチリゾート地を駆け抜けるコースは真っ平ら&直線基調。トップ選手で11分強という短時間&高強度の戦いはシーズン序盤の風物詩になっている。
ここでの優勝候補は、1年前に10分42秒(平均スピード56.636km/h)という驚異的なコースレコードを記録したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)だ。トラック世界選手権個人追い抜きで3連覇を達成(4分01秒934の世界記録保持者)し、2020年1月以降に出場した8つの個人タイムトライアルで負けなしの8勝(世界選手権個人タイムトライアルを含む)を飾っている24歳に注目が集まったが、1週間にわたって総合エースをアシストし続けた影響か、それとも東京五輪トラック&タイムトライアルに照準を合わすためのコンディショニングの影響か、この日はタイムを伸ばすことができなかった。
58x13Tというビッグギアを踏んだガンナは、ヨーロッパチャンピオンジャージを着るシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)のタイムに5秒届かずに、前年比プラス35秒でフィニッシュ。連覇を逃したガンナは「自分も人間であり、ロボットではなく、負けることもある。出力の数値的には良かったけど、いつも勝てるわけじゃない」と語っている。ガンナは週末のミラノ〜サンレモに出場予定だ。
好走したキュングとガンナの、さらにその上を行く走りを見せたのが総合2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)だった。すべての計測ポイントでトップタイムを連発したファンアールトが、キュングに6秒、ガンナに11秒のタイム差をつける貫禄の走りで優勝。総合争いのために1週間にわたって連日ステージ上位に絡む走りを見せていたファンアールトが、2020年のガンナ(10分42秒)とカンペナールツ(11分00秒)に続く歴代3番目のタイムを叩き出した(下記ランキング「サンベネデット・デル・トロント個人TT歴代記録」参照)。
「距離は短いけどとてもハードなレースだった。大いに苦しんだよ。今シーズンはバイクが(ビアンキからサーヴェロに)変わったので、時間をかけてポジション調整を行ったんだ。昨日は力を温存することができたし、世界最高峰のTTスペシャリストたちを退けての勝利は本当に嬉しい」。初日の集団スプリントを制したファンアールトが、最終日の個人タイムトライアル勝利で締めくくった。
ファンアールトは名だたるグランツールレーサーをおさえての総合2位。集団スプリントでも個人タイムトライアルでもリードを奪うことができる新規格のオールラウンダーに進化しつつあるファンアールトは「初めて総合成績を狙ったステージレースで、ツール・ド・フランス優勝者だけに敗れたことは大きな自信につながる。これからもっと(総合成績を)狙っていきたいけど、今は(連覇がかかった)ミラノ〜サンレモから始まるクラシックシーズンに集中したい。トップコンディションに近い仕上がりなので、土曜日までにしっかりとリカバリーしたい」と語っている。
そして、ファンアールト、キュング、ガンナという2020年世界選手権個人タイムトライアルと同じトップスリーに次いで、12秒差のステージ4位に入ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が文句なしの走りで総合優勝に輝いた。
総合1位だけでなくステージ1勝、山岳賞1位、ポイント賞2位、ヤングライダー賞1位という圧倒的なパフォーマンスを見せた22歳ポガチャルは「シーズン最初の目標であるUAEツアーで結果を出して、その調子を維持したまま挑んだこのレースで再び優勝。自分の走りには満足しているし、最高のシーズン幕開けになったよ」と語る。
総合トップ10の選手たちがタイム差1分〜3分に収まる場合がほとんどのティレーノ〜アドリアティコにおいて、総合1位ポガチャルと総合10位サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)のタイム差は7分45秒。総合2位ファンアールトとの総合タイム差は最終的に1分03秒だった。
今年もまた、ティレーノ〜アドリアティコはサンベネデット・デル・トロントでの10.1km個人タイムトライアルで締めくくられた。アドリア海のビーチリゾート地を駆け抜けるコースは真っ平ら&直線基調。トップ選手で11分強という短時間&高強度の戦いはシーズン序盤の風物詩になっている。
ここでの優勝候補は、1年前に10分42秒(平均スピード56.636km/h)という驚異的なコースレコードを記録したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)だ。トラック世界選手権個人追い抜きで3連覇を達成(4分01秒934の世界記録保持者)し、2020年1月以降に出場した8つの個人タイムトライアルで負けなしの8勝(世界選手権個人タイムトライアルを含む)を飾っている24歳に注目が集まったが、1週間にわたって総合エースをアシストし続けた影響か、それとも東京五輪トラック&タイムトライアルに照準を合わすためのコンディショニングの影響か、この日はタイムを伸ばすことができなかった。
58x13Tというビッグギアを踏んだガンナは、ヨーロッパチャンピオンジャージを着るシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)のタイムに5秒届かずに、前年比プラス35秒でフィニッシュ。連覇を逃したガンナは「自分も人間であり、ロボットではなく、負けることもある。出力の数値的には良かったけど、いつも勝てるわけじゃない」と語っている。ガンナは週末のミラノ〜サンレモに出場予定だ。
好走したキュングとガンナの、さらにその上を行く走りを見せたのが総合2位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)だった。すべての計測ポイントでトップタイムを連発したファンアールトが、キュングに6秒、ガンナに11秒のタイム差をつける貫禄の走りで優勝。総合争いのために1週間にわたって連日ステージ上位に絡む走りを見せていたファンアールトが、2020年のガンナ(10分42秒)とカンペナールツ(11分00秒)に続く歴代3番目のタイムを叩き出した(下記ランキング「サンベネデット・デル・トロント個人TT歴代記録」参照)。
「距離は短いけどとてもハードなレースだった。大いに苦しんだよ。今シーズンはバイクが(ビアンキからサーヴェロに)変わったので、時間をかけてポジション調整を行ったんだ。昨日は力を温存することができたし、世界最高峰のTTスペシャリストたちを退けての勝利は本当に嬉しい」。初日の集団スプリントを制したファンアールトが、最終日の個人タイムトライアル勝利で締めくくった。
ファンアールトは名だたるグランツールレーサーをおさえての総合2位。集団スプリントでも個人タイムトライアルでもリードを奪うことができる新規格のオールラウンダーに進化しつつあるファンアールトは「初めて総合成績を狙ったステージレースで、ツール・ド・フランス優勝者だけに敗れたことは大きな自信につながる。これからもっと(総合成績を)狙っていきたいけど、今は(連覇がかかった)ミラノ〜サンレモから始まるクラシックシーズンに集中したい。トップコンディションに近い仕上がりなので、土曜日までにしっかりとリカバリーしたい」と語っている。
そして、ファンアールト、キュング、ガンナという2020年世界選手権個人タイムトライアルと同じトップスリーに次いで、12秒差のステージ4位に入ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が文句なしの走りで総合優勝に輝いた。
総合1位だけでなくステージ1勝、山岳賞1位、ポイント賞2位、ヤングライダー賞1位という圧倒的なパフォーマンスを見せた22歳ポガチャルは「シーズン最初の目標であるUAEツアーで結果を出して、その調子を維持したまま挑んだこのレースで再び優勝。自分の走りには満足しているし、最高のシーズン幕開けになったよ」と語る。
