2020/09/04(金) - 09:32
大方の予想通り逃げ集団から勝利が生まれたツール6日目。アスタナに久々のツール区間優勝をもたらしたルツェンコや、最後まで粘るも届かなかったエラダ、ベルナルの様子について話すモレマなどのコメントを紹介します。
ステージ優勝 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
ツール・ド・フランスに来たのはステージ優勝を目指して戦うという目標があったからだ。ツール・ド・フランスは今シーズン最大の目標の一つだった。この勝利を長年夢見て、そしていま叶ったんだ! このステージを狙っていたが、前日までミゲルアンヘル(ロペス)の為に働いた後、わざと総合タイムを失うため集団から遅れたんだ。総合勢が決定的なところで僕を見逃してくれるようにするためにね。
今日のスタート前にも作戦について話し合った。フィニッシュまで逃げ切れるチャンスがあるかもしれないので、スポーツディレクターでGMのアレクサンドル・ヴィノクロフと話して逃げに乗ることに決めたんだ。
一日を通して調子が良かったし、脚も良く回っていた。逃げ集団がプロトンから離れるまで時間がかかったが、最終的には成功した。今日はとても長く暑かったが、ステージを通して後ろのチームカーにいたヴィノクロフが上手く誘導してくれた。
最後の登りでは落ち着いて自分のリズムを保ち、最も厳しい箇所でアタックした。この勝利はとても嬉しいし、自分にとってもチームにとっても大きな成果だ!またカザフスタンのナショナルチャンピオンジャージで勝てたことが最高に嬉しい!この素晴らしい機会を与えてくれたチームに感謝したい。また特にスポンサーたち、長年に渡ってサポートしてくれているメインパートナーのサムルク・カズィナに感謝したい。
ステージ2位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
自分のパフォーマンスには満足しているが、最後で勝利を争えなかったことが少し残念だ。逃げ集団の中にはとても良い選手がいた。ペースをキープするのが大変だったが、良い位置につき2位に入ることができて満足している。すごく疲れた!しっかりと回復してピレネーのために体調を整えたいと思う。
ステージ3位 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)
ツール・ド・フランスの中で自分が乗った最も強い逃げ集団だった。(ヘスス)エラダと(アレクセイ)ルツェンコ、そして(ニコラス)ロッシュが逃げに入っているのを見て簡単にはいかないだろうと思ってたが、逃げ集団が長時間逃げ続けるレースのメイン集団の中で登るもの難しい(辛いのはどちらも同じ)ので、どこまで行けるかベストを尽くした。今日の自分の走りには満足している。
ステージ4位&この日が誕生日だったニールソン・ポーレス(アメリカ、EFプロサイクリング)
一緒に逃げたメンバーとなかなか良い走りができたと思っている。2つ目の登りから最後の登りにかけて積極的に行き過ぎて、残り25kmからも少し気合が入り過ぎていたのだと思う。それにやられてしまったのだろう。最終的には自分の走りを誇りに思うし、ツール・ド・フランスで先頭を走ったことは本当に素晴らしいことだ。そこにいた全員がワールドクラスの選手で、その集団の中にいることができてとても幸せだった。
ステージ6位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
(エガン)ベルナルが集団についていけていなかったのには少し驚いた。彼が最後の200mで(ミハウ)クフィアトコフスキに向かって「速すぎる、速すぎる(easy easy)」と言っていたんだ。おそらくそれ以上のスピードで行きたくなかったのか、あるいは調子が悪かったのだろう。
ステージ7位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
路面がとても悪く、トリッキーな登りということは分っていた。基本的にトラブルを回避することだけを考えていた。力を節約し安全を確保するため前に出て自分たちのスピードで走った。他のチームの後ろにつく方がより苦しいと思っていたからね。
今日もステージ優勝を目指すことに何の恐れもなかったが、逃げがとても強かった。彼らを捕まえるのは簡単ではないと分っていたし、何より僕は逃げ切る方に賭けていたんだ。
ステージ10位&マイヨジョーヌ アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
(マイヨジョーヌでの初日は)良かったし、上手くコントロールできたと思う。逃げ集団が強く、そこに乗りたい選手がたくさんいた。登りまでずっと平坦で、コントロールするのがとても難しかったが、僕たちは良い働きをしたと思う。最後にまだミケル(ニエベ)とエステバン(チャベス)が残っていたので、全体的に良い一日だった。
