2021/03/11(木) - 09:45
ビッグネーム勢揃いの第56回ティレーノ〜アドリアティコが開幕。二つの海を結ぶ1週間のステージレース初日に大集団スプリントが繰り広げられ、最高速72.6km/hを叩き出したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が勝利した。
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト(エッレチーエッセ・スポルト)が主催するティレーノ〜アドリアティコ。「ティレニア海からアドリア海まで」というレース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。イタリア半島を囲む2つの海を結ぶその行程から「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力選手たちが多数出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分けている。2021年大会には、連覇を狙うサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)らが勢揃い。さらにジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)、ロマン・バルデ(チームDSM)というフランスの三強もパリ〜ニースではなくティレーノを選択した。
直前のストラーデビアンケで圧勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も2年連続の出場で、2月に新型コロナウイルス陽性になったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)はここでようやくシーズンイン。そんなビッグネーム揃いの1週間のステージレースが、ティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレで開幕した。
初日は定番のチームTTではなく156kmのロードステージ。前半に3回登場するKOMピトーロ(全長2.7km・平均7.4%)を除いて平坦基調な獲得標高差1,000m強の平坦ステージで、当然のことながらスプリンターチームがレースを支配した。6名による逃げは常にプロトンの射程圏内に置かれ、道幅のある幹線道路で泳がされたのち、残り11km地点で全ての逃げは吸収。レースのタイトルスポンサーでもあるエオーロ社の看板を背負ったヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ)がマリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)を手にしている。
残り8.6kmの最終コーナーを曲がると、あとはフィニッシュラインまでひたすら直線&幅広の幹線道路。各スプリンターチームのトレインが入り乱れる高速走行を経て、UAEチームエミレーツが良い形でリードアウトに持ち込むことに成功する。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)に導かれたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が勝ちパターンに持ち込んだものの、その番手につけていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が先に仕掛けた。
ガビリアの加速を凌駕する勢いで、並ばせることなく、道のど真ん中を進んだファンアールト。およそ6番手までポジションを落としていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が後方からかっ飛んできたが、ファンアールトは先頭を譲らなかった。「残り1kmからポジションを落としてしまい、ギャップを詰めることができなかった」というユアンがトップスピードで勝りながらも刺しきれず、ファンアールトがその両手を大きく広げた。
「スプリントを狙う作戦ではあったものの、この勝利には驚いている。シクロクロスは爆発的なスプリントの良い練習になっているけど、ロードレースのスピードはまだ足りていないんじゃないかと心配していた」。名だたるトップスプリンターを下したファンアールトはシーズン初勝利を喜んだ。なお、緩い西風(斜め後ろからの追い風)が吹く全長8.6kmの最終ストレートを選手たちは平均スピード61.6km/hで走行。ファンアールトのスプリント中の最大出力は1,445Wで、13秒間の平均出力は1,215W、トップスピードは72.6km/hだった。
「このティレーノ〜アドリアティコでは総合成績を狙って、数日間の休息を経て昨年勝利したミラノ〜サンレモに挑む。調子が良いことを確認できたし、チームにとっても良い勝利になったよ」。変則的なシーズンとなった2020年にファンアールトはストラーデビアンケで勝利し、その1週間後のミラノ〜サンレモでモニュメント初制覇を達成。2021年はシクロクロスシーズンを終えてから約1ヶ月の休息とトレーニング期間を設け、初戦のストラーデビアンケでは終盤の失速により4位に沈んでいた。なお、ストラーデビアンケを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はチームメイトのティム・メルリール(ベルギー)にエーススプリンターの役目を託し、自身は77位で初日を終えている。
翌日はストラーデビアンケと同じトスカーナ州シエナ近郊の丘陵地帯を走るアップダウンコース(未舗装区間は登場しない)。丘の上の町キウスディーノに向かって、残り7.6kmから勾配3〜5%の緩斜面を経てフィニッシュを迎える。
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト(エッレチーエッセ・スポルト)が主催するティレーノ〜アドリアティコ。「ティレニア海からアドリア海まで」というレース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。イタリア半島を囲む2つの海を結ぶその行程から「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力選手たちが多数出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分けている。2021年大会には、連覇を狙うサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)らが勢揃い。さらにジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)、ロマン・バルデ(チームDSM)というフランスの三強もパリ〜ニースではなくティレーノを選択した。
直前のストラーデビアンケで圧勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も2年連続の出場で、2月に新型コロナウイルス陽性になったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)はここでようやくシーズンイン。そんなビッグネーム揃いの1週間のステージレースが、ティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレで開幕した。