総合トップ10の選手たちがタイム差1分〜3分に収まる場合がほとんどのティレーノ〜アドリアティコにおいて、総合1位ポガチャルと総合10位サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)のタイム差は7分45秒。総合2位ファンアールトとの総合タイム差は最終的に1分03秒だった。
ティレーノ〜アドリアティコ2021第7ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:11:06 |
2位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | 0:00:06 |
3位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:11 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:12 |
5位 | バンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:16 |
6位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:00:18 |
7位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:24 |
8位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:26 |
9位 | マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 0:00:27 |
10位 | トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマFDJ) | 0:00:28 |
11位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
26位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:42 |
36位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:00:48 |
53位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:55 |
55位 | マッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
63位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 0:00:59 |
64位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | |
79位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:01:09 |
個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 26:36:17 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:03 |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:57 |
4位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:13 |
5位 | マッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:04:37 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:54 |
7位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:05:00 |
8位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 0:05:50 |
9位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:06:30 |
10位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | 0:07:45 |
ポイント賞
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 55pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 42pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 39pts |
山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 24pts |
2位 | マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・スタートアップネイション) | 20pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 18pts |
ヤングライダー賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 26:36:17 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:13 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:04:54 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ・プレミアテック | 80:16:45 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:02:48 |
3位 | モビスター | 0:13:15 |
サンベネデット・デル・トロント個人TT歴代記録
2020年/1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) | 0:10:42 |
2020年/2位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | 0:11:00 |
2021年/1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:11:06 |
2020年/3位 | ローハン・デニス(オーストラリア) | 0:11:08 |
2016年/1位 | ファビアン・カンチェラーラ(スイス) | 0:11:08 |
2020年/4位 | ゲラント・トーマス(イギリス) | 0:11:10 |
2021年/2位 | シュテファン・キュング(スイス) | 0:11:12 |
2018年/1位 | ローハン・デニス(オーストラリア) | 0:11:14 |
2020年/5位 | トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン) | 0:11:15 |
2020年/6位 | バンジャマン・トマ(フランス) | 0:11:16 |
2021年/3位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) | 0:11:17 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse, CorVos
photo:LaPresse, CorVos
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