すでに逃げ集団との差が開いていたし、ボーナスポイントも全て取られていたので、誰かがアタックしても得ることがなかったのだと思う。それに最後の登りはそこまでの傾斜がなかったので、数秒稼ぐには相当な力が必要だっただろう。だから皆、この後の為にエネルギーを蓄えていたんだ。
昨日言ったように、奇妙な状況だった。でも僕たちは良い走りができたし、マイヨジョーヌに恥じない走りができたと思う。まだステージを勝ちたいし、それがここに来た理由だ。でも総合首位にいると、タイム差を投げ売って攻めに出るのはかなり難しい。だからいまは一日一日を大切にして、どうなるかを見守ることにしている。
明日はスプリントステージで、その後に2つとてもハードはステージが待っている。この2ステージの登りはよく知っているので、本当にタフなステージなるだろう。でもさっき言ったように、僕たちには平坦ではなく登りでもとても強いチームメイトが揃っている。楽しみだよ。
マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
最後の登り始め付近でパンクしてしまったこともあり、想像以上にハードなステージだった。チームが素早く対応してくれ、(ヤン)ポランツが戻ってきてくれたので、あまり力を使わずに済んだ。フィニッシュラインが見えトップ10に入るべくスプリントしたが、囲まれてしまった。ツール・ド・フランスで世界のトップ選手たちと争えるのは最高の気分だ。コンディションは良いが、一日一日を大切にしていきたい。
逃げのきっかけを作り敢闘賞を獲得したニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
疲れ果てたし少しがっかりしている。今日のほとんど時間はうまくいっていたと思うが、残念ながら最初のカテゴリー峠の急斜面でのリズムの変化で、脚が完全に終わってしまった。このステージでは逃げに乗りたいと思っていた。今日はフィニッシュまで逃げ切れるチャンスがあると分っていたし、実際その通りになった。でも残念ながら最後から2つ目の登りで上位に入った選手たちについていく力がなかった。ここ数日間よく研究してきたので、急勾配の登りには驚かなかった。
今日は行程表にチェックマークをつけていたステージだった。だから昨日の最後の10kmでわざと遅れて、(逃げさせてもらえる)タイム差をつけたんだ。分っていても脚がついていかないこともある。1ステージほど回復に充て、翌週からもう一度挑戦できるようにしたい。
text:Sotaro.Arakawa
ステージ優勝 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
ツール・ド・フランスに来たのはステージ優勝を目指して戦うという目標があったからだ。ツール・ド・フランスは今シーズン最大の目標の一つだった。この勝利を長年夢見て、そしていま叶ったんだ! このステージを狙っていたが、前日までミゲルアンヘル(ロペス)の為に働いた後、わざと総合タイムを失うため集団から遅れたんだ。総合勢が決定的なところで僕を見逃してくれるようにするためにね。
今日のスタート前にも作戦について話し合った。フィニッシュまで逃げ切れるチャンスがあるかもしれないので、スポーツディレクターでGMのアレクサンドル・ヴィノクロフと話して逃げに乗ることに決めたんだ。
一日を通して調子が良かったし、脚も良く回っていた。逃げ集団がプロトンから離れるまで時間がかかったが、最終的には成功した。今日はとても長く暑かったが、ステージを通して後ろのチームカーにいたヴィノクロフが上手く誘導してくれた。
最後の登りでは落ち着いて自分のリズムを保ち、最も厳しい箇所でアタックした。この勝利はとても嬉しいし、自分にとってもチームにとっても大きな成果だ!またカザフスタンのナショナルチャンピオンジャージで勝てたことが最高に嬉しい!この素晴らしい機会を与えてくれたチームに感謝したい。また特にスポンサーたち、長年に渡ってサポートしてくれているメインパートナーのサムルク・カズィナに感謝したい。
ステージ2位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
自分のパフォーマンスには満足しているが、最後で勝利を争えなかったことが少し残念だ。逃げ集団の中にはとても良い選手がいた。ペースをキープするのが大変だったが、良い位置につき2位に入ることができて満足している。すごく疲れた!しっかりと回復してピレネーのために体調を整えたいと思う。
ステージ3位 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)
ツール・ド・フランスの中で自分が乗った最も強い逃げ集団だった。(ヘスス)エラダと(アレクセイ)ルツェンコ、そして(ニコラス)ロッシュが逃げに入っているのを見て簡単にはいかないだろうと思ってたが、逃げ集団が長時間逃げ続けるレースのメイン集団の中で登るもの難しい(辛いのはどちらも同じ)ので、どこまで行けるかベストを尽くした。今日の自分の走りには満足している。