初日は定番のチームTTではなく156kmのロードステージ。前半に3回登場するKOMピトーロ(全長2.7km・平均7.4%)を除いて平坦基調な獲得標高差1,000m強の平坦ステージで、当然のことながらスプリンターチームがレースを支配した。6名による逃げは常にプロトンの射程圏内に置かれ、道幅のある幹線道路で泳がされたのち、残り11km地点で全ての逃げは吸収。レースのタイトルスポンサーでもあるエオーロ社の看板を背負ったヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ)がマリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)を手にしている。
残り8.6kmの最終コーナーを曲がると、あとはフィニッシュラインまでひたすら直線&幅広の幹線道路。各スプリンターチームのトレインが入り乱れる高速走行を経て、UAEチームエミレーツが良い形でリードアウトに持ち込むことに成功する。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)に導かれたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が勝ちパターンに持ち込んだものの、その番手につけていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が先に仕掛けた。
ガビリアの加速を凌駕する勢いで、並ばせることなく、道のど真ん中を進んだファンアールト。およそ6番手までポジションを落としていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が後方からかっ飛んできたが、ファンアールトは先頭を譲らなかった。「残り1kmからポジションを落としてしまい、ギャップを詰めることができなかった」というユアンがトップスピードで勝りながらも刺しきれず、ファンアールトがその両手を大きく広げた。
「スプリントを狙う作戦ではあったものの、この勝利には驚いている。シクロクロスは爆発的なスプリントの良い練習になっているけど、ロードレースのスピードはまだ足りていないんじゃないかと心配していた」。名だたるトップスプリンターを下したファンアールトはシーズン初勝利を喜んだ。なお、緩い西風(斜め後ろからの追い風)が吹く全長8.6kmの最終ストレートを選手たちは平均スピード61.6km/hで走行。ファンアールトのスプリント中の最大出力は1,445Wで、13秒間の平均出力は1,215W、トップスピードは72.6km/hだった。
「このティレーノ〜アドリアティコでは総合成績を狙って、数日間の休息を経て昨年勝利したミラノ〜サンレモに挑む。調子が良いことを確認できたし、チームにとっても良い勝利になったよ」。変則的なシーズンとなった2020年にファンアールトはストラーデビアンケで勝利し、その1週間後のミラノ〜サンレモでモニュメント初制覇を達成。2021年はシクロクロスシーズンを終えてから約1ヶ月の休息とトレーニング期間を設け、初戦のストラーデビアンケでは終盤の失速により4位に沈んでいた。なお、ストラーデビアンケを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はチームメイトのティム・メルリール(ベルギー)にエーススプリンターの役目を託し、自身は77位で初日を終えている。
翌日はストラーデビアンケと同じトスカーナ州シエナ近郊の丘陵地帯を走るアップダウンコース(未舗装区間は登場しない)。丘の上の町キウスディーノに向かって、残り7.6kmから勾配3〜5%の緩斜面を経てフィニッシュを迎える。
ティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 3:36:17 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | |
5位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ | |
6位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
7位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
9位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
10位 | ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 3:36:07 |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 0:00:04 |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:06 |
4位 | シモーネ・ベラスコ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 0:00:07 |
5位 | マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 0:00:08 |
6位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:00:10 |
7位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ | |
8位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
9位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
10位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
ポイント賞
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 12pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 10pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 8pts |
山岳賞
1位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 13pts |
2位 | ヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 11pts |
3位 | シモーネ・ベラスコ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 6pts |
ヤングライダー賞
1位 | マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 3:36:15 |
2位 | アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:02 |
3位 | マックス・カンター(ドイツ、チームDSM) |
チーム総合成績
1位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 10:48:51 |
2位 | バイクエクスチェンジ | |
3位 | UAEチームエミレーツ |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse, CorVos
photo:LaPresse, CorVos
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