ステージ4位&この日が誕生日だったニールソン・ポーレス(アメリカ、EFプロサイクリング)
一緒に逃げたメンバーとなかなか良い走りができたと思っている。2つ目の登りから最後の登りにかけて積極的に行き過ぎて、残り25kmからも少し気合が入り過ぎていたのだと思う。それにやられてしまったのだろう。最終的には自分の走りを誇りに思うし、ツール・ド・フランスで先頭を走ったことは本当に素晴らしいことだ。そこにいた全員がワールドクラスの選手で、その集団の中にいることができてとても幸せだった。
ステージ6位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
(エガン)ベルナルが集団についていけていなかったのには少し驚いた。彼が最後の200mで(ミハウ)クフィアトコフスキに向かって「速すぎる、速すぎる(easy easy)」と言っていたんだ。おそらくそれ以上のスピードで行きたくなかったのか、あるいは調子が悪かったのだろう。
ステージ7位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
路面がとても悪く、トリッキーな登りということは分っていた。基本的にトラブルを回避することだけを考えていた。力を節約し安全を確保するため前に出て自分たちのスピードで走った。他のチームの後ろにつく方がより苦しいと思っていたからね。
今日もステージ優勝を目指すことに何の恐れもなかったが、逃げがとても強かった。彼らを捕まえるのは簡単ではないと分っていたし、何より僕は逃げ切る方に賭けていたんだ。
ステージ10位&マイヨジョーヌ アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
(マイヨジョーヌでの初日は)良かったし、上手くコントロールできたと思う。逃げ集団が強く、そこに乗りたい選手がたくさんいた。登りまでずっと平坦で、コントロールするのがとても難しかったが、僕たちは良い働きをしたと思う。最後にまだミケル(ニエベ)とエステバン(チャベス)が残っていたので、全体的に良い一日だった。
すでに逃げ集団との差が開いていたし、ボーナスポイントも全て取られていたので、誰かがアタックしても得ることがなかったのだと思う。それに最後の登りはそこまでの傾斜がなかったので、数秒稼ぐには相当な力が必要だっただろう。だから皆、この後の為にエネルギーを蓄えていたんだ。
昨日言ったように、奇妙な状況だった。でも僕たちは良い走りができたし、マイヨジョーヌに恥じない走りができたと思う。まだステージを勝ちたいし、それがここに来た理由だ。でも総合首位にいると、タイム差を投げ売って攻めに出るのはかなり難しい。だからいまは一日一日を大切にして、どうなるかを見守ることにしている。
明日はスプリントステージで、その後に2つとてもハードはステージが待っている。この2ステージの登りはよく知っているので、本当にタフなステージなるだろう。でもさっき言ったように、僕たちには平坦ではなく登りでもとても強いチームメイトが揃っている。楽しみだよ。
マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
最後の登り始め付近でパンクしてしまったこともあり、想像以上にハードなステージだった。チームが素早く対応してくれ、(ヤン)ポランツが戻ってきてくれたので、あまり力を使わずに済んだ。フィニッシュラインが見えトップ10に入るべくスプリントしたが、囲まれてしまった。ツール・ド・フランスで世界のトップ選手たちと争えるのは最高の気分だ。コンディションは良いが、一日一日を大切にしていきたい。
逃げのきっかけを作り敢闘賞を獲得したニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)
疲れ果てたし少しがっかりしている。今日のほとんど時間はうまくいっていたと思うが、残念ながら最初のカテゴリー峠の急斜面でのリズムの変化で、脚が完全に終わってしまった。このステージでは逃げに乗りたいと思っていた。今日はフィニッシュまで逃げ切れるチャンスがあると分っていたし、実際その通りになった。でも残念ながら最後から2つ目の登りで上位に入った選手たちについていく力がなかった。ここ数日間よく研究してきたので、急勾配の登りには驚かなかった。
今日は行程表にチェックマークをつけていたステージだった。だから昨日の最後の10kmでわざと遅れて、(逃げさせてもらえる)タイム差をつけたんだ。分っていても脚がついていかないこともある。1ステージほど回復に充て、翌週からもう一度挑戦できるようにしたい。
text:Sotaro.Arakawa